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真・最終章 七魔将編
真の魔刀術
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「今度こそ終わらせてあげるわ……凍り付きなさい!!」
「っ……!?」
シズネは両手の件を地面に突き刺した瞬間、巨大な氷の棘がレナに目掛けて接近する。この攻撃を下手に受ければ死んでしまい、回避するかあるいは反撃を繰り出すしかない。
だが、下手に避けようとすればシズネは逃さずに追撃を加え、仮に反撃に出たとしても生半可な攻撃では氷の棘は壊す事はできない。現在のレナは魔刀術の発動のために他の魔法の使用は難しい。魔刀術は大剣に魔力を送り込む事に集中しなければならず、この状態では殆どの魔法は使えない。
(やるしかない!!)
迫りくる巨大な氷棘に対してレナは力強く踏み込み、自分が最初に身に付けた「兜割り」の戦技を繰り出そうとした。この時にレナの気持ちに反応するように退魔刀の蒼炎が燃え盛り、強烈な熱気を発する。
「兜割り!!」
「なっ!?」
正面から逃げもせずに退魔刀を振り下ろすレナの姿を見てシズネは唖然とした。今回の攻撃はシズネが繰り出せる最大の一撃であり、仮に相手がゴウライであろうと倒せる自信のある攻撃だった。だが、レナは一歩も引かずにむしろ自ら前に踏み出して退魔刀を放つ。
蒼炎を纏った退魔刀が氷棘に振り下ろされた瞬間、強烈な熱気が発生して氷棘は砕けるのと同時に溶けて消えてしまう。退魔刀は地面にまでめり込み、この際に刃に纏っていた蒼炎の熱気によってレナの周囲の氷が溶け始める。蒼炎の変化に気付いたレナは戸惑うが、彼の予想通りに蒼炎は「熱」を自由に変化させる事が判明した。
(そうか、そういう事だったのか……)
これまでにレナは蒼炎は相手を凍り付かせる事ができないと思っていたが、それは勘違いで実際の所は蒼炎は水と火の性質を併せ持つ魔力なのだ。つまり、水属性の冷気と火属性の熱気を操れる能力を持つ。
ホムラの魔刀術程ではないがレナの意思で蒼炎は高熱を発する事ができると判明し、凍り付いていたレナの身体も溶け始める。その様子を見てシズネは信じられない表情を浮かべるが、すぐに気を取り直したように彼女は両手の件を構えた。
「流石は……レナね。まさかこの攻撃も通じないなんて」
「シズネ……もう、終わらせるぞ」
「舐めないで頂戴、まだ私は本気を出していないのよ!!」
蒼炎を使いこなしたレナに対してシズネは負けじと雪月花と白百合を重ね合わせる。この際に白百合の全体が青色に輝き始め、彼女も魔刀術で白百合に魔力を宿すと次の攻撃を繰り出す。
「十文字斬り!!」
「兜砕き!!」
二つの刀を重ね合わせた状態で攻撃を仕掛けてきたシズネに対して、レナはそれに応えるように退魔刀を振りかざして今度は全力の一撃を繰り出す。二人の刃が衝突した瞬間、周囲に衝撃波と熱気と冷気が同時に広がる。
「はぁあああっ!!」
「くぅうっ……うおおおおっ!!」
雪月花と白百合から放たれる冷気に対してレナは蒼炎を纏った退魔刀で受け止め、刃から放たれる熱気で冷気を打ち消す。シズネの足元の地面は凍り付き、レナの方はあまりの熱量に凍り付いていた地面が溶けていく。
「だああっ!!」
「きゃっ!?」
単純な力比べではレナの方が分が有り、シズネの両手の件を弾き返したレナは退魔刀を手放すとシズネの元に近付く。そのままシズネはレナに押し倒される形となり、そんな彼女に対してレナは頭を振りかざす。
「眠れ!!」
「あうっ!?」
シズネを押し倒す形でレナは彼女と共に地面に倒れ込むと、容赦なく彼女の額に自分の額をぶつける。脳震盪を引き起こす程の衝撃がシズネに襲い掛かり、いくら半ば吸血鬼と化しても脳震盪の類は流石にどうしようも出来ず、彼女は意識を失ったのか目を閉じたまま動かなくなった。
どうにか魔刀術でシズネを打ち破ったレナは気絶したシズネの横に倒れ込み、流石にこれまでの連戦で魔力はもう使い果たしていた。しばらくの間は動く事はできず、少し休む必要があると判断した彼はシズネを抱き寄せながら身体を横にする。
「シズネ……必ず元に戻すからな」
「ううっ……」
彼女が目を覚ます前にアルドラを何とかしなければシズネは元には戻らず、後の事は先に侵入した者達に任せてレナはシズネを抱き寄せながらしばらくの間は休む事にした――
――同時刻、闘技場内に侵入したコトミン達は魔物達を蹴散らしながらアルドラの行方を追う。ティナはアルドラを連れ出したオオツチトカゲの気配が闘技場の試合会場から感じる事に気付く。
「あっちの方にいるよ!!皆、付いて来て!!」
「こ、こら!!勝手に行くんじゃないよ!!たくっ……こいつらどれだけいるんだい!?」
「水筒の水もなくなってきた……」
「ううっ……流石に腹が減って来たな」
ティナの後を追いかける形でバル、コトミン、ハルナは続くが、ここまでの戦闘で3人とも大分体力を消耗していた。それでも闘技場に入り込めたのはこの4人だけなので彼女達がアルドラを何とかしなければならない。
「っ……!?」
シズネは両手の件を地面に突き刺した瞬間、巨大な氷の棘がレナに目掛けて接近する。この攻撃を下手に受ければ死んでしまい、回避するかあるいは反撃を繰り出すしかない。
だが、下手に避けようとすればシズネは逃さずに追撃を加え、仮に反撃に出たとしても生半可な攻撃では氷の棘は壊す事はできない。現在のレナは魔刀術の発動のために他の魔法の使用は難しい。魔刀術は大剣に魔力を送り込む事に集中しなければならず、この状態では殆どの魔法は使えない。
(やるしかない!!)
迫りくる巨大な氷棘に対してレナは力強く踏み込み、自分が最初に身に付けた「兜割り」の戦技を繰り出そうとした。この時にレナの気持ちに反応するように退魔刀の蒼炎が燃え盛り、強烈な熱気を発する。
「兜割り!!」
「なっ!?」
正面から逃げもせずに退魔刀を振り下ろすレナの姿を見てシズネは唖然とした。今回の攻撃はシズネが繰り出せる最大の一撃であり、仮に相手がゴウライであろうと倒せる自信のある攻撃だった。だが、レナは一歩も引かずにむしろ自ら前に踏み出して退魔刀を放つ。
蒼炎を纏った退魔刀が氷棘に振り下ろされた瞬間、強烈な熱気が発生して氷棘は砕けるのと同時に溶けて消えてしまう。退魔刀は地面にまでめり込み、この際に刃に纏っていた蒼炎の熱気によってレナの周囲の氷が溶け始める。蒼炎の変化に気付いたレナは戸惑うが、彼の予想通りに蒼炎は「熱」を自由に変化させる事が判明した。
(そうか、そういう事だったのか……)
これまでにレナは蒼炎は相手を凍り付かせる事ができないと思っていたが、それは勘違いで実際の所は蒼炎は水と火の性質を併せ持つ魔力なのだ。つまり、水属性の冷気と火属性の熱気を操れる能力を持つ。
ホムラの魔刀術程ではないがレナの意思で蒼炎は高熱を発する事ができると判明し、凍り付いていたレナの身体も溶け始める。その様子を見てシズネは信じられない表情を浮かべるが、すぐに気を取り直したように彼女は両手の件を構えた。
「流石は……レナね。まさかこの攻撃も通じないなんて」
「シズネ……もう、終わらせるぞ」
「舐めないで頂戴、まだ私は本気を出していないのよ!!」
蒼炎を使いこなしたレナに対してシズネは負けじと雪月花と白百合を重ね合わせる。この際に白百合の全体が青色に輝き始め、彼女も魔刀術で白百合に魔力を宿すと次の攻撃を繰り出す。
「十文字斬り!!」
「兜砕き!!」
二つの刀を重ね合わせた状態で攻撃を仕掛けてきたシズネに対して、レナはそれに応えるように退魔刀を振りかざして今度は全力の一撃を繰り出す。二人の刃が衝突した瞬間、周囲に衝撃波と熱気と冷気が同時に広がる。
「はぁあああっ!!」
「くぅうっ……うおおおおっ!!」
雪月花と白百合から放たれる冷気に対してレナは蒼炎を纏った退魔刀で受け止め、刃から放たれる熱気で冷気を打ち消す。シズネの足元の地面は凍り付き、レナの方はあまりの熱量に凍り付いていた地面が溶けていく。
「だああっ!!」
「きゃっ!?」
単純な力比べではレナの方が分が有り、シズネの両手の件を弾き返したレナは退魔刀を手放すとシズネの元に近付く。そのままシズネはレナに押し倒される形となり、そんな彼女に対してレナは頭を振りかざす。
「眠れ!!」
「あうっ!?」
シズネを押し倒す形でレナは彼女と共に地面に倒れ込むと、容赦なく彼女の額に自分の額をぶつける。脳震盪を引き起こす程の衝撃がシズネに襲い掛かり、いくら半ば吸血鬼と化しても脳震盪の類は流石にどうしようも出来ず、彼女は意識を失ったのか目を閉じたまま動かなくなった。
どうにか魔刀術でシズネを打ち破ったレナは気絶したシズネの横に倒れ込み、流石にこれまでの連戦で魔力はもう使い果たしていた。しばらくの間は動く事はできず、少し休む必要があると判断した彼はシズネを抱き寄せながら身体を横にする。
「シズネ……必ず元に戻すからな」
「ううっ……」
彼女が目を覚ます前にアルドラを何とかしなければシズネは元には戻らず、後の事は先に侵入した者達に任せてレナはシズネを抱き寄せながらしばらくの間は休む事にした――
――同時刻、闘技場内に侵入したコトミン達は魔物達を蹴散らしながらアルドラの行方を追う。ティナはアルドラを連れ出したオオツチトカゲの気配が闘技場の試合会場から感じる事に気付く。
「あっちの方にいるよ!!皆、付いて来て!!」
「こ、こら!!勝手に行くんじゃないよ!!たくっ……こいつらどれだけいるんだい!?」
「水筒の水もなくなってきた……」
「ううっ……流石に腹が減って来たな」
ティナの後を追いかける形でバル、コトミン、ハルナは続くが、ここまでの戦闘で3人とも大分体力を消耗していた。それでも闘技場に入り込めたのはこの4人だけなので彼女達がアルドラを何とかしなければならない。
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