1,009 / 2,083
真・闘技祭編
聖剣の真の力
しおりを挟む
「凄い……魔術師でもない、私でも分かるわ。今のレミア将軍からは凄い魔力を感じるわ」
「は、はい……魔鎧術を習い始めてから私も魔力を感じ取れるようになりましたが、明らかにレミアの将軍の放つ魔力が増えています」
「魔力が増えた……というより、聖痕の力をより使いこなしているように見える」
『その通りですよ、今のレミアは完全に聖痕の力を制御していますね』
レナが呼び出したわけではないにも関わらず、アイリスがレナの頭の中で返事を行う。どうやら彼女もレミアの異変には気づいたらしく、現在のレミアは明らかに聖剣を手にする前と比べても魔力が上がっていた
――これまでレミアは聖属性の聖痕を宿していても、その力を完全には使いこなしてはいなかった。理由としては彼女自身が自分自身の聖痕の存在に気付いていなかった事、何よりも今までに彼女は自分に見合う武器を手にしたことがなかったのが原因である。
聖騎士であるレミアは本来は魔法剣が扱えるのだが、彼女の場合は武器を手にして戦う事は少なく、聖鎧と称した魔鎧術を使用して戦い続けてきた。これには理由は色々とあるが、生半可な武器ではレミアの身体から放たれる魔力に耐え切れず壊れてしまうからであった。
訓練の際にレミアも武器を使用する事はあるが、魔法耐性が存在しない普通の金属の武器では彼女が無意識に放つ魔力の影響を受けて壊れてしまう。魔鎧術の要領で武器に魔力を纏わせて実体化すれば壊れる事はないのだが、その場合だと別に武器がなくとも彼女の場合は魔力を実体化させ、武器のように変化させて戦う方が効率的である。そのため、今までレミアは武器をに手にして戦う機会自体が少なく、将軍でありながらレミアは武器を手にして実戦に赴いた回数は片手で数えるほどしかない。
聖騎士は普通の戦闘職とは異なり、この職業の人間は「魔法剣」を得意とする。レナの場合ならば「重力剣」が魔法剣に当たるのだが、レミアの場合は魔法剣の上位互換に当たる「魔鎧術(魔刀術)」を既に覚えていたため、扱う事は出来たが実際に武器に使用すると負荷が激しくてすぐに壊れてしまう。
しかし、聖属性の魔力に最も適したエクスカリバーならば彼女の溢れる聖属性の魔力を受け入れ、聖剣としての真の力を発揮することが出来た。単純な魔力容量ならばレミアよりもレナが勝るが、レナの場合は聖属性の魔法は不得手としており、レミアのように扱いこなす事は出来ない。しかもレミアは聖属性の聖痕を所持しているため、更に聖剣の力を高める事が出来た。
「せいやぁああっ!!」
レミアが剣を振りかざす度に光刃が放たれ、空に漂っていた大きな雲を切り裂く。その光景を確認してレナは仮に錬金術師の能力でカラドボルグを作り出してもレミアのような真似は出来ず、自分自身では聖剣を使いこなせない事を実感させられた。
『凄いな……レミアは』
『落ち込む必要はありませんよ、レナさんだって聖剣を扱えるだけで十分に凄いんです。ですけど、レナさんの場合はエクスカリバーとは相性が悪かった。それだけの話ですよ』
『相性か……ちなみに俺と一番相性が良さそうな聖剣といえば何になる?』
『デュランダルですね、レナさんの魔力は地属性よりですから』
『ゴウライが持ってる大剣か……つくづく、俺は大剣と縁があるんだな』
『右目を潰して左腕を義手にしますか?あ、首元に呪印を刻む手もありますね』
『そこまで極めるつもりはねえよ』
アイリスの冗談も今のレナにとってはあまり気が休まらず、それほどまでにレミアの成長ぶりは凄かった。彼女は汗を流すと聖剣を鞘に戻し、満足したのかレナ達に振り返る。
「ふうっ……申し訳ありませんが、私は少し休ませてもらいます。訓練の方は後日でよろしいでしょうか?」
「え、あっ……はい」
「正直、今のレミアちゃんに私なんかが相手になるかは不安だわ……」
「ふふふ、ご謙遜を……では、失礼します」
「お疲れさん」
以前よりも雰囲気が変化したレミアは一礼すると、そのまま立ち去る。以前の彼女ならばがむしゃらに訓練に励んでいたが、今は誰にも負けないという絶対の自信が伺え、身体に無理がない程度に訓練に励み、万全の状態を維持しているように見えた。
レミアの態度が変わった事は他の人間も気づき、特にレナは自分の身体が無意識に震えている事に気付く。剣鬼としての本能が疼き、今のレミアを前にしてレナの肉体は「強敵」と認めたらしい。この感覚は強者を前にすると無意識に発生するため、レミアが恐ろしい剣士に成長した事が伺える。
『もしかしたら……今大会最大のライバルになるかもしれないな』
『さて、それはどうでしょうかね……まあ、今回の大会はレナさんの言われた通りに私は一切の助言はしません。頼まれればサポートぐらいはしますけど、どうします?』
『いや、大丈夫……今回の大会は俺も秘策があるから』
『ほほう、それは楽しみですね。では、しばらくの間は私は狭間の世界で観察させてもらいますよ。用事がある時はメールかしてください』
『メルアド知らないよ』
アイリスとの交信を遮断すると、レナはレミアの後ろ姿を見送り、聖剣の対抗策も本格的に考える事にした――
※狭間の世界のアイリス
(´●ω●)ジー ←テレビの前で三角座りで待機中
「は、はい……魔鎧術を習い始めてから私も魔力を感じ取れるようになりましたが、明らかにレミアの将軍の放つ魔力が増えています」
「魔力が増えた……というより、聖痕の力をより使いこなしているように見える」
『その通りですよ、今のレミアは完全に聖痕の力を制御していますね』
レナが呼び出したわけではないにも関わらず、アイリスがレナの頭の中で返事を行う。どうやら彼女もレミアの異変には気づいたらしく、現在のレミアは明らかに聖剣を手にする前と比べても魔力が上がっていた
――これまでレミアは聖属性の聖痕を宿していても、その力を完全には使いこなしてはいなかった。理由としては彼女自身が自分自身の聖痕の存在に気付いていなかった事、何よりも今までに彼女は自分に見合う武器を手にしたことがなかったのが原因である。
聖騎士であるレミアは本来は魔法剣が扱えるのだが、彼女の場合は武器を手にして戦う事は少なく、聖鎧と称した魔鎧術を使用して戦い続けてきた。これには理由は色々とあるが、生半可な武器ではレミアの身体から放たれる魔力に耐え切れず壊れてしまうからであった。
訓練の際にレミアも武器を使用する事はあるが、魔法耐性が存在しない普通の金属の武器では彼女が無意識に放つ魔力の影響を受けて壊れてしまう。魔鎧術の要領で武器に魔力を纏わせて実体化すれば壊れる事はないのだが、その場合だと別に武器がなくとも彼女の場合は魔力を実体化させ、武器のように変化させて戦う方が効率的である。そのため、今までレミアは武器をに手にして戦う機会自体が少なく、将軍でありながらレミアは武器を手にして実戦に赴いた回数は片手で数えるほどしかない。
聖騎士は普通の戦闘職とは異なり、この職業の人間は「魔法剣」を得意とする。レナの場合ならば「重力剣」が魔法剣に当たるのだが、レミアの場合は魔法剣の上位互換に当たる「魔鎧術(魔刀術)」を既に覚えていたため、扱う事は出来たが実際に武器に使用すると負荷が激しくてすぐに壊れてしまう。
しかし、聖属性の魔力に最も適したエクスカリバーならば彼女の溢れる聖属性の魔力を受け入れ、聖剣としての真の力を発揮することが出来た。単純な魔力容量ならばレミアよりもレナが勝るが、レナの場合は聖属性の魔法は不得手としており、レミアのように扱いこなす事は出来ない。しかもレミアは聖属性の聖痕を所持しているため、更に聖剣の力を高める事が出来た。
「せいやぁああっ!!」
レミアが剣を振りかざす度に光刃が放たれ、空に漂っていた大きな雲を切り裂く。その光景を確認してレナは仮に錬金術師の能力でカラドボルグを作り出してもレミアのような真似は出来ず、自分自身では聖剣を使いこなせない事を実感させられた。
『凄いな……レミアは』
『落ち込む必要はありませんよ、レナさんだって聖剣を扱えるだけで十分に凄いんです。ですけど、レナさんの場合はエクスカリバーとは相性が悪かった。それだけの話ですよ』
『相性か……ちなみに俺と一番相性が良さそうな聖剣といえば何になる?』
『デュランダルですね、レナさんの魔力は地属性よりですから』
『ゴウライが持ってる大剣か……つくづく、俺は大剣と縁があるんだな』
『右目を潰して左腕を義手にしますか?あ、首元に呪印を刻む手もありますね』
『そこまで極めるつもりはねえよ』
アイリスの冗談も今のレナにとってはあまり気が休まらず、それほどまでにレミアの成長ぶりは凄かった。彼女は汗を流すと聖剣を鞘に戻し、満足したのかレナ達に振り返る。
「ふうっ……申し訳ありませんが、私は少し休ませてもらいます。訓練の方は後日でよろしいでしょうか?」
「え、あっ……はい」
「正直、今のレミアちゃんに私なんかが相手になるかは不安だわ……」
「ふふふ、ご謙遜を……では、失礼します」
「お疲れさん」
以前よりも雰囲気が変化したレミアは一礼すると、そのまま立ち去る。以前の彼女ならばがむしゃらに訓練に励んでいたが、今は誰にも負けないという絶対の自信が伺え、身体に無理がない程度に訓練に励み、万全の状態を維持しているように見えた。
レミアの態度が変わった事は他の人間も気づき、特にレナは自分の身体が無意識に震えている事に気付く。剣鬼としての本能が疼き、今のレミアを前にしてレナの肉体は「強敵」と認めたらしい。この感覚は強者を前にすると無意識に発生するため、レミアが恐ろしい剣士に成長した事が伺える。
『もしかしたら……今大会最大のライバルになるかもしれないな』
『さて、それはどうでしょうかね……まあ、今回の大会はレナさんの言われた通りに私は一切の助言はしません。頼まれればサポートぐらいはしますけど、どうします?』
『いや、大丈夫……今回の大会は俺も秘策があるから』
『ほほう、それは楽しみですね。では、しばらくの間は私は狭間の世界で観察させてもらいますよ。用事がある時はメールかしてください』
『メルアド知らないよ』
アイリスとの交信を遮断すると、レナはレミアの後ろ姿を見送り、聖剣の対抗策も本格的に考える事にした――
※狭間の世界のアイリス
(´●ω●)ジー ←テレビの前で三角座りで待機中
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。