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真・闘技祭編
魔法を斬る
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「あちっ……母上の魔刀術、まるで本物の炎みたいですね」
「ふふふ、その気になればもっと温度を上げる事は出来るけど……でも、私の魔刀術の本質は熱ではないわ」
「じゃあ、どんな能力があるんですか?」
「そうね、なら見せてあげるわ」
アイラは笑顔の表情から一変して真剣な顔つきになると、炎を想像させる魔力を宿した剣を構え、何もない空間へと切り裂く。その動作は明らかに現役を引退した剣士の物ではなく、剣を振り抜いただけで軽い衝撃波が発生した。
マリアが魔法の才能に恵まれた存在ならば、アイラは剣士としての才能に恵まれていた。この二人がヨツバ王国を離れなければ現在の六聖将の内の二人が入れ替わっていてもおかしくはない。アイラが結婚して剣士を辞めていなければ彼女は未だに現役の剣士として活躍していただろう。
「ふうっ……やっぱり、魔刀術は疲れるわね。でも、大分慣れてきたわ」
「あの、さっき言っていた魔法を斬るというのはどういう意味なんですか?」
「そうね、マリアがここにいれば協力して貰えるんだけど……あ、そうだわ。レナちゃんは攻撃魔法も使えたわね、お母さんに撃ってみてくれる?」
「ええっ!?」
とんでもない事を言い出したアイラにレナは戸惑い、確かに初級魔法を組み合わせた合成魔術ならばレナでも攻撃は行える。だが、母親に向けて魔法を撃つなど今まで考えた事もない。
しかし、アイラはやる気なのか彼女は久しぶりに剣を握れた事に興奮した様子で剣を構え、自分を信じろとばかりに剣を振り回す。その様子を見てレナは手加減を行えば大丈夫かと思い、とりあえずは軽く風属性の魔法を発動させる事にした。
「じゃ、じゃあ……本当に撃ちますよ?」
「ええ、本気で撃っても構わないわ!!」
「それは流石に……えっと、風刃!!」
威力を調整してレナは初級魔法と支援魔法を組み合わせて風属性の攻撃魔法を放つ。掌から三日月の形状をした風の刃が誕生し、剣を構えるアイラの元へ向かう。それを見たアイラは剣を冗談に構えると迫りくる風の刃を切り裂く。
「はああっ!!」
「うわっ!?」
アイラが風刃を切り裂いた瞬間、熱風が周囲へと広がり、彼女は言葉通りにレナの魔法を斬り裂いた。その光景を見てレナは驚き、仮に普通の剣士がマリアの真似をしたところで魔法を切り裂く事は出来ない。
仮にゴウライのように剛剣を極めた剣士ならばレナの風刃を斬り裂く事は出来るかもしれない。しかし、風の刃を切り裂いたところで魔法が消失するわけではなく、むしろ無理やりに打ち破ろうとすれば風刃は拡散して周囲に被害を及ぼす。
だが、アイラの場合は風の刃を斬り裂いた瞬間に熱風と共に魔法の力が消え去る。レナの所持する鏡刀や魔法耐性の高い武器ならば魔法を撃ち破る事は出来るが、生憎と彼女が使用した剣は兵士の訓練用の武器のため、魔法耐性どころか刃さえも鈍らであった。
「ふうっ……久しぶりね、この感覚」
「は、母上……大丈夫ですか?」
「ええ、平気よ。それよりも今の魔法、レナちゃんたら手加減したわね?もう、お母さんが心配だからって遠慮する必要ないのよ?」
「いや、遠慮って……」
「こう見えてもお母さん、マリアの上級魔法を斬った事もあるのよ?」
「嘘っ!?」
現役時代のアイラは当時から世界最強と呼ばれた魔術師のアイラの砲撃魔法も打ち破った事があり、彼女によると魔法を斬る技術を身に付けてからは魔術師との戦闘に置いてかなり役立ったという。
「魔術師との戦闘でこの魔刀術を使って魔法を斬り続けていたら、いつの間にか私は魔剣の剣聖と呼ばれていたの。でも、魔剣と言っても魔法拳を扱うわけじゃなく、魔法を斬り捨てる剣士だから魔剣士と呼ばれていた事もあったわね」
「魔剣士……母上が鎧化したらビキニアーマーになりそう」
「な、何の話かしら?」
魔刀術を維持するのはきついのか、アイラは用事を終えると剣に纏っていた魔力を消失させ、レナにも自分を真似して魔刀術を発動させるように促す。
「レナちゃんの魔刀術も見せて貰えるかしら?私も指導できるかもしれないわ」
「あ、はい……じゃあ、よろしくお願いします」
レナは訓練用の剣を構えると、魔刀術を発動させて「蒼炎」を生み出す。自分の魔刀術とは全く異なる色合いの炎を生み出した事にアイラは驚き、規模も密度もレナの方が上回っていた。
剣士であるアイラよりも魔術師として生まれたレナの方が魔力容量に関しては恵まれ、しかもレベルが上がったお陰で以前よりも魔力が増していた。今までと比べて剣に纏う蒼炎も荒々しく、迫力を増していた。
「凄い……これがレナちゃんの魔刀術なのね」
「はい、でも何故か青色の炎なんですよね。なんでも俺は火属性と水属性に適性があるらしいんですけど……」
「……あの人も水属性が得意だったわ」
「え?」
アイラはレナの言葉を聞いて亡き夫の事を思い出し、死んでしまったバルトロス13世も水属性の魔法の適性が高かったという。
「ふふふ、その気になればもっと温度を上げる事は出来るけど……でも、私の魔刀術の本質は熱ではないわ」
「じゃあ、どんな能力があるんですか?」
「そうね、なら見せてあげるわ」
アイラは笑顔の表情から一変して真剣な顔つきになると、炎を想像させる魔力を宿した剣を構え、何もない空間へと切り裂く。その動作は明らかに現役を引退した剣士の物ではなく、剣を振り抜いただけで軽い衝撃波が発生した。
マリアが魔法の才能に恵まれた存在ならば、アイラは剣士としての才能に恵まれていた。この二人がヨツバ王国を離れなければ現在の六聖将の内の二人が入れ替わっていてもおかしくはない。アイラが結婚して剣士を辞めていなければ彼女は未だに現役の剣士として活躍していただろう。
「ふうっ……やっぱり、魔刀術は疲れるわね。でも、大分慣れてきたわ」
「あの、さっき言っていた魔法を斬るというのはどういう意味なんですか?」
「そうね、マリアがここにいれば協力して貰えるんだけど……あ、そうだわ。レナちゃんは攻撃魔法も使えたわね、お母さんに撃ってみてくれる?」
「ええっ!?」
とんでもない事を言い出したアイラにレナは戸惑い、確かに初級魔法を組み合わせた合成魔術ならばレナでも攻撃は行える。だが、母親に向けて魔法を撃つなど今まで考えた事もない。
しかし、アイラはやる気なのか彼女は久しぶりに剣を握れた事に興奮した様子で剣を構え、自分を信じろとばかりに剣を振り回す。その様子を見てレナは手加減を行えば大丈夫かと思い、とりあえずは軽く風属性の魔法を発動させる事にした。
「じゃ、じゃあ……本当に撃ちますよ?」
「ええ、本気で撃っても構わないわ!!」
「それは流石に……えっと、風刃!!」
威力を調整してレナは初級魔法と支援魔法を組み合わせて風属性の攻撃魔法を放つ。掌から三日月の形状をした風の刃が誕生し、剣を構えるアイラの元へ向かう。それを見たアイラは剣を冗談に構えると迫りくる風の刃を切り裂く。
「はああっ!!」
「うわっ!?」
アイラが風刃を切り裂いた瞬間、熱風が周囲へと広がり、彼女は言葉通りにレナの魔法を斬り裂いた。その光景を見てレナは驚き、仮に普通の剣士がマリアの真似をしたところで魔法を切り裂く事は出来ない。
仮にゴウライのように剛剣を極めた剣士ならばレナの風刃を斬り裂く事は出来るかもしれない。しかし、風の刃を切り裂いたところで魔法が消失するわけではなく、むしろ無理やりに打ち破ろうとすれば風刃は拡散して周囲に被害を及ぼす。
だが、アイラの場合は風の刃を斬り裂いた瞬間に熱風と共に魔法の力が消え去る。レナの所持する鏡刀や魔法耐性の高い武器ならば魔法を撃ち破る事は出来るが、生憎と彼女が使用した剣は兵士の訓練用の武器のため、魔法耐性どころか刃さえも鈍らであった。
「ふうっ……久しぶりね、この感覚」
「は、母上……大丈夫ですか?」
「ええ、平気よ。それよりも今の魔法、レナちゃんたら手加減したわね?もう、お母さんが心配だからって遠慮する必要ないのよ?」
「いや、遠慮って……」
「こう見えてもお母さん、マリアの上級魔法を斬った事もあるのよ?」
「嘘っ!?」
現役時代のアイラは当時から世界最強と呼ばれた魔術師のアイラの砲撃魔法も打ち破った事があり、彼女によると魔法を斬る技術を身に付けてからは魔術師との戦闘に置いてかなり役立ったという。
「魔術師との戦闘でこの魔刀術を使って魔法を斬り続けていたら、いつの間にか私は魔剣の剣聖と呼ばれていたの。でも、魔剣と言っても魔法拳を扱うわけじゃなく、魔法を斬り捨てる剣士だから魔剣士と呼ばれていた事もあったわね」
「魔剣士……母上が鎧化したらビキニアーマーになりそう」
「な、何の話かしら?」
魔刀術を維持するのはきついのか、アイラは用事を終えると剣に纏っていた魔力を消失させ、レナにも自分を真似して魔刀術を発動させるように促す。
「レナちゃんの魔刀術も見せて貰えるかしら?私も指導できるかもしれないわ」
「あ、はい……じゃあ、よろしくお願いします」
レナは訓練用の剣を構えると、魔刀術を発動させて「蒼炎」を生み出す。自分の魔刀術とは全く異なる色合いの炎を生み出した事にアイラは驚き、規模も密度もレナの方が上回っていた。
剣士であるアイラよりも魔術師として生まれたレナの方が魔力容量に関しては恵まれ、しかもレベルが上がったお陰で以前よりも魔力が増していた。今までと比べて剣に纏う蒼炎も荒々しく、迫力を増していた。
「凄い……これがレナちゃんの魔刀術なのね」
「はい、でも何故か青色の炎なんですよね。なんでも俺は火属性と水属性に適性があるらしいんですけど……」
「……あの人も水属性が得意だったわ」
「え?」
アイラはレナの言葉を聞いて亡き夫の事を思い出し、死んでしまったバルトロス13世も水属性の魔法の適性が高かったという。
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