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ダイン 監獄都市編
監獄の飯、意外と美味いな……
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「い、いや……ちょっと待てよ。僕はともかく、そっちは金は持ってるんだろ?」
「ありませんよ、貴方を買うお金と僕達が乗ってきた馬車を借りるのにお金を使い果たしました。今日の夕食代を支払えば僕達は無一文です」
「ギギィッ(世知辛いぜ)」
「待て待て待て!!それ、どういう意味だよ!?」
ダインは自分はともかく、まさか自分の主人であるミイネが無一文になったという話を聞いて動揺するが、彼女は空の小袋を見せつけて本当にお金がない事を証明する。
「少し前までは僕は情報屋をやっていて情報を売買して稼いで暮らしていたんですが、今はそれも出来ずに別の仕事で働いているんですよ」
「情報屋?そういえばさっきの奴等がそんな事を言っていたような……どうして辞めたんだよ?」
「情報屋を人から恨みを買いやすいんですよ。例えば囚人同士の派閥争いが行われていた時、片方が有利になる情報を売った場合、当然ですけど不利益を被った派閥の人間から恨まれます。だからといってそちらの派閥に情報を流せばもう片方の派閥に恨まれる……情報屋をやるのも結構難しいんですよ」
「そ、そうなのか……」
情報屋の事はダインも詳しくはないが、ミイネによると彼女は情報を流す度に不利益を被る輩から狙われるらしく、結局は今は情報屋を辞めたという。少し前までは彼女を守る存在もいたらしいが、今は訳があってその人物の協力を得られない状況らしい。
ミイネが暮らしている部屋に関しても看守に鐘を渡して借りているだけに過ぎず、月々に決まった金額を支払わなければならない。今月の分は支払ったばかりなので問題はないが、この調子で来月までに金を稼がなければここも追い出されてしまう。
「という事で僕達は力を合わせて金を稼がないといけないんです。働かざるもの食うべからず、という事でダインさんにもしっかりと働いて貰います」
「ううっ……でも、用心棒と言われてもな」
「まあ、さっきの奴等みたいな連中は滅多に絡んできませんから安心して下さい。いざという時はゴブさんも一緒に戦いますから」
「ギギイッ!!(頼りにしろよ!!)」
「はあっ……僕、ゴブリンと同列扱いなのか」
ゴブが自信満々に胸を張る姿を見てダインはため息を吐き出し、とりあえずはここで生活する間はミイネの指示に従い、まずは金を稼がなければならない様子だった――
――結局、その日の晩はダインはミイネとゴブと同じ部屋で泊まる事になり、夕食に関しては看守に三角銀貨を支払い、パンとシチューを味わった。この監獄都市では食事の配給は行われるが、金を持っていない者にはパンを一つしか分け与えず、他のおかずに関しては自腹で支払わなければならない。
農作業などのきつい労働で働いている人間に関しては三角銀貨を支払わずとも十分な量の食事は用意され、体力に自信がある人間は食事目的だけで農作業を行う者も多い。また、食事に関しては校舎内に存在する食堂内で行う事が義務付けられ、食べ終わった後の食器などは必ず返却しなければならない。
「うわ、何だこのシチュー……結構美味しいな」
「それはそうですよ。ちゃんとした物を食べさせないと食事目的で働く囚人のやる気は置きませんからね。それにちゃんとした物を食べないと元気が出ないでしょう?刑務作業が滞ると看守も困るから料理はわりときちんと作ってますよ。料理人の職業を持つ人もいますからね」
「へえ、それは意外だな……あ、こら!!勝手に僕の皿にニンジンを入れるなよ!?」
「ギィッ……(ニンジン嫌いだもん……)」
食事の際は看守も見張りについているので囚人達も無暗に争う事はなく、とりあえずは食堂の端の方にある席でダイン達は食事を行う。囚人に食べさせる料理だからとダインは期待していなかったが、意外と味の方は悪くはなかった。
ちなみに食堂の料理は監獄都市内で育てられた農作物や都市の外に生息する食用の魔物の肉を利用して作りだされており、調味料に関しては外から送り届けられているらしい。配給用のパンを除けば他の料理に関しては三角銀貨を支払わなければ味わえず、特に肉類は割高で販売されていた。
「このシチューも美味いけど、野菜ばっかりだな……肉とか入ってないの?」
「生憎と肉を使った料理は高いので今の僕達にはどうしようもできません。もっと豪勢な食事を味わいたいなら明日からちゃんと働いて下さいね」
「わ、分かったよ……」
「おい、そこにいるのは……もしかしてあんちゃんか!?」
「おおっ、若いの……あんたもここにおったのか」
ダインは聞き覚えの有る声を耳にして振り返ると、そこには禿げ頭が目立つ大柄な男性と、死合場でダインが助けた老人が存在した。二人ともダインと同様に今日監獄都市に送り込まれた囚人であり、二人の顔を見てダインも驚く。
「ありませんよ、貴方を買うお金と僕達が乗ってきた馬車を借りるのにお金を使い果たしました。今日の夕食代を支払えば僕達は無一文です」
「ギギィッ(世知辛いぜ)」
「待て待て待て!!それ、どういう意味だよ!?」
ダインは自分はともかく、まさか自分の主人であるミイネが無一文になったという話を聞いて動揺するが、彼女は空の小袋を見せつけて本当にお金がない事を証明する。
「少し前までは僕は情報屋をやっていて情報を売買して稼いで暮らしていたんですが、今はそれも出来ずに別の仕事で働いているんですよ」
「情報屋?そういえばさっきの奴等がそんな事を言っていたような……どうして辞めたんだよ?」
「情報屋を人から恨みを買いやすいんですよ。例えば囚人同士の派閥争いが行われていた時、片方が有利になる情報を売った場合、当然ですけど不利益を被った派閥の人間から恨まれます。だからといってそちらの派閥に情報を流せばもう片方の派閥に恨まれる……情報屋をやるのも結構難しいんですよ」
「そ、そうなのか……」
情報屋の事はダインも詳しくはないが、ミイネによると彼女は情報を流す度に不利益を被る輩から狙われるらしく、結局は今は情報屋を辞めたという。少し前までは彼女を守る存在もいたらしいが、今は訳があってその人物の協力を得られない状況らしい。
ミイネが暮らしている部屋に関しても看守に鐘を渡して借りているだけに過ぎず、月々に決まった金額を支払わなければならない。今月の分は支払ったばかりなので問題はないが、この調子で来月までに金を稼がなければここも追い出されてしまう。
「という事で僕達は力を合わせて金を稼がないといけないんです。働かざるもの食うべからず、という事でダインさんにもしっかりと働いて貰います」
「ううっ……でも、用心棒と言われてもな」
「まあ、さっきの奴等みたいな連中は滅多に絡んできませんから安心して下さい。いざという時はゴブさんも一緒に戦いますから」
「ギギイッ!!(頼りにしろよ!!)」
「はあっ……僕、ゴブリンと同列扱いなのか」
ゴブが自信満々に胸を張る姿を見てダインはため息を吐き出し、とりあえずはここで生活する間はミイネの指示に従い、まずは金を稼がなければならない様子だった――
――結局、その日の晩はダインはミイネとゴブと同じ部屋で泊まる事になり、夕食に関しては看守に三角銀貨を支払い、パンとシチューを味わった。この監獄都市では食事の配給は行われるが、金を持っていない者にはパンを一つしか分け与えず、他のおかずに関しては自腹で支払わなければならない。
農作業などのきつい労働で働いている人間に関しては三角銀貨を支払わずとも十分な量の食事は用意され、体力に自信がある人間は食事目的だけで農作業を行う者も多い。また、食事に関しては校舎内に存在する食堂内で行う事が義務付けられ、食べ終わった後の食器などは必ず返却しなければならない。
「うわ、何だこのシチュー……結構美味しいな」
「それはそうですよ。ちゃんとした物を食べさせないと食事目的で働く囚人のやる気は置きませんからね。それにちゃんとした物を食べないと元気が出ないでしょう?刑務作業が滞ると看守も困るから料理はわりときちんと作ってますよ。料理人の職業を持つ人もいますからね」
「へえ、それは意外だな……あ、こら!!勝手に僕の皿にニンジンを入れるなよ!?」
「ギィッ……(ニンジン嫌いだもん……)」
食事の際は看守も見張りについているので囚人達も無暗に争う事はなく、とりあえずは食堂の端の方にある席でダイン達は食事を行う。囚人に食べさせる料理だからとダインは期待していなかったが、意外と味の方は悪くはなかった。
ちなみに食堂の料理は監獄都市内で育てられた農作物や都市の外に生息する食用の魔物の肉を利用して作りだされており、調味料に関しては外から送り届けられているらしい。配給用のパンを除けば他の料理に関しては三角銀貨を支払わなければ味わえず、特に肉類は割高で販売されていた。
「このシチューも美味いけど、野菜ばっかりだな……肉とか入ってないの?」
「生憎と肉を使った料理は高いので今の僕達にはどうしようもできません。もっと豪勢な食事を味わいたいなら明日からちゃんと働いて下さいね」
「わ、分かったよ……」
「おい、そこにいるのは……もしかしてあんちゃんか!?」
「おおっ、若いの……あんたもここにおったのか」
ダインは聞き覚えの有る声を耳にして振り返ると、そこには禿げ頭が目立つ大柄な男性と、死合場でダインが助けた老人が存在した。二人ともダインと同様に今日監獄都市に送り込まれた囚人であり、二人の顔を見てダインも驚く。
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