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真・闘技祭編
7人の聖痕所有者
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「ゴウライ本人は自分が聖痕の所有者だとは気づいていなかったようだけど、背中に紋様があったわ。恐らくは地属性の聖痕ね」
「地属性……?」
「現代で言えば土属性の事ね。かつては地属性と呼ばれていたのだけど、使い手が少なく、地面の土砂を操作する程度の魔法だと認識されてからは土属性と言われるようになったわ」
「へえ、そうだったのかい。それはあたしも初耳だね」
マリア曰く、土属性はかつては地属性と呼ばれていたらしい。だが、その地属性の聖痕をどうして剣士であるゴウライが宿していたのかに関しては彼女も不思議に思っていた。
「気になる事があるとすれば生粋の戦闘職であるゴウライが聖痕を所持していた事ね。本来、聖痕というのは魔力が強い人間、分かりやすく言えば魔術師が継承しやすいの。ハヅキ家の風の聖痕のように代々継承者が他の人間に継承する前に譲り渡したのなら話は別だけど……」
「じゃあ、誰かがゴウライの奴に地属性の聖痕を託したのかい?でも、なんでそんな事を……」
「あの……ゴウライさんは地属性の聖痕を自分が宿している事を知らなかったんですか?」
ミナが口を挟むと、マリアは腕を組んで頷く。ゴウライ本人は本当に地属性の聖痕の事も何も知らなかったらしく、そもそも彼女は背中に紋様がある事さえも知らなかった。
その一方で気になる事はゴウライと同郷で六聖将の一角でもあるホムラも聖痕の所有者であった。王城でマリアは彼女と遭遇した際、一目で彼女が聖痕の所有者だと気づいたという。
「ホムラに関しては恐らくは火属性の聖痕の所有者である事は間違いないわ。という事は一時期とはいえ、ヨツバ王国は3人の聖痕所有者を抱えていた事になる。これがただの偶然だとは思えないわね」
「どういう意味だい?まさか、ヨツバ王国は3つの聖痕を代々継承する人間がいたのかい?」
「人間ではなくて森人族よ。でも、確かにそう考える方が打倒ね。問題があるとすればそれをどうして隠していたのか……西聖将にはまだ秘密が隠されているはずよ」
「な、何だか話が難しくなってきたけど、僕は結局なんで呼ばれたわけ?」
話が自分の闘技祭の参加から聖痕の所有者の話に切り替わっている事にダインが指摘すると、マリアは本題に入る前に5人の聖痕所有者の名前を語る。
「風の聖痕はレナ、火の聖痕はホムラ、地の聖痕はゴウライ、聖の聖痕はレミア、闇の聖痕はダイン……残るのは水の聖痕と雷の聖痕の所有者のみとなった。これは明らかに異常事態よ、歴史上でも聖痕の所有者が5人も現れるなんて普通ではないわ」
「え?どうしてだい?」
「歴史上でも聖痕の所有者同士が集まるのは稀な事よ。それにこれはあくまでも私の予感だけど、恐らくは今度の闘技祭で残りの2名の所有者も現れる、とうよりも「目覚める」かもしれないわ」
「目覚める……?」
「はっきりと言ってしまえば聖痕を覚醒させる人間が現れるという事よ」
「覚醒!?」
どういう意味なのかと全員がマリアに視線を向けると、これまでの話を聞いて彼女は誰もが抱くであろう疑問を口にした。
「仮に聖痕の所有者が誰かに継承する前に死亡した場合、その聖痕はどうなると思う?」
「え?それは……消えてなくなるんじゃないのかい?」
「いいえ、聖痕が消滅する事はあり得ない。その場合は世界の何処かで新たな聖痕の所有者が目覚めるのよ」
「所有者が目覚める!?」
「……かつてハヅキ家が三大貴族に選ばれる前、私にとっては祖母に当たる女性は唐突に風の聖痕が芽生えた。このお陰でハヅキ家は特別な扱いを受けるようになり、現在の地位を確立したといっても過言ではない。祖母は風の聖痕に芽生えたのは恐らくはその時代に存在した元々の聖痕の所有者が既に死亡していたのだけど、突如として聖痕の所有権が祖母に移ったのよ」
「所有権が移った!?そんな事があり得るのかい!?」
ハヅキ家がまだ三大貴族ではなかった時代、マリアの祖母に当たる「ハヅキ」は突如として風の聖痕が芽生え、この事実を知った当時のヨツバ王国の国王はハヅキ家を丁重に扱うようになったという。
風の聖痕を宿したハヅキは当時の時代では最高の魔術師だと称され、その魔力は凄まじく、ハヅキ家の歴代の当主の中でも一番の魔術師だと言われていた。マリアはその祖母の血を濃く継いでおり、どちらも時代を代表する優秀な魔術師だった。
「祖母のハヅキが風の聖痕が目覚めた理由は不明だったけれど、祖母が生まれる前の時代に風の聖痕の所有者は存在したわ。だけど、その人物はもう既に死んでしまっていた。それにも関わらずに祖母は先代の所有者が死亡した10年後に風の聖痕を継承したと言われているわ」
「え、どういう事だい?10年前……?」
「ちょっと待ってくれよ……あ、いや、待ってください。もしも風の聖痕の所有権が他人に入れ替わる場合、その先代の聖痕の所有者が死んだときに他の人間に聖痕の所有権が移るんじゃないんすか?」
マリアの話を聞いていたダインは疑問を抱くと、彼女は聖痕の所有者が唐突な死を迎えた場合、他の人間に聖痕の所有権が移る場合はとある条件が必要だと考えていた。
「地属性……?」
「現代で言えば土属性の事ね。かつては地属性と呼ばれていたのだけど、使い手が少なく、地面の土砂を操作する程度の魔法だと認識されてからは土属性と言われるようになったわ」
「へえ、そうだったのかい。それはあたしも初耳だね」
マリア曰く、土属性はかつては地属性と呼ばれていたらしい。だが、その地属性の聖痕をどうして剣士であるゴウライが宿していたのかに関しては彼女も不思議に思っていた。
「気になる事があるとすれば生粋の戦闘職であるゴウライが聖痕を所持していた事ね。本来、聖痕というのは魔力が強い人間、分かりやすく言えば魔術師が継承しやすいの。ハヅキ家の風の聖痕のように代々継承者が他の人間に継承する前に譲り渡したのなら話は別だけど……」
「じゃあ、誰かがゴウライの奴に地属性の聖痕を託したのかい?でも、なんでそんな事を……」
「あの……ゴウライさんは地属性の聖痕を自分が宿している事を知らなかったんですか?」
ミナが口を挟むと、マリアは腕を組んで頷く。ゴウライ本人は本当に地属性の聖痕の事も何も知らなかったらしく、そもそも彼女は背中に紋様がある事さえも知らなかった。
その一方で気になる事はゴウライと同郷で六聖将の一角でもあるホムラも聖痕の所有者であった。王城でマリアは彼女と遭遇した際、一目で彼女が聖痕の所有者だと気づいたという。
「ホムラに関しては恐らくは火属性の聖痕の所有者である事は間違いないわ。という事は一時期とはいえ、ヨツバ王国は3人の聖痕所有者を抱えていた事になる。これがただの偶然だとは思えないわね」
「どういう意味だい?まさか、ヨツバ王国は3つの聖痕を代々継承する人間がいたのかい?」
「人間ではなくて森人族よ。でも、確かにそう考える方が打倒ね。問題があるとすればそれをどうして隠していたのか……西聖将にはまだ秘密が隠されているはずよ」
「な、何だか話が難しくなってきたけど、僕は結局なんで呼ばれたわけ?」
話が自分の闘技祭の参加から聖痕の所有者の話に切り替わっている事にダインが指摘すると、マリアは本題に入る前に5人の聖痕所有者の名前を語る。
「風の聖痕はレナ、火の聖痕はホムラ、地の聖痕はゴウライ、聖の聖痕はレミア、闇の聖痕はダイン……残るのは水の聖痕と雷の聖痕の所有者のみとなった。これは明らかに異常事態よ、歴史上でも聖痕の所有者が5人も現れるなんて普通ではないわ」
「え?どうしてだい?」
「歴史上でも聖痕の所有者同士が集まるのは稀な事よ。それにこれはあくまでも私の予感だけど、恐らくは今度の闘技祭で残りの2名の所有者も現れる、とうよりも「目覚める」かもしれないわ」
「目覚める……?」
「はっきりと言ってしまえば聖痕を覚醒させる人間が現れるという事よ」
「覚醒!?」
どういう意味なのかと全員がマリアに視線を向けると、これまでの話を聞いて彼女は誰もが抱くであろう疑問を口にした。
「仮に聖痕の所有者が誰かに継承する前に死亡した場合、その聖痕はどうなると思う?」
「え?それは……消えてなくなるんじゃないのかい?」
「いいえ、聖痕が消滅する事はあり得ない。その場合は世界の何処かで新たな聖痕の所有者が目覚めるのよ」
「所有者が目覚める!?」
「……かつてハヅキ家が三大貴族に選ばれる前、私にとっては祖母に当たる女性は唐突に風の聖痕が芽生えた。このお陰でハヅキ家は特別な扱いを受けるようになり、現在の地位を確立したといっても過言ではない。祖母は風の聖痕に芽生えたのは恐らくはその時代に存在した元々の聖痕の所有者が既に死亡していたのだけど、突如として聖痕の所有権が祖母に移ったのよ」
「所有権が移った!?そんな事があり得るのかい!?」
ハヅキ家がまだ三大貴族ではなかった時代、マリアの祖母に当たる「ハヅキ」は突如として風の聖痕が芽生え、この事実を知った当時のヨツバ王国の国王はハヅキ家を丁重に扱うようになったという。
風の聖痕を宿したハヅキは当時の時代では最高の魔術師だと称され、その魔力は凄まじく、ハヅキ家の歴代の当主の中でも一番の魔術師だと言われていた。マリアはその祖母の血を濃く継いでおり、どちらも時代を代表する優秀な魔術師だった。
「祖母のハヅキが風の聖痕が目覚めた理由は不明だったけれど、祖母が生まれる前の時代に風の聖痕の所有者は存在したわ。だけど、その人物はもう既に死んでしまっていた。それにも関わらずに祖母は先代の所有者が死亡した10年後に風の聖痕を継承したと言われているわ」
「え、どういう事だい?10年前……?」
「ちょっと待ってくれよ……あ、いや、待ってください。もしも風の聖痕の所有権が他人に入れ替わる場合、その先代の聖痕の所有者が死んだときに他の人間に聖痕の所有権が移るんじゃないんすか?」
マリアの話を聞いていたダインは疑問を抱くと、彼女は聖痕の所有者が唐突な死を迎えた場合、他の人間に聖痕の所有権が移る場合はとある条件が必要だと考えていた。
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