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世界の異変編
その他の聖痕所有者たちは……
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――同時刻、炎の聖痕の所有者であるホムラは巨塔の大迷宮の第五階層にて野宿していた。彼女が転移したのは巨塔の大迷宮の近くであり、転移した日からずっと大迷宮に潜っていた。
ホムラは用事を済ませれば里へ引き返すつもりではあったが、大迷宮の事は噂には聞いており、どのような場所なのかと思って潜り込んだ。第一階層から順に攻略し、遂には第五階層へと辿り着いた。彼女は襲い掛かってくる魔物達を倒し、着々と力を身に付ける。
「ふんっ!!」
『グギャアアアアッ!?』
第五階層に生息するゴブリンキングの群れに対してホムラは魔刀術を発動させた薙刀を振り払い、焼き尽くす。この大迷宮内の魔物は外の魔物とは違い、いくら倒しても全滅する事はなく、いくらでも戦い続ける事が出来るのはホムラも気に入っていた。
「大迷宮か……気に入ったぞ」
「ギァアアアアッ!!」
ゴブリンキングの中から一際巨大な個体が出現し、他の仲間を蹴散らしながらホムラの元へ向かう。ゴブリンキングの中でも最も強く、力を持つ存在は「ゴブリンロード」と呼ばれる。ゴブリンの皇帝とも呼ばれ、通常のゴブリンキングの倍は誇る腕力と体躯を誇るという。
ホムラはゴブリンロードを前にしても怯まず、むしろ初めて見る魔物に嬉しそうに薙刀を構える。ここまで戦闘を楽しめるのは久しぶりであり、彼女は聖痕の力を解放する。
「面倒だ、ここら一帯を焼き尽くしてやろう」
「ギアッ……!?」
「ふんっ!!」
宣言通りにホムラは薙刀を地面に突き刺した瞬間、炎の魔力が拡散して周囲一帯に広がり、文字通りに「焼け野原」と化す――
――その頃、聖属性の聖痕の所有者であるレミアは延々と続く荒野を歩き続けていた。もう何日も碌な食事をとっておらず、明らかに衰弱していた。自分が何処に飛ばされたのかも分からず、当てもなく彷徨い続ける事にレミアは精神的にも追い詰められていた。
「ここは……何処?私は、何を……」
もう意識も混濁しており、彼女は足元をふらつかせながらも歩き続ける。やがて足に力が入らず、膝を着くと彼女は倒れ込む。もう歩く気力もなく、これで駄目かと思われた時、彼女の前に人影が現れた。
「おい、こんな所に誰か倒れているぞ」
「人間、みたいだな」
「こいつ、どうする?」
「見過ごす事も出来んだろう」
「…………?」
聞こえてきた声にレミアは疑問を抱き、誰かが来てくれたのかと思った彼女は顔を上げるが、もう視界もぼやけて顔をも良く見えない。彼女の前に集まった人影はレミアを抱き上げると、水筒を口に押し付けて水を飲ませる。
「ほら、ゆっくりと飲むんだ」
「んぐっ……!?」
「焦るな、水ならたくさんあるからな」
「可哀想に……大分弱っているようだな」
レミアは水を飲ませながら抱き上げられると、ここで自分を持ち上げた人物の腕に鱗が覆っている事に気付く。その事実に気付いたレミアは驚いて目を見開くと、自分を救い出したのが人間ではない事に気付いた。
彼女を救い出したのは全身が青色の鱗に覆われた「竜」と「人間」が合わさったような存在であり、他の者達も同様の姿をしていた。どうやら魔人族のようだが、人間の言葉を話している辺りはミノタウロスやサイクロプスのように知能が非常に高い種族らしい。
(魔人族……どうしてこんな場所に!?)
レミアは自分を抱き上げる者に疑問を抱くが、彼等の姿を見て思い出したのは「竜人将ガイア」である。ガイアと彼等は瓜二つの格好をしており、ガイアと彼等が何らかの関係があるのかと思ったが、ガイアと違って今の所はレミアに危害を加える様子はない。
「この子、何処から来たんだろう?」
「不思議だな……この地に人間が訪れるなど、どれくらいぶりだ」
「何にせよ、ここに置いていたら死んでしまうな……連れて行くぞ」
「そうだな、ダークエルフ族に見つかる前に運び出すか」
「……?」
レミアは自分を連れて行こうとする謎の魔人族に戸惑うが、今の所は彼女を襲う様子はない。それどころか見ず知らずの自分を助けようとする彼等に戸惑う。どうやらガイアと違って彼等は温厚な性格らしく、自分達の住処へと連れて行こうとしていた。何が何だか分からないが、碌に身体が動けないレミアは抵抗する事も出来ず、そのまま連れて行かれる――
――場所は変わり、海を移動する巨大な生物が存在した。外見は亀にも似ているが、背中にあるのは亀の甲羅ではなく、巨大な島を丸ごと背負っていた。厳密に言えば巨大生物の背中が島その物であり、その生物の顔面は竜種のような形相をしていた。
オオオオオンッ……!!
咆哮を放ちながら巨大生物は海を移動し、当てもなく彷徨い続ける。この島を背負った巨大な竜種こそ、ヨツバ王国の南部に存在する「古代龍」と同じく、数千年も生き続けている超大型竜種だった――
ホムラは用事を済ませれば里へ引き返すつもりではあったが、大迷宮の事は噂には聞いており、どのような場所なのかと思って潜り込んだ。第一階層から順に攻略し、遂には第五階層へと辿り着いた。彼女は襲い掛かってくる魔物達を倒し、着々と力を身に付ける。
「ふんっ!!」
『グギャアアアアッ!?』
第五階層に生息するゴブリンキングの群れに対してホムラは魔刀術を発動させた薙刀を振り払い、焼き尽くす。この大迷宮内の魔物は外の魔物とは違い、いくら倒しても全滅する事はなく、いくらでも戦い続ける事が出来るのはホムラも気に入っていた。
「大迷宮か……気に入ったぞ」
「ギァアアアアッ!!」
ゴブリンキングの中から一際巨大な個体が出現し、他の仲間を蹴散らしながらホムラの元へ向かう。ゴブリンキングの中でも最も強く、力を持つ存在は「ゴブリンロード」と呼ばれる。ゴブリンの皇帝とも呼ばれ、通常のゴブリンキングの倍は誇る腕力と体躯を誇るという。
ホムラはゴブリンロードを前にしても怯まず、むしろ初めて見る魔物に嬉しそうに薙刀を構える。ここまで戦闘を楽しめるのは久しぶりであり、彼女は聖痕の力を解放する。
「面倒だ、ここら一帯を焼き尽くしてやろう」
「ギアッ……!?」
「ふんっ!!」
宣言通りにホムラは薙刀を地面に突き刺した瞬間、炎の魔力が拡散して周囲一帯に広がり、文字通りに「焼け野原」と化す――
――その頃、聖属性の聖痕の所有者であるレミアは延々と続く荒野を歩き続けていた。もう何日も碌な食事をとっておらず、明らかに衰弱していた。自分が何処に飛ばされたのかも分からず、当てもなく彷徨い続ける事にレミアは精神的にも追い詰められていた。
「ここは……何処?私は、何を……」
もう意識も混濁しており、彼女は足元をふらつかせながらも歩き続ける。やがて足に力が入らず、膝を着くと彼女は倒れ込む。もう歩く気力もなく、これで駄目かと思われた時、彼女の前に人影が現れた。
「おい、こんな所に誰か倒れているぞ」
「人間、みたいだな」
「こいつ、どうする?」
「見過ごす事も出来んだろう」
「…………?」
聞こえてきた声にレミアは疑問を抱き、誰かが来てくれたのかと思った彼女は顔を上げるが、もう視界もぼやけて顔をも良く見えない。彼女の前に集まった人影はレミアを抱き上げると、水筒を口に押し付けて水を飲ませる。
「ほら、ゆっくりと飲むんだ」
「んぐっ……!?」
「焦るな、水ならたくさんあるからな」
「可哀想に……大分弱っているようだな」
レミアは水を飲ませながら抱き上げられると、ここで自分を持ち上げた人物の腕に鱗が覆っている事に気付く。その事実に気付いたレミアは驚いて目を見開くと、自分を救い出したのが人間ではない事に気付いた。
彼女を救い出したのは全身が青色の鱗に覆われた「竜」と「人間」が合わさったような存在であり、他の者達も同様の姿をしていた。どうやら魔人族のようだが、人間の言葉を話している辺りはミノタウロスやサイクロプスのように知能が非常に高い種族らしい。
(魔人族……どうしてこんな場所に!?)
レミアは自分を抱き上げる者に疑問を抱くが、彼等の姿を見て思い出したのは「竜人将ガイア」である。ガイアと彼等は瓜二つの格好をしており、ガイアと彼等が何らかの関係があるのかと思ったが、ガイアと違って今の所はレミアに危害を加える様子はない。
「この子、何処から来たんだろう?」
「不思議だな……この地に人間が訪れるなど、どれくらいぶりだ」
「何にせよ、ここに置いていたら死んでしまうな……連れて行くぞ」
「そうだな、ダークエルフ族に見つかる前に運び出すか」
「……?」
レミアは自分を連れて行こうとする謎の魔人族に戸惑うが、今の所は彼女を襲う様子はない。それどころか見ず知らずの自分を助けようとする彼等に戸惑う。どうやらガイアと違って彼等は温厚な性格らしく、自分達の住処へと連れて行こうとしていた。何が何だか分からないが、碌に身体が動けないレミアは抵抗する事も出来ず、そのまま連れて行かれる――
――場所は変わり、海を移動する巨大な生物が存在した。外見は亀にも似ているが、背中にあるのは亀の甲羅ではなく、巨大な島を丸ごと背負っていた。厳密に言えば巨大生物の背中が島その物であり、その生物の顔面は竜種のような形相をしていた。
オオオオオンッ……!!
咆哮を放ちながら巨大生物は海を移動し、当てもなく彷徨い続ける。この島を背負った巨大な竜種こそ、ヨツバ王国の南部に存在する「古代龍」と同じく、数千年も生き続けている超大型竜種だった――
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