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真・闘技祭編
最強の剣士の参戦
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「それで、お前達はどうしてここへ来たんだ?吾輩を迎えに来てくれたのか?」
「半分は正解だ」
「半分?」
『……近々、冒険都市で闘技祭が再開される。それでお前にも』
「うむ、分かった!!冒険都市だな!!」
話を聞き終えるとゴウライは肉に嚙り付きながらも歩み始め、その様子を見たシュンとハヤテは呆気に取られるが、すぐに彼女の後を追う。
「お、おい待て!!分かったって……何が分かったんだ!?」
「ん?闘技祭が再開されるんだろう、ならば吾輩も出るぞ!!ここの魔物共と戦うのも飽きてきたからな!!」
『それは闘技祭に参加するという事かは?』
「無論だ!!それで……冒険都市はどっちの方角だ?」
ここでゴウライは冒険都市が何処に存在するのか分からず、そもそも彼女は里帰りのために西聖将の領地に向かっていたのに南聖将の領地へ訪れる程の方向音痴である。最も西聖将の領地は結界で封じられているため、簡単には見つからないのは仕方ない話なのだが、元々ゴウライは昔から道に迷う事が多かった。
シュンとハヤテがゴウライを迎えに来たのは理由が二つあり、まずはデブリ国王の命令で彼女を迎え入れるように言われていた。理由としては六聖将だけではなく、最強の剣士であるゴウライもヨツバ王国の代表として出場させたいという。
しかし、ハヤテとシュンがわざわざ出向いた理由は方向音痴のゴウライを迎えに来ただけではなく、彼女に対して宣戦布告を行うためでもあった。
「……ゴウライ、お前には何度も勝負を挑んだな」
「うむ、そういえばそうだったな!!吾輩の全戦全勝だったがな!!」
「ああ、確かにその通りだな……だが、次で最後だ」
「最後?」
「次にお前と戦って負ければ、もう俺は剣士を捨てる……のは無理だな、うん」
「うん?」
『おい』
「いや、分かってるって……でも、剣士止めたら俺の取り柄ってないからさ」
真剣な表情を浮かべた癖にあっさりと自分の言葉を否定したシュンにツバサは呆れてしまうが、彼はため息を吐き出しながらゴウライへと告げる。
「分かった、真面目に言うわ……ゴウライ、次の勝負で最後だ。もしも俺が負けたら、もう俺はお前に勝負は挑まない」
「何!?考え直せ、負けっぱなしだからって自暴自棄になるな!!それでは吾輩がつまらんだろう!!」
「い、いや……別に自暴自棄になったわけじゃねえよ!!ただ、俺なりの覚悟を伝えたくてな……」
ゴウライはシュンの言葉を聞いて目を見開き、彼の両肩を掴んで考え直すように説得する。ゴウライからすればシュンが自分に勝負を挑む事自体は苦ではなく、むしろ戦う度に強くなる彼に対して毎回期待感を抱いていた。
自分には及ばないまでもシュンも優れた剣士である事は間違いなく、そんな彼が剣士である事を止めるなどゴウライにとっては残念でならない。そんな二人のやり取りを見ていたハヤテは苛立ちを抑えきれずに腰の刀に手を伸ばす。
『いつまでくっついている!!』
「おっと」
「うおっ!?あ、危ねえだろ!?」
ハヤテが刀を引き抜いた瞬間に風の斬撃が放たれ、咄嗟にゴウライとシュンは離れると二人の間に斬撃が通り過ぎる。その際にシュンの前髪が何本か切れてしまい、ゴウライの方は手にしていた肉の一部が切れて咄嗟に彼女は空中に放り出された肉の破片に喰らいつく。
「ひゃてよ、あふないではないかっ……うぐ、危うく肉を落とすところだったぞ!!」
『ええい、さっさと肉を飲み込め!!ゴウライ、私はこの馬鹿弟子とは違う!!お前に負けたら私は剣士を辞める!!』
「何っ!?お前もか!?吾輩に負けると剣を辞めるのが流行っているのか?」
「流行ってねえよ!!こちとら、本気で悩んで考えてるんだよ!!」
ゴウライはハヤテまでも自分に負けたら剣士を辞めるという言葉に衝撃を受けた表情を浮かべるが、シュンとハヤテも冗談で言っているわけではない。
この二人は剣士として100年以上も生きてきた。どちらも剣の道を歩み、最強の剣士になるために研鑽を重ねてきたといっても過言ではない。だが、互いに最強の剣士を目指すに当たって最も大きな障害となるのがゴウライだった。
――ヨツバ王国には優れた武芸者は数多く、剣士で厳選したとしてもクレナイ、ツバサ、ハヤテ、シュン、その他にも多数の優秀な剣士は存在する。ヨツバ王国の国民の中で最強の剣士と言えば真っ先に名前が上がるのは六聖将の筆頭を務めるクレナイか、あるいは王都の守護神と呼ばれるツバサである事は間違いない。
しかし、その両名を実際に知っているシュンとハヤテにとってはこの二人に匹敵する、あるいはそれ以上の力を持つのがゴウライだった。二人がゴウライを迎えに来たのは闘技祭で彼女に勝ち、自分が最強の剣士である事を証明するために彼女に宣言を行う。敗北すれば自分達も剣を捨てる事を覚悟し、二人はゴウライに宣言する。
『「ゴウライ、お前に決闘を挑む」』
「うむ!!掛かってこい!!」
「ちょ、今じゃねえよ!?」
『闘技祭で戦えという意味だ!!』
ゴウライは意気揚々とデュランダルを抜き取り、ハヤテとシュンを同時に相手に戦おうとするが、慌ててシュンとハヤテは彼女を落ち着かせて闘技祭で決着をつける事を説明した――
※ゴウライが絡むとどうしてもギャク方向に……(´・ω・)
「半分は正解だ」
「半分?」
『……近々、冒険都市で闘技祭が再開される。それでお前にも』
「うむ、分かった!!冒険都市だな!!」
話を聞き終えるとゴウライは肉に嚙り付きながらも歩み始め、その様子を見たシュンとハヤテは呆気に取られるが、すぐに彼女の後を追う。
「お、おい待て!!分かったって……何が分かったんだ!?」
「ん?闘技祭が再開されるんだろう、ならば吾輩も出るぞ!!ここの魔物共と戦うのも飽きてきたからな!!」
『それは闘技祭に参加するという事かは?』
「無論だ!!それで……冒険都市はどっちの方角だ?」
ここでゴウライは冒険都市が何処に存在するのか分からず、そもそも彼女は里帰りのために西聖将の領地に向かっていたのに南聖将の領地へ訪れる程の方向音痴である。最も西聖将の領地は結界で封じられているため、簡単には見つからないのは仕方ない話なのだが、元々ゴウライは昔から道に迷う事が多かった。
シュンとハヤテがゴウライを迎えに来たのは理由が二つあり、まずはデブリ国王の命令で彼女を迎え入れるように言われていた。理由としては六聖将だけではなく、最強の剣士であるゴウライもヨツバ王国の代表として出場させたいという。
しかし、ハヤテとシュンがわざわざ出向いた理由は方向音痴のゴウライを迎えに来ただけではなく、彼女に対して宣戦布告を行うためでもあった。
「……ゴウライ、お前には何度も勝負を挑んだな」
「うむ、そういえばそうだったな!!吾輩の全戦全勝だったがな!!」
「ああ、確かにその通りだな……だが、次で最後だ」
「最後?」
「次にお前と戦って負ければ、もう俺は剣士を捨てる……のは無理だな、うん」
「うん?」
『おい』
「いや、分かってるって……でも、剣士止めたら俺の取り柄ってないからさ」
真剣な表情を浮かべた癖にあっさりと自分の言葉を否定したシュンにツバサは呆れてしまうが、彼はため息を吐き出しながらゴウライへと告げる。
「分かった、真面目に言うわ……ゴウライ、次の勝負で最後だ。もしも俺が負けたら、もう俺はお前に勝負は挑まない」
「何!?考え直せ、負けっぱなしだからって自暴自棄になるな!!それでは吾輩がつまらんだろう!!」
「い、いや……別に自暴自棄になったわけじゃねえよ!!ただ、俺なりの覚悟を伝えたくてな……」
ゴウライはシュンの言葉を聞いて目を見開き、彼の両肩を掴んで考え直すように説得する。ゴウライからすればシュンが自分に勝負を挑む事自体は苦ではなく、むしろ戦う度に強くなる彼に対して毎回期待感を抱いていた。
自分には及ばないまでもシュンも優れた剣士である事は間違いなく、そんな彼が剣士である事を止めるなどゴウライにとっては残念でならない。そんな二人のやり取りを見ていたハヤテは苛立ちを抑えきれずに腰の刀に手を伸ばす。
『いつまでくっついている!!』
「おっと」
「うおっ!?あ、危ねえだろ!?」
ハヤテが刀を引き抜いた瞬間に風の斬撃が放たれ、咄嗟にゴウライとシュンは離れると二人の間に斬撃が通り過ぎる。その際にシュンの前髪が何本か切れてしまい、ゴウライの方は手にしていた肉の一部が切れて咄嗟に彼女は空中に放り出された肉の破片に喰らいつく。
「ひゃてよ、あふないではないかっ……うぐ、危うく肉を落とすところだったぞ!!」
『ええい、さっさと肉を飲み込め!!ゴウライ、私はこの馬鹿弟子とは違う!!お前に負けたら私は剣士を辞める!!』
「何っ!?お前もか!?吾輩に負けると剣を辞めるのが流行っているのか?」
「流行ってねえよ!!こちとら、本気で悩んで考えてるんだよ!!」
ゴウライはハヤテまでも自分に負けたら剣士を辞めるという言葉に衝撃を受けた表情を浮かべるが、シュンとハヤテも冗談で言っているわけではない。
この二人は剣士として100年以上も生きてきた。どちらも剣の道を歩み、最強の剣士になるために研鑽を重ねてきたといっても過言ではない。だが、互いに最強の剣士を目指すに当たって最も大きな障害となるのがゴウライだった。
――ヨツバ王国には優れた武芸者は数多く、剣士で厳選したとしてもクレナイ、ツバサ、ハヤテ、シュン、その他にも多数の優秀な剣士は存在する。ヨツバ王国の国民の中で最強の剣士と言えば真っ先に名前が上がるのは六聖将の筆頭を務めるクレナイか、あるいは王都の守護神と呼ばれるツバサである事は間違いない。
しかし、その両名を実際に知っているシュンとハヤテにとってはこの二人に匹敵する、あるいはそれ以上の力を持つのがゴウライだった。二人がゴウライを迎えに来たのは闘技祭で彼女に勝ち、自分が最強の剣士である事を証明するために彼女に宣言を行う。敗北すれば自分達も剣を捨てる事を覚悟し、二人はゴウライに宣言する。
『「ゴウライ、お前に決闘を挑む」』
「うむ!!掛かってこい!!」
「ちょ、今じゃねえよ!?」
『闘技祭で戦えという意味だ!!』
ゴウライは意気揚々とデュランダルを抜き取り、ハヤテとシュンを同時に相手に戦おうとするが、慌ててシュンとハヤテは彼女を落ち着かせて闘技祭で決着をつける事を説明した――
※ゴウライが絡むとどうしてもギャク方向に……(´・ω・)
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