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S級冒険者編

白竜VSアンドロイド

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「では、まずは私が牽制しますので他の皆さんは隙が出来たと判断したら攻撃してください」
「え、牽制するって……どうやって?」
「飛行ユニットを使用します。ちょっとエネルギーの消費量が激しいですが、致し方ありません」
「飛行ユニット!?」


リーリスは両手を左右に伸ばした瞬間、彼女の背中から電流が迸り、やがて「光の翼」が誕生した。鳥の翼というよりも蝶々のような羽根を想像させる光翼を見てレナ達は驚くが、リーリスは翼を動かして飛翔する。

空中に飛び出した彼女は白竜の元へ迫り、そのまま正面から向かい合う。白竜の方はリーリスの存在に気づくと、目つきを鋭くさせて咆哮を放つ。


「ガァアアアアッ!!」
「うるさっ……何をそんなに怒っているのか知りませんが、私の住居を壊した罪は重いですよ!!リーリス・ガトリング!!」


迷彩装置を解除させると、リーリスはガトリング砲を取り出して白竜に向けて放つ。レナとの試合ではゴム弾を使用してたそうだが、今回は実弾を用意したらしく、容赦なく白竜に向けて発砲を行う。

ガトリングから放たれた弾丸は白竜の肉体に衝突するが、白竜の銀色に煌めく鱗を破壊するには至らず、弾丸が弾かれてしまう。どうやら肉体の硬度も並ではなく、仕方なくリーリスは攻撃手段を変更させ、ガトリングを手放すと移動を開始する。


「ほらほら、こっちですよ!!」
「ウガァッ!!」


飛び回るリーリスに対して白竜は尻尾を振り抜くと、放たれた尻尾に対してリーリスは低空飛行に切り替えて回避を行う。しかし、それを見た白竜は今度は翼を広げ、一気に翼を振りかざして突風を生み出す。


「ガアアアッ!!」
「くっ……何のっ!!」


強風に対してリーリスは身体を回転させながら飛翔し、突風を逆に利用して上空へと移動を行う。その様子を見て白竜は埒が明かないと判断したのか、今度は口内を大きく開いて喉の奥から光を放つ。

再び先ほどの光線を撃ち込むつもりなのかと思ったレナはこのままではまずいと判断し、先ほどの光線の速度と威力と規模を考えてもリーリスが避けられる保証はない。だが、光線を発射するまでの時間が掛かる事は間違いなく、隙を見せた白竜に対してレナ達も動く。


(よし、風の聖痕は使える!!)


魔力吸収装置が解除された事でレナ達も魔法が扱える状態に戻ったため、レナは風の聖痕を発動させると即座に先ほどの白竜が破壊した天井の大穴から大量の風の精霊が駆けつけ来た。風の精霊の力を借りてレナは退魔刀に竜巻を纏わせると、攻撃を仕掛ける。


「嵐撃!!」
「うわっ!?」
「ぬおっ!?」


刀身に竜巻を纏わせたレナが退魔刀を振り抜いた瞬間、強烈な突風が発生して白竜の顔面に迫る。地上からの予想外の攻撃に白竜は目を見開き、咄嗟に放たれた竜巻に対して光線を放とうとするが、完全に撃ち込む前に攻撃を受けてしまう。


「アガァッ……!?」
「今だ!!ダイン!!」
「くっそう、大人しくしろ!!」


一瞬とはいえ、白竜がひるんだすきを逃さずにレナはダインに指示を出すと彼は涙目になりながらも影魔法を発動させ、闇の聖痕の力を借りて巨大な「影人形」を作り出す。シャドウ・バインドで白竜を拘束しなかったのには時間が掛かるため、敢えて大型の影人形を作り出して白竜の身体を拘束させる。

ダインに作り出された影人形は即座に白竜の元に移動すると、尻尾を掴む。唐突に現れた謎の影人形を見て白竜は戸惑うが、すぐに尻尾を振り払おうとした。しかし、どれだけの力を込めようと影人形はびくともせず、ダインは杖を地面に突き刺した状態で怒鳴りつけた。


「い、いくら力を入れても無駄だ!!僕の影人形は物理攻撃は効かないし、一度張り付けば力では引き剥がせないんだ!!」
「攻撃するなら今が好機という事ね……行くわよ、ゴンゾウ!!」
「うおおおおっ!!」


ゴンゾウはシズネの身体を抱えると、そのまま白竜の方角に向けて全力で投擲を行い、空中に放り出されたシズネは雪月花と白百合を引き抜く。普段は剣一本しか扱わないシズネだが、彼女は両手の剣を振りかざすと白竜の身体に目掛けて刃を振るう。


「剣舞!!」
「ガアアッ……!?」


驚くべきことにシズネは両手の剣を使用してまるで舞うように次々と斬撃を白竜に与えると、そのまま身体を駆け上るように移動を行う。その姿を見てレナも驚き、自分の母親であるアイラが得意とする剣舞をいつの間にか覚えていたシズネに動揺する。

この剣舞はシズネも最近に覚えた戦技の一つであり、レナと自分の力の差が開いていく子を感じた彼女はその差を埋めるため、自力で覚えた戦技である。その精度はレナの剣舞よりも高く、鋭い斬撃が白竜の身体に浴びせ、鱗の隙間を的確に狙う。彼女が装備している雪月花と白百合の切れ味の鋭さも加わり、白竜は嫌がる様に身体を震わせた。
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