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真・最終章 七魔将編

三牙竜

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『シャアアアアッ!!』
「来るぞぉっ!!」
「うおおおっ!!」
「ふんっ!!」
「おらぁっ!!」


3体の牙竜はレナ達を取り囲むように移動を行うと、同時に顎を開いて三方向から噛みつこうとしてきた。それに対処したのはレナ、ゴンゾウ、リンダ、バルの4人であり、迫りくる牙竜の顔面に対して各々別々に対応を行う。

レナは退魔刀を構えると牙竜の開け開かれた牙を正面から防ぎ、限界強化で身体能力を上昇させ、弾き返す。その一方でゴンゾウは鬼人化を発動させ、正面から牙竜の鼻先を受け止めて抑えつける。バルは大剣を振りかざして牙を食い止め、その隙にリンダは牙竜の顎を蹴り上げる。


「おらぁっ!!」
「ふんぬぅっ!!」
「しゃおらぁっ!!」
「せいっ!!」
『グフゥッ!?』


思いもよらぬ反撃を受けた3体の牙竜は口元を閉じた状態で仰け反り、特にナイに刃を弾かれた個体は牙にいくつか亀裂が走った。その攻撃を見て他のも驚き、ガロとモリモは唖然とした。


「す、すげぇっ……」
「ば、化物かっ!?」
「言っている場合ではないでござるよ!!拙者達も続くでござる!!」
「ふんっ!!」


シノビとハンゾウはお得意の「飛脚」を発動させ、足の裏から風の魔力を放出させる事で空中を移動し、ゴンゾウに鼻先を殴りつけられた個体に目掛けて刃を放つ。


「「斬っ!!」」
「シャギャアアアッ!?」
「「ガアッ……!?」」


二人の攻撃によって牙竜の1体は両目を切り裂かれ、血飛沫を舞い上げる。その様子を見て他の2体は戸惑うが、その隙を逃さずにリンダとゴンゾウは動き出し、拳と掌底を放つ。


「大金剛撃!!」
「ガハァッ……!?」
「発勁!!」
「ゲハァッ!?」


ゴンゾウの渾身の一撃を顔面に受けた牙竜の牙が全て砕け散り、一方で胴体に発勁を受けた牙竜は苦悶の表情を浮かべた。圧倒的な体格差であろうと発勁の戦技は内部に衝撃を与え、内臓に直接攻撃を与える。ゴンゾウの攻撃は師であるギガンを上回る威力は誇り、2体の牙竜は地面に倒れ込む。

その隙を逃さずにバルとレナは動き出し、倒れ込んだ牙竜たちの首元に目掛けて刃を振りかざす。二人は全く同時に大剣を振り下ろし、血飛沫が舞い上がった。


「兜砕き!!」
「ギャアアアッ!?」
「撃剣」
「ガハァッ!?」


レナの繰り出した刃は見事に牙竜の首を切断したが、バルの方は残念ながら刃が食い込む程度でしかなく、単純に彼女の腕力だけでは威力が足りずに止めを刺しきれなかった。しかし、それに対してハルナが全身から電流を迸らせながら彼女の元に向かうと、バルを押し退けて大剣を掴む。


「交代!!」
「うわっ!?」
「からの電撃!!」
「アガァアアアアッ!?」


刃に喰い込んだ大剣にハルナは電撃を流し込むと、牙竜の体内に電流が流し込まれ、断末魔の悲鳴を上げる。最終的にはバルの大剣は黒焦げと化してしまい、折角マリアに借金までして新調した大剣が台無しにされたバルは愕然とした。


「あ、あたしの大剣がっ……な、何をするんだいあんた!?」
「あ~……ごめん、弁償代はレナが払うから」
「何でだよ、自分で責任を持て……というか、まだ終わってないぞ!!」
「シャギャアアアッ!!」


まだ両目を潰された牙竜が残されており、仲間がやられた事も気づかずに牙竜は苦しみのあまりに暴れ狂い、下手に近付けない。そのため、他の者達も牙竜に巻き込まれないように距離を取るが、リンダだけは拳を構えると気合を込めながら近付く。


「崩拳っ!!」
「ガハァッ……!?」
「うわ、凄い!?」


牙竜に目掛けてリンダは踏み込むと、中国拳法の中段突きを放ち、あまりの威力にリンダの腕が牙竜の肉体にめり込む。暴れ狂っていた牙竜だったが、リンダの強烈な一撃を受けて一瞬だけ動きを止める。

その隙を逃さずにゴンゾウが牙竜の尻尾を掴み、力ずくで引き寄せる。いくら巨人族の怪力でも竜種を抑え込むのは普通ならば不可能に近いが、肉体の限界まで筋力を高めたゴンゾウは牙竜を抑え込む。


「うおおおおっ!!」
「ガアアッ……!?」
「ちょっ、凄いなお前!?そんな事、あたしにもできないぞ!?」


ハルナは牙竜を腕力だけで抑え付けたゴンゾウに驚き、一見は人間に見えるがミノタウロスである彼女の身体能力でもゴンゾウと同じ真似は出来ない。しかし、ゴンゾウが抑えている間にレナ達も動き出し、各々が武器を構えて最後の攻撃を仕掛けた。


「一刀両断!!」
「勁撃!!」
「抜刀!!」
「紫電!!」
「ッ――――!?」


レナ、リンダ、ハンゾウ、ハルナの攻撃が同時に衝突し、牙竜は声にもならない悲鳴を上げて絶命した――





――その後、倒した3体の牙竜の前に全員が集まり、この際に隠れていた冒険者や使用人も倒した牙竜の死体を唖然とした。本来ならば災害の象徴と恐れられる竜種だが、今のレナ達にとっては強敵と呼べるほどの敵ではなかった。それどころか誰が一番倒したのかで揉めていた。


「ちょっと待てよ!!最後の奴はあたしが倒したんだぞ!?だからあたしが一番多く倒したんだろうが!!」
「何言ってんだい、あんた私が攻撃している途中だったのに邪魔したんだろうが!!別にあんたの力を借りなくても、あたしだけ首を切り落とせたよ!!ていうか、大剣弁償しな!!」
「まあまあ、落ち着きなよ……」
「どちらにしろ、牙竜を確実に1体倒しているのはレナ様だけですね……」
「むうっ……まだまだ力不足か」


ハルナはバルと倒した牙竜の一件で揉めており、結局は牙竜を明確に倒したのはレナだけであり、今回の勝者はレナだと決まった――
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