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ダイン 監獄都市編
こんなチビが僕の飼い主!?何だよそれ!?
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「ネズ……いや、ミーネ様!!こちらに来られていたのですか!!」
「ああ、そういうのはいいですから……ここの看守長とは話を付けていますから、この人は僕が連れて行きますよ」
「はっ!?」
ダインの前に現れた少女は兵士から「ミーネ」と呼ばれているらしく、彼女の言葉にダインは驚く。いったい何の話かと尋ねようとした時、ここで兵士がダインを無理やりに立たせた。
「おい、起きろ!!お前はこの方に買われたのだ、今後はこの御方にお仕えしろ!!」
「な、何だよ急に……買われた?今、買われたって……どういう意味だよ!?」
「文字通りの意味ですよ、貴方は僕に買われたんです。まあ、分かりやすく言えば僕は貴方の主人になったというわけですね」
「はああっ!?」
唐突にとんでもない事を告げた少女にダインは驚愕するが、彼女は兵士から指輪を受け取ると、それを小指に嵌め込む。その指輪にはダインに刻まれた番号と同じ番号が刻まれており、彼女はそれを確認すると兵士に拘束されているダインに告げた。
「これからよそしくお願いしますね、お兄さん?」
「お兄さんって……ど、どうなってんだよ!?」
「だから、貴方は僕が買ったんですよ。これからは僕のために働いてもらいますよ」
「意味わかんないんだけど!?」
「まあまあ、その辺の話はおいおいしますので今は外へ行きましょうか」
ミイネはダインに笑いかけると、そんな彼女の態度にダインは増々頭が混乱し、自分が買われたという言葉とミイネを主人として仕えろという言葉を思い出す。まだ状況は完全には理解できないが、どうやら少女は兵士と何らかの話し合いを行ったらしく、彼を連れてその場を離れた。
「ほら、こっちだ!!付いて来い!!」
「ちょちょ、待ってくれよ!!どうなってんるんだ!?」
「いいからいいから、ほら行きますよ」
「ぼ、坊主……」
「若いの……」
死合場にてダインに助けられた老人と、彼に肩を貸した中年男性の囚人は連れ去られていくダインを唖然とした表情で見送り、そのままダインは強制的にミイネと共に退室した――
――闘技場のような建物から外に出されると、出入口には馬車が停まっており、その中にミイネとダインは乗り込む。どうやら馬車は少女の物らしく、御者は驚くべき事に片腕が義手のゴブリンだった。
「ゴブさん、監獄都市までお願いしますね」
「ギギィッ!!」
「ご、ゴブリン!?どうしてゴブリンがこんな場所に……」
ミイネがゴブリンに話しかけると、義手を取り付けたゴブリンは頷き、馬車を出発させる。ダインは訳が分からないままにミイネと向かい合うように座り込み、警戒しながらも彼女から話を聞く。
「お、お前……何なんだよいったい、さっき薬をくれた事は感謝してるけどさ、いきなり僕をこんな馬車に連れ出すなんて……いや、それよりもこれから僕をどうするつもりだ!?というか、僕を買ったってどういう意味だ!?」
「まあまあ、落ち着いて下さい。ちゃんと説明してあげますから……ああ、そうそう。先に言っておきますけど逃げようとしない方がいいですよ。そんな事をすれば貴方の腕が大変な事になりますからね」
「はあっ?腕……?」
ダインはミイネの言葉を聞いて自分の利き腕に視線を向けると、そこには兵士に嵌め込まれた腕輪が固定されている事に気付き、ここでダインは腕輪を見て顔色を青ざめる。まだ彼がシャドウ家の屋敷で暮らしていた頃、これと同じデザインの腕輪を見かけたことがあった。
この腕輪はただの腕輪ではなく、拷問器具用に開発された魔道具である事に気付く。腕輪には独特の紋様が刻まれており、今までは身体の痛みで気づく事が出来なかったが、とんでもない物が自分の身体に取り付けられている事を知った。
「ひいいっ!?嘘だろ、おい!!これ、服従の腕輪じゃないか!?」
「おや、よくご存じですね。中々の博識ですね」
「な、な、なんでこんな物が……」
ミイネはダインが腕輪の正体を知っている事に意外そうな表情を浮かべ、この腕輪の事を知っている人間は外の世界では滅多にいない。なにしろ本来は拷問用にも利用される魔道具であり、一般人の間に絶対に出回らない魔道具である。
「お察しの通り、この服従の腕輪がある限りは貴方は僕に逆らえません。正確に言えばこの「支配の指輪」を身に付けている人間には逆らえない事は知ってますね?」
「あ、ああ……」
「服従の腕輪を持つ人間が支配の指輪を装着した人間に悪意や敵意を抱いたとき、その腕輪は反応して腕を締め付けます。ああ、無理やりに外そうとしても無駄ですよ。そんな事をしたら腕輪が発熱して火傷を負いますからね」
ダインはミイネの言葉を聞いてへたり込み、彼女の言っている事は嘘ではなかった。この服従の腕輪という魔道具の恐ろしさはダイン自身も良く知っており、実は子供の時に公爵家で暮らしていた時はダインはこの腕輪を装着された時期があった。
この腕輪の恐ろしい点は支配の指輪を持つ存在には絶対に逆らえず、仮に逃げ出そうとしても支配の指輪を所持する存在から一定の距離を離れようとすると、腕輪が締め付けて下手をすれば腕が引きちぎれる。こんな物を幼少期のダインは装着され、辛い日々を送っていた事を思い返す。
「ああ、そういうのはいいですから……ここの看守長とは話を付けていますから、この人は僕が連れて行きますよ」
「はっ!?」
ダインの前に現れた少女は兵士から「ミーネ」と呼ばれているらしく、彼女の言葉にダインは驚く。いったい何の話かと尋ねようとした時、ここで兵士がダインを無理やりに立たせた。
「おい、起きろ!!お前はこの方に買われたのだ、今後はこの御方にお仕えしろ!!」
「な、何だよ急に……買われた?今、買われたって……どういう意味だよ!?」
「文字通りの意味ですよ、貴方は僕に買われたんです。まあ、分かりやすく言えば僕は貴方の主人になったというわけですね」
「はああっ!?」
唐突にとんでもない事を告げた少女にダインは驚愕するが、彼女は兵士から指輪を受け取ると、それを小指に嵌め込む。その指輪にはダインに刻まれた番号と同じ番号が刻まれており、彼女はそれを確認すると兵士に拘束されているダインに告げた。
「これからよそしくお願いしますね、お兄さん?」
「お兄さんって……ど、どうなってんだよ!?」
「だから、貴方は僕が買ったんですよ。これからは僕のために働いてもらいますよ」
「意味わかんないんだけど!?」
「まあまあ、その辺の話はおいおいしますので今は外へ行きましょうか」
ミイネはダインに笑いかけると、そんな彼女の態度にダインは増々頭が混乱し、自分が買われたという言葉とミイネを主人として仕えろという言葉を思い出す。まだ状況は完全には理解できないが、どうやら少女は兵士と何らかの話し合いを行ったらしく、彼を連れてその場を離れた。
「ほら、こっちだ!!付いて来い!!」
「ちょちょ、待ってくれよ!!どうなってんるんだ!?」
「いいからいいから、ほら行きますよ」
「ぼ、坊主……」
「若いの……」
死合場にてダインに助けられた老人と、彼に肩を貸した中年男性の囚人は連れ去られていくダインを唖然とした表情で見送り、そのままダインは強制的にミイネと共に退室した――
――闘技場のような建物から外に出されると、出入口には馬車が停まっており、その中にミイネとダインは乗り込む。どうやら馬車は少女の物らしく、御者は驚くべき事に片腕が義手のゴブリンだった。
「ゴブさん、監獄都市までお願いしますね」
「ギギィッ!!」
「ご、ゴブリン!?どうしてゴブリンがこんな場所に……」
ミイネがゴブリンに話しかけると、義手を取り付けたゴブリンは頷き、馬車を出発させる。ダインは訳が分からないままにミイネと向かい合うように座り込み、警戒しながらも彼女から話を聞く。
「お、お前……何なんだよいったい、さっき薬をくれた事は感謝してるけどさ、いきなり僕をこんな馬車に連れ出すなんて……いや、それよりもこれから僕をどうするつもりだ!?というか、僕を買ったってどういう意味だ!?」
「まあまあ、落ち着いて下さい。ちゃんと説明してあげますから……ああ、そうそう。先に言っておきますけど逃げようとしない方がいいですよ。そんな事をすれば貴方の腕が大変な事になりますからね」
「はあっ?腕……?」
ダインはミイネの言葉を聞いて自分の利き腕に視線を向けると、そこには兵士に嵌め込まれた腕輪が固定されている事に気付き、ここでダインは腕輪を見て顔色を青ざめる。まだ彼がシャドウ家の屋敷で暮らしていた頃、これと同じデザインの腕輪を見かけたことがあった。
この腕輪はただの腕輪ではなく、拷問器具用に開発された魔道具である事に気付く。腕輪には独特の紋様が刻まれており、今までは身体の痛みで気づく事が出来なかったが、とんでもない物が自分の身体に取り付けられている事を知った。
「ひいいっ!?嘘だろ、おい!!これ、服従の腕輪じゃないか!?」
「おや、よくご存じですね。中々の博識ですね」
「な、な、なんでこんな物が……」
ミイネはダインが腕輪の正体を知っている事に意外そうな表情を浮かべ、この腕輪の事を知っている人間は外の世界では滅多にいない。なにしろ本来は拷問用にも利用される魔道具であり、一般人の間に絶対に出回らない魔道具である。
「お察しの通り、この服従の腕輪がある限りは貴方は僕に逆らえません。正確に言えばこの「支配の指輪」を身に付けている人間には逆らえない事は知ってますね?」
「あ、ああ……」
「服従の腕輪を持つ人間が支配の指輪を装着した人間に悪意や敵意を抱いたとき、その腕輪は反応して腕を締め付けます。ああ、無理やりに外そうとしても無駄ですよ。そんな事をしたら腕輪が発熱して火傷を負いますからね」
ダインはミイネの言葉を聞いてへたり込み、彼女の言っている事は嘘ではなかった。この服従の腕輪という魔道具の恐ろしさはダイン自身も良く知っており、実は子供の時に公爵家で暮らしていた時はダインはこの腕輪を装着された時期があった。
この腕輪の恐ろしい点は支配の指輪を持つ存在には絶対に逆らえず、仮に逃げ出そうとしても支配の指輪を所持する存在から一定の距離を離れようとすると、腕輪が締め付けて下手をすれば腕が引きちぎれる。こんな物を幼少期のダインは装着され、辛い日々を送っていた事を思い返す。
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