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ダイン 監獄都市編
おまけ 《その頃のマリア》
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――ダインが監獄都市にて自由を得るために奮闘する頃、彼と同じく転移したマリアはある場所に存在した。それはこの星でも最も危険な場所であり、同時に彼女にとっても忌まわしい思い出がある場所でもあった。
「……また、この地に足を踏み入れるなんてね」
マリアが存在する場所は周囲一帯が黒色の草花に覆われた草原だった。この場所はかつて魔王が復活し、当時の初級魔術師の勇者である「ルノ」によって討たれた場所だと言われている。ここには元々は勇者が作り上げた要塞は存在したが、現在は跡形も残っていない。
数日前にこの場所に転移してからマリアは冒険都市に戻れない理由、それはこの場所が特殊な結界によって封じられており、魔法の類が弱体化されてしまう。どうしてそのような結界が施されているのかというと、それはこの地ではかつて幾度も魔王と勇者が相対した場所だからである。
理由は不明だがこの地には幾度も勇者と魔王が訪れ、激しい戦闘を繰り広げる。そのせいで草原の色は勇者と魔王の影響を受けて魔力を宿し、その植物を利用して良からぬ事を企む輩も多かった。だからこそこの地に誰も近づけぬように特殊な結界が施されたという。
「相変わらず嫌な場所ね、ここは……私の魔力を全て吸い上げるつもりかしら」
マリアは岩の上に座り込みながら草原に視線を向け、ここにいるだけでマリアは魔力を吸い込まれ、気分を害する。こんな場所はさっさと抜け出したい所だが、ここに存在する結界は力ずくでは破壊できない。
最上級魔法を扱えるマリアでさえもこの場所の結界は破壊する事は出来ず、もう何日も過ごしていた。救援が来る見込みは薄く、仮に脱出するにしても結界をどうにかしなければならない。しかし、マリアの現在の状態では碌な魔法が扱えない。
(転移魔法も使えそうにないわね、魔法陣を書き込んでもここの植物達が魔力を吸収して掻き消してしまう……魔力を生命力に変化させればあと数日ぐらいは平気でしょうけど、それでも限界は近いわ)
数日も飲まず食わずでマリアが生きているのは彼女が自身の膨大な魔力を利用して生命力を活性化させているからに過ぎないが、それはあくまでも一時しのぎにしか過ぎない。魔力が尽きればマリアの肉体は弱体化し、死に至る可能性もある。
転移魔法を利用すれば結界を潜り抜けて外部からここへ訪れる事は出来るが内側から転移魔法を使う事は出来ない。厳密に言えば転移魔法を発動させようとすれば植物が魔力を吸収して阻害する。以前にマリアはこの結界に閉じ込められたときはアイラを筆頭に他の冒険者仲間が救いに来てくれた。
(流石に姉さんが助けに来てくれるはずがないわ。なら、自分で脱出しないと……面白いわね)
この地に閉じ込められたとき、若かりし頃のマリアはどうする事も出来ず、死にかけた。しかし、今のマリアは若い頃とは違い、冷静に対処出来た。昔の自分に出来なかった事でも今の自分ならば出来る、そう考えたマリアは考えを切り替える。
「勇者が残したという結界……それを破る事が出来れば私は勇者を越えた存在になり得るという事ね」
この草原に結界を生み出したのは勇者だと伝わっており、その結界を破る事が出来ればマリアは勇者を越えた魔術師になれる。久しぶりに冒険者時代の負けん気を起こしたマリアは両手を広げて魔法の準備を行う――
「……また、この地に足を踏み入れるなんてね」
マリアが存在する場所は周囲一帯が黒色の草花に覆われた草原だった。この場所はかつて魔王が復活し、当時の初級魔術師の勇者である「ルノ」によって討たれた場所だと言われている。ここには元々は勇者が作り上げた要塞は存在したが、現在は跡形も残っていない。
数日前にこの場所に転移してからマリアは冒険都市に戻れない理由、それはこの場所が特殊な結界によって封じられており、魔法の類が弱体化されてしまう。どうしてそのような結界が施されているのかというと、それはこの地ではかつて幾度も魔王と勇者が相対した場所だからである。
理由は不明だがこの地には幾度も勇者と魔王が訪れ、激しい戦闘を繰り広げる。そのせいで草原の色は勇者と魔王の影響を受けて魔力を宿し、その植物を利用して良からぬ事を企む輩も多かった。だからこそこの地に誰も近づけぬように特殊な結界が施されたという。
「相変わらず嫌な場所ね、ここは……私の魔力を全て吸い上げるつもりかしら」
マリアは岩の上に座り込みながら草原に視線を向け、ここにいるだけでマリアは魔力を吸い込まれ、気分を害する。こんな場所はさっさと抜け出したい所だが、ここに存在する結界は力ずくでは破壊できない。
最上級魔法を扱えるマリアでさえもこの場所の結界は破壊する事は出来ず、もう何日も過ごしていた。救援が来る見込みは薄く、仮に脱出するにしても結界をどうにかしなければならない。しかし、マリアの現在の状態では碌な魔法が扱えない。
(転移魔法も使えそうにないわね、魔法陣を書き込んでもここの植物達が魔力を吸収して掻き消してしまう……魔力を生命力に変化させればあと数日ぐらいは平気でしょうけど、それでも限界は近いわ)
数日も飲まず食わずでマリアが生きているのは彼女が自身の膨大な魔力を利用して生命力を活性化させているからに過ぎないが、それはあくまでも一時しのぎにしか過ぎない。魔力が尽きればマリアの肉体は弱体化し、死に至る可能性もある。
転移魔法を利用すれば結界を潜り抜けて外部からここへ訪れる事は出来るが内側から転移魔法を使う事は出来ない。厳密に言えば転移魔法を発動させようとすれば植物が魔力を吸収して阻害する。以前にマリアはこの結界に閉じ込められたときはアイラを筆頭に他の冒険者仲間が救いに来てくれた。
(流石に姉さんが助けに来てくれるはずがないわ。なら、自分で脱出しないと……面白いわね)
この地に閉じ込められたとき、若かりし頃のマリアはどうする事も出来ず、死にかけた。しかし、今のマリアは若い頃とは違い、冷静に対処出来た。昔の自分に出来なかった事でも今の自分ならば出来る、そう考えたマリアは考えを切り替える。
「勇者が残したという結界……それを破る事が出来れば私は勇者を越えた存在になり得るという事ね」
この草原に結界を生み出したのは勇者だと伝わっており、その結界を破る事が出来ればマリアは勇者を越えた魔術師になれる。久しぶりに冒険者時代の負けん気を起こしたマリアは両手を広げて魔法の準備を行う――
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