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7巻
7-3
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2
――死霊石が完全に砕け散り、黒騎士は憎悪が消失したかのように安らかな表情を浮かべた。
やがて顔や身体を構成していた魔力が消え去り、骸骨と砕け散った死霊石だけが残される。そして役目を終えたとばかりにどちらも灰と化して地面に散らばった。
地面に落ちた退魔刀と反鏡剣をレイトが拾い上げようとしたとき、灰の山から光り輝く指輪を見つけた。
「これは……?」
『しょ、勝利です!! 黒銀の剣士、ルナ選手の勝利ぃいいいいっ!!』
『うおおおおおおおおおおおおおっ!!』
レイトが指輪を手に取った瞬間、ラビィの実況が響きわたり、観客達の歓声が闘技場を満たす。
それを聞いたレイトはこれが試合であったことを思い出し、武器を鞘に戻すと拾い上げた指輪を観察する。
「これは……この人の指輪なのかな」
リッチに変化しながらも彼女が所持していた指輪を調べてみると、彼女の名前と思われる日本語が刻まれていた。
こちらの世界には存在しない文字だが、翻訳スキルの持ち主ならば読み取れる可能性もある。だが、レイトは日本語を覚えているので翻訳スキルを使うまでもなく彼女の名前を読むことができた。
「玲菜、か。俺と名前が少し似てるな」
指輪に特別な効果が付与されている様子はなく、持ち主も灰と化したことで墓を作ることもできない。レイトは少し考えたあと、ひとまずは彼女の指輪を自分が預かり、もしも彼女の関係者を見つけたらその人に渡すことを決めた。
『ル~ナ!! ル~ナ!! ル~ナ!!』
『なんという大歓声でしょう!! まるで闘技祭の本戦が始まっていないのに優勝者が決まったかのような歓声です!! 私も皆さんにならって……ルゥウウウウナ!!』
「うるさっ!!」
観客の誰もがルナ(レイト)の勝利を祝うように歓声を上げている。
剣鬼の剣技「鬼刃」を二回も発動したことでレイトの肉体は限界に近かった。倒れそうになるのをこらえてどうにか歩いて西門に向かう。
その間も「ルナ」の声援コールはやまず、やっと静かになったのはレイトが試合場から完全に去った頃だった。
西門の扉が完全に閉じられたあと、レイトは通路の壁に背中を預けてアイリスと交信を行う。
『ふうっ……疲れた』
『お疲れ様でした』
アイリスは即座に交信に反応し、レイトに労いの言葉をかける。
レイトがこれほどまでに追い詰められたのは初めてである。腐敗竜との戦闘よりも命の危機を感じたほどだった。
『強かった……本当に殺されるかと思った』
『まさか相手が白騎士だったとは……予想外でしたね』
『白騎士?』
『古の時代に召喚された勇者の一人ですよ。バルトロス帝国の時代では大きな功績を上げたんですが、最終的には帝国に殺された哀れな人です』
『そうなのか……』
アイリスから自分が戦った相手の情報を聞き、とんでもない人物と対戦したことを思い知ったレイト。その一方で彼はどうして自分が生き残ったのかと疑問を抱いてアイリスに尋ねる。
『どうして俺は勝てたんだろう。アイリスは分かる?』
『もしかしたら、レイトさんの剣鬼としての力が完全に覚醒したからかもしれませんね』
『覚醒って……ああ、そう言えば両目の色が変わっちゃったよ』
試合の最中、レイトの両目は完全に赤く変色してしまった。アイリスによると、これはレイトが完全に剣鬼の力に目覚めたのが原因らしい。
『死に追い込まれたことで、おそらくレイトさんの力が強制的に引き出されたんです。何か戦闘中に気付いたことはありませんか?』
『そういえば……なんか、急に周りがスローモーションみたいになった。それなのに俺は割と普通に動けたり、魔法を使えたりしたけど……前にも何度か似たようなことがあった気がする』
『スローモーションのように感じたのは、きっとレイトさんの意識が加速したからでしょうね。戦闘系の職業の人間は、極稀にそういう風に意識を加速させることがあります。特に「剣鬼」や「剣聖」の称号を持つ者はその傾向が強いです。ただ、意識が加速しただけなら自分の身体も遅く感じるはずなんですけど……普通に動けたんですか?』
『動けたよ』
黒騎士に吹き飛ばされた際、レイトは空中に浮かんだ状態で「回復超強化」の魔法を使用して負傷を完治させ、しかも受け身を取って体勢を整えている。意識に肉体の感覚が追いついていなければどちらも不可能な芸当だ。
『ふむ……それなら剣鬼の能力、というよりはレイトさんが独自の能力を発揮したと考えるべきでしょう。意識を加速させるだけではなく、運動能力も上昇させた? いえ、その場合だと肉体への負荷が……ああ、私でも分からないことがあるなんて、もどかしいですね!!』
『ついに俺も、隠された能力に目覚めたのか……おら、わっくわくするぞ』
『その台詞は色々と危ないですね。でも実際のところ、レイトさんには本当に秘められた力があるかもしれませんね』
アイリスとの交信を終え、レイトは足元をふらつかせながらも控室に向かった――
「――いや~ほんまに凄い試合やったで!! 感動したで本当に!!」
控室に戻ると、レイトに闘技祭へ出るよう依頼した商人のフェリスや、仲間達が待っていた。
「お見事でした」
「あ、どうも……いててて」
フェリスの護衛であるアリスの言葉に頷いて応えると、レイトの肉体に鋭い痛みが走る。
「ちょ、大丈夫かよレイト!?」
「無理をせずに横になれ」
「スラミンを枕にするといい」
『ぷるんっ』
すると、冒険者仲間のダインとゴンゾウがレイトを抱き上げてベンチまで運んだ。そして人魚族のコトミンがスライムのスラミンをレイトに差し出す。
レイトはありがたくスラミンの上に頭を載せ、ベンチに寝転がった。
レイトが横たわったあと、コトミンは桶の水に触れて回復魔法を施す。
「動かないで……はんどぱわぁっ」
「ああっ……そこいいわ~」
「こちらもお飲みください」
アリスが回復薬と思われる薬瓶をレイトに渡した。
ありがたく受け取って飲んでいると、彼の前にフェリスが小袋を置く。
「ほら!! これが今日のレイトさんの儲け分やで!!」
「おおっ……賭け始めたのは金貨一枚だったのに、もうこんなに増えたのか」
依頼を受けて闘技場で試合するにあたり、レイトはフェリスに所持金を自分の勝利に賭け続けていってほしいとお願いしていた。
多少のオッズの差はあれど、闘技場では基本的に勝ったほうへ賭けていれば倍額の配当を受け取れる。レイトはこれまで全ての試合で勝利を収めており、所持金も倍々ゲーム方式で増えていった。
こうしてレイトは今や三十二枚もの金貨を手に入れたのだった。これは日本円に換算するとおよそ三百二十万円となり、十分な額を稼げたと言える。
金貨の枚数を確認していたレイトにゴンゾウが話しかける。
「でも、本当に最後の方は凄かったよな……よく勝てたな」
「本当にぎりぎりだったよ……」
「だが、これで相手の魂も救われただろう。あのリッチは最後に何か言っていたか?」
「……まあね」
レイトは頷きながら最後に言葉を交わした「レイナ」のことを思い出した。
彼女は安らかな死に顔を浮かべていた。自分の手で相手の命を絶ったものの、彼女はそれで救われたように見えた。
レイトは過去に育ての親とも言えるアリアという人物をその手で殺めたことがある。
アリアも最期はレイナと同じ気持ちだったのか、とレイトが考えていると、唐突に控室の外側から激しい足音が響き渡った。
『お、お待ちください!! いくらあなたが剣聖と言えども、この通路は関係者以外は立ち入り禁止で……!!』
『ええい!! 放さんかっ!! 吾輩はあの小僧に話があるのだ!!』
『うわぁっ!?』
「な、なんや?」
外が騒がしいことに気付いたフェリスが訝しみながら扉に近付く。
だが、彼女がドアを開ける前に向こうのほうから思いっきり押し開けられた。あまりの勢いに扉の枠が外れてしまったほどである。
「おおっ!! ここにいたか!! 探していたぞっ!!」
「あっ……あのときの……」
部屋の中に無断で入ってきた男にレイトは見覚えがあった。
男の顔を見てダインとゴンゾウが驚きの声を上げる。
「は、破壊剣聖!?」
「なんだと!?」
やってきたのは冒険者ギルド「氷雨」最強の剣士であるゴウライだった。
彼はベンチに横たわるレイトの元に近付き、腕を組んで豪快に笑う。
「ふはははははっ!! 見事な試合だったぞ!! あれほどまでの死闘、滅多に見られるものではないな!! 今日は本当に楽しめたぞっ!!」
「は、はあ……どうも」
「うむ!! それだけを言いたかった!! 今はゆっくりと身体を休めろ!! そして闘技祭の本戦ではぜひ剣を交えたいものだな!! では、さらばだ!!」
「「「えっ!?」」」
言いたいことは全て言ったとばかりに、ゴウライは高らかに笑いながら退室していった。あまりの唐突さに、その場にいた全員が唖然とした表情で彼を見送る。
やがて我を取り戻したフェリスが破壊された扉を見て呆れたように言う。
「この扉……誰が弁償するんや。本当に何しに来たんやあいつ?」
「破壊したのはあの方ですが……おそらく、部屋を借りている我々が弁償することになるでしょう」
「……あとで氷雨のギルドに文句を言わんと気が済まんな」
アリスの言葉に、フェリスは苦々しい顔をした。
「闘技祭……か」
一方、レイトはゴウライから言われた言葉を思い出し、ポツリとそう呟いた。
自分はまだ、闘技祭の本戦の出場資格を手に入れただけに過ぎない。先ほどのリッチは間違いなく強敵だったが、本戦ではあれ以上の強敵と戦う可能性もあるのだ。
その強敵達の筆頭はあのゴウライという男に間違いない。氷雨最強の剣士である彼は確実に優勝候補の一角に数えられているはずだった。
「レイト……あの男、強いぞ」
「うん……見ただけで背筋が凍ったよ」
冷や汗を流しながらそう言ったゴンゾウにレイトは静かに頷いた。
以前にゴウライの姿を見たときもただ者ではないとは思っていたが、現在のレイトは「剣鬼」として目覚めた影響なのか、より感覚が鋭くなっている。そのためにゴウライの力を鋭敏に感じ取ることができた。
「破壊剣聖か……戦いたくはないな」
そう呟いたあと、レイトはふとダインの様子がおかしいことに気付いた。彼は何かを考えているような表情で、ゴウライが立ち去った通路を見つめている。
「…………」
「どうしたのダイン?」
「あ、いや……なんでもない」
レイトが問い質すと、ダインは慌てて首を振った。そんな彼の反応にレイトは首を傾げるが、これ以上突っ込んでも教えてくれそうにないと判断する。
結局、今日はひとまずのところ解散することになった――
◆ ◆ ◆
――控室をあとにしたゴウライは現在、闘技会の兵士の制止を振り切り、通路を進んでいた。
ゴウライは先ほどのレイトの試合――特に、レイトの最後の攻撃を見た瞬間のことを何度も思い返す度に歓喜に震えた。
「あの男……奴と同じか」
「奴」――過去に唯一自分を追い詰めた相手のことを思い出し、ゴウライは笑い声を抑え切れずにいた。
氷雨のギルドの冒険者として様々な魔物や賊を討伐していたゴウライ。すると、いつの間にか「破壊剣聖」などと呼ばれるようになってしまった。それは「無秩序に破壊し続ける者」という意味で、どちらかといえば不名誉な由来なのだが、ゴウライ本人は特に気にしていない。
そんなゴウライがまだ駆け出しの冒険者だった頃、彼の前に「剣鬼」の力を持つ吸血鬼が現れた。彼はその吸血鬼と死闘を繰り広げたものの、結局は逃げられてしまったので決着は付けられなかった。
その吸血鬼が見せた剣鬼の能力の片鱗をレイトから感じ取ったことで、ゴウライは非常に上機嫌だった。
ゴウライが意気揚々と歩いていると、何者かに声をかけられた。
「待ちなさい」
「むっ……おおっ!! シズネではないか!!」
ゴウライを呼び止めたのはシズネという少女だった。
ゴウライはシズネを見て嬉しげな声を上げる。彼女もまたレイトと同様、ゴウライの「宿敵」と成り得る存在なのだ。
ゴウライがシズネに近付こうとすると、彼女は腰に差していた青い刀身の長剣を引き抜く。
「『疾風剣』」
「む?」
次の瞬間、ゴウライの頭部、首、胸元に刃の衝撃が走った。
だが、シズネは眉を顰める。彼女の持つ長剣は鋼鉄どころかミスリルくらいならば容易く斬り裂くことができる「オリハルコン」でできている。しかし、それだというのに彼女の刃はゴウライの全身を覆う鎧に傷一つ付けられなかったのだ。
ゴウライは斬り付けられた部分に手を触れ、感心したような声を上げる。
「ほう……凄まじい剣速だ。また一段と腕を上げたな」
「よく言うわね……避けるまでもないのでしょう」
「ふははははっ!! 吾輩が避けるような真似はせん!!」
堂々と殺意を向けてくるシズネに対してゴウライは笑い声を上げ、特に気にした様子もなく仁王立ちで彼女と向かい合った。ゴウライは武器を引き抜こうともせず、彼女が次に何をするのかと嬉しそうに待ち構える。
「相変わらず余裕な態度ね……それが前々から気に入らなかったわ」
「そうか、それはすまんな」
「そうやって簡単に謝ればいいと思っているところもよ!!」
シズネは長剣を構え、その刀身から冷気を放った。
彼女が構えている武器の名前は「雪月花」。遥か昔に「聖剣」に対抗するために作り出された「七大魔剣」と呼ばれる最強の魔剣の一つである。
シズネはゴウライの胸元を狙い、冷気が迸る刃で斬撃を浴びせた。
斬り付けた箇所に雪のような魔力が残滓として付着し、たちまちその部分が凍り付いてしまう。
シズネはそれを見て勝利を確信した笑みを浮かべ、ゴウライの頭部に向けて刃を突き出す。
「はああっ!!」
「おっと」
「なっ!?」
ゴウライは刀身を左手で軽々と受け止めてしまった。
シズネはまさか今の一撃が止められるとは思わずに目を見開く。
ゴウライは自分の腕が凍り付くのも構わずに刀身に目を向け、落胆したような声を上げながら手放した。
「残念だが、その魔剣では吾輩は仕留められんぞ。出直せ」
「このっ……どこまで馬鹿にすればっ!?」
「うむ。確かに前に会ったときよりは強くなっている。しかし、それだけでは足りん」
ゴウライは素直にシズネの成長ぶりに驚いていた。彼女に勝る人物はもう自分の知っている剣聖の中では、一人を除けばいないだろう。
しかし、それでも今のシズネではゴウライを倒せない。
「焦るなシズネよ。お前はまだ強くなれる」
「うるさい!! お前だけは……必ず私が殺す!!」
憎悪の視線を向けたシズネに対してゴウライは頭を掻いて黙り込む。
ゴウライはシズネになんと声をかければいいのか分からなかった。彼女が自分を恨むのはしょうがないとは理解している。しかし、これ以上この場で戦闘するのはまずかった。闘技会の人間に見つかりでもしたら、せっかくの闘技祭への参加資格を失う可能性もある。
結局、ゴウライは彼女へこう言葉を投げかけた。
「吾輩と戦いたければ闘技祭の決勝まで勝ち上がってこい」
「……いいわ、今日のところは退いてあげる」
シズネは悔しげな表情を浮かべながらも剣を引き、鞘に納めると通路を走り去っていった。
その後ろ姿を見送り、ゴウライは斬り付けられた胸元と剣を受け止めた腕を確認する。そして凍り付いた箇所を、乾布摩擦の要領で擦り合わせて溶かしていった。
「ぬおおおおおっ!! うむ、こんなものか!!」
こうして身体が自由になったゴウライは闘技場を立ち去ったのだった。
◆ ◆ ◆
闘技場で行われた黒銀の剣士とリッチの試合の翌日、レイトの家に一人の少女が現れた。
青髪をなびかせながらその少女――シズネは、玄関の前に立つ。
「ここね。それにしても……意外といい家に住んでいるのね。建物の形状は少し変わっているけど……」
ひとまずノックしてみたが、返事がない。
現在の時刻は昼。出かけているのかと彼女は考えたが、庭のほうが騒がしいことに気付いた。
彼女は迷わずに敷地内へ勝手に入り込む。
「あははっ……こら、そんなところに入り込むな」
「やんっ……レイト、そこは駄目……」
「ちょ、だから変なところを舐めるなってば……」
「っ……!?」
外から聞こえてくる声にシズネは絶句した。
二つの声は、男性のものと女性のもの。何かよからぬことをしているのかと想像したが、シズネが「気配感知」の技能スキルを発動すると庭には複数の気配があると分かった。
「な、何をしているのかしら……人間じゃない気配もいくつか感じるわね」
シズネは瞼を閉じると「心眼」のスキルを発動し、建物の角から庭の様子を窺う。レイトは「心眼」のスキルを発動するのに数秒の集中力を必要とするが、彼女の場合は一瞬だった。
そしてシズネは狼とスライムと人魚族の少女と戯れるレイトの姿を目撃する。
その呑気な姿にシズネは思わず溜息を吐き出した。いくら自分の家だからと言って油断しすぎなのではないか。
「本当に大丈夫かしらこの男……だけど、他に頼れる人間はいないわね」
シズネは腰に差している自分の魔剣を見やり、建物の角に移動して一瞬だけレイトに殺気を放った。レイトが殺気に気付くのかを試そうしたのだ。
だが、レイトの気配が動く様子はない。
ここで自分の存在に気付かない程度の人間ならば、協力を要請する価値などない。
シズネは溜息を吐いて踵を返そうとした。
「ふうっ……期待外れね」
「どちら様?」
「きゃあっ!?」
建物の角からいきなりレイトが顔を出し、シズネは悲鳴を上げてしまった。
レイトはスライムのヒトミンを頭に載せたまま、勝手に敷地に入り込んだ彼女を見て首を傾げる。
「どちら様でしたっけ? あ、新聞の勧誘なら断りますよ。あと、うちにはテレビがないから集金にも応じられません!!」
「あ、あなた……いつの間に?」
「ちょっと移動系のスキルには自信がありまして」
レイトはシズネが殺気を放つ前から、彼女の来訪に気付いていた。ただ、心当たりがなかったため、ペット達と戯れるふりをして様子を見ていたのだ。そしてシズネが殺気を放ってきたとき、レイトは「縮地」のスキルを発動し、不意をついて彼女の前に姿を現したのだった。
――死霊石が完全に砕け散り、黒騎士は憎悪が消失したかのように安らかな表情を浮かべた。
やがて顔や身体を構成していた魔力が消え去り、骸骨と砕け散った死霊石だけが残される。そして役目を終えたとばかりにどちらも灰と化して地面に散らばった。
地面に落ちた退魔刀と反鏡剣をレイトが拾い上げようとしたとき、灰の山から光り輝く指輪を見つけた。
「これは……?」
『しょ、勝利です!! 黒銀の剣士、ルナ選手の勝利ぃいいいいっ!!』
『うおおおおおおおおおおおおおっ!!』
レイトが指輪を手に取った瞬間、ラビィの実況が響きわたり、観客達の歓声が闘技場を満たす。
それを聞いたレイトはこれが試合であったことを思い出し、武器を鞘に戻すと拾い上げた指輪を観察する。
「これは……この人の指輪なのかな」
リッチに変化しながらも彼女が所持していた指輪を調べてみると、彼女の名前と思われる日本語が刻まれていた。
こちらの世界には存在しない文字だが、翻訳スキルの持ち主ならば読み取れる可能性もある。だが、レイトは日本語を覚えているので翻訳スキルを使うまでもなく彼女の名前を読むことができた。
「玲菜、か。俺と名前が少し似てるな」
指輪に特別な効果が付与されている様子はなく、持ち主も灰と化したことで墓を作ることもできない。レイトは少し考えたあと、ひとまずは彼女の指輪を自分が預かり、もしも彼女の関係者を見つけたらその人に渡すことを決めた。
『ル~ナ!! ル~ナ!! ル~ナ!!』
『なんという大歓声でしょう!! まるで闘技祭の本戦が始まっていないのに優勝者が決まったかのような歓声です!! 私も皆さんにならって……ルゥウウウウナ!!』
「うるさっ!!」
観客の誰もがルナ(レイト)の勝利を祝うように歓声を上げている。
剣鬼の剣技「鬼刃」を二回も発動したことでレイトの肉体は限界に近かった。倒れそうになるのをこらえてどうにか歩いて西門に向かう。
その間も「ルナ」の声援コールはやまず、やっと静かになったのはレイトが試合場から完全に去った頃だった。
西門の扉が完全に閉じられたあと、レイトは通路の壁に背中を預けてアイリスと交信を行う。
『ふうっ……疲れた』
『お疲れ様でした』
アイリスは即座に交信に反応し、レイトに労いの言葉をかける。
レイトがこれほどまでに追い詰められたのは初めてである。腐敗竜との戦闘よりも命の危機を感じたほどだった。
『強かった……本当に殺されるかと思った』
『まさか相手が白騎士だったとは……予想外でしたね』
『白騎士?』
『古の時代に召喚された勇者の一人ですよ。バルトロス帝国の時代では大きな功績を上げたんですが、最終的には帝国に殺された哀れな人です』
『そうなのか……』
アイリスから自分が戦った相手の情報を聞き、とんでもない人物と対戦したことを思い知ったレイト。その一方で彼はどうして自分が生き残ったのかと疑問を抱いてアイリスに尋ねる。
『どうして俺は勝てたんだろう。アイリスは分かる?』
『もしかしたら、レイトさんの剣鬼としての力が完全に覚醒したからかもしれませんね』
『覚醒って……ああ、そう言えば両目の色が変わっちゃったよ』
試合の最中、レイトの両目は完全に赤く変色してしまった。アイリスによると、これはレイトが完全に剣鬼の力に目覚めたのが原因らしい。
『死に追い込まれたことで、おそらくレイトさんの力が強制的に引き出されたんです。何か戦闘中に気付いたことはありませんか?』
『そういえば……なんか、急に周りがスローモーションみたいになった。それなのに俺は割と普通に動けたり、魔法を使えたりしたけど……前にも何度か似たようなことがあった気がする』
『スローモーションのように感じたのは、きっとレイトさんの意識が加速したからでしょうね。戦闘系の職業の人間は、極稀にそういう風に意識を加速させることがあります。特に「剣鬼」や「剣聖」の称号を持つ者はその傾向が強いです。ただ、意識が加速しただけなら自分の身体も遅く感じるはずなんですけど……普通に動けたんですか?』
『動けたよ』
黒騎士に吹き飛ばされた際、レイトは空中に浮かんだ状態で「回復超強化」の魔法を使用して負傷を完治させ、しかも受け身を取って体勢を整えている。意識に肉体の感覚が追いついていなければどちらも不可能な芸当だ。
『ふむ……それなら剣鬼の能力、というよりはレイトさんが独自の能力を発揮したと考えるべきでしょう。意識を加速させるだけではなく、運動能力も上昇させた? いえ、その場合だと肉体への負荷が……ああ、私でも分からないことがあるなんて、もどかしいですね!!』
『ついに俺も、隠された能力に目覚めたのか……おら、わっくわくするぞ』
『その台詞は色々と危ないですね。でも実際のところ、レイトさんには本当に秘められた力があるかもしれませんね』
アイリスとの交信を終え、レイトは足元をふらつかせながらも控室に向かった――
「――いや~ほんまに凄い試合やったで!! 感動したで本当に!!」
控室に戻ると、レイトに闘技祭へ出るよう依頼した商人のフェリスや、仲間達が待っていた。
「お見事でした」
「あ、どうも……いててて」
フェリスの護衛であるアリスの言葉に頷いて応えると、レイトの肉体に鋭い痛みが走る。
「ちょ、大丈夫かよレイト!?」
「無理をせずに横になれ」
「スラミンを枕にするといい」
『ぷるんっ』
すると、冒険者仲間のダインとゴンゾウがレイトを抱き上げてベンチまで運んだ。そして人魚族のコトミンがスライムのスラミンをレイトに差し出す。
レイトはありがたくスラミンの上に頭を載せ、ベンチに寝転がった。
レイトが横たわったあと、コトミンは桶の水に触れて回復魔法を施す。
「動かないで……はんどぱわぁっ」
「ああっ……そこいいわ~」
「こちらもお飲みください」
アリスが回復薬と思われる薬瓶をレイトに渡した。
ありがたく受け取って飲んでいると、彼の前にフェリスが小袋を置く。
「ほら!! これが今日のレイトさんの儲け分やで!!」
「おおっ……賭け始めたのは金貨一枚だったのに、もうこんなに増えたのか」
依頼を受けて闘技場で試合するにあたり、レイトはフェリスに所持金を自分の勝利に賭け続けていってほしいとお願いしていた。
多少のオッズの差はあれど、闘技場では基本的に勝ったほうへ賭けていれば倍額の配当を受け取れる。レイトはこれまで全ての試合で勝利を収めており、所持金も倍々ゲーム方式で増えていった。
こうしてレイトは今や三十二枚もの金貨を手に入れたのだった。これは日本円に換算するとおよそ三百二十万円となり、十分な額を稼げたと言える。
金貨の枚数を確認していたレイトにゴンゾウが話しかける。
「でも、本当に最後の方は凄かったよな……よく勝てたな」
「本当にぎりぎりだったよ……」
「だが、これで相手の魂も救われただろう。あのリッチは最後に何か言っていたか?」
「……まあね」
レイトは頷きながら最後に言葉を交わした「レイナ」のことを思い出した。
彼女は安らかな死に顔を浮かべていた。自分の手で相手の命を絶ったものの、彼女はそれで救われたように見えた。
レイトは過去に育ての親とも言えるアリアという人物をその手で殺めたことがある。
アリアも最期はレイナと同じ気持ちだったのか、とレイトが考えていると、唐突に控室の外側から激しい足音が響き渡った。
『お、お待ちください!! いくらあなたが剣聖と言えども、この通路は関係者以外は立ち入り禁止で……!!』
『ええい!! 放さんかっ!! 吾輩はあの小僧に話があるのだ!!』
『うわぁっ!?』
「な、なんや?」
外が騒がしいことに気付いたフェリスが訝しみながら扉に近付く。
だが、彼女がドアを開ける前に向こうのほうから思いっきり押し開けられた。あまりの勢いに扉の枠が外れてしまったほどである。
「おおっ!! ここにいたか!! 探していたぞっ!!」
「あっ……あのときの……」
部屋の中に無断で入ってきた男にレイトは見覚えがあった。
男の顔を見てダインとゴンゾウが驚きの声を上げる。
「は、破壊剣聖!?」
「なんだと!?」
やってきたのは冒険者ギルド「氷雨」最強の剣士であるゴウライだった。
彼はベンチに横たわるレイトの元に近付き、腕を組んで豪快に笑う。
「ふはははははっ!! 見事な試合だったぞ!! あれほどまでの死闘、滅多に見られるものではないな!! 今日は本当に楽しめたぞっ!!」
「は、はあ……どうも」
「うむ!! それだけを言いたかった!! 今はゆっくりと身体を休めろ!! そして闘技祭の本戦ではぜひ剣を交えたいものだな!! では、さらばだ!!」
「「「えっ!?」」」
言いたいことは全て言ったとばかりに、ゴウライは高らかに笑いながら退室していった。あまりの唐突さに、その場にいた全員が唖然とした表情で彼を見送る。
やがて我を取り戻したフェリスが破壊された扉を見て呆れたように言う。
「この扉……誰が弁償するんや。本当に何しに来たんやあいつ?」
「破壊したのはあの方ですが……おそらく、部屋を借りている我々が弁償することになるでしょう」
「……あとで氷雨のギルドに文句を言わんと気が済まんな」
アリスの言葉に、フェリスは苦々しい顔をした。
「闘技祭……か」
一方、レイトはゴウライから言われた言葉を思い出し、ポツリとそう呟いた。
自分はまだ、闘技祭の本戦の出場資格を手に入れただけに過ぎない。先ほどのリッチは間違いなく強敵だったが、本戦ではあれ以上の強敵と戦う可能性もあるのだ。
その強敵達の筆頭はあのゴウライという男に間違いない。氷雨最強の剣士である彼は確実に優勝候補の一角に数えられているはずだった。
「レイト……あの男、強いぞ」
「うん……見ただけで背筋が凍ったよ」
冷や汗を流しながらそう言ったゴンゾウにレイトは静かに頷いた。
以前にゴウライの姿を見たときもただ者ではないとは思っていたが、現在のレイトは「剣鬼」として目覚めた影響なのか、より感覚が鋭くなっている。そのためにゴウライの力を鋭敏に感じ取ることができた。
「破壊剣聖か……戦いたくはないな」
そう呟いたあと、レイトはふとダインの様子がおかしいことに気付いた。彼は何かを考えているような表情で、ゴウライが立ち去った通路を見つめている。
「…………」
「どうしたのダイン?」
「あ、いや……なんでもない」
レイトが問い質すと、ダインは慌てて首を振った。そんな彼の反応にレイトは首を傾げるが、これ以上突っ込んでも教えてくれそうにないと判断する。
結局、今日はひとまずのところ解散することになった――
◆ ◆ ◆
――控室をあとにしたゴウライは現在、闘技会の兵士の制止を振り切り、通路を進んでいた。
ゴウライは先ほどのレイトの試合――特に、レイトの最後の攻撃を見た瞬間のことを何度も思い返す度に歓喜に震えた。
「あの男……奴と同じか」
「奴」――過去に唯一自分を追い詰めた相手のことを思い出し、ゴウライは笑い声を抑え切れずにいた。
氷雨のギルドの冒険者として様々な魔物や賊を討伐していたゴウライ。すると、いつの間にか「破壊剣聖」などと呼ばれるようになってしまった。それは「無秩序に破壊し続ける者」という意味で、どちらかといえば不名誉な由来なのだが、ゴウライ本人は特に気にしていない。
そんなゴウライがまだ駆け出しの冒険者だった頃、彼の前に「剣鬼」の力を持つ吸血鬼が現れた。彼はその吸血鬼と死闘を繰り広げたものの、結局は逃げられてしまったので決着は付けられなかった。
その吸血鬼が見せた剣鬼の能力の片鱗をレイトから感じ取ったことで、ゴウライは非常に上機嫌だった。
ゴウライが意気揚々と歩いていると、何者かに声をかけられた。
「待ちなさい」
「むっ……おおっ!! シズネではないか!!」
ゴウライを呼び止めたのはシズネという少女だった。
ゴウライはシズネを見て嬉しげな声を上げる。彼女もまたレイトと同様、ゴウライの「宿敵」と成り得る存在なのだ。
ゴウライがシズネに近付こうとすると、彼女は腰に差していた青い刀身の長剣を引き抜く。
「『疾風剣』」
「む?」
次の瞬間、ゴウライの頭部、首、胸元に刃の衝撃が走った。
だが、シズネは眉を顰める。彼女の持つ長剣は鋼鉄どころかミスリルくらいならば容易く斬り裂くことができる「オリハルコン」でできている。しかし、それだというのに彼女の刃はゴウライの全身を覆う鎧に傷一つ付けられなかったのだ。
ゴウライは斬り付けられた部分に手を触れ、感心したような声を上げる。
「ほう……凄まじい剣速だ。また一段と腕を上げたな」
「よく言うわね……避けるまでもないのでしょう」
「ふははははっ!! 吾輩が避けるような真似はせん!!」
堂々と殺意を向けてくるシズネに対してゴウライは笑い声を上げ、特に気にした様子もなく仁王立ちで彼女と向かい合った。ゴウライは武器を引き抜こうともせず、彼女が次に何をするのかと嬉しそうに待ち構える。
「相変わらず余裕な態度ね……それが前々から気に入らなかったわ」
「そうか、それはすまんな」
「そうやって簡単に謝ればいいと思っているところもよ!!」
シズネは長剣を構え、その刀身から冷気を放った。
彼女が構えている武器の名前は「雪月花」。遥か昔に「聖剣」に対抗するために作り出された「七大魔剣」と呼ばれる最強の魔剣の一つである。
シズネはゴウライの胸元を狙い、冷気が迸る刃で斬撃を浴びせた。
斬り付けた箇所に雪のような魔力が残滓として付着し、たちまちその部分が凍り付いてしまう。
シズネはそれを見て勝利を確信した笑みを浮かべ、ゴウライの頭部に向けて刃を突き出す。
「はああっ!!」
「おっと」
「なっ!?」
ゴウライは刀身を左手で軽々と受け止めてしまった。
シズネはまさか今の一撃が止められるとは思わずに目を見開く。
ゴウライは自分の腕が凍り付くのも構わずに刀身に目を向け、落胆したような声を上げながら手放した。
「残念だが、その魔剣では吾輩は仕留められんぞ。出直せ」
「このっ……どこまで馬鹿にすればっ!?」
「うむ。確かに前に会ったときよりは強くなっている。しかし、それだけでは足りん」
ゴウライは素直にシズネの成長ぶりに驚いていた。彼女に勝る人物はもう自分の知っている剣聖の中では、一人を除けばいないだろう。
しかし、それでも今のシズネではゴウライを倒せない。
「焦るなシズネよ。お前はまだ強くなれる」
「うるさい!! お前だけは……必ず私が殺す!!」
憎悪の視線を向けたシズネに対してゴウライは頭を掻いて黙り込む。
ゴウライはシズネになんと声をかければいいのか分からなかった。彼女が自分を恨むのはしょうがないとは理解している。しかし、これ以上この場で戦闘するのはまずかった。闘技会の人間に見つかりでもしたら、せっかくの闘技祭への参加資格を失う可能性もある。
結局、ゴウライは彼女へこう言葉を投げかけた。
「吾輩と戦いたければ闘技祭の決勝まで勝ち上がってこい」
「……いいわ、今日のところは退いてあげる」
シズネは悔しげな表情を浮かべながらも剣を引き、鞘に納めると通路を走り去っていった。
その後ろ姿を見送り、ゴウライは斬り付けられた胸元と剣を受け止めた腕を確認する。そして凍り付いた箇所を、乾布摩擦の要領で擦り合わせて溶かしていった。
「ぬおおおおおっ!! うむ、こんなものか!!」
こうして身体が自由になったゴウライは闘技場を立ち去ったのだった。
◆ ◆ ◆
闘技場で行われた黒銀の剣士とリッチの試合の翌日、レイトの家に一人の少女が現れた。
青髪をなびかせながらその少女――シズネは、玄関の前に立つ。
「ここね。それにしても……意外といい家に住んでいるのね。建物の形状は少し変わっているけど……」
ひとまずノックしてみたが、返事がない。
現在の時刻は昼。出かけているのかと彼女は考えたが、庭のほうが騒がしいことに気付いた。
彼女は迷わずに敷地内へ勝手に入り込む。
「あははっ……こら、そんなところに入り込むな」
「やんっ……レイト、そこは駄目……」
「ちょ、だから変なところを舐めるなってば……」
「っ……!?」
外から聞こえてくる声にシズネは絶句した。
二つの声は、男性のものと女性のもの。何かよからぬことをしているのかと想像したが、シズネが「気配感知」の技能スキルを発動すると庭には複数の気配があると分かった。
「な、何をしているのかしら……人間じゃない気配もいくつか感じるわね」
シズネは瞼を閉じると「心眼」のスキルを発動し、建物の角から庭の様子を窺う。レイトは「心眼」のスキルを発動するのに数秒の集中力を必要とするが、彼女の場合は一瞬だった。
そしてシズネは狼とスライムと人魚族の少女と戯れるレイトの姿を目撃する。
その呑気な姿にシズネは思わず溜息を吐き出した。いくら自分の家だからと言って油断しすぎなのではないか。
「本当に大丈夫かしらこの男……だけど、他に頼れる人間はいないわね」
シズネは腰に差している自分の魔剣を見やり、建物の角に移動して一瞬だけレイトに殺気を放った。レイトが殺気に気付くのかを試そうしたのだ。
だが、レイトの気配が動く様子はない。
ここで自分の存在に気付かない程度の人間ならば、協力を要請する価値などない。
シズネは溜息を吐いて踵を返そうとした。
「ふうっ……期待外れね」
「どちら様?」
「きゃあっ!?」
建物の角からいきなりレイトが顔を出し、シズネは悲鳴を上げてしまった。
レイトはスライムのヒトミンを頭に載せたまま、勝手に敷地に入り込んだ彼女を見て首を傾げる。
「どちら様でしたっけ? あ、新聞の勧誘なら断りますよ。あと、うちにはテレビがないから集金にも応じられません!!」
「あ、あなた……いつの間に?」
「ちょっと移動系のスキルには自信がありまして」
レイトはシズネが殺気を放つ前から、彼女の来訪に気付いていた。ただ、心当たりがなかったため、ペット達と戯れるふりをして様子を見ていたのだ。そしてシズネが殺気を放ってきたとき、レイトは「縮地」のスキルを発動し、不意をついて彼女の前に姿を現したのだった。
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