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ダイン 監獄都市編
吸血鬼もどき!?
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「ギギィッ!!」
「ぐはぁっ!?」
「うわっ……た、助かった、ありがとうゴブ!!」
「ギィイッ(その言い方だとゴブが語尾みたいに聞こえる)」
ゴブが咄嗟に囚人の男に体当たりしたお陰でダインは攻撃を免れ、ゴブに感謝の言葉を告げる。しかし、男の方は血走った目を更に見開き、爪を無茶苦茶に振り回してダインに襲い掛かった。
「がああっ!!」
「うわわっ!?」
「ダインさん、避けてっ!!」
男の鋭利な爪が壁や床をひっかき、その度に火花が散る。爪は鋭くなっただけではなく、硬度の方も鋼鉄並は誇り、もしも爪を受けたら大怪我を追うどころか致命傷になりかねない。だが、理性を半ば失っているのかその攻撃は単調で冷静に対処すれば避けられなくはない。
反撃の好機を伺ったダインは杖を構えると、ゴブとミイネはそれを見て彼の援護のために動き出し、二人はサッカースライディングのように床に身体を滑り込ませると男に足払いを行う。
「やあっ!!」
「ギギィッ!!」
「あがぁっ!?」
「今だ、シャドウ・バインド!!」
足払いによって男は倒れ込むと、それを確認したダインは杖を構えると影魔法を発動させ、男の身体を影の触手が包み込む。男は必死に引き剥がそうとするが、どれだけ力を込めようとダインの影魔法を解除する事は出来ない。
しかも暗闇の中ではダインの影魔法は普段よりも強化され、この場所なら本調子ではない彼も影魔法の長時間の維持が出来た。暗闇には闇の精霊が存在し、その精霊の力を借りてダインは普段以上の力を引き出せた。
「ぐううっ……ああっ!!」
「暴れても無駄だ!!僕の影魔法はそんな事じゃ解けないんだよ!!」
「言っても無駄ですよ。もうこの人は僕達の声が聞こえていないようですから……それよりも気になるのはこの人を吸血鬼にさせようとした何者かですね」
ミイネは吸血鬼という単語を口にして考え込み、何か心当たりがあるのか彼女は考え込む。やがて影魔法で拘束されている吸血鬼の元へ向かい、間近で様子を伺う。そんな彼女にダインは不安そうに尋ねた。
「お、おい……あんまり近づきすぎるなよ。いくら僕の影魔法で拘束してるからって危ないぞ?」
「僕の事、心配してくれるんですか?」
「何言ってんだお前……そんなの当たり前だろ、仲間なんだから」
「仲間……ですか、ふふふ」
ダインが自然にそう答えると、ミイネは少し驚いた表情を浮かべ、笑顔を浮かべる。その笑顔を見てダインはミイネが笑う時は年齢相応の無邪気な笑顔をするのだなと思う。不覚にもドキッとしたが、すぐにミイネは元の表情に戻るとダインに指示を出す。
「ダインさん、この人を解放して下さい」
「はっ!?何言ってんだよ、こいつを解放したらお前が……」
「大丈夫です、この人は僕を襲えないはずですから……それに仮に襲ってきたら、その時は僕が始末します」
「ギギィッ……」
囚人を解放しろという言葉にダインは動揺を隠せず、ゴブも不安そうな表情を抱くが、そんな彼等にミイネは自分を信じろとばかりに促すように頷く。その姿を見てダインは葛藤したが、やがて彼は杖を床から離すと影魔法が解除された。
影魔法が解除された途端に囚人は自由を取り戻し、驚いたように身体を眺める。一方でダインとゴブはいつでもミイネを助けだせる準備を行うと、男はミイネを前にして鼻息を荒くする。
「ふうっ……ふうっ……!!」
「…………」
「お、おい……ミイネ、刺激するなよ」
「ギギィッ……!!」
目の前で男を前にしてもミイネは逃げる素振りもなく、冷静な表情で男を見つめる。その態度にダインとゴブは心配そうに見つめるが、やがて男は何故かミイネから離れると、その場を去っていく。
「があああっ!!」
「……やはり、そういう事ですか」
「えっ……ど、どうして?あいつに何かしたのか?」
「ギィッ?」
勝手に逃げ出した男を見てミイネは何か確信を抱いた表情を浮かべ、一方でダインとゴブは状況が理解できずに困惑すると、ミイネはため息を吐きながら二人に振り返る。
「先を急ぎましょう、さっき逃げた人も探さないといけませんし、僕達もぐずぐずしていられませんよ」
「お、おい……何をしたんだよ?」
「……別に僕は何もしてませんよ。僕は、ね」
ミイネの意味深な言葉にダインは焦り、先ほどの男はどうして彼女を襲わなかったのかと疑問を抱きながらも後に続く。色々と気になる事はあるが、今は先に逃げ出してしまった情報屋の男が半ば吸血鬼化した囚人に襲われる前に探し出す必要があった――
――そらからしばらくの間は地下道を移動したダイン達であったが、途中で何度か囚人の死体を発見した。どうやら三巨頭に追い込まれてこの場所に放り込まれた囚人達の死体らしく、彼等は外へ繋がる出口を探して彷徨っていたが、力尽きて死んでしまったらしい。
しかし、倒れている死体はまるでミイラのように彼果てており、彼等の首筋には何かに噛まれたような傷後が存在した。この事から先ほど遭遇した吸血鬼もどきの男の囚人の仕業だと考えられ、どうやら既に地下道に閉じ込められた囚人達は吸血鬼もどきに餌食にされていたらしい。
「ぐはぁっ!?」
「うわっ……た、助かった、ありがとうゴブ!!」
「ギィイッ(その言い方だとゴブが語尾みたいに聞こえる)」
ゴブが咄嗟に囚人の男に体当たりしたお陰でダインは攻撃を免れ、ゴブに感謝の言葉を告げる。しかし、男の方は血走った目を更に見開き、爪を無茶苦茶に振り回してダインに襲い掛かった。
「がああっ!!」
「うわわっ!?」
「ダインさん、避けてっ!!」
男の鋭利な爪が壁や床をひっかき、その度に火花が散る。爪は鋭くなっただけではなく、硬度の方も鋼鉄並は誇り、もしも爪を受けたら大怪我を追うどころか致命傷になりかねない。だが、理性を半ば失っているのかその攻撃は単調で冷静に対処すれば避けられなくはない。
反撃の好機を伺ったダインは杖を構えると、ゴブとミイネはそれを見て彼の援護のために動き出し、二人はサッカースライディングのように床に身体を滑り込ませると男に足払いを行う。
「やあっ!!」
「ギギィッ!!」
「あがぁっ!?」
「今だ、シャドウ・バインド!!」
足払いによって男は倒れ込むと、それを確認したダインは杖を構えると影魔法を発動させ、男の身体を影の触手が包み込む。男は必死に引き剥がそうとするが、どれだけ力を込めようとダインの影魔法を解除する事は出来ない。
しかも暗闇の中ではダインの影魔法は普段よりも強化され、この場所なら本調子ではない彼も影魔法の長時間の維持が出来た。暗闇には闇の精霊が存在し、その精霊の力を借りてダインは普段以上の力を引き出せた。
「ぐううっ……ああっ!!」
「暴れても無駄だ!!僕の影魔法はそんな事じゃ解けないんだよ!!」
「言っても無駄ですよ。もうこの人は僕達の声が聞こえていないようですから……それよりも気になるのはこの人を吸血鬼にさせようとした何者かですね」
ミイネは吸血鬼という単語を口にして考え込み、何か心当たりがあるのか彼女は考え込む。やがて影魔法で拘束されている吸血鬼の元へ向かい、間近で様子を伺う。そんな彼女にダインは不安そうに尋ねた。
「お、おい……あんまり近づきすぎるなよ。いくら僕の影魔法で拘束してるからって危ないぞ?」
「僕の事、心配してくれるんですか?」
「何言ってんだお前……そんなの当たり前だろ、仲間なんだから」
「仲間……ですか、ふふふ」
ダインが自然にそう答えると、ミイネは少し驚いた表情を浮かべ、笑顔を浮かべる。その笑顔を見てダインはミイネが笑う時は年齢相応の無邪気な笑顔をするのだなと思う。不覚にもドキッとしたが、すぐにミイネは元の表情に戻るとダインに指示を出す。
「ダインさん、この人を解放して下さい」
「はっ!?何言ってんだよ、こいつを解放したらお前が……」
「大丈夫です、この人は僕を襲えないはずですから……それに仮に襲ってきたら、その時は僕が始末します」
「ギギィッ……」
囚人を解放しろという言葉にダインは動揺を隠せず、ゴブも不安そうな表情を抱くが、そんな彼等にミイネは自分を信じろとばかりに促すように頷く。その姿を見てダインは葛藤したが、やがて彼は杖を床から離すと影魔法が解除された。
影魔法が解除された途端に囚人は自由を取り戻し、驚いたように身体を眺める。一方でダインとゴブはいつでもミイネを助けだせる準備を行うと、男はミイネを前にして鼻息を荒くする。
「ふうっ……ふうっ……!!」
「…………」
「お、おい……ミイネ、刺激するなよ」
「ギギィッ……!!」
目の前で男を前にしてもミイネは逃げる素振りもなく、冷静な表情で男を見つめる。その態度にダインとゴブは心配そうに見つめるが、やがて男は何故かミイネから離れると、その場を去っていく。
「があああっ!!」
「……やはり、そういう事ですか」
「えっ……ど、どうして?あいつに何かしたのか?」
「ギィッ?」
勝手に逃げ出した男を見てミイネは何か確信を抱いた表情を浮かべ、一方でダインとゴブは状況が理解できずに困惑すると、ミイネはため息を吐きながら二人に振り返る。
「先を急ぎましょう、さっき逃げた人も探さないといけませんし、僕達もぐずぐずしていられませんよ」
「お、おい……何をしたんだよ?」
「……別に僕は何もしてませんよ。僕は、ね」
ミイネの意味深な言葉にダインは焦り、先ほどの男はどうして彼女を襲わなかったのかと疑問を抱きながらも後に続く。色々と気になる事はあるが、今は先に逃げ出してしまった情報屋の男が半ば吸血鬼化した囚人に襲われる前に探し出す必要があった――
――そらからしばらくの間は地下道を移動したダイン達であったが、途中で何度か囚人の死体を発見した。どうやら三巨頭に追い込まれてこの場所に放り込まれた囚人達の死体らしく、彼等は外へ繋がる出口を探して彷徨っていたが、力尽きて死んでしまったらしい。
しかし、倒れている死体はまるでミイラのように彼果てており、彼等の首筋には何かに噛まれたような傷後が存在した。この事から先ほど遭遇した吸血鬼もどきの男の囚人の仕業だと考えられ、どうやら既に地下道に閉じ込められた囚人達は吸血鬼もどきに餌食にされていたらしい。
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