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真・最終章 七魔将編
獣化
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「まだだ……がぁあああっ!!」
「っ!?」
ロウガは唐突に叫び声をあげると、彼の身体中の血管が浮き上がる。その光景を見たレナは驚きを隠せず、まるでゴンゾウの「鬼人化」と酷似していた。鬼人化は所謂「火事場の馬鹿力」を強制的に引き出す能力で巨人族の中でも一部の者にしか扱えない。
獣人族でありながらロウガは鬼人化が扱えるのかとレナは警戒するが、鬼人化と違う点はロウガの場合は皮膚の色までは変化はしない。しかし、全身の体毛が急激に伸びて表情の方もより獰猛になっていく。
「ぐぅううっ……がああっ!!」
「うわっ!?」
容姿が急激に変貌したロウガはレナに目掛けて突っ込み、その移動速度は先ほどよりも速くてレナは彼の攻撃を避け切れずに反鏡剣で受ける。そこから先はロウガが一方的に攻撃を仕掛け、その攻撃をレナは受け続ける結果となる。
「があっ!!ああっ!!」
「くっ、このっ……うわっ!?」
ロウガは剣で切りかかるだけではなく、体術を組み合わせてレナを追い詰める。彼が足払いを仕掛けるとレナは避け切れずに体勢を崩してしまい、そんな彼に対してロウガは容赦なくカトラスを振り下ろす。
「うがぁあああっ!!」
「くぅっ!?」
レナは咄嗟に横に身体を回転させる事で振り下ろされたカトラスを避けたが、ロウガはレナに目掛けて幾度も突き刺そうとしてきた。完全に殺す気で向かってくるロウガに対してレナはもう手加減はできないと判断した。
まずは体勢を整え直すためにレナは戦闘の合間に左手に魔力を集中させ、目眩まし代わりに「光球」の魔法を発動させて閃光を放つ。初級魔法の光球は使い方によっては閃光のように発光させて相手の視界を奪う事ができた。
「喰らえっ!!」
「ぎゃうっ!?」
まるで獣のような悲鳴を上げながらロウガは閃光を目にして視界を一時的に封じられ、その隙にレナは立ち上がると今度こそ退魔刀を引き抜く。お互いに二刀流となったが視界が封じられているロウガが圧倒的に不利な状況である。
(これで終わらせる!!)
レナはロウガとの勝負の決着を付けるために踏み込んだ途端、ロウガは獣耳を動かして音だけでレナの位置を悟る。レナはこの時に「縮地」を発動させてロウガに接近しようとしたが、ロウガはその場で身体を回転させてカトラスを薙ぎ払う。
「があああっ!!」
「くぅっ!?」
回転の戦技の応用でロウガはカトラスを振り回すと接近しようとしたレナは寸前で立ち止まり、どうにか攻撃を避ける事に成功する。視界を封じられていようとロウガは人間よりも五感が優れる獣人族であるため、聴覚や嗅覚だけでレナの位置を把握して攻撃を防いだ。
迂闊にロウガに近付く事はできないと判断したレナは、彼が身体を回転させながらカトラスを振り回す光景を確認してある方法を思いつく。子供の頃にひいおばあちゃんからベーゴマを教わった事を思い出したレナは、自分自身も身体を回転させる事でロウガの攻撃を弾き返す。
「回転撃!!」
「うぎゃあっ!?」
ロウガの回転を上回る勢いでレナは身体を一回転させながら退魔刀を振り払うと、ロウガの手にしたカトラスは呆気なく弾かれてしまう。そして武器を失ったロウガは倒れ込むと、レナは二つの彼の元へ迫る。
「はああっ!!」
「おっと、そこまでだ!!」
「うわっ!?」
勝負の際中に唐突にレナの足元に風の斬撃が走ると、驚いたレナは斬撃が放たれた方向に視線を向けたらそこにはシュンの姿が存在した。彼は焦った表情を浮かべてロウガの元に駆け寄り、彼がレナの先の一撃で気絶している事を確認すると安堵した。
「ふうっ……勝負はここまでだ。坊主、お前の勝ちだ」
「はあっ、はあっ……シュンさん、起きてたんですか?」
「まあ、あれだけ騒がれたらな……」
戦闘の際中にロウガの獣のような叫び声を耳にしたシュンは目を覚ましたらしく、彼は雨の降りしきる中で戦っているレナとロウガを見て慌てて戦闘に介入した。もしもあのまま続けていればレナはともかく、ロウガが取り返しのつかない事態に陥っていたかもしれないと彼は思った。
シュンはロウガとは長い付き合いであるため、この旅に彼が加わった時から今回のような事態が起きる事を想定していた。それでもロウガがレナに一太刀も浴びせる事もなく敗れた事に関しては意外に思う。
「坊主、また腕を上げたな。まさか獣化したロウガに勝つとはな……」
「獣化?」
「獣人族の中でもほんの一握りの奴しか扱えない能力だ。獣人族は人間と獣の性質を持ち合わせているが、獣化はその獣の部分をより強く引き出す能力だ。狼型の獣人族の場合だと獣化すれば理性を失う代わりに運動能力が跳ね上がる……俺も前に獣化したこいつと戦った事があるが、初めて戦った時は負けちまった」
ロウガの変貌は「獣化」という能力の影響だとシュンは説明し、彼も昔に獣化したロウガと戦った事がある。その時はシュンは敗北したらしく、少しだけ悔しそうな表情を浮かべて彼はロウガを肩に抱き上げる。
「っ!?」
ロウガは唐突に叫び声をあげると、彼の身体中の血管が浮き上がる。その光景を見たレナは驚きを隠せず、まるでゴンゾウの「鬼人化」と酷似していた。鬼人化は所謂「火事場の馬鹿力」を強制的に引き出す能力で巨人族の中でも一部の者にしか扱えない。
獣人族でありながらロウガは鬼人化が扱えるのかとレナは警戒するが、鬼人化と違う点はロウガの場合は皮膚の色までは変化はしない。しかし、全身の体毛が急激に伸びて表情の方もより獰猛になっていく。
「ぐぅううっ……がああっ!!」
「うわっ!?」
容姿が急激に変貌したロウガはレナに目掛けて突っ込み、その移動速度は先ほどよりも速くてレナは彼の攻撃を避け切れずに反鏡剣で受ける。そこから先はロウガが一方的に攻撃を仕掛け、その攻撃をレナは受け続ける結果となる。
「があっ!!ああっ!!」
「くっ、このっ……うわっ!?」
ロウガは剣で切りかかるだけではなく、体術を組み合わせてレナを追い詰める。彼が足払いを仕掛けるとレナは避け切れずに体勢を崩してしまい、そんな彼に対してロウガは容赦なくカトラスを振り下ろす。
「うがぁあああっ!!」
「くぅっ!?」
レナは咄嗟に横に身体を回転させる事で振り下ろされたカトラスを避けたが、ロウガはレナに目掛けて幾度も突き刺そうとしてきた。完全に殺す気で向かってくるロウガに対してレナはもう手加減はできないと判断した。
まずは体勢を整え直すためにレナは戦闘の合間に左手に魔力を集中させ、目眩まし代わりに「光球」の魔法を発動させて閃光を放つ。初級魔法の光球は使い方によっては閃光のように発光させて相手の視界を奪う事ができた。
「喰らえっ!!」
「ぎゃうっ!?」
まるで獣のような悲鳴を上げながらロウガは閃光を目にして視界を一時的に封じられ、その隙にレナは立ち上がると今度こそ退魔刀を引き抜く。お互いに二刀流となったが視界が封じられているロウガが圧倒的に不利な状況である。
(これで終わらせる!!)
レナはロウガとの勝負の決着を付けるために踏み込んだ途端、ロウガは獣耳を動かして音だけでレナの位置を悟る。レナはこの時に「縮地」を発動させてロウガに接近しようとしたが、ロウガはその場で身体を回転させてカトラスを薙ぎ払う。
「があああっ!!」
「くぅっ!?」
回転の戦技の応用でロウガはカトラスを振り回すと接近しようとしたレナは寸前で立ち止まり、どうにか攻撃を避ける事に成功する。視界を封じられていようとロウガは人間よりも五感が優れる獣人族であるため、聴覚や嗅覚だけでレナの位置を把握して攻撃を防いだ。
迂闊にロウガに近付く事はできないと判断したレナは、彼が身体を回転させながらカトラスを振り回す光景を確認してある方法を思いつく。子供の頃にひいおばあちゃんからベーゴマを教わった事を思い出したレナは、自分自身も身体を回転させる事でロウガの攻撃を弾き返す。
「回転撃!!」
「うぎゃあっ!?」
ロウガの回転を上回る勢いでレナは身体を一回転させながら退魔刀を振り払うと、ロウガの手にしたカトラスは呆気なく弾かれてしまう。そして武器を失ったロウガは倒れ込むと、レナは二つの彼の元へ迫る。
「はああっ!!」
「おっと、そこまでだ!!」
「うわっ!?」
勝負の際中に唐突にレナの足元に風の斬撃が走ると、驚いたレナは斬撃が放たれた方向に視線を向けたらそこにはシュンの姿が存在した。彼は焦った表情を浮かべてロウガの元に駆け寄り、彼がレナの先の一撃で気絶している事を確認すると安堵した。
「ふうっ……勝負はここまでだ。坊主、お前の勝ちだ」
「はあっ、はあっ……シュンさん、起きてたんですか?」
「まあ、あれだけ騒がれたらな……」
戦闘の際中にロウガの獣のような叫び声を耳にしたシュンは目を覚ましたらしく、彼は雨の降りしきる中で戦っているレナとロウガを見て慌てて戦闘に介入した。もしもあのまま続けていればレナはともかく、ロウガが取り返しのつかない事態に陥っていたかもしれないと彼は思った。
シュンはロウガとは長い付き合いであるため、この旅に彼が加わった時から今回のような事態が起きる事を想定していた。それでもロウガがレナに一太刀も浴びせる事もなく敗れた事に関しては意外に思う。
「坊主、また腕を上げたな。まさか獣化したロウガに勝つとはな……」
「獣化?」
「獣人族の中でもほんの一握りの奴しか扱えない能力だ。獣人族は人間と獣の性質を持ち合わせているが、獣化はその獣の部分をより強く引き出す能力だ。狼型の獣人族の場合だと獣化すれば理性を失う代わりに運動能力が跳ね上がる……俺も前に獣化したこいつと戦った事があるが、初めて戦った時は負けちまった」
ロウガの変貌は「獣化」という能力の影響だとシュンは説明し、彼も昔に獣化したロウガと戦った事がある。その時はシュンは敗北したらしく、少しだけ悔しそうな表情を浮かべて彼はロウガを肩に抱き上げる。
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