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真・最終章 七魔将編

炎龍を倒す方法

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「炎龍を倒すには聖剣と聖痕の所有者を集めないといけないわけ?」
「正確に言うのであればそれがです。相手はこの地上で最強の生物ですからね」
「地上最強の生物か……」
「背中に鬼の面はありませんけどね」


茶化しながらもアイリスは考え込む表情を浮かべ、彼女がここまで悩むほどに「炎龍」は恐ろしい相手らしく、レナは改めて炎龍を倒すための条件を考える。


「聖痕の所有者は全員は知っているけど、聖剣の方が問題だな。レミアの持っているエクスカリバーとゴウライさんのデュランダル、カラドボルグは王都で保管されているとなると……他の聖剣は誰が持ってるんだっけ?」
「レーヴァティンと呼ばれる聖剣も王国が保管しています。クサナギはヨツバ王国のツバサが管理していますね、そしてクリムゾンは死人将ブラクの手にあります」
「死人将か、厄介だな……あれ、最後の聖剣は?」
「聖剣リヴァイアサン……水属性の聖剣ですが、リヴァイアサンを管理しているのは人魚族です」


これまでにレナが関わった聖剣の中で直接見た事がないのはレーヴァティンとリヴァイアサンだけであり、その内のレーヴァティンは王国が保管している事が判明した。しかし、リヴァイアサンの方は人魚族が管理を行っているらしく、聖剣を手に入れるには人魚族の協力が必要不可欠だった。


「そのリヴァイアサンを保管している人魚族は何処にいるの?やっぱり、海とかに住んでいるの?」
「いいえ、湖ですよ。万が一の場合を想定して聖剣リヴァイアサンは人間が暮らす場所の近くに封印されているんです」
「え?そうなの?」
「はい、ですけどリヴァイアサンを入手するには人魚族の協力が必要です。そして聖剣を持つに相応しい力を見せつけなければなりません」
「聖剣を持つに相応しい?」
「聖剣を手に入れるためには人魚族が課す試練を突破しないといけません。まあ、その辺の話は後にするとして重要なのは聖剣を操れる人間を集める事です」


聖剣だけを集めたとしても扱える人間がいなければ意味はなく、アイリスによれば聖剣を扱いこなせるのは聖痕の所有者だけとなる。いくら膨大な魔力を持つ人間が居たとしても、聖痕を宿していない人間では聖剣の真の力を引き出せない。

レナはかつて腐敗龍を倒すために聖剣カラドボルグを使用した事はあるが、膨大な魔力を消費したにも関わらずに腐敗龍を倒すために義理の姉のナオと共に聖剣を使い、更にマリアの協力もあって倒す事ができた。しかし、アイリスによれば仮に聖剣の正当な所有者ならばたった一人でも腐敗龍程度の敵は倒す事ができたという。


「聖剣の力を完全に引き出せるのは聖痕の所有者だけです。いくら魔力が大きい人間でも聖痕を所有していない限りは真の意味では聖剣を使いこなせません」
「つまり、俺だと聖剣は使えないわけね」
「そういう事です。残念ながら……仮にレナさんが風の聖痕を宿していた時もクサナギの力を引き出す事はできなかったでしょうね」


一時期は祖母の「アイラ・ハヅキ」から聖痕を受け継いだレナでも風属性の聖剣の「クサナギ」は扱いこなせず、聖痕の所有者といってもハルナやホムラのようなにしか、聖痕の真の力を引き出す事はできない。そして聖痕を制御できない者は聖剣の力を完全に引き出す事もできない。

ヨツバ王国の中でも由緒正しい魔術師の家系で人間でありながら膨大な魔力を持つレナでさえも聖剣や聖痕の力は使いこなせず、仮にレナがどんな聖剣を手に入れたとしても強力な武器には成りえない。


「聖剣を集めるのも大変そうだけど、聖痕所有者を集めるのも苦労しそうだな……えっと、今の時点ではシズネとレミアとゴウライさん、それと一応はハルナとは合流しているのか」
「後はマリアとダインと……ホムラだけですね。3人とも合流は難しい状況です」


マリアは現在は特殊な場所に送り込まれて自力での脱出は難しく、ダインは監獄都市から抜け出したばかりで戻るのに時間はかかり、ホムラに至っては魔人将に敗れて捕まっていた。


「ホムラは魔人将に捕まっています。今の所は殺される恐れはありませんが、地力での脱出は不可能ですね」
「えっ!?あのホムラが!?」
「考え無しに喧嘩を売って敗れて捕まったんですよ。まあ、相性が悪かった感じですね」
「あのホムラが……」


ヨツバ王国の六聖将の中でも1、2を誇る実力を持つホムラが魔人将に敗れた事にレナは驚きを隠せず、少なくともレナの目から見てもホムラはシズネやゴウライにも劣らぬ実力者である。自分が仮に剣鬼の力を覚醒させて戦ったとしても勝てるかどうかは分からず、そんな彼女を打ち破った魔人将に動揺を隠せない。

魔人将は七魔将の中でも最強だというのは聞かされていたが、仮にもヨツバ王国の最強の将であるホムラを倒したとなるとレナも勝てる相手かどうか分からなかった。
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