986 / 2,083
真・闘技祭編
ダインの修行
しおりを挟む
「――あいてて……な、何だ!?何が起きたんだ!?」
マリアの転移魔法陣によって強制的に転移したダインは意識を取り戻すと、いつの間にか自分が草原のような場所に存在する事に気づく。驚いた彼は起き上がって周囲の様子を確認すると、マリアが渡した杖が落ちている事に気づく。
ダインは自分が草原にでも転移したのかと思ったが、よくよく確認すると周囲には嫌に見覚えがある大樹がいくつか生えている事に気づき、しかも大樹の周辺部分のみは雑草すら生えていない。しかもダインの傍には見覚えがある果物が落ちていた。
「あ、ちょっと待って……これって、何だっけ?何処かで見たような……あっ!?」
果物を拾い上げたダインはその正体が「樹肉」と呼ばれるアトラス大森林の東聖将が管理する「魔の草原」にしか生えていない大樹の果物だと思い出す。この果物は非常に美味しいのだが、何故か魔物を引き寄せる性質を持ち合わせ、その実を喰らうために魔の草原の近くに訪れた魔物達は樹肉に引き寄せられる。
樹肉の虜になった魔物達は独り占めを行うために争いを行い、仮にそれが同種であろうと自分よりも強い力を持つ相手だろうと躊躇なく襲い掛かる。そのために樹肉が生えている魔の草原には多数の魔物が現れるという事で東聖将軍の狩猟場として利用されている事を思い出す。
「嘘だろ、おい……僕、またヨツバ王国に飛ばされたのか!?」
手にした樹肉を確認して慌ててダインは投げ捨てると、周囲の様子を観察する。仮にここが本当に魔の草原ならば命は危うく、何としてもこの場を離れる必要があった。だが、最悪な事にダインが逃げ出す前に魔物の大群が駆けつけ、多数のオークやコボルトが草原に乗り込んできた。
『プギィイイイッ!!』
『ガアアアアッ!!』
「ぎゃあああっ!?」
数えきれないほどの数の魔獣の群れを確認してダインは悲鳴を上げ、周囲から迫る魔物の群れを見て焦った彼は影魔法を発動させる。何としても自分を身を守るため、ダインは影魔法で近づいてきた魔物を振り払う。
「来るなぁっ!!シャドウ・スリップ!!」
「ギャインッ!?」
「フガァッ!?」
自分の周囲に影を鞭のように変化させて振り払う事で接近してきた魔獣を振り払い、次々と近づいてくるオークやコボルトを吹き飛ばす。だが、樹肉によって理性を失った魔獣達は自分の行動を邪魔するダインの存在を許せず、真っ先に襲い掛かってきた。
無我夢中に影を操作して魔獣達の足元を振り払うダインだったが、鈍重なオークだけならばともかく、身軽で素早いコボルトの場合は影に足を奪われないように跳躍してダインに襲い掛かろうとする。
「ガアアッ!!」
「ひいっ!?シャドウマン!!」
「アガァッ!?」
ダインに噛みつこうとしたコボルトの1体が彼の作り出した人型の影人形によって阻まれてしまう。コボルトは唐突に出現した影人形に戸惑いながらも牙を食い込ませようとするが、物理攻撃は一切通じない影人形の前では意味を為さず、逆に押し飛ばされてしまう。
「この、邪魔だっ!!」
「ギャインッ!?」
影人形に押し飛ばされたコボルトは地面に倒れるが、生憎と影人形には攻撃能力はないため、いくら殴りつけたところで相手に損傷を与える事は出来ない。だが、地面に叩きつけられれば話は別であり、その様子を確認したダインはある方法を思いつく。
(あれ、もしかして僕のシャドウマンなら……こいつらに勝てるんじゃないのか!?)
今までは影人形を防衛のためにしか使った事がないダインだったが、コボルトを圧し飛ばして地面に叩きつけた姿を確認し、ある事を思いつく。危機的状況だが、自分一人では戦う術がないと思っていたダインは試しに影人形を背後に移動させて周囲の様子を伺う。
魔物達は突如として出現した影人形とダインを取り囲み、樹肉を得る邪魔をするならば容赦はせず、同時に襲い掛かってきた。周囲から押し寄せる魔物の群れに対してダインは杖を地面に突き刺した状態で聖痕の力を発動させた。
『ガアアアアッ!!』
「ひいっ……ぼ、僕を守れっ!!」
迫りくる魔獣の姿にダインは怖気づきそうになりながらも影人形に命令を与えると、影人形は巨大化してダインに覆いかぶさるように抱き着く。その結果、無数の魔獣の牙や爪が影人形の肉体によって阻まれる。
魔獣達は必死に牙や爪を食い込ませようとするが、影人形は物理攻撃は一切聞かず、それどころかどんな攻撃も反発する。仮にゴンゾウのような巨人族の攻撃を至近距離から受けようと影人形には損傷は与えられないだろう。ダインは自分の影人形によって阻まれた魔獣の様子を伺い、気合を込めた声を上げながら影人形を操作した。
「離れろぉっ!!」
『ギャインッ!?』
影人形が両腕を振り払うと魔獣達は派手に吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられた。影人形の攻撃自体は痛くもかゆくもないが、勢いを付けた状態で地面に叩きつけられれば損傷は避けられない。
マリアの転移魔法陣によって強制的に転移したダインは意識を取り戻すと、いつの間にか自分が草原のような場所に存在する事に気づく。驚いた彼は起き上がって周囲の様子を確認すると、マリアが渡した杖が落ちている事に気づく。
ダインは自分が草原にでも転移したのかと思ったが、よくよく確認すると周囲には嫌に見覚えがある大樹がいくつか生えている事に気づき、しかも大樹の周辺部分のみは雑草すら生えていない。しかもダインの傍には見覚えがある果物が落ちていた。
「あ、ちょっと待って……これって、何だっけ?何処かで見たような……あっ!?」
果物を拾い上げたダインはその正体が「樹肉」と呼ばれるアトラス大森林の東聖将が管理する「魔の草原」にしか生えていない大樹の果物だと思い出す。この果物は非常に美味しいのだが、何故か魔物を引き寄せる性質を持ち合わせ、その実を喰らうために魔の草原の近くに訪れた魔物達は樹肉に引き寄せられる。
樹肉の虜になった魔物達は独り占めを行うために争いを行い、仮にそれが同種であろうと自分よりも強い力を持つ相手だろうと躊躇なく襲い掛かる。そのために樹肉が生えている魔の草原には多数の魔物が現れるという事で東聖将軍の狩猟場として利用されている事を思い出す。
「嘘だろ、おい……僕、またヨツバ王国に飛ばされたのか!?」
手にした樹肉を確認して慌ててダインは投げ捨てると、周囲の様子を観察する。仮にここが本当に魔の草原ならば命は危うく、何としてもこの場を離れる必要があった。だが、最悪な事にダインが逃げ出す前に魔物の大群が駆けつけ、多数のオークやコボルトが草原に乗り込んできた。
『プギィイイイッ!!』
『ガアアアアッ!!』
「ぎゃあああっ!?」
数えきれないほどの数の魔獣の群れを確認してダインは悲鳴を上げ、周囲から迫る魔物の群れを見て焦った彼は影魔法を発動させる。何としても自分を身を守るため、ダインは影魔法で近づいてきた魔物を振り払う。
「来るなぁっ!!シャドウ・スリップ!!」
「ギャインッ!?」
「フガァッ!?」
自分の周囲に影を鞭のように変化させて振り払う事で接近してきた魔獣を振り払い、次々と近づいてくるオークやコボルトを吹き飛ばす。だが、樹肉によって理性を失った魔獣達は自分の行動を邪魔するダインの存在を許せず、真っ先に襲い掛かってきた。
無我夢中に影を操作して魔獣達の足元を振り払うダインだったが、鈍重なオークだけならばともかく、身軽で素早いコボルトの場合は影に足を奪われないように跳躍してダインに襲い掛かろうとする。
「ガアアッ!!」
「ひいっ!?シャドウマン!!」
「アガァッ!?」
ダインに噛みつこうとしたコボルトの1体が彼の作り出した人型の影人形によって阻まれてしまう。コボルトは唐突に出現した影人形に戸惑いながらも牙を食い込ませようとするが、物理攻撃は一切通じない影人形の前では意味を為さず、逆に押し飛ばされてしまう。
「この、邪魔だっ!!」
「ギャインッ!?」
影人形に押し飛ばされたコボルトは地面に倒れるが、生憎と影人形には攻撃能力はないため、いくら殴りつけたところで相手に損傷を与える事は出来ない。だが、地面に叩きつけられれば話は別であり、その様子を確認したダインはある方法を思いつく。
(あれ、もしかして僕のシャドウマンなら……こいつらに勝てるんじゃないのか!?)
今までは影人形を防衛のためにしか使った事がないダインだったが、コボルトを圧し飛ばして地面に叩きつけた姿を確認し、ある事を思いつく。危機的状況だが、自分一人では戦う術がないと思っていたダインは試しに影人形を背後に移動させて周囲の様子を伺う。
魔物達は突如として出現した影人形とダインを取り囲み、樹肉を得る邪魔をするならば容赦はせず、同時に襲い掛かってきた。周囲から押し寄せる魔物の群れに対してダインは杖を地面に突き刺した状態で聖痕の力を発動させた。
『ガアアアアッ!!』
「ひいっ……ぼ、僕を守れっ!!」
迫りくる魔獣の姿にダインは怖気づきそうになりながらも影人形に命令を与えると、影人形は巨大化してダインに覆いかぶさるように抱き着く。その結果、無数の魔獣の牙や爪が影人形の肉体によって阻まれる。
魔獣達は必死に牙や爪を食い込ませようとするが、影人形は物理攻撃は一切聞かず、それどころかどんな攻撃も反発する。仮にゴンゾウのような巨人族の攻撃を至近距離から受けようと影人形には損傷は与えられないだろう。ダインは自分の影人形によって阻まれた魔獣の様子を伺い、気合を込めた声を上げながら影人形を操作した。
「離れろぉっ!!」
『ギャインッ!?』
影人形が両腕を振り払うと魔獣達は派手に吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられた。影人形の攻撃自体は痛くもかゆくもないが、勢いを付けた状態で地面に叩きつけられれば損傷は避けられない。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。