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真・闘技祭編
火属性の魔刀術の性質
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「貴方のお父さんも水属性の魔法が扱えたわ。人間の中で水属性の魔法を得意とする人は珍しかったから、最初に話を聞いたときは驚いたわね」
「そうなの?」
「ええ、普通の場合はシズネちゃんのように人魚族の血を継いでいるならともかく、あの人の場合は両親も祖父母も人魚族ではなかったの。極稀にバルトロス王家の人間の中には普通の人間なら適性はあり得ない属性の魔法を覚える人間が生まれてくると聞いた事があるけれど、レナちゃんもそういう意味ではあの人と同じなのね」
「そうだったのか……」
言われてみればレナは人間の中で水属性の魔法を扱える人間は滅多に見た事がない事に気づき、バルトロス王族の家系の人間は基本的には勇者の血筋でもあるので全ての属性に適性がある。その中でもレナは父親のバルトロス13世は水属性の適性が高かったという。
レナの場合は母親のアイラが火属性、父親のバルトロス13世が水属性を得意としていたらしく、その二人の間に生まれた影響なのか水属性と火属性の適性が高いという。本来、相反する属性同士なのでどちらの適性も高いという人間は滅多にいない。
「レナちゃんは火属性と水属性の魔法は得意かしら?」
「う~ん、子供の頃は良く使っていたけど、最近はあんまり使う機会はなかったかな。特に御祖母様からこの聖痕を受け継いだ後は風属性の魔法が前よりも得意になった気がする」
「そう、聖痕……母がまさかレナちゃんにこの聖痕を託すなんて思いもしなかったわ」
アイラはレナの聖痕を見て複雑そうな表情を浮かべ、彼女は実の母親であるハヅキとは仲が良かったとは言えない。実際、妹のマリアを連れてヨツバ王国を抜け出したのも母親に対する反抗心からである。しかし、レナがあった限りではハヅキはアイラの事を愛していた。但し、その愛情の表現が下手だったように思えた。
マリアはハヅキと定期的に連絡を取り、今では彼女の代わりにハヅキ家の当主として勤めている。だからこそアイラと比べれば母親に対して対抗心はあまり抱いていなかったようだが、アイラは仲直りする前にハヅキを失ってしまう。それだけに彼女はレナの聖痕を見て何とも言えない感覚を味わう。
「……もしも母もあの人も生きていれば、今頃はどんな事になっていたんでしょうね」
「…………」
レナはアイラの呟きに答える事は出来ず、流石のアイリスでも彼女の疑問には答える事は出来ないだろう。死んだ人間が生き返る事はあり得ない話だが、それでもアイラは愛した夫や自分の母親の事は忘れる事は出来ない。
「あら、ちょっとしんみりしちゃったわね。じゃあ、まずはレナちゃんに魔刀術の使い方を教えてあげるわね。実は火属性の魔力で構成された魔刀術は熱を操って本物の炎以上の高温を生み出せる事は知っているかしら?」
「うん、ホムラが使っているのを見た事がある」
西聖将であるホムラと初めて遭遇したとき、レナは退魔刀を溶かされかけた事を思い出す。魔法耐性が高い退魔刀を溶かしかねない高温の炎の魔力を纏わせるホムラの魔刀術は非常に印象的であり、彼女と同じく火属性の魔力で魔刀術を構成するアイラも同じことが出来るという。
火属性の魔力の特徴は「熱」その物らしく、この熱を操る事で武器に纏う魔力を加熱させればマグマの如き温度を放ち、場合によっては本物の火炎以上の高温を生み出せる。それは最早「炎」という表現ではなく、正に「太陽」と言っても過言ではない。
「火属性の魔刀術の場合、熱を上げて攻撃すれば相手を焼き切る事が出来る。そして最大の特徴は魔法耐性がどれだけ高い武器であろうと熱は防げないという事よ」
「防げない?」
「そうね、例えば魔法耐性が凄く高い盾に火属性の砲撃魔法を行っても、魔法耐性の高さが攻撃威力を上回らない限りは盾が壊れる事はあり得ないわ。でも、魔刀術の場合だと武器が発する「熱」その物はどんなに魔法耐性が高い盾だろうと防ぐ事は出来ないわ。何しろ火属性の魔力で構成されただけの砲撃魔法と違って、魔刀術の場合はあくまでも「高温」その物を生み出しただけに過ぎないから単純に炎を纏った剣の攻撃を繰り出すだけじゃないから防げないの」
アイラの説明によると火属性の砲撃魔法の場合、どんなに威力を高めようと結局は火属性の魔力の塊をぶつける事に等しく、それでは魔法耐性の高い防具に攻撃を加えても威力が耐性を上回らなければ破壊には至らない。だが、魔刀術の場合は武器に帯びた魔力が発生させる「熱」その物はいくら魔法耐性が高い武器であろうと関係なく、金属を溶かす程の熱量を発揮していた場合は防具を破壊する事が出来るという。
魔刀術の最大の利点は魔法耐性がどれだけ高い武器だろうと関係なく、アダマンタイトのような非常に頑丈な金属であろうと、魔刀術がアダマンタイトを解かせる程の熱量を発揮すれば破壊できるらしい。だからこそレナはホムラと戦った時、彼女の魔刀術を退魔刀では完全に防ぐ事は出来なかったらしい。
「そうなの?」
「ええ、普通の場合はシズネちゃんのように人魚族の血を継いでいるならともかく、あの人の場合は両親も祖父母も人魚族ではなかったの。極稀にバルトロス王家の人間の中には普通の人間なら適性はあり得ない属性の魔法を覚える人間が生まれてくると聞いた事があるけれど、レナちゃんもそういう意味ではあの人と同じなのね」
「そうだったのか……」
言われてみればレナは人間の中で水属性の魔法を扱える人間は滅多に見た事がない事に気づき、バルトロス王族の家系の人間は基本的には勇者の血筋でもあるので全ての属性に適性がある。その中でもレナは父親のバルトロス13世は水属性の適性が高かったという。
レナの場合は母親のアイラが火属性、父親のバルトロス13世が水属性を得意としていたらしく、その二人の間に生まれた影響なのか水属性と火属性の適性が高いという。本来、相反する属性同士なのでどちらの適性も高いという人間は滅多にいない。
「レナちゃんは火属性と水属性の魔法は得意かしら?」
「う~ん、子供の頃は良く使っていたけど、最近はあんまり使う機会はなかったかな。特に御祖母様からこの聖痕を受け継いだ後は風属性の魔法が前よりも得意になった気がする」
「そう、聖痕……母がまさかレナちゃんにこの聖痕を託すなんて思いもしなかったわ」
アイラはレナの聖痕を見て複雑そうな表情を浮かべ、彼女は実の母親であるハヅキとは仲が良かったとは言えない。実際、妹のマリアを連れてヨツバ王国を抜け出したのも母親に対する反抗心からである。しかし、レナがあった限りではハヅキはアイラの事を愛していた。但し、その愛情の表現が下手だったように思えた。
マリアはハヅキと定期的に連絡を取り、今では彼女の代わりにハヅキ家の当主として勤めている。だからこそアイラと比べれば母親に対して対抗心はあまり抱いていなかったようだが、アイラは仲直りする前にハヅキを失ってしまう。それだけに彼女はレナの聖痕を見て何とも言えない感覚を味わう。
「……もしも母もあの人も生きていれば、今頃はどんな事になっていたんでしょうね」
「…………」
レナはアイラの呟きに答える事は出来ず、流石のアイリスでも彼女の疑問には答える事は出来ないだろう。死んだ人間が生き返る事はあり得ない話だが、それでもアイラは愛した夫や自分の母親の事は忘れる事は出来ない。
「あら、ちょっとしんみりしちゃったわね。じゃあ、まずはレナちゃんに魔刀術の使い方を教えてあげるわね。実は火属性の魔力で構成された魔刀術は熱を操って本物の炎以上の高温を生み出せる事は知っているかしら?」
「うん、ホムラが使っているのを見た事がある」
西聖将であるホムラと初めて遭遇したとき、レナは退魔刀を溶かされかけた事を思い出す。魔法耐性が高い退魔刀を溶かしかねない高温の炎の魔力を纏わせるホムラの魔刀術は非常に印象的であり、彼女と同じく火属性の魔力で魔刀術を構成するアイラも同じことが出来るという。
火属性の魔力の特徴は「熱」その物らしく、この熱を操る事で武器に纏う魔力を加熱させればマグマの如き温度を放ち、場合によっては本物の火炎以上の高温を生み出せる。それは最早「炎」という表現ではなく、正に「太陽」と言っても過言ではない。
「火属性の魔刀術の場合、熱を上げて攻撃すれば相手を焼き切る事が出来る。そして最大の特徴は魔法耐性がどれだけ高い武器であろうと熱は防げないという事よ」
「防げない?」
「そうね、例えば魔法耐性が凄く高い盾に火属性の砲撃魔法を行っても、魔法耐性の高さが攻撃威力を上回らない限りは盾が壊れる事はあり得ないわ。でも、魔刀術の場合だと武器が発する「熱」その物はどんなに魔法耐性が高い盾だろうと防ぐ事は出来ないわ。何しろ火属性の魔力で構成されただけの砲撃魔法と違って、魔刀術の場合はあくまでも「高温」その物を生み出しただけに過ぎないから単純に炎を纏った剣の攻撃を繰り出すだけじゃないから防げないの」
アイラの説明によると火属性の砲撃魔法の場合、どんなに威力を高めようと結局は火属性の魔力の塊をぶつける事に等しく、それでは魔法耐性の高い防具に攻撃を加えても威力が耐性を上回らなければ破壊には至らない。だが、魔刀術の場合は武器に帯びた魔力が発生させる「熱」その物はいくら魔法耐性が高い武器であろうと関係なく、金属を溶かす程の熱量を発揮していた場合は防具を破壊する事が出来るという。
魔刀術の最大の利点は魔法耐性がどれだけ高い武器だろうと関係なく、アダマンタイトのような非常に頑丈な金属であろうと、魔刀術がアダマンタイトを解かせる程の熱量を発揮すれば破壊できるらしい。だからこそレナはホムラと戦った時、彼女の魔刀術を退魔刀では完全に防ぐ事は出来なかったらしい。
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