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魔人編

七魔将の居所

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『そうか、鏡刀なら封印魔法も破壊する事が出来るのか……あれ、という事は屋敷を襲った奴は俺の鏡刀が狙いだったのか?』
『そういう事です。敵はレナさんが持っている鏡刀を狙っています。もう反鏡剣の類は地上には何本も残っていませんからね』
『でも、前に男爵だか伯爵の屋敷に忍び込んだ時も反鏡剣と同じ素材で構成された扉がなかった?』
『あの扉は反鏡剣と違って防衛用に作り出された物ですからね。攻撃機能はありませんし、そもそも存在を知っているのは限られていますから』


敵の狙いが自分の鏡刀である事に気付き、残してきた者達を心配するが、現在の都市には数多くの武芸者が集まっている。その中にはホムラやゴウライやクレナイなども存在するため、いかに七魔将といえど彼等を相手に戦えるはずがない。

だが、七魔将が封印されている石像の元に移動してもそこから先が問題であり、そこから先はどうするべきなのかをレナはアイリスに相談した。今のところは七魔将の石像は封印されているが、仮に封印されている状態の石像にレナは自分の「物質変換」などの能力が通じるのかを尋ねた。


『石像にされた存在に俺の物質変換や形状高速変化の能力は通じるの?』
『いえ、石像にされたとしても中身が生物の場合は錬金術師の能力は通じません。残念ながら……』
『そうか……』
『ですけど、空間魔法の類で閉じ込める事は出来ます。異空間に封じ込めてしまえば二度と出てくる事はありませんからね』
『なるほど、その手があったか!!』


石像にされた存在に対してはレナの物質変換や形状高速変化のような錬金術師の能力は通じないが、異空間に物体を収める空間魔法は通用するという。石化とは身体の外側が石化し、内部の肉体は冬眠などのように強制的に肉体が活動停止状態に追い込まれた状態であるため、全身を石像に覆われている状態ならば異空間に封じる事は出来る。

異空間に閉じ込めればもう時間の概念は受けず、封印が溶ける事も自力で脱出する事も出来ない。その方法を聞いたレナは自分の空間魔法で封印されている七魔将を異空間に封じ込める方法がある事に希望を見出す。


『七魔将の様子はどう?』
『今のところは石像の状態で封印されています。空間魔法に封印するのなら今の内です……ですけど、気を付けて下さいね』
『どうして?まさか、七魔将が待ち構えているのか?』
『いいえ、私が確認した限りでは竜魔将のガイアは冒険都市に残っています。ですが……レナさんの記憶に存在する屋敷を襲撃した存在は私でも認知出来なかったんです』
『えっ!?どうして!?』


アイリスはレナの記憶を遡って読み取る事も出来るが、彼女によると屋敷を襲った死霊使いに関してはアイリスでさえも存在を認知できないという。彼女が存在を認知できない者は限られ、かつてレナが闘技場で戦った黒騎士やホネミンに続いて3人目の彼女が存在を把握できない人物が現れた事になる。


『前にレナさんが闘技場で戦った存在を覚えていますか?』
『覚えてるよ。確か、元は勇者でキラウに操られていた女の人でしょ?』
『あの時と同じように私はレナさんの屋敷を襲った存在を把握できなかったんです。闘技祭が行われていた時はホネミンさんがいるからレナさんと交信できないと思っていたんですが、どうやら違ったようです』
『そんな馬鹿な……じゃあ、あいつは何者だ?』
『分かりません。少なくともレナさんやホネミンさんの様な転生者ではないのは確かですが、かといって地球から直接転移した存在、つまりは勇者とも思えません……恐らくは今も冒険都市にいるはずですが、油断はしないでください』
『そんな……』


レナはアイリスでさえも存在を把握できない相手がいる事を知り、しかも間違いなく「死霊使い」や「呪術師」と同系統の職業を持ち合わせている。レナ達の屋敷に侵入してきた相手は少年のような容姿をしていたが、肌色は明らかにおかしく、褐色肌のようには見えなかった。まるで死霊人形のように肉体が既に生命活動を停止した存在のように思えた。

しかし、相対しただけで不気味な程の闇属性の魔力を持ち合わせ、その魔力はダインの闇の聖痕が反応を示すほどであり、もしかしたらキラウと同等、あるいはそれ以上の力を持つ存在の可能性もあった。レナは冒険都市に残してきた者を心配するが、今はソルの後に続いて七魔将の封印を急ぐのが先である。


『レナさん、慎重に行動して下さいね。封魔札の封印は持続していますが、もう限界は近いです。もしもの場合に備えて封印された石像を前にしたときは私と交信してください』
『……分かった』


普段以上に心配そうな声で交信を行うアイリスにレナは緊張感を抱き、彼女がここまで焦っている事から敵も只者ではないと思い知る。だが、今回の面子は5人の聖痕所有者が揃い、シズネやソルも含まれている。少し心配し過ぎなきもするが、油断は出来なかった。
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