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真・最終章 七魔将編
都市への潜入
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「悪いけど、カノンの事は皆に任せるよ。ウル、お前も手伝ってやれ。カノンの臭いは覚えてるな?」
「ウォンッ!!」
「……そう言う事ならカノンの事は俺に任せろ、ハンゾウ!!お前はレナの手助けをしてやれ!!そっちの方がいいだろう!!」
「確かにそうでござるな、それではレナ殿。拙者も共に戻るでござる」
「うん、頼りにしてるよ」
「あの……僕も一緒に行っていいですか?」
都市に戻る前にシノビはハンゾウにレナの事を任せ、忍者である彼女ならば潜入活動の際も色々と手助けしてくれると思い、レナは彼女を受け入れる。しかし、この時にミレトも挙手してレナの同行を願い出ると、他の者は驚いた様に彼に視線を向けた。
「ミレト……気持ちは有難いけど、俺達はこれから潜入活動をするんだよ?大丈夫?」
「はい、昔から隠れて行動するのは得意なので……一応、気配遮断と隠密と無音歩行の技能も覚えています」
「え、それは凄いね……よく覚えてたね」
「……色々とありまして」
ミレトが潜入に役立つ技能を覚えていた事にレナは驚き、言われてみれば先に行動を共にしていた時も足手まといになる事はなかった。ゴンゾウは残念ながら体格的にも潜入には向いておらず、改めてレナはハンゾウとミレトと共に都市へ戻る事にした。
「よし、それじゃあカノンの事は任せるよ」
「ああ、任せろ……お前も頼りにしているぞ」
「ウォンッ!!」
シノビの言葉にウルは鳴き声を上げ、この二人は意外と気が合うらしく、彼等に任せれば逃げ出したカノンも捕まえるのも時間の問題たと思われた。そもそも古代遺跡は深淵の森の奥部に存在し、簡単に森からは抜け出せないため、カノンが逃げたとしても人の足では今日中に森を抜け出す事は出来ない。
不安はあるが、カノンの事は古代遺跡に残る人間に任せるしかなく、改めてレナは冒険都市に繋げた黒渦を展開し、再びフェリス商会が管理する建物へと帰還した――
――当面の目標は都市からの脱出であり、こちらの方が行きに利用した下水道を通じてレナ達は都市から脱出を試みるが、先にレナ達が残した悪臭を嗅ぎ分けた獣人族の冒険者が他の人間にも報告を行い、街の警備が強化されていた。
下水道に通じる抜け道には兵士や冒険者が配置され、見張りを行う。これでは下手に下水道に移動しようとすれば見つかってしまい、簡単に都市には抜け出せない。仮に強行突破すれば当然だが他の冒険者にも気づかれ、更に逃げるのが困難になる。
「困ったでござるな、ここも見張られているでござる」
「どうしましょうか……」
「ふうっ……別の場所を探すしかないか」
レナ達は屋根の上に身を潜め、地上の様子を伺う。時刻は深夜を迎えそうだというのに兵士達が忙しなく動き回り、中には一般人らしき人間も存在した。どうやらアルドラは一般人も駆り出したらしく、街の住民達を起こして兵士は警戒を怠らない様に告げた。
「いいか!!侵入者が現れた、もしも発見した場合はすぐに我々に報告しろ!!」
「は、はい……分かりました」
「言っておくが侵入者を匿えば死刑に処すからな!!忘れるな!!」
「ひいっ!?わ、分かりましたよ……!!」
建物の一軒一軒に兵士は尋ね、中の住民に注意を行う。その様子を見てレナは街の住民に迷惑を掛けた事に心が痛むが、今はどうにも出来ず、アルドラを倒すために拠点を探すしかなかった。
『アイリス、一応は聞くけど……このままアルドラのいる所に乗り込んで皆を呼び出してアルドラを倒すのは無理かな?』
『ほぼ不可能ですね。アルドラの傍にはゴウライとシズネが待機していますし、他にも冒険者がわんさかいます。それにアルドラの傍には他の七魔将もいるようです』
『誰の事?』
『七魔将オウガです。実力は七魔将の中でも一、二を争いますし、ゴウライとシズネが操られたのもこの男の仕業です』
『……そんな奴までいるのか』
アルドラの傍にはゴウライとシズネだけではなく、七魔将のオウガも滞在しているらしく、現状の勢力では太刀打ちできないらしい。それを知ったレナは仕方なく強行突破を諦め、無難に都市の外へ抜け出す算段を考える。
とりあえずは街の中を移動し、人気のない廃墟を見つけだす。元々は教会であり、かつてレナがアリアと争って焼け崩れた廃墟と化していた。まさかこの場所に戻ってくる事になるとは思わず、レナは表情を引き締めた。
「どうやらここは人がいない様でござるな……しばらくはここで休めそうでござる」
「そうですね」
「……うん」
焼け崩れた廃墟にレナ達は足を踏み入れ、この時にレナは瓦礫の山を伺う。今から2年近く前、この場所でレナはアリアと死闘を繰り広げ、彼女に勝利した。そしてアリアを殺めた場所であり、ここに彼女の墓を作った。
アリアの墓は二つ存在し、一つはこの場所、もう一つはかつてレナが暮らしていた深淵の森の屋敷に存在する。アリアの事を思い出すとレナは胸が痛くなり、気持ちを切り替えようと頭を振る。
※コミカライズ版の更新は12月に延期になりました。南条先生の体調回復をお祈りします。
「ウォンッ!!」
「……そう言う事ならカノンの事は俺に任せろ、ハンゾウ!!お前はレナの手助けをしてやれ!!そっちの方がいいだろう!!」
「確かにそうでござるな、それではレナ殿。拙者も共に戻るでござる」
「うん、頼りにしてるよ」
「あの……僕も一緒に行っていいですか?」
都市に戻る前にシノビはハンゾウにレナの事を任せ、忍者である彼女ならば潜入活動の際も色々と手助けしてくれると思い、レナは彼女を受け入れる。しかし、この時にミレトも挙手してレナの同行を願い出ると、他の者は驚いた様に彼に視線を向けた。
「ミレト……気持ちは有難いけど、俺達はこれから潜入活動をするんだよ?大丈夫?」
「はい、昔から隠れて行動するのは得意なので……一応、気配遮断と隠密と無音歩行の技能も覚えています」
「え、それは凄いね……よく覚えてたね」
「……色々とありまして」
ミレトが潜入に役立つ技能を覚えていた事にレナは驚き、言われてみれば先に行動を共にしていた時も足手まといになる事はなかった。ゴンゾウは残念ながら体格的にも潜入には向いておらず、改めてレナはハンゾウとミレトと共に都市へ戻る事にした。
「よし、それじゃあカノンの事は任せるよ」
「ああ、任せろ……お前も頼りにしているぞ」
「ウォンッ!!」
シノビの言葉にウルは鳴き声を上げ、この二人は意外と気が合うらしく、彼等に任せれば逃げ出したカノンも捕まえるのも時間の問題たと思われた。そもそも古代遺跡は深淵の森の奥部に存在し、簡単に森からは抜け出せないため、カノンが逃げたとしても人の足では今日中に森を抜け出す事は出来ない。
不安はあるが、カノンの事は古代遺跡に残る人間に任せるしかなく、改めてレナは冒険都市に繋げた黒渦を展開し、再びフェリス商会が管理する建物へと帰還した――
――当面の目標は都市からの脱出であり、こちらの方が行きに利用した下水道を通じてレナ達は都市から脱出を試みるが、先にレナ達が残した悪臭を嗅ぎ分けた獣人族の冒険者が他の人間にも報告を行い、街の警備が強化されていた。
下水道に通じる抜け道には兵士や冒険者が配置され、見張りを行う。これでは下手に下水道に移動しようとすれば見つかってしまい、簡単に都市には抜け出せない。仮に強行突破すれば当然だが他の冒険者にも気づかれ、更に逃げるのが困難になる。
「困ったでござるな、ここも見張られているでござる」
「どうしましょうか……」
「ふうっ……別の場所を探すしかないか」
レナ達は屋根の上に身を潜め、地上の様子を伺う。時刻は深夜を迎えそうだというのに兵士達が忙しなく動き回り、中には一般人らしき人間も存在した。どうやらアルドラは一般人も駆り出したらしく、街の住民達を起こして兵士は警戒を怠らない様に告げた。
「いいか!!侵入者が現れた、もしも発見した場合はすぐに我々に報告しろ!!」
「は、はい……分かりました」
「言っておくが侵入者を匿えば死刑に処すからな!!忘れるな!!」
「ひいっ!?わ、分かりましたよ……!!」
建物の一軒一軒に兵士は尋ね、中の住民に注意を行う。その様子を見てレナは街の住民に迷惑を掛けた事に心が痛むが、今はどうにも出来ず、アルドラを倒すために拠点を探すしかなかった。
『アイリス、一応は聞くけど……このままアルドラのいる所に乗り込んで皆を呼び出してアルドラを倒すのは無理かな?』
『ほぼ不可能ですね。アルドラの傍にはゴウライとシズネが待機していますし、他にも冒険者がわんさかいます。それにアルドラの傍には他の七魔将もいるようです』
『誰の事?』
『七魔将オウガです。実力は七魔将の中でも一、二を争いますし、ゴウライとシズネが操られたのもこの男の仕業です』
『……そんな奴までいるのか』
アルドラの傍にはゴウライとシズネだけではなく、七魔将のオウガも滞在しているらしく、現状の勢力では太刀打ちできないらしい。それを知ったレナは仕方なく強行突破を諦め、無難に都市の外へ抜け出す算段を考える。
とりあえずは街の中を移動し、人気のない廃墟を見つけだす。元々は教会であり、かつてレナがアリアと争って焼け崩れた廃墟と化していた。まさかこの場所に戻ってくる事になるとは思わず、レナは表情を引き締めた。
「どうやらここは人がいない様でござるな……しばらくはここで休めそうでござる」
「そうですね」
「……うん」
焼け崩れた廃墟にレナ達は足を踏み入れ、この時にレナは瓦礫の山を伺う。今から2年近く前、この場所でレナはアリアと死闘を繰り広げ、彼女に勝利した。そしてアリアを殺めた場所であり、ここに彼女の墓を作った。
アリアの墓は二つ存在し、一つはこの場所、もう一つはかつてレナが暮らしていた深淵の森の屋敷に存在する。アリアの事を思い出すとレナは胸が痛くなり、気持ちを切り替えようと頭を振る。
※コミカライズ版の更新は12月に延期になりました。南条先生の体調回復をお祈りします。
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