1,453 / 2,083
真・最終章 七魔将編
水晶札の作り方
しおりを挟む
「うわっ!?何だ!?」
「くぅっ……こ、殺す気か!!」
「おい、今何をしたんだ!?」
「レナさんの持っていた水晶札に電撃が吸収されたように見えましたね」
「吸収だと……馬鹿な」
レナがハルナの拳を水晶札で受けた際に危うく吹き飛ばされかけるが、どうにか事前に身体強化を発動させていたので留まる事ができた。しかも攻撃を受けた際に水晶札にハルナの電撃が吸収され、水晶札の表面の紋様が黄色に光り輝く。
水晶札は吸収した魔力を色で表すらしく、黄色に輝くという事は雷属性の魔力を宿している事を意味している。ちなみにマリアの転移魔法は白色であるため聖属性の魔力を意味する(転移魔法は聖属性の魔力で生み出した光に覆われ、目的地まで高速で移動する高等魔法である)。
「ふうっ……とりあえず、実験は成功かな」
「これは興味深いですね。レナさん、さっき吸収した魔力を使う事はできますか?」
「多分、できると思うけど……解放《リリース》!!」
「うおっ!?」
ホネミンに言われてレナは右手で掴んだ水晶札を前に突き出し、封じ込められた魔力を解放すると電撃が放たれる。水晶札の数メートル先まで電流が放出されるが、水晶札に宿った魔力を使い切ると消えてしまう。
「ほほう、これは面白いですね。さっきのハルナさんから吸収した分だけの魔力を放出しましたね。でも、それって吸収した魔力を分割して放出する事はできますか?」
「いや、それは無理だよ。叔母様が言っていたけど解放術式は一度に吸収した魔力を一気に解放する事しかできないって……」
「なるほど、あくまでも単発しか使えないわけですか」
「すげ~……どうなってるんだそれ?」
「お嬢ちゃんもとんでもない物を作り上げたな……」
「流石はマリア殿だ」
「ぷるるんっ(実験終わった?)」
「ウォンッ(出てきていいよ)」
レナが再現した水晶札は本物と全く同じ性能を誇り、この水晶札を利用すればあらゆる魔法攻撃を吸収する事ができる。そして吸収した魔力は所有者の意思で解放する事ができるが、弱点としてハルナのように拳で魔力を纏って殴り掛かられたり、魔法剣や魔刀術の攻撃の場合は魔力は吸収しても相手の攻撃の衝撃は無効化はできない。
先ほどのハルナの攻撃で水晶札が砕けていたら魔力を吸収できずにレナも吹き飛ばされていた。それに他の弱点として吸収した魔力を解放する場合は一度に全て放出されるため、分割して少しずつ魔力を生み出す事はできない。それでも転移魔法のような高等魔法さえも封じ込める事ができる点では優れた魔道具である事に変わりはない。
(水晶札を使えば色々と役立ちそうだな……でも、俺の作り出す水晶札は長くは持たない)
錬金術師の能力で作り上げた物体は本物と全く同じ性能だが時間経過によって元の物体に戻ってしまう。こればかりはレナでもどうする事はできず、物質変換と形状高速変化の能力で水晶札を作り上げたとしても長持ちはしない。恐らくだが水晶札に吸収した魔力も元の物体に戻った場合は暴発してしまう危険性があった。
(こうして触れ続けていれば元の物体に戻る事はないけど、その分にこっちの魔力を使うからきついな)
レナが触れている間は変換した物体は元に戻る事はないが常に彼が魔力を消費し続ける事になる。形状高速変化はともかく、物質変換などの能力は結構な魔力を消費するので長時間の維持は難しい。
「叔母様の持っている水晶札の素材があれば簡単に作り出せるんだけどな。折角なら氷雨のギルドから持って来れば良かった」
「何を言うか、いくら甥とはいえマリア殿の所有物を勝手に使うなど許される事ではない!!」
「まあ、嬢ちゃんなら許してくれそうだけどな……」
「どうでもいいけど飯にしない?もう腹が減って動けないよ……」
「ずっと狼車に乗って寝てただけなのにそんなにお腹空いたんですか?」
「仕方ないな……飯にするか」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ(雨飲んでくる)」
ハルナが空腹が我慢できないという事でレナは食事の準備を行おうとすると、スラミンだけは雨水に当たって水分を補給する。スライムであるスラミンの場合は雨水もご飯になるため、瞬く間に大量の雨を吸い込んで身体が大きくなっていく。
「ぷるるんっ(どすこいっ)」
「うわぁっ!?あ、青いのがでかくなったぞ!!キングか!?キングになったのか!?」
「いや、これは水を吸い込み過ぎてメタボになっただけですね。ほら、ちょっと吐き出しなさい」
「ぷるしゃああっ……(←余分な水分を吐き出す)」
「全く……呑気な奴等だ」
「別にいいだろ、おっさんの方こそ少しは馴染めよ」
「……余計なお世話だ」
旅の面子の中で常にロウガだけはシュン以外の人間は若干打ち解けておらず、特にレナに対しては彼は極力関わろうとしない。レナもロウガが自分を避けている事は理解しているためあまり積極的に話す事はないが、他の者も二人の間の空気が微妙な事は理解していた。
「くぅっ……こ、殺す気か!!」
「おい、今何をしたんだ!?」
「レナさんの持っていた水晶札に電撃が吸収されたように見えましたね」
「吸収だと……馬鹿な」
レナがハルナの拳を水晶札で受けた際に危うく吹き飛ばされかけるが、どうにか事前に身体強化を発動させていたので留まる事ができた。しかも攻撃を受けた際に水晶札にハルナの電撃が吸収され、水晶札の表面の紋様が黄色に光り輝く。
水晶札は吸収した魔力を色で表すらしく、黄色に輝くという事は雷属性の魔力を宿している事を意味している。ちなみにマリアの転移魔法は白色であるため聖属性の魔力を意味する(転移魔法は聖属性の魔力で生み出した光に覆われ、目的地まで高速で移動する高等魔法である)。
「ふうっ……とりあえず、実験は成功かな」
「これは興味深いですね。レナさん、さっき吸収した魔力を使う事はできますか?」
「多分、できると思うけど……解放《リリース》!!」
「うおっ!?」
ホネミンに言われてレナは右手で掴んだ水晶札を前に突き出し、封じ込められた魔力を解放すると電撃が放たれる。水晶札の数メートル先まで電流が放出されるが、水晶札に宿った魔力を使い切ると消えてしまう。
「ほほう、これは面白いですね。さっきのハルナさんから吸収した分だけの魔力を放出しましたね。でも、それって吸収した魔力を分割して放出する事はできますか?」
「いや、それは無理だよ。叔母様が言っていたけど解放術式は一度に吸収した魔力を一気に解放する事しかできないって……」
「なるほど、あくまでも単発しか使えないわけですか」
「すげ~……どうなってるんだそれ?」
「お嬢ちゃんもとんでもない物を作り上げたな……」
「流石はマリア殿だ」
「ぷるるんっ(実験終わった?)」
「ウォンッ(出てきていいよ)」
レナが再現した水晶札は本物と全く同じ性能を誇り、この水晶札を利用すればあらゆる魔法攻撃を吸収する事ができる。そして吸収した魔力は所有者の意思で解放する事ができるが、弱点としてハルナのように拳で魔力を纏って殴り掛かられたり、魔法剣や魔刀術の攻撃の場合は魔力は吸収しても相手の攻撃の衝撃は無効化はできない。
先ほどのハルナの攻撃で水晶札が砕けていたら魔力を吸収できずにレナも吹き飛ばされていた。それに他の弱点として吸収した魔力を解放する場合は一度に全て放出されるため、分割して少しずつ魔力を生み出す事はできない。それでも転移魔法のような高等魔法さえも封じ込める事ができる点では優れた魔道具である事に変わりはない。
(水晶札を使えば色々と役立ちそうだな……でも、俺の作り出す水晶札は長くは持たない)
錬金術師の能力で作り上げた物体は本物と全く同じ性能だが時間経過によって元の物体に戻ってしまう。こればかりはレナでもどうする事はできず、物質変換と形状高速変化の能力で水晶札を作り上げたとしても長持ちはしない。恐らくだが水晶札に吸収した魔力も元の物体に戻った場合は暴発してしまう危険性があった。
(こうして触れ続けていれば元の物体に戻る事はないけど、その分にこっちの魔力を使うからきついな)
レナが触れている間は変換した物体は元に戻る事はないが常に彼が魔力を消費し続ける事になる。形状高速変化はともかく、物質変換などの能力は結構な魔力を消費するので長時間の維持は難しい。
「叔母様の持っている水晶札の素材があれば簡単に作り出せるんだけどな。折角なら氷雨のギルドから持って来れば良かった」
「何を言うか、いくら甥とはいえマリア殿の所有物を勝手に使うなど許される事ではない!!」
「まあ、嬢ちゃんなら許してくれそうだけどな……」
「どうでもいいけど飯にしない?もう腹が減って動けないよ……」
「ずっと狼車に乗って寝てただけなのにそんなにお腹空いたんですか?」
「仕方ないな……飯にするか」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ(雨飲んでくる)」
ハルナが空腹が我慢できないという事でレナは食事の準備を行おうとすると、スラミンだけは雨水に当たって水分を補給する。スライムであるスラミンの場合は雨水もご飯になるため、瞬く間に大量の雨を吸い込んで身体が大きくなっていく。
「ぷるるんっ(どすこいっ)」
「うわぁっ!?あ、青いのがでかくなったぞ!!キングか!?キングになったのか!?」
「いや、これは水を吸い込み過ぎてメタボになっただけですね。ほら、ちょっと吐き出しなさい」
「ぷるしゃああっ……(←余分な水分を吐き出す)」
「全く……呑気な奴等だ」
「別にいいだろ、おっさんの方こそ少しは馴染めよ」
「……余計なお世話だ」
旅の面子の中で常にロウガだけはシュン以外の人間は若干打ち解けておらず、特にレナに対しては彼は極力関わろうとしない。レナもロウガが自分を避けている事は理解しているためあまり積極的に話す事はないが、他の者も二人の間の空気が微妙な事は理解していた。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はランカ。
女の子と言われてしまう程可愛い少年。
アルステードオンラインというVRゲームにはまってラストダンジョンをクリア。
仲間たちはみんな現実世界に帰るけれど、僕は嫌いな現実には帰りたくなかった。
そんな時、アルステードオンラインの神、アルステードが僕の前に現れた
願っても叶わない異世界転移をすることになるとは思わなかったな~
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。