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ダイン 監獄都市編
監獄所長と看守長が勢揃い!?
しおりを挟む「うおおおおっ!!」
「くっ!?」
拳を繰り出してきたガルルに対して咄嗟にダインは両腕を黒腕化させ、攻撃を受けた。ガルルの全体重を乗せた衝撃は黒腕によって無効化されるが、それを見越して彼は着地と同時にダインと距離を縮めると、彼を両腕で拘束する。
「かかったな!!」
「ぐあああっ!?」
「ダインさん!?」
「ギイイッ!?」
ガルルに正面から抱きしめられたダインはそのまま彼の怪力によって拘束され、全身の骨が軋む。その様子を見てミイネとゴブは止めようとしたが、パールがそれを止めた。
「駄目よ、ミイネちゃん。これは漢同士の戦い……邪魔をしたら駄目よ」
「義母さん!!でもこのままだとダインさんが……」
「ここで負ける様な男なら貴女の事を任せる事は出来ない……それは貴方のお父さんも同じ気持ちよ」
「父さん……!?」
パールの言葉を聞いてミイネは何かに気付いたように振り返ると、彼女の視界にこの監獄の主にしてミイネの父親でもある男の姿が映し出された。
――監獄都市を管理を任され、数年前までは最強の看守長として恐れられた男、吸血鬼にして最強の剣士でもある「シン」が立っていた。彼はミイネの父親であり、パールの旦那でもあった。シンの外見は一件は女性と見間違えるほどに整った顔立ちをしており、顔半分は仮面で覆い隠している。その腰には日本刀を想像させる武器を身に付けており、名前は「三日月」という名前の名刀だった。
シンがこの場に現れた事にミイネは驚きを隠せず、現在の彼は滅多に人前に現れる事はない。ましてやミイネの前に現れるなどこの半年の間は一度もなかった。シンは娘であるミイネの事を溺愛していたが、半年前のある一件で彼女と決別し、今まで顔を合わせる事もなく過ごしていたはずである。
(どうしてこんな時にこの人が……!!)
ミイネはシンを目にすると眉を顰めるが、今は彼などに構っている暇はなく、ダインとガルルの様子を伺う。すると、ガルルに抑えつけられていたダインが反撃を繰り出していた。
「このっ……離れろっ!!」
「ぐおっ!?」
「ひ、引き剥がしただと!?」
「あのガルルの怪力を……!?」
正面から抱きしめられて拘束されていたダインだったが、彼は目を見開くと両腕の黒腕を動かし、強制的にガルルの腕を外す。渾身の力を込めて抱きしめていたにも関わらず、ダインがあっさりと自分の両腕の拘束を引き剥がした事にガルルは驚く。
(馬鹿なっ!?この小僧にどうしてこれだけの力が……!!)
厳密に言えばダインは力ずくで引き剥がしたわけではなく、両腕の黒腕を利用してガルルの拘束を振りほどいたに過ぎない。ダインの影魔法によって全身を覆い込まれた両腕は彼の意志で自由に操作する事が出来る。仮にダインの腕が折れていようがあるいは腕その物がなかったとしても黒腕は作り出せる。
黒腕の最大の特徴は魔法以外の衝撃や圧力が通じない事であり、どれだけの力を込めてガルルがダインを拘束しようと、ダインの黒腕はそれを押し退けて引き剥がす事は容易い。ダインはガルルの両腕を抑える形となり、ここで彼はガルルの股間に膝蹴りを食らわせた。
「喰らえっ!!金的!!」
「はぐぅっ!?」
「……義母さん、これも漢の戦いなんですか?」
「じ、実戦で反則はないから……」
ダインが躊躇なくガルルの急所を蹴り込む姿を見てミイネはパールにしかめっ面で尋ねるが、パールは苦し言い訳を行う。だが、実際に彼女の言う通りに実戦において反則など存在せず、ガルルの方も急所を蹴り込まれながらも膝を尽くすふりをしながら地面の砂を掴み、ダインの顔面に放つ。
「このガキがっ!!」
「うわっ!?」
「目潰し!?まずい、離れろ坊主!!」
「やれ、ガルル!!」
他の者達もダインとガルルの戦闘に目を離せず、ギル達はダインを応援し、グシャスもガルルに怒鳴りつける。この場には監獄都市の中でも影響力がある者が集まっており、それは囚人だけではなく、看守も同様であった。
「おっと、もう始まっているみたいだな!!」
「……あの小僧の相手はガルルか」
「あら……貴方達も来ちゃったの?」
「貴方達は他の地区の……」
ミイネとパールは聞きなれた声を耳にして振り返ると、そこには他の地区の看守が揃っていた。兵士区を任されているハイ・ゴブリンのパセリ、作業区の管理を任されているサイクロプスのサイク、そして闘技区を任されているミノタウロスのミノルの姿も存在する。
農業区の看守長だけがいないが、そもそも農業区の看守長は実を言えば存在しない。現在の監獄都市は監獄署長のシンと、その配下の看守長4人で構成されている。どうして農業区の看守長が決まっていないのかというと、それは監獄所長の意志である。
「俺達全員がこうして集まるのも久しぶりだな!!」
「まさかあの小僧がガルルと戦っているとはな……」
「……そろそろ決着が尽きそうだぞ」
「なら、見届けましょう。あの男の子がミイネちゃんに相応しいかどうかを」
「皆さん、まさかそのためにここへ……!?」
ミイネはこの場に看守長が集まったのが偶然ではなく、誰もがダインに注目している事に気付く。彼等の目的はダインの実力を計るためであり、監獄所長のシンもダインの様子を伺う。
「くっ!?」
拳を繰り出してきたガルルに対して咄嗟にダインは両腕を黒腕化させ、攻撃を受けた。ガルルの全体重を乗せた衝撃は黒腕によって無効化されるが、それを見越して彼は着地と同時にダインと距離を縮めると、彼を両腕で拘束する。
「かかったな!!」
「ぐあああっ!?」
「ダインさん!?」
「ギイイッ!?」
ガルルに正面から抱きしめられたダインはそのまま彼の怪力によって拘束され、全身の骨が軋む。その様子を見てミイネとゴブは止めようとしたが、パールがそれを止めた。
「駄目よ、ミイネちゃん。これは漢同士の戦い……邪魔をしたら駄目よ」
「義母さん!!でもこのままだとダインさんが……」
「ここで負ける様な男なら貴女の事を任せる事は出来ない……それは貴方のお父さんも同じ気持ちよ」
「父さん……!?」
パールの言葉を聞いてミイネは何かに気付いたように振り返ると、彼女の視界にこの監獄の主にしてミイネの父親でもある男の姿が映し出された。
――監獄都市を管理を任され、数年前までは最強の看守長として恐れられた男、吸血鬼にして最強の剣士でもある「シン」が立っていた。彼はミイネの父親であり、パールの旦那でもあった。シンの外見は一件は女性と見間違えるほどに整った顔立ちをしており、顔半分は仮面で覆い隠している。その腰には日本刀を想像させる武器を身に付けており、名前は「三日月」という名前の名刀だった。
シンがこの場に現れた事にミイネは驚きを隠せず、現在の彼は滅多に人前に現れる事はない。ましてやミイネの前に現れるなどこの半年の間は一度もなかった。シンは娘であるミイネの事を溺愛していたが、半年前のある一件で彼女と決別し、今まで顔を合わせる事もなく過ごしていたはずである。
(どうしてこんな時にこの人が……!!)
ミイネはシンを目にすると眉を顰めるが、今は彼などに構っている暇はなく、ダインとガルルの様子を伺う。すると、ガルルに抑えつけられていたダインが反撃を繰り出していた。
「このっ……離れろっ!!」
「ぐおっ!?」
「ひ、引き剥がしただと!?」
「あのガルルの怪力を……!?」
正面から抱きしめられて拘束されていたダインだったが、彼は目を見開くと両腕の黒腕を動かし、強制的にガルルの腕を外す。渾身の力を込めて抱きしめていたにも関わらず、ダインがあっさりと自分の両腕の拘束を引き剥がした事にガルルは驚く。
(馬鹿なっ!?この小僧にどうしてこれだけの力が……!!)
厳密に言えばダインは力ずくで引き剥がしたわけではなく、両腕の黒腕を利用してガルルの拘束を振りほどいたに過ぎない。ダインの影魔法によって全身を覆い込まれた両腕は彼の意志で自由に操作する事が出来る。仮にダインの腕が折れていようがあるいは腕その物がなかったとしても黒腕は作り出せる。
黒腕の最大の特徴は魔法以外の衝撃や圧力が通じない事であり、どれだけの力を込めてガルルがダインを拘束しようと、ダインの黒腕はそれを押し退けて引き剥がす事は容易い。ダインはガルルの両腕を抑える形となり、ここで彼はガルルの股間に膝蹴りを食らわせた。
「喰らえっ!!金的!!」
「はぐぅっ!?」
「……義母さん、これも漢の戦いなんですか?」
「じ、実戦で反則はないから……」
ダインが躊躇なくガルルの急所を蹴り込む姿を見てミイネはパールにしかめっ面で尋ねるが、パールは苦し言い訳を行う。だが、実際に彼女の言う通りに実戦において反則など存在せず、ガルルの方も急所を蹴り込まれながらも膝を尽くすふりをしながら地面の砂を掴み、ダインの顔面に放つ。
「このガキがっ!!」
「うわっ!?」
「目潰し!?まずい、離れろ坊主!!」
「やれ、ガルル!!」
他の者達もダインとガルルの戦闘に目を離せず、ギル達はダインを応援し、グシャスもガルルに怒鳴りつける。この場には監獄都市の中でも影響力がある者が集まっており、それは囚人だけではなく、看守も同様であった。
「おっと、もう始まっているみたいだな!!」
「……あの小僧の相手はガルルか」
「あら……貴方達も来ちゃったの?」
「貴方達は他の地区の……」
ミイネとパールは聞きなれた声を耳にして振り返ると、そこには他の地区の看守が揃っていた。兵士区を任されているハイ・ゴブリンのパセリ、作業区の管理を任されているサイクロプスのサイク、そして闘技区を任されているミノタウロスのミノルの姿も存在する。
農業区の看守長だけがいないが、そもそも農業区の看守長は実を言えば存在しない。現在の監獄都市は監獄署長のシンと、その配下の看守長4人で構成されている。どうして農業区の看守長が決まっていないのかというと、それは監獄所長の意志である。
「俺達全員がこうして集まるのも久しぶりだな!!」
「まさかあの小僧がガルルと戦っているとはな……」
「……そろそろ決着が尽きそうだぞ」
「なら、見届けましょう。あの男の子がミイネちゃんに相応しいかどうかを」
「皆さん、まさかそのためにここへ……!?」
ミイネはこの場に看守長が集まったのが偶然ではなく、誰もがダインに注目している事に気付く。彼等の目的はダインの実力を計るためであり、監獄所長のシンもダインの様子を伺う。
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