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真・最終章 七魔将編
魔人将を倒す条件
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「炎龍が復活してるって……それってやばくない?」
「やばいどころか、とんてもなくやばいですよ。ですけど、炎龍が完全に復活するまで猶予があります」
「完全復活?復活してるんじゃないの?」
「復活はしてますね、ですけど意識はまだ戻っていません」
既に炎龍の封印が解かれている事にはアイリスも気づいていた。しかし、彼女が今まで報告を行わなかったのはその炎龍の状態が関係している事を伝える。
「私がレナさんに炎龍の復活を黙っていたのは余計な心配をさせないためです。炎龍が復活しているなんて知っていたらレナさんも気が気でないでしょう?」
「まあ、そうだったかもね……」
「ですけど竜人将を倒し、そして他の七魔将と戦える戦力が整ってきた今だからこそ炎龍の復活を明かす良い機会だと思ったんです。いいですか、ここから先の話はまだ他の人には伝えては駄目ですよ。私とレナさんの秘密にしておいてください」
「……分かった」
何時になく真面目な表情で語り掛けるアイリスに対してレナは頷き、彼女が語る炎龍の状態に関しての話を聞く。アイリスは指を鳴らすと空中に画面が表示され、現時点の炎龍が封印されている鉱山の全体図を映し出す。
「これが炎龍が封印されている鉱山です。炎龍はこの鉱山の下側の部分に埋まっている事になりますが、今は休眠状態で動けません」
「休眠?」
「封印は解かれたといっても現在の炎龍は弱り切っています。人間で例えるなら植物状態に近いですね、長い間封印されていた影響で意識が完全に覚醒するまでしばらく時間は掛かりますし、栄養も必要です」
「栄養って……」
「炎龍の力の源、つまりは火属性の魔力の事です。炎龍が完全な状態で復活するには大量の火属性の魔力が必要になります」
現在の炎龍は封印が解かれたといっても意識はまだ完全には覚醒しておらず、炎龍の復活するには時間の他に膨大な火属性の魔力が必要不可欠である事が判明する。但し、目を覚まさせるだけならば方法はある事も告げた。
「炎龍を目覚めさせる事自体はできます。完全な状態で復活はできなくなりますが、それでも無理やりに目を覚まさせる方法を魔人将は知っています」
「という事は……もしも魔人将を倒すために俺達が出向いたら、そいつは炎龍を無理やり目覚めさせて戦わせる事ができるわけか」
「そういう事です。だから魔人将を倒すのは一番最後にしておいた方がいいでしょう」
魔人将は炎龍の封印を解いただけではなく、現在は完全な状態で復活させるために準備を行っている。しかし、もしもレナ達が出向いた時は彼は強制的に炎龍を目覚めさせる手段を持っていた。
炎龍の完全復活のために魔人将は動いてはいるが、もしも自分が窮地に陥れば炎龍を不完全な状態でも復活させて戦わせる事ができる。不完全な状態であろうと炎龍は竜種の中では最強と謳われる白竜や白銀龍と堂々の力を誇ると言われており、生半可な戦力では太刀打ちできない。
「魔人将を倒す場合は厄介な他の七魔将を先に倒す事、そして炎龍を確実に倒せる戦力を集結させる必要があります。それまでの間は放置しておきましょう」
「……こっそり、魔人将の所に忍び込んで復活させる前に倒せたりしないの?」
「それは止めておいた方がいいですね。魔人将は他の将よりも慎重な性格で侵入者対策も施しています。それに魔人将自体も七魔将の中では最強ですから簡単に勝てる相手ではありません。仮に魔人将を倒したとしても既に炎龍の封印は解かれています、いずれ目を覚ます事は確定していますから戦う事は避けられません」
「なるほど……ちなみに今の俺達に炎龍を倒せると思う?」
「難しい、ですね」
アイリスの見立てでは現在の王都の戦力では炎龍を倒す事は非常に難しいらしく、そもそも炎龍と戦える戦力自体が限られていた。炎龍は間違いなく地上では最強の竜種であり、今までにレナが戦ってきた火竜や地竜とは比べ物にならない。
「炎龍を倒すのに必要な戦力は聖剣の使い手です。それもただの聖剣の使い手ではありません、それぞれの聖剣に適性がある人間を探し出さないといけません」
「適性がある人間?それはもしかして……聖痕の所有者の事?」
「その通りです。レナさんも知っての通り、聖痕を持つ人間は聖剣の力を最大限に引き出す事ができます」
説明を聞いたレナの脳裏に映し出されたのは「レミア」であり、彼女は聖属性の力を宿す「聖剣エクスカリバー」を使いこなす事ができる。かつてレナはエクスカリバーを使用した事はあったが、彼女のように聖剣の力を最大限に引き出す事はできない。
聖剣エクスカリバーは元々は攻撃には特化していないはずだが、聖属性の聖痕の所有者であるレミアが手にすると凄まじい威力の攻撃を生み出せる。先日にレナが聖剣カラドボルグを作り出した際は雷属性の聖痕を所有するハルナが触れた瞬間、凄まじい威力の雷撃を生み出せた事から考えても聖剣の力を完全に引き出せるのは聖痕の所有者だけである。
「やばいどころか、とんてもなくやばいですよ。ですけど、炎龍が完全に復活するまで猶予があります」
「完全復活?復活してるんじゃないの?」
「復活はしてますね、ですけど意識はまだ戻っていません」
既に炎龍の封印が解かれている事にはアイリスも気づいていた。しかし、彼女が今まで報告を行わなかったのはその炎龍の状態が関係している事を伝える。
「私がレナさんに炎龍の復活を黙っていたのは余計な心配をさせないためです。炎龍が復活しているなんて知っていたらレナさんも気が気でないでしょう?」
「まあ、そうだったかもね……」
「ですけど竜人将を倒し、そして他の七魔将と戦える戦力が整ってきた今だからこそ炎龍の復活を明かす良い機会だと思ったんです。いいですか、ここから先の話はまだ他の人には伝えては駄目ですよ。私とレナさんの秘密にしておいてください」
「……分かった」
何時になく真面目な表情で語り掛けるアイリスに対してレナは頷き、彼女が語る炎龍の状態に関しての話を聞く。アイリスは指を鳴らすと空中に画面が表示され、現時点の炎龍が封印されている鉱山の全体図を映し出す。
「これが炎龍が封印されている鉱山です。炎龍はこの鉱山の下側の部分に埋まっている事になりますが、今は休眠状態で動けません」
「休眠?」
「封印は解かれたといっても現在の炎龍は弱り切っています。人間で例えるなら植物状態に近いですね、長い間封印されていた影響で意識が完全に覚醒するまでしばらく時間は掛かりますし、栄養も必要です」
「栄養って……」
「炎龍の力の源、つまりは火属性の魔力の事です。炎龍が完全な状態で復活するには大量の火属性の魔力が必要になります」
現在の炎龍は封印が解かれたといっても意識はまだ完全には覚醒しておらず、炎龍の復活するには時間の他に膨大な火属性の魔力が必要不可欠である事が判明する。但し、目を覚まさせるだけならば方法はある事も告げた。
「炎龍を目覚めさせる事自体はできます。完全な状態で復活はできなくなりますが、それでも無理やりに目を覚まさせる方法を魔人将は知っています」
「という事は……もしも魔人将を倒すために俺達が出向いたら、そいつは炎龍を無理やり目覚めさせて戦わせる事ができるわけか」
「そういう事です。だから魔人将を倒すのは一番最後にしておいた方がいいでしょう」
魔人将は炎龍の封印を解いただけではなく、現在は完全な状態で復活させるために準備を行っている。しかし、もしもレナ達が出向いた時は彼は強制的に炎龍を目覚めさせる手段を持っていた。
炎龍の完全復活のために魔人将は動いてはいるが、もしも自分が窮地に陥れば炎龍を不完全な状態でも復活させて戦わせる事ができる。不完全な状態であろうと炎龍は竜種の中では最強と謳われる白竜や白銀龍と堂々の力を誇ると言われており、生半可な戦力では太刀打ちできない。
「魔人将を倒す場合は厄介な他の七魔将を先に倒す事、そして炎龍を確実に倒せる戦力を集結させる必要があります。それまでの間は放置しておきましょう」
「……こっそり、魔人将の所に忍び込んで復活させる前に倒せたりしないの?」
「それは止めておいた方がいいですね。魔人将は他の将よりも慎重な性格で侵入者対策も施しています。それに魔人将自体も七魔将の中では最強ですから簡単に勝てる相手ではありません。仮に魔人将を倒したとしても既に炎龍の封印は解かれています、いずれ目を覚ます事は確定していますから戦う事は避けられません」
「なるほど……ちなみに今の俺達に炎龍を倒せると思う?」
「難しい、ですね」
アイリスの見立てでは現在の王都の戦力では炎龍を倒す事は非常に難しいらしく、そもそも炎龍と戦える戦力自体が限られていた。炎龍は間違いなく地上では最強の竜種であり、今までにレナが戦ってきた火竜や地竜とは比べ物にならない。
「炎龍を倒すのに必要な戦力は聖剣の使い手です。それもただの聖剣の使い手ではありません、それぞれの聖剣に適性がある人間を探し出さないといけません」
「適性がある人間?それはもしかして……聖痕の所有者の事?」
「その通りです。レナさんも知っての通り、聖痕を持つ人間は聖剣の力を最大限に引き出す事ができます」
説明を聞いたレナの脳裏に映し出されたのは「レミア」であり、彼女は聖属性の力を宿す「聖剣エクスカリバー」を使いこなす事ができる。かつてレナはエクスカリバーを使用した事はあったが、彼女のように聖剣の力を最大限に引き出す事はできない。
聖剣エクスカリバーは元々は攻撃には特化していないはずだが、聖属性の聖痕の所有者であるレミアが手にすると凄まじい威力の攻撃を生み出せる。先日にレナが聖剣カラドボルグを作り出した際は雷属性の聖痕を所有するハルナが触れた瞬間、凄まじい威力の雷撃を生み出せた事から考えても聖剣の力を完全に引き出せるのは聖痕の所有者だけである。
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