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真・最終章 七魔将編

新闘技場への移動

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――三部族の協力を取り次いだ後、休憩を挟んだ後に遂にレナはウルと共に新闘技場へ向かう。他の皆は島で休んでいてもらい、先にウルと共にレナは新闘技場へ乗り込む。予想通りと言うべきか、新闘技場の方は警備が冒険都市として違い、見張りすらいもなかった。

アルドラはあくまでも都市内の警備を固めており、都市から離れた場所にある新闘技場に関しては見張りすら残していない。その事を知ったレナはすぐに島に避難していた者達を呼び出し、新闘技場の地下にて全員を集めて作戦の段取りを行う。


「正攻法で挑むのは無理だね、となると都市に忍び込んで内側から仕掛けるしかないだろうね」
「敵の勢力とこちらの勢力は……まだ敵側の方がやや上か」
「ゴウライ殿とシズネ殿とハヤテ殿の御三方が特に厄介でござるな」
「それにアルドラの他にもう一人七魔将がいるんだろう?そいつはどれくらい強いのかは分からないけど、警戒しないとね……」


冒険都市の勢力の中でも最も警戒するのは「ゴウライ」であり、この中でゴウライに対抗できる力を持つのはレナとハルナぐらいである。ゴンゾウやジャンヌも戦えなくはないが、この二人ではゴウライを抑える事は難しい。


「ゴウライの方は俺が何とかするよ。問題なのはハヤテとシズネだけど……」
「ハヤテに関しては俺達の方で何とかしよう」
「勝つ事は難しいでござるが、抑えるぐらいはできると思うでござる」
「なら、シズネ様は私が相手をします……勝てるとは思いませんが、時間を稼ぐぐらいはできるはずです」
「弱気な事を言うんじゃないよ。あたしも一緒に戦ってやるさ」


ゴウライの相手は恐らくはレナ以外には務まらず、ハヤテはシノビとハンゾウが抑え込み、シズネの相手はジャンヌとテンが相手をする事が決まる。しかし、ここでハルナが不満そうな声を上げた。


「ちょっと待てよ、それならあたしの相手は誰だよ?」
「ハルナはアルドラを頼むよ。得体の知れない相手だけど、ハルナの高速移動なら相手に何かされる前に倒せると思うし……けど、オウガという奴が現れた時は気を付けろ」
「成程、つまりあたしの相手は七魔将が二人か!!それは楽しめそうだな!!」
「いえ、私も同行します。足手まといにはなりません」
「えっ!?リンダも行っちゃうの?」
「俺も行かせてくれ」


七魔将の相手はハルナだけではなく、リンダも同行する事を伝える。ゴンゾウも挙手すると、七魔将の二人を相手にハルナ、リンダ、ゴンゾウの3人で戦う事になる。他の者達は剣聖たちが邪魔をしないようい抑えつける必要があり、その他の者達は厄介な冒険者達の対応を任せる。


「三部族の皆さんには冒険者の対処をお願いします。アンジュ、サーシャ、よろしく頼むよ」
「任せろ、旦那様の頼みなら何でもするぞ!!」
「要するに全員皆殺しにすればいい?」
「殺すなっ!!」
「はっはっはっ、冗談じゃよ。だが、相手が本気で殺しにくるのであれば我々も手加減はできない事は忘れんでくれ」
「う~ん……まあ、それは仕方ないですよね」


アンジュとサーシャの物騒な発言にレナは叱りつけるが、族長としては本気で殺しにかかる相手にこちらは手加減して戦える余裕がない事を告げられるとレナも何も言えない。まさか味方が殺されても相手を殺すなという命令を与えるわけにもいかない。

三部族は快く協力してくれたが、別に彼等はレナの配下になったわけではない。だからこそ族長も自分達が命の危機に晒された時は躊躇なく抵抗する事を明確に伝えた。


「でも、できれば殺さないようにしてください」
「うむ、善処しよう」
「面倒だな……でも、旦那様の頼みなら聞いてやる。何しろ未来の妻だからな」
「こらっ!!レナたんの妻は私とコトミンちゃんだけだよ!!」
「それなら今回の働きで旦那様に認められる。そうすれば文句はない?」
「むうっ……そう言う事なら私も役立つ」


コトミンとティナ達は戦闘には参加しないが、万が一の場合に備えて待機して起き、怪我をした人間の治療のために尽くすつもりだった。そしてレナは事前に捕まえた裏切り者の冒険者とカノンに振り返り、彼等はどうするべきか悩む。


「で、この人達は何時まで拘束していればいいの?」
「儂等の島に置いておくか?」
「ひいっ!?ま、待ってくれ!!俺達を置いて行かないでくれ!!」
「もう裏切らない!!だから都市に戻してくれ!!」
「一緒に戦うから!!」
「何を今更調子の良い事を……」


冒険者達は古代遺跡や島に置いていかれるのを嫌がり、必死に闘技場に残る事を告げる。中にはレナ達に協力して戦う事を告げる人間もいたが、正直に言えば彼等は信用しきれない。

しかし、冒険者達も元々はアルドラに家族や親しい友人を人質に囚われて嫌々従っていたに過ぎず、この時にレナはある事を思いつき、彼等を利用して都市に忍び込めないのかを考える。
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