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真・闘技祭編
闘技場の盛り上がり
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――闘技祭の開催までついに二か月を切った頃、闘技場では数多くの武芸者が挑み、挑戦権を得るために激戦を繰り広げていた。挑戦権を得るためには毎回10名の武芸者と戦い、更に10連勝しなければならない。つまり、理論上は90名の武芸者と戦う事になる。
最も実際に90名の武芸者と戦って全員を倒す事態に陥るなど有り得ず、各々が挑戦権を得るために争い合うため、大抵の挑戦者は90名の武芸者と戦う事などまずはあり得ない。しかし、有名な武芸者の場合は真っ先に狙われやすく、特に剣聖のような称号を持つ人間の場合は他の武芸者が結託して襲い掛かるのが当たり前だった。
「くたばれ、シュン!!」
「てめえは前々から殺したいと思ってたんだ!!」
「死ね!!この幼女趣味が!!」
「誰が幼女趣味だ!!よし、てめえら全員ぶっ殺す!!」
闘技場では風の剣聖と呼ばれるシュンが5人の武芸者を相手に剣を交え、自分に近付く相手を風の斬撃で吹き飛ばす。ヨツバ王国の代表枠として選ばれなかったシュンとハヤテは連日のように試合に挑み、挑戦権を得るために戦い続けていた。
ハヤテの方は早くも8連勝を迎え、挑戦権を得るまで試合をあと2回勝ち残ればよかった。一方でシュンの方は現在が8試合目のため、この試合に勝てばハヤテと並べる。しかし、何度も試合場で彼の戦法を見ていた武芸者達も対策を練り、徒党を組んでシュンを倒そうと試みる。
「おらぁっ!!お前の攻撃なんて効かねえぞ!!」
「ちぃっ……盾騎士か、また面倒な奴も参加しやがって」
「へへへっ、お前の風を使った攻撃は師匠程には及ばないからな。こうして全身を防具で固めれば恐れる必要はないんだよ!!」
選手の中には全身を甲冑で身を包み、大きな盾を所有した人間も存在した。シュンの放つ風の斬撃に対抗して事前に魔法耐性が高い金属で構成した防具を見に包み、彼の攻撃を耐え凌ぐ戦法で挑もうとする。だが、それに対してシュンは剣を鞘に納めると、師であるハヤテを真似て「居合」を放つ。
「ふんっ!!」
「うぎゃあっ!?」
「ああっ!?」
「そ、そんな馬鹿なっ!?」
シュンが剣を鞘から引き抜いた瞬間、大盾が切断されて甲冑を身に付けていた人間も吹き飛ぶ。その光景を見て他の武芸者は戸惑うが、そんな彼等に対してシュンは堂々と言い放つ。
「お前ら舐めてるのか?その程度で俺に挑むなんて100年早いんだよ!!」
「ひいっ!?」
「く、くそっ!!こうなれば自棄だ、全員でかかれ!!」
「うおおおっ!!」
追い詰められた選手たちは自棄になって全員で襲い掛かるが、結局はシュンには敵わずに全員が打ちのめされた――
――翌日、闘技場ではシュンの試合の時よりも観客が多く、彼等の目的は試合に出場した他国からのS級冒険者がどのように戦うのかを見極めるために駆けつけていた。最初に行われた試合ではヨクヒが出場し、彼女は5分足らずで出場者を全員叩きのめす。
「お前ら、弱すぎるぞ!!冒険都市の冒険者はこの程度か!!」
「ううっ……」
「く、くそっ……」
「嘘だろ……俺達、全員が氷雨に所属する冒険者なんだぞ……!?」
ヨクヒの前には氷雨に所属する高ランクの冒険者達が倒れ、全員が完膚なきまでに叩きのめされていた。そんな彼等に対してヨクヒはつまらなそうな声を上げる。冒険都市に存在する氷雨の本部ギルドに所属する冒険者がどの程度の実力者なのかと期待していたのだが、実際に戦ってあまりの手応えの無さに怒りよりも呆れてしまう。
(やっぱり、バルトロス王国の冒険者といってもこの程度か……という事はレナの奴がやっぱり強かったんだな。よし、ならあいつとゴウライを倒せばあたしがこの国一番の冒険者という事になる!!)
ヨクヒはレナに敗北した事を未だに根に持っており、闘技祭に参加すると決めたのもレナに再戦を挑むつもりだった。本音を言えばこの国に到着した時に彼女はレナの元へ殴り込もうとしたが、それはカンエンに止められたので仕方なく彼女は闘技祭でレナと戦うために闘技場に参加していた。
実際の所、カンエンとヨクヒは和国側の代表枠の選手なので闘技場に出場する必要はないのだが、姉の話をよく聞いていなかったヨクヒは闘技場で勝ち続ければ闘技祭に出られると思っていた。また、ここで戦っていればレナやゴウライと戦える機会があるかもしれないと思い込み、彼女は試合場で堂々と怒鳴りつける。
「どうした!!この国の冒険者はこの程度か!?もっと強い奴がいるなら掛かってこい!!」
『ちょ、試合は終わってるんですよ!!ほら、もう邪魔になりますからさっさと帰って下さい!!』
実況席から注意されたヨクヒは鼻息を鳴らして試合場から立ち去り、その様子を観戦していたハンゾウとカゲマルは頭を抱える。
「全く、あいつは何をしているんだ……ハンゾウ、あのガキにちゃんと闘技祭の事は伝えたのか?」
「勿論、ちゃんと話したでござるよ。しかし、どうやらヨクヒ殿は聞いていなかったようでござるな」
「仕方ない、カンエンを呼べ。姉のいう事ならば聞くはずだ……だが、よりにもよって氷雨に喧嘩を売るような真似をするとは……身の程知らずめ」
ハンゾウとカゲマルはヨクヒと合流するために彼女の元へ向かい、二人も和国の出身ではあるが同時に氷雨のギルドに所属する冒険者でもある。つまり、ヨクヒの発言は二人に対しても侮辱に等しい。いくら出身国が同じだとしても、ハンゾウとカゲマルは今日のヨクヒの挑発は忘れず、闘技祭でこの借りを返す事を決意した――
最も実際に90名の武芸者と戦って全員を倒す事態に陥るなど有り得ず、各々が挑戦権を得るために争い合うため、大抵の挑戦者は90名の武芸者と戦う事などまずはあり得ない。しかし、有名な武芸者の場合は真っ先に狙われやすく、特に剣聖のような称号を持つ人間の場合は他の武芸者が結託して襲い掛かるのが当たり前だった。
「くたばれ、シュン!!」
「てめえは前々から殺したいと思ってたんだ!!」
「死ね!!この幼女趣味が!!」
「誰が幼女趣味だ!!よし、てめえら全員ぶっ殺す!!」
闘技場では風の剣聖と呼ばれるシュンが5人の武芸者を相手に剣を交え、自分に近付く相手を風の斬撃で吹き飛ばす。ヨツバ王国の代表枠として選ばれなかったシュンとハヤテは連日のように試合に挑み、挑戦権を得るために戦い続けていた。
ハヤテの方は早くも8連勝を迎え、挑戦権を得るまで試合をあと2回勝ち残ればよかった。一方でシュンの方は現在が8試合目のため、この試合に勝てばハヤテと並べる。しかし、何度も試合場で彼の戦法を見ていた武芸者達も対策を練り、徒党を組んでシュンを倒そうと試みる。
「おらぁっ!!お前の攻撃なんて効かねえぞ!!」
「ちぃっ……盾騎士か、また面倒な奴も参加しやがって」
「へへへっ、お前の風を使った攻撃は師匠程には及ばないからな。こうして全身を防具で固めれば恐れる必要はないんだよ!!」
選手の中には全身を甲冑で身を包み、大きな盾を所有した人間も存在した。シュンの放つ風の斬撃に対抗して事前に魔法耐性が高い金属で構成した防具を見に包み、彼の攻撃を耐え凌ぐ戦法で挑もうとする。だが、それに対してシュンは剣を鞘に納めると、師であるハヤテを真似て「居合」を放つ。
「ふんっ!!」
「うぎゃあっ!?」
「ああっ!?」
「そ、そんな馬鹿なっ!?」
シュンが剣を鞘から引き抜いた瞬間、大盾が切断されて甲冑を身に付けていた人間も吹き飛ぶ。その光景を見て他の武芸者は戸惑うが、そんな彼等に対してシュンは堂々と言い放つ。
「お前ら舐めてるのか?その程度で俺に挑むなんて100年早いんだよ!!」
「ひいっ!?」
「く、くそっ!!こうなれば自棄だ、全員でかかれ!!」
「うおおおっ!!」
追い詰められた選手たちは自棄になって全員で襲い掛かるが、結局はシュンには敵わずに全員が打ちのめされた――
――翌日、闘技場ではシュンの試合の時よりも観客が多く、彼等の目的は試合に出場した他国からのS級冒険者がどのように戦うのかを見極めるために駆けつけていた。最初に行われた試合ではヨクヒが出場し、彼女は5分足らずで出場者を全員叩きのめす。
「お前ら、弱すぎるぞ!!冒険都市の冒険者はこの程度か!!」
「ううっ……」
「く、くそっ……」
「嘘だろ……俺達、全員が氷雨に所属する冒険者なんだぞ……!?」
ヨクヒの前には氷雨に所属する高ランクの冒険者達が倒れ、全員が完膚なきまでに叩きのめされていた。そんな彼等に対してヨクヒはつまらなそうな声を上げる。冒険都市に存在する氷雨の本部ギルドに所属する冒険者がどの程度の実力者なのかと期待していたのだが、実際に戦ってあまりの手応えの無さに怒りよりも呆れてしまう。
(やっぱり、バルトロス王国の冒険者といってもこの程度か……という事はレナの奴がやっぱり強かったんだな。よし、ならあいつとゴウライを倒せばあたしがこの国一番の冒険者という事になる!!)
ヨクヒはレナに敗北した事を未だに根に持っており、闘技祭に参加すると決めたのもレナに再戦を挑むつもりだった。本音を言えばこの国に到着した時に彼女はレナの元へ殴り込もうとしたが、それはカンエンに止められたので仕方なく彼女は闘技祭でレナと戦うために闘技場に参加していた。
実際の所、カンエンとヨクヒは和国側の代表枠の選手なので闘技場に出場する必要はないのだが、姉の話をよく聞いていなかったヨクヒは闘技場で勝ち続ければ闘技祭に出られると思っていた。また、ここで戦っていればレナやゴウライと戦える機会があるかもしれないと思い込み、彼女は試合場で堂々と怒鳴りつける。
「どうした!!この国の冒険者はこの程度か!?もっと強い奴がいるなら掛かってこい!!」
『ちょ、試合は終わってるんですよ!!ほら、もう邪魔になりますからさっさと帰って下さい!!』
実況席から注意されたヨクヒは鼻息を鳴らして試合場から立ち去り、その様子を観戦していたハンゾウとカゲマルは頭を抱える。
「全く、あいつは何をしているんだ……ハンゾウ、あのガキにちゃんと闘技祭の事は伝えたのか?」
「勿論、ちゃんと話したでござるよ。しかし、どうやらヨクヒ殿は聞いていなかったようでござるな」
「仕方ない、カンエンを呼べ。姉のいう事ならば聞くはずだ……だが、よりにもよって氷雨に喧嘩を売るような真似をするとは……身の程知らずめ」
ハンゾウとカゲマルはヨクヒと合流するために彼女の元へ向かい、二人も和国の出身ではあるが同時に氷雨のギルドに所属する冒険者でもある。つまり、ヨクヒの発言は二人に対しても侮辱に等しい。いくら出身国が同じだとしても、ハンゾウとカゲマルは今日のヨクヒの挑発は忘れず、闘技祭でこの借りを返す事を決意した――
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