上 下
1,353 / 2,083
真・最終章 七魔将編

レナVSカノン 《再戦》

しおりを挟む
――大将軍まで上り詰めたカノンの実力は本物であり、魔銃というこの世界に存在する神器の中でも銃の特徴を持った武器は非常に有能だった。カノンが所持する「カノン」と「レイザー」は遠方の敵にも攻撃できる優れ物だった。

カノンと偶然にも同じ名前の「神器カノン」はマグナムに酷似した魔銃であり、こちらは火属性の魔石を弾丸の形に削って打ち込む道具である。威力に関しては使用する魔石の質によって異なるが、撃ち込まれた魔弾は衝突した瞬間に爆発を引き起こす。この魔銃の恐ろしい点は身体に魔弾がめり込めば内側から爆発を引き起こすため、高レベルの人間であろうと生身の状態で受ければ無事では済まない。

もう一つの神器である「レイザー」に関しては戦車の砲台を想像させる形をしており、こちらは手の甲の部分に装着する。隠し武器として役割があり、相手が接近してきたときに使用する。カノンと違う点はこちらは装着した魔石の魔力を利用して光線を放つ。威力に関しては相手と距離がある程落ちるが、至近距離ならば人間相手ならば確実に身体を貫き、焼き尽くす。

そして最後にカノンが自前で作り上げた武器こそが「ブラスト」であり、こちらはカノンと同様に魔石を発射するのだが、ブラストの場合はカノンよりも大きい魔石を発射できる。地球の武器ならばグレネードランチャーに酷似しており、恐らくではあるが最初にレナに攻撃を仕掛けてきたのはこの武器だと考えられた。弾丸が発射される時は魔力を放出し、火炎の塊を想像させる攻撃を行う。


「敵に回すと本当に厄介だな……味方の時は大して役に立たなかったくせに」
「聞こえてるわよ、ぶっ殺すわよ!!だいたい、それなりに役には立っていたでしょうが!?」


レナの言葉に森の何処かに隠れているカノンが言い返すが、実際の所は彼女は釈放を条件に闘技祭に参加して王国の代表者として本選まで勝ち残った。一応は準決勝まで進出し、あのゴウライとの戦闘ではイリアやダインと協力して追い詰めていた。

結果から言えばゴウライには敗れはしたが、王国の代表者としての強さを見せつけた。但し、彼女は試合後は姿を消したと聞いていたが、まさかアルドラと手を組んで敵となるなどレナは考えもしなかった。


『アイリス、カノンの居場所を教えて』
『……って、私にそれを聞くんですか?一騎打ちみたいな雰囲気なのにずるくありません?』
『こっちも急いでるんだよ。だいたい試合でもないのにいちいち真面目に戦っていられるか』


レナはアイリスと交信を行い、カノンの正確な居場所を尋ねる。何処に隠れようとこの世界の事を見通せるアイリスが居ればカノンの居場所を捉えるなど容易く、レナはアイリスに正確な位置を教えてもらう。


『全く、こっちはうきうきしながらレナさんの戦闘を観戦してたのに……』
『観客気分で見てんじゃないよ。こっちは命懸けだぞ?』
『はいはい、分かりましたよ。まあ、レナさんに死なれらたら私も困るので教えてあげますよ。カノンの居場所は南東の方角です。そっちを目指してください』
『南東ね、了解』


指示された通りにレナは南東の方角に向けて駆け出し、カノンが隠れている場所へ向かう。姿は見えないが、アイリスの指示を信じるならばこの先にカノンが隠れているはずだった。


「カノン、降参しろ!!そうすれば許してやるぞ!!」
「嫌よ!!もうあんたらみたいな連中に仕えるのは御免よ!!」


移動の際中にレナはカノンに声を掛けると、進行方向から火属性の魔弾が放たれ、それらを回避しながら真っ直ぐに向かう。現在のレナの身体能力と動体視力ならば本物の銃弾であろうと容易く避ける事が出来る。

但し、現在のレナは空間魔法を発動させて異空間に収納した武器や道具の類は取り出せない。理由としては現在のレナは空間魔法を常に発動しており、古代遺跡に黒渦を設置している。常に魔力を消耗している状態で他の合成魔術も利用すると更に魔力を消耗し、余計に体力を消費してしまう。

今回の戦闘は武器や魔法に頼れず、技能だけを駆使してカノンと戦わなければならない。弾丸を回避しながらレナはカノンの位置をアイリスに頼んで定期的に把握し、距離を詰めていく。


『カノンとの距離も大分近付いてきましたよ。ですが気を付けてください、近づけば近づく程に相手もレナさんの位置を掴んで正確に狙い撃つ事が出来ますからね……南の方角に移動しました!!』
『分かってるよ!!』


アイリスの言葉を聞いてレナは南の方向を変えると、遂にカノンの姿を捉える。彼女はブラストを構えており、レナに向けて発射した。


「このっ……いい加減にくたばりなさい!!」
「くっ……!?」


カノンの狙いはレナを直接狙い撃つ事ではなく、彼の足元に目掛けて魔弾を発射させ、爆発を引き起こして巻き込む事だった。その攻撃に対してレナは上空に跳躍するしかなく、そこを狙ってカノンは狙い撃つ。
しおりを挟む
感想 5,087

あなたにおすすめの小説

“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか

まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。 しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。 〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。 その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。