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真・闘技祭 予選編
祝勝会
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「あら?レナちゃん、もう帰っていたの?あれ、その子は……」
「お帰りなさいませ、坊ちゃま……その御方は?」
「あ、どうも。ハルナといいます」
アイラはハルナの顔を見て驚き、レナの知り合いなのかと首を傾げるが、事情を説明すると彼女は困った表情を浮かべる。いくら強いとはいえ、自分の義娘達と同い年ぐらいの少女をこのまま追い出すのは忍びなかった。
「そう、宿を追い出されて他に行き場所がなくてうちのレナちゃんを頼ったね。分かったわ、そういう事なら少しの間だけ、ここで暮らしなさい」
「え、いいの!?」
「母上、そんな勝手に……」
「もう、駄目よ。レナちゃん、女の子には優しくするようにと言ったでしょう?それにこういう少し生意気そうなこの面倒はお母さんは慣れているから平気よ。うふふ、バルちゃんの若いころを思い出すわ~」
「な、何かこの人怖いんだけど……」
ハルナを見てアイラは微笑み、その笑顔を見たハルナは警戒心を抱く。アイラがまだ冒険者時代、彼女はマリアと共にバルの面倒を見ていた時期がある。昔のバルと似た雰囲気を持つハルナだからこそアイラも見捨てる事は出来ず、しばらくの間はレナの屋敷で面倒を見る事を許可した。
母親が決めた事ならばレナも反対はせず、ハルナに家の中では決して暴れないように注意を行い、しばらくの間だけは彼女を屋敷に泊める事にした。ティナとコトミンもアイラの言葉に従い、特にティナの方はハルナがミノタウロスだと知って興味津々に擦り寄ってくる。
「これからよろしくね、ハルちゃん!!私と契約してみない?」
「ハルちゃん!?それ、俺の事か?」
「こら、駄目よ女の子が俺なんて言葉遣いしちゃ……そうね、そこはせめてあたしと言いなさい」
「あ、あたし……?」
「よろしく、ナツナ」
「ハルナだよ!!わざとらしい間違いするんじゃねえよ!!焼き魚にするぞ!?」
「何か凄い疎外感を感じる」
「大丈夫です坊ちゃま、私も同じ気持ちです」
女性陣がハルナの元に群がり、彼女達は初めて見た人の姿にそっくりのミノタウロスのハルナに興味津々だった。その様子をレナは執事と共に眺め、こうしてしばらくの間はハルナはレナの屋敷で暮らす事になった――
――その日の晩、レナの屋敷の元にはシズネたちも訪れ、中庭にて盛大なパーティーが開かれた。全員が無事に予選を突破し、明後日から行われる予定の本選に出場決定を果たした事を祝い、盛大な宴を行う。
「うおおおっ!!肉だ、肉だぁああっ!!」
「ブモォオオオッ!!」
「ちょ、落ち着けよ!?料理はいっぱいあるんだからそんなにがっつかなくても……あっ!?今、僕の皿から奪ったな!?」
「騒がしい娘ね……この子が本当に聖痕の所有者だというの?」
「あははっ……」
ハルナはミノと共にボアの丸焼き肉に嚙り付き、その様子を見ていたダインが落ち着かせようとしたが、彼が持っていた皿の上の料理も二人は食い散らす。その様子をワイングラスを片手に持ったシズネが呆れた表情を浮かべ、その隣に立っていたジャンヌも苦笑いを行う。
屋敷に集まったのはシズネ、ダイン、ジャンヌ、シェルの4名だけであり、ティナは家族に呼び出されて現在は屋敷から離れていた。今日は家族水入らずで過ごすという事なので彼女が戻ってくるのは明日の夜になる。一方でレミアの方は連絡は取れず、予選の終了後にすぐに何処かに消えてしまった。
「二人とも今日はお疲れ様……どうだった?」
「……予想以上に苦戦を強いられたわ。疾風の剣聖のハヤテ、相変わらずの強さね」
「私の方はダインさんのお陰で無事に合格できました。ですが、やはり厳しい条件を潜り抜けて参加した方々は手強かったですね」
「そう?私は結構余裕だったわよ」
会話の途中でシェルが話に割り込み、彼女は既にほろ酔い状態なのか少し頬を赤らめていた。いくら明日が休憩日とはいえ、宴が始まってから数分足らずで酔い始めている彼女にシズネは呆れた表情を浮かべる。
「貴女、随分と余裕がありそうね。予選中は見かけなかったけど、どうやって勝ち残ったのか聞いてもいいかしら?」
「生憎と敵に手の内を明かすつもりはないわ」
「敵って……」
「明後日からは私達も敵同士よ。試合の組み合わせによっては一回戦で私達が戦う事態になってもおかしくはないわ。だから、慣れ合いはそこそこにしておきなさい」
明後日から行われる本選はトーナメント方式のため、確かにシェルの言う通りにこの場に存在する者同士が戦う可能性も高い。シェルの言葉も一理はあり、レナ達は表情を引き締める。今は仲間同士で楽しく接していても、全員が本選を勝ち進めば必ずいつかは戦わなければならない。
酔っ払っているように見えながらもシェルは緊張感を保つように暗に示すと、彼女は3人の元を離れて料理が並べられている台へと向かう。その様子を見てレナ達は何となく気まずい表情を浮かべ、やがてシズネがため息を吐き出す。
※感想覧からの要望により、今回は2話投稿です。
「お帰りなさいませ、坊ちゃま……その御方は?」
「あ、どうも。ハルナといいます」
アイラはハルナの顔を見て驚き、レナの知り合いなのかと首を傾げるが、事情を説明すると彼女は困った表情を浮かべる。いくら強いとはいえ、自分の義娘達と同い年ぐらいの少女をこのまま追い出すのは忍びなかった。
「そう、宿を追い出されて他に行き場所がなくてうちのレナちゃんを頼ったね。分かったわ、そういう事なら少しの間だけ、ここで暮らしなさい」
「え、いいの!?」
「母上、そんな勝手に……」
「もう、駄目よ。レナちゃん、女の子には優しくするようにと言ったでしょう?それにこういう少し生意気そうなこの面倒はお母さんは慣れているから平気よ。うふふ、バルちゃんの若いころを思い出すわ~」
「な、何かこの人怖いんだけど……」
ハルナを見てアイラは微笑み、その笑顔を見たハルナは警戒心を抱く。アイラがまだ冒険者時代、彼女はマリアと共にバルの面倒を見ていた時期がある。昔のバルと似た雰囲気を持つハルナだからこそアイラも見捨てる事は出来ず、しばらくの間はレナの屋敷で面倒を見る事を許可した。
母親が決めた事ならばレナも反対はせず、ハルナに家の中では決して暴れないように注意を行い、しばらくの間だけは彼女を屋敷に泊める事にした。ティナとコトミンもアイラの言葉に従い、特にティナの方はハルナがミノタウロスだと知って興味津々に擦り寄ってくる。
「これからよろしくね、ハルちゃん!!私と契約してみない?」
「ハルちゃん!?それ、俺の事か?」
「こら、駄目よ女の子が俺なんて言葉遣いしちゃ……そうね、そこはせめてあたしと言いなさい」
「あ、あたし……?」
「よろしく、ナツナ」
「ハルナだよ!!わざとらしい間違いするんじゃねえよ!!焼き魚にするぞ!?」
「何か凄い疎外感を感じる」
「大丈夫です坊ちゃま、私も同じ気持ちです」
女性陣がハルナの元に群がり、彼女達は初めて見た人の姿にそっくりのミノタウロスのハルナに興味津々だった。その様子をレナは執事と共に眺め、こうしてしばらくの間はハルナはレナの屋敷で暮らす事になった――
――その日の晩、レナの屋敷の元にはシズネたちも訪れ、中庭にて盛大なパーティーが開かれた。全員が無事に予選を突破し、明後日から行われる予定の本選に出場決定を果たした事を祝い、盛大な宴を行う。
「うおおおっ!!肉だ、肉だぁああっ!!」
「ブモォオオオッ!!」
「ちょ、落ち着けよ!?料理はいっぱいあるんだからそんなにがっつかなくても……あっ!?今、僕の皿から奪ったな!?」
「騒がしい娘ね……この子が本当に聖痕の所有者だというの?」
「あははっ……」
ハルナはミノと共にボアの丸焼き肉に嚙り付き、その様子を見ていたダインが落ち着かせようとしたが、彼が持っていた皿の上の料理も二人は食い散らす。その様子をワイングラスを片手に持ったシズネが呆れた表情を浮かべ、その隣に立っていたジャンヌも苦笑いを行う。
屋敷に集まったのはシズネ、ダイン、ジャンヌ、シェルの4名だけであり、ティナは家族に呼び出されて現在は屋敷から離れていた。今日は家族水入らずで過ごすという事なので彼女が戻ってくるのは明日の夜になる。一方でレミアの方は連絡は取れず、予選の終了後にすぐに何処かに消えてしまった。
「二人とも今日はお疲れ様……どうだった?」
「……予想以上に苦戦を強いられたわ。疾風の剣聖のハヤテ、相変わらずの強さね」
「私の方はダインさんのお陰で無事に合格できました。ですが、やはり厳しい条件を潜り抜けて参加した方々は手強かったですね」
「そう?私は結構余裕だったわよ」
会話の途中でシェルが話に割り込み、彼女は既にほろ酔い状態なのか少し頬を赤らめていた。いくら明日が休憩日とはいえ、宴が始まってから数分足らずで酔い始めている彼女にシズネは呆れた表情を浮かべる。
「貴女、随分と余裕がありそうね。予選中は見かけなかったけど、どうやって勝ち残ったのか聞いてもいいかしら?」
「生憎と敵に手の内を明かすつもりはないわ」
「敵って……」
「明後日からは私達も敵同士よ。試合の組み合わせによっては一回戦で私達が戦う事態になってもおかしくはないわ。だから、慣れ合いはそこそこにしておきなさい」
明後日から行われる本選はトーナメント方式のため、確かにシェルの言う通りにこの場に存在する者同士が戦う可能性も高い。シェルの言葉も一理はあり、レナ達は表情を引き締める。今は仲間同士で楽しく接していても、全員が本選を勝ち進めば必ずいつかは戦わなければならない。
酔っ払っているように見えながらもシェルは緊張感を保つように暗に示すと、彼女は3人の元を離れて料理が並べられている台へと向かう。その様子を見てレナ達は何となく気まずい表情を浮かべ、やがてシズネがため息を吐き出す。
※感想覧からの要望により、今回は2話投稿です。
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