980 / 2,083
真・闘技祭編
意外な訪問客
しおりを挟む
――闘技祭の再開のため、冒険都市には大勢の巨人族と小髭族が集まっていた。彼等は闘技場の大改築のために雇われ、二か月後に開催される闘技祭までに10万人が入れるだけの大きぼな闘技場を作り出そうとしていた。人間よりも力が強い巨人族、器用さを持ち合わせている小髭族が力を合わせれば作り上げられない建物などない。
その一方で冒険都市の方ではまだ闘技祭の開催から二か月の猶予があるにも関わらず、世界中から数多くの武芸者が集まっていた。その中には冒険者だけではなく傭兵なども多く、闘技祭の賞金目当てで訪れる賞金稼ぎも多かった。彼等は来るべき闘技祭に備えて英気を養うため、街中の宿屋を占拠して二か月後の闘技祭まで待機する。
誰もかれもが闘技祭の開催を待ちわびる中、レナの仲間達の中で一人だけ闘技祭の開催などに興味がなく、先日の巨塔の大迷宮にて大儲けしたと思ったのに借金の返済で利益が殆どなかったダインの元に意外な人物が訪れた。
「随分と狭い家ね。それに埃臭いわ、ちゃんと掃除しているのかしら?」
「相変わらずボロい家だね、あんた稼いでるんだからもっといい家に住んだらどうだい?」
「勝手に乗り込んできて失礼過ぎはしませんかね!?いったい何の用だ……いや、ですかっ!?」
「ダイン君、落ち着いて!!焦る気持ちは分かるけど……」
ダインが住んでいる家に訪れたのはミナを護衛にして訪れたマリアと、昔から色々と縁ががあるバルだった。急に自分の家に訪れた3人にダインは怒鳴りながらもお茶を用意すると、3人はお茶を飲んでから一息入れる。
「ふうっ……あら、意外と美味しいわね。お茶の入れ方は中々よ」
「当然だね、こいつに美味しいお茶を汲むように躾けたのはあたしだからね」
「あ、ダイン君。良かったら甘い物も貰えるかな?」
「いや、本当に何しに来たんだよ!?お茶を飲むために僕の家に来たわけじゃないんだろ!?」
甘味を要求してきたミナにダインは来客用に用意していた茶菓子を用意すると、マリアは本題を思い出したようにバルに振り返り、彼女に説明を行わせた。
「ああ、悪い悪い。久しぶりにあんたの茶を飲みたくなってね……というのは冗談だよ。だからその杖を降ろしな」
「あんたの冗談は昔から笑えないんだよ!!たくっ……こっちはレナ達が修行で忙しいから仕事を手伝って貰えなくて大変だっていうのに」
「あれ?ダイン君は一人で依頼を受けたりしないの?」
「僕は魔術師だ!!レナじゃないんだから、普通に単独で依頼を受けるわけないだろ!!魔術師の本領は後方支援なんだから誰かに守って貰わないと討伐系の仕事は出来ないんだよ!?」
「正論ね、肉体面では非力な魔術師が一人で危険を犯すのは自殺行為よ」
ダインはレナもゴンゾウもシズネも現在は闘技祭に備えて修行中のため、彼等の力を借りれないので碌に冒険者ギルドで仕事を受ける事も出来なかった。晴れてAランクにまで昇格したにも関わらず、ダインはお金を稼ぐことが出来ない現況に嫌気を差していた。
闇魔導士の欠点があるとすれば攻撃能力を持つ魔法を覚えられないという点であり、ダインの扱う魔法は相手を拘束するか、あるいはステータスを低下させる事しか出来ない。全く攻撃能力がないというわけでもないのだが、ダインの真価は他の人間の「援護」であるため、レナのように前に出て戦えるわけではない。
「たくっ……闘技祭だか何だか知らないけど、さっさと終わってレナ達も早く戻ってきて欲しいもんだ」
「あんたね、闘技祭がどれだけ大変な行事なのか分かっていってるのかい?」
「知らないよそんなの……こっちは今を生きるだけで精いっぱい何だよ」
「たくっ、よく今まで生きてこれたねあんた……まあ、それはともかく本題に入るよ。ダイン、あんた闘技祭に出場しな」
「はあっ!?」
唐突に訪れてとんでもない事を言い出したバルにダインは目を見開くが、彼女は真剣な表情を浮かべており、決してふざけている様子はなかった。だが、だからこそバルの言葉にダインは信じられない表情を浮かべ、どうして自分が闘技祭に参加しなければならないのかと問う。
「な、なんで僕が闘技祭なんかに参加するんだよ!?今回の闘技祭は部門別がなくなったから、戦闘職も魔法職の人間も同じ規則で戦うんだろ!?そんなの、非力な僕が勝ち残れるわけないだろ!?」
「それは貴方の実力次第よ。今回の闘技祭、私は表立ってレナの協力は出来ないけれど……あの子のために力になりたいと思うのなら手伝いなさい」
「れ、レナのため……それ、どういう意味ですか?」
レナの名前が出てきた事にダインは戸惑い、どうして自分が闘技祭に参加する事がレナの役に立てるのかと思うと、マリアはダインに闘技祭で参加する事の意味を伝えた。
その一方で冒険都市の方ではまだ闘技祭の開催から二か月の猶予があるにも関わらず、世界中から数多くの武芸者が集まっていた。その中には冒険者だけではなく傭兵なども多く、闘技祭の賞金目当てで訪れる賞金稼ぎも多かった。彼等は来るべき闘技祭に備えて英気を養うため、街中の宿屋を占拠して二か月後の闘技祭まで待機する。
誰もかれもが闘技祭の開催を待ちわびる中、レナの仲間達の中で一人だけ闘技祭の開催などに興味がなく、先日の巨塔の大迷宮にて大儲けしたと思ったのに借金の返済で利益が殆どなかったダインの元に意外な人物が訪れた。
「随分と狭い家ね。それに埃臭いわ、ちゃんと掃除しているのかしら?」
「相変わらずボロい家だね、あんた稼いでるんだからもっといい家に住んだらどうだい?」
「勝手に乗り込んできて失礼過ぎはしませんかね!?いったい何の用だ……いや、ですかっ!?」
「ダイン君、落ち着いて!!焦る気持ちは分かるけど……」
ダインが住んでいる家に訪れたのはミナを護衛にして訪れたマリアと、昔から色々と縁ががあるバルだった。急に自分の家に訪れた3人にダインは怒鳴りながらもお茶を用意すると、3人はお茶を飲んでから一息入れる。
「ふうっ……あら、意外と美味しいわね。お茶の入れ方は中々よ」
「当然だね、こいつに美味しいお茶を汲むように躾けたのはあたしだからね」
「あ、ダイン君。良かったら甘い物も貰えるかな?」
「いや、本当に何しに来たんだよ!?お茶を飲むために僕の家に来たわけじゃないんだろ!?」
甘味を要求してきたミナにダインは来客用に用意していた茶菓子を用意すると、マリアは本題を思い出したようにバルに振り返り、彼女に説明を行わせた。
「ああ、悪い悪い。久しぶりにあんたの茶を飲みたくなってね……というのは冗談だよ。だからその杖を降ろしな」
「あんたの冗談は昔から笑えないんだよ!!たくっ……こっちはレナ達が修行で忙しいから仕事を手伝って貰えなくて大変だっていうのに」
「あれ?ダイン君は一人で依頼を受けたりしないの?」
「僕は魔術師だ!!レナじゃないんだから、普通に単独で依頼を受けるわけないだろ!!魔術師の本領は後方支援なんだから誰かに守って貰わないと討伐系の仕事は出来ないんだよ!?」
「正論ね、肉体面では非力な魔術師が一人で危険を犯すのは自殺行為よ」
ダインはレナもゴンゾウもシズネも現在は闘技祭に備えて修行中のため、彼等の力を借りれないので碌に冒険者ギルドで仕事を受ける事も出来なかった。晴れてAランクにまで昇格したにも関わらず、ダインはお金を稼ぐことが出来ない現況に嫌気を差していた。
闇魔導士の欠点があるとすれば攻撃能力を持つ魔法を覚えられないという点であり、ダインの扱う魔法は相手を拘束するか、あるいはステータスを低下させる事しか出来ない。全く攻撃能力がないというわけでもないのだが、ダインの真価は他の人間の「援護」であるため、レナのように前に出て戦えるわけではない。
「たくっ……闘技祭だか何だか知らないけど、さっさと終わってレナ達も早く戻ってきて欲しいもんだ」
「あんたね、闘技祭がどれだけ大変な行事なのか分かっていってるのかい?」
「知らないよそんなの……こっちは今を生きるだけで精いっぱい何だよ」
「たくっ、よく今まで生きてこれたねあんた……まあ、それはともかく本題に入るよ。ダイン、あんた闘技祭に出場しな」
「はあっ!?」
唐突に訪れてとんでもない事を言い出したバルにダインは目を見開くが、彼女は真剣な表情を浮かべており、決してふざけている様子はなかった。だが、だからこそバルの言葉にダインは信じられない表情を浮かべ、どうして自分が闘技祭に参加しなければならないのかと問う。
「な、なんで僕が闘技祭なんかに参加するんだよ!?今回の闘技祭は部門別がなくなったから、戦闘職も魔法職の人間も同じ規則で戦うんだろ!?そんなの、非力な僕が勝ち残れるわけないだろ!?」
「それは貴方の実力次第よ。今回の闘技祭、私は表立ってレナの協力は出来ないけれど……あの子のために力になりたいと思うのなら手伝いなさい」
「れ、レナのため……それ、どういう意味ですか?」
レナの名前が出てきた事にダインは戸惑い、どうして自分が闘技祭に参加する事がレナの役に立てるのかと思うと、マリアはダインに闘技祭で参加する事の意味を伝えた。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。