1,207 / 2,083
ダイン 監獄都市編
爺キャラはもういらないんだよ!!
しおりを挟む
「貴様が扱う影魔法……闇魔導士か死霊使いしか扱えない希少魔法ではあるが、その性質を知る人間からすれば脅威にはなりえない。何しろ、強い光を浴びれば影は維持できずに消えてしまうからな。それこそ初級魔法の光球で簡単に掻き消せるぐらいにな」
「うっ!?」
「そ、そうなのか若いの?」
「お、おい……まずいんじゃないのか?」
「弱点、ですか……」
グシャスの言葉を聞いてダインは冷や汗を流し、その反応から他の者達もグシャスが影魔法の弱点を言い当てた事を知る。グシャスは余裕を取り戻したかのように笑みを浮かべると、やがて彼の周りに暗殺者の職業を持つ囚人が集まると、彼等は本物の短剣を取り出す。
「お遊びはここまでにしておこう……お前達、一人残らず殺してしまえ」
「なっ!?そ、そんな……何処から武器なんて持ち出しやがった!?」
「囚人が武器を所持するのは禁止されているはずでは……」
「簡単な話よ、言っておくがこの武器は看守から盗み出した物ではない。ギルの奴と取引を行い、手に入れた代物じゃ」
「えっ!?ど、どういう意味だよ!?」
「……三巨頭のギルは作業区を完全に掌握しています。作業区で働く囚人の殆どは彼に従い、作業区内の設備を使って内密に武器を作り出し、それを囚人に流してるんですよ。勿論、バレれば懲罰房送りでは済みませんけどね」
三巨頭のギルを頭にした派閥は作業区で働く囚人達で構成され、彼等は看守の目を盗んで武器の密造を行い、それを囚人に売り払う。同じく三巨頭のグシャスはギルの派閥から武器を買い取り、部下たちに常備させているという。
囚人が武器を所有する所を看守に見つかったら懲罰房送り所か、その場で殺されてもおかしくはない。だからこそ普通の囚人は武器を手にした状態で看守に接する機会があれば動揺を隠しきれず、気づかれる可能性も高い。だが、暗殺者の職業として生まれ、更にグシャスの指導を受けてきた囚人達は武器を看守に見つかるようなへまなどせず、常に常備していた。
グシャスの配下達は暗殺者としての力量は高く、武器を手にすれば最強の暗殺者集団へと変貌する。武闘派集団であるガルルの配下よりも危険な存在と化し、先ほどはダインの奇策でどうにか切り抜けたが今度は相手も本気で殺しにかかる。
「さあ、ミイネよ。今ならまだ間に合うぞ、その小僧を引き渡せばお主の命だけは助けてやろう。但し、他の者はこの場で殺すがな」
「な、何だと!?」
「何を驚いている、儂等が武器を所持している所を見られた以上は放ってはおけん。3人仲良く、あの世に行かせてやろう」
「ぐうっ……」
「ダインといったな……言っておくが、お主の影魔法はもう儂等には通じんぞ。油断しなければお主の影程度に儂の配下は捉えきれん」
「…………」
事前にグシャスはダインに対して影魔法は通じない事を強調すると、その言葉を聞いたダインは黙り込み、やがて杖を握りしめた。性懲りもなく自分達に影魔法で反抗するつもりなのかとグシャスは内心呆れると、配下に指示を出す。
「お前達、あの小僧が魔法を発動させようとすれば全員でかかれ。流石にこの人数が一度に襲えば自慢の影魔法でも対処できまい?」
「……爺さん、何を勘違いしてるんだ?あんた、影魔法の事を多少は知っているみたいだけど……重要な事は知らないようだな」
「何じゃと……?」
「ダインさん?」
ダインの言葉にグシャスは眉を顰め、ただのはったりかと思ったが、ミイネの方もダインの言葉を聞いて何か考えがあるのかと不思議に思う。他の者達もダインの言葉を聞いて戸惑っていると、彼は周囲を見渡す。
「へへっ……ここにはいい感じに色々と使えそうな物があるな」
「小僧……虚言もそこまでにしておけ。お主の影魔法は儂等には通じんぞ」
「笑わせんな、くそ爺!!僕の影魔法を他の奴が扱う影魔法と一緒にするなと言ってんだよ!!」
「ぬうっ!?」
杖を構えたダインは勢いよく床に突き立てると、影が黒色の触手のように変化を果たし、周囲へと広がっていく。その光景を見てグシャスは自分達に攻撃を仕掛けてきたのかと思ったが、影の触手はグシャス達が立っている場所を見当違いの方へと移動を行う。
「何処を狙っておる!?これは何の真似じゃ!?」
「僕の影魔法はな……こういう使い方も出来るんだよ!!」
周囲に影の触手を伸ばしたダインは杖を動かした瞬間、裏口に存在した靴箱や植木鉢、更には壁に設置されていた黒板などに絡みつくと、驚くべき事にそれらを引き寄せてグシャス達の元へ投げ飛ばす。
ダインの影魔法は敵に拘束して捉える事だけではなく、物体に絡みついて操作する事も可能だった。影の触手によって周囲に存在したあらゆる物が暗殺者達に向けて放り込まれ、それに対してグシャスと彼の囚人達は対応できずに攻撃を受ける。
「うっ!?」
「そ、そうなのか若いの?」
「お、おい……まずいんじゃないのか?」
「弱点、ですか……」
グシャスの言葉を聞いてダインは冷や汗を流し、その反応から他の者達もグシャスが影魔法の弱点を言い当てた事を知る。グシャスは余裕を取り戻したかのように笑みを浮かべると、やがて彼の周りに暗殺者の職業を持つ囚人が集まると、彼等は本物の短剣を取り出す。
「お遊びはここまでにしておこう……お前達、一人残らず殺してしまえ」
「なっ!?そ、そんな……何処から武器なんて持ち出しやがった!?」
「囚人が武器を所持するのは禁止されているはずでは……」
「簡単な話よ、言っておくがこの武器は看守から盗み出した物ではない。ギルの奴と取引を行い、手に入れた代物じゃ」
「えっ!?ど、どういう意味だよ!?」
「……三巨頭のギルは作業区を完全に掌握しています。作業区で働く囚人の殆どは彼に従い、作業区内の設備を使って内密に武器を作り出し、それを囚人に流してるんですよ。勿論、バレれば懲罰房送りでは済みませんけどね」
三巨頭のギルを頭にした派閥は作業区で働く囚人達で構成され、彼等は看守の目を盗んで武器の密造を行い、それを囚人に売り払う。同じく三巨頭のグシャスはギルの派閥から武器を買い取り、部下たちに常備させているという。
囚人が武器を所有する所を看守に見つかったら懲罰房送り所か、その場で殺されてもおかしくはない。だからこそ普通の囚人は武器を手にした状態で看守に接する機会があれば動揺を隠しきれず、気づかれる可能性も高い。だが、暗殺者の職業として生まれ、更にグシャスの指導を受けてきた囚人達は武器を看守に見つかるようなへまなどせず、常に常備していた。
グシャスの配下達は暗殺者としての力量は高く、武器を手にすれば最強の暗殺者集団へと変貌する。武闘派集団であるガルルの配下よりも危険な存在と化し、先ほどはダインの奇策でどうにか切り抜けたが今度は相手も本気で殺しにかかる。
「さあ、ミイネよ。今ならまだ間に合うぞ、その小僧を引き渡せばお主の命だけは助けてやろう。但し、他の者はこの場で殺すがな」
「な、何だと!?」
「何を驚いている、儂等が武器を所持している所を見られた以上は放ってはおけん。3人仲良く、あの世に行かせてやろう」
「ぐうっ……」
「ダインといったな……言っておくが、お主の影魔法はもう儂等には通じんぞ。油断しなければお主の影程度に儂の配下は捉えきれん」
「…………」
事前にグシャスはダインに対して影魔法は通じない事を強調すると、その言葉を聞いたダインは黙り込み、やがて杖を握りしめた。性懲りもなく自分達に影魔法で反抗するつもりなのかとグシャスは内心呆れると、配下に指示を出す。
「お前達、あの小僧が魔法を発動させようとすれば全員でかかれ。流石にこの人数が一度に襲えば自慢の影魔法でも対処できまい?」
「……爺さん、何を勘違いしてるんだ?あんた、影魔法の事を多少は知っているみたいだけど……重要な事は知らないようだな」
「何じゃと……?」
「ダインさん?」
ダインの言葉にグシャスは眉を顰め、ただのはったりかと思ったが、ミイネの方もダインの言葉を聞いて何か考えがあるのかと不思議に思う。他の者達もダインの言葉を聞いて戸惑っていると、彼は周囲を見渡す。
「へへっ……ここにはいい感じに色々と使えそうな物があるな」
「小僧……虚言もそこまでにしておけ。お主の影魔法は儂等には通じんぞ」
「笑わせんな、くそ爺!!僕の影魔法を他の奴が扱う影魔法と一緒にするなと言ってんだよ!!」
「ぬうっ!?」
杖を構えたダインは勢いよく床に突き立てると、影が黒色の触手のように変化を果たし、周囲へと広がっていく。その光景を見てグシャスは自分達に攻撃を仕掛けてきたのかと思ったが、影の触手はグシャス達が立っている場所を見当違いの方へと移動を行う。
「何処を狙っておる!?これは何の真似じゃ!?」
「僕の影魔法はな……こういう使い方も出来るんだよ!!」
周囲に影の触手を伸ばしたダインは杖を動かした瞬間、裏口に存在した靴箱や植木鉢、更には壁に設置されていた黒板などに絡みつくと、驚くべき事にそれらを引き寄せてグシャス達の元へ投げ飛ばす。
ダインの影魔法は敵に拘束して捉える事だけではなく、物体に絡みついて操作する事も可能だった。影の触手によって周囲に存在したあらゆる物が暗殺者達に向けて放り込まれ、それに対してグシャスと彼の囚人達は対応できずに攻撃を受ける。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。