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弱肉強食の島編

閑話 ミレトの救出

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「さあ、テンさん……これを飲んで僕達の仲間になろう」
「くそっ……そんなの飲むくらいなら死んだ方がマシだね!!」
「なら……力ずくでも飲ませるよ!!」
「ふっ!!」
「はっ!!」


ミナの言葉に反応して他の二人の冒険者が動き出すと、バルは大剣を構えようとした。しかし、そんな彼女の前に何者かが駆け込むと、迫りくる3人の冒険者を弾き飛ばす。


「乱れ突き!!」
「うわっ!?」
「ぬおっ!?」
「くぅっ!?」
「なっ……あ、あんたは!?」


バルの窮地を救ったのは魔槍ロンギヌスを所持したミレトであり、彼は目にも止まらぬ速度で槍を突き出すと3人の冒険者を同時に追い返す。ミレトの登場にバルは驚くが、当のミレトは3人の冒険者相手に追撃を行う。


「刺突・乱!!」
「うわわっ!?」
「くぅっ……!!」
「回し受……きゃあっ!?」


乱れ突きの戦技よりも素早くミレトは槍を3回繰り出すと、ミナは咄嗟に回避する事に成功し、巨人族の冒険者は両手の盾で防ぐ事に成功するが、この際に盾の片方が破壊される。最後に格闘家の冒険者に至っては防御の戦技が間に合わず、右肩を突かれて吹き飛ぶ。

仮にもA級冒険者揃いの敵を相手にたった一人で相手をするミレトにバルは戦慄し、彼はロンギヌスを振りかざすとバルに視線を向け、彼女の腕を掴んで駆け出す。


「逃げましょう」
「ちょ、あんた……!?」
「あっ……ま、待て!!」
「くっ……!!」


バルはミレトに腕を掴まれてそのまま駆け出すと、慌ててミナと巨人族の冒険者は追いかけようとした。だが、格闘家の冒険者の負傷は激しく、彼女は右肩を抑えながら膝を着いたまま動かない。


「くぅっ……こ、ここは?どうなってるの?」
「何っ!?」
「えっ!?」


格闘家の少女が声を上げると、ミナと巨人族の冒険者は立ち止まり、信じられない表情を浮かべる。それを見てバルは不思議に思うが、彼女はミレトに掴まれてそのまま街道を駆け抜ける。


「離れないで!!逃げますよ!!」
「あ、ああっ……けど、あんたいったい……」
「説明は後で!!」


ミレトはバルを連れて駆け出し、彼女は何が起きているのか訳が分からぬまま彼と共に街中を駆け抜けた――





――この日、冒険都市は女性冒険者の唐突な反乱によって兵士と冒険者は敗れ、捕まってしまう。理由は不明だが反乱に協力したのは女性冒険者だけではなく、兵士や民衆も含まれており、しかも全員が女性である事が判明した。

反乱の切っ掛けとなったのは氷雨の冒険者が守護する城壁が突破された事で間違いなく、実は最初に街に入ってきた侵入者たちはレナ達も良く知る人物であった。その人物の片方は氷雨の関係者でもあり、他の者達は完全に油断していた。


「おい、あんたもしかして……ゴウライか!?」
「それにそっちにいるのはシズネか!?お前等、無事だったんだな!!」
「ふはははっ!!只今戻ったぞ!!」
「…………」


時は遡り、冒険都市に侵入者を許す前の時間帯まで戻る。氷雨の冒険者が守護する城壁に現れたのは「ゴウライ」と「シズネ」だった。行方不明だった二人が戻ってきた事に氷雨の冒険者は歓迎し、あっさりと城壁内に通す。


「良かった、お前等が急にいなくなって聞いてたから心配してたんだぞ!!」
「まあ、お前等が死ぬとは思っていなかったが……今まで何処に居たんだ?」
「はっはっはっ!!それを話すと長くなるからな、その前にお前達に頼みたいことがあるんだが……」
「ん?何だ?」


冒険者達がゴウライとシズネが今まで何処に行っていたのかを問うと、ここでゴウライは瓶を取り出す。その瓶は血の様に赤色の液体が入っており、それを見た冒険者達は疑問を抱く。


「すまんが、ここにいる女は今すぐにこれを飲んでくれないか?」
「えっ……ど、どうして?それ、何ですか?」
「ミナ、貴女もここに居たのね。丁度良かったわ」


ゴウライの言葉に全員が戸惑い、この時にミナもこの場に存在した。シズネはミナを発見すると笑みを浮かべ、彼女はミナの腕を掴むと自分が持っている瓶を取り出し、それを彼女に渡す。


「さあ、それを飲みなさい」
「え、あの……シズネさん?急にどうしたんですか?」
「いいから飲みなさい、それを飲めば貴女も……」
「おい、急に現れて何を言い出すんだお前!!」


この時に怪しい雰囲気を察したガロがミナとシズネの間に割り込み、彼は警戒した様子でシズネを睨みつけた。獣人族の本能が危険を知らせ、ミナにこの怪しげな液体を飲ませてはならないと彼は判断した。

しかし、ガロが間に割って入った途端にシズネは態度を急変させ、彼女はガロの顔を見て眉をしかめ、やがてガロを見下した風に呟く。


「貴方……思い出したわ、確かいつもミナの後をつけ回る男ね。そういえば貴方も冒険者だったのね」
「な、何だと!?てめえ、俺を舐めてるのか?」
「悪いけど、私は弱い男に興味はないわ。だから消えなさい」
「ふ、ふざけるな!!」
「ガロ、駄目!?」


ガロはシズネの発言に怒りを抑えきれず、彼女の胸ぐらを掴もうとした。しかし、それに対してシズネは素早い動作でガロの腕を振り払い、刀の柄をみぞおちに叩き込む。



※シズネに掴める胸があるかどうかとかは気にしてはいけません
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