上 下
882 / 2,083
S級冒険者編

ゴウライとナオの関係

しおりを挟む
「…………」
「ん?どうした吾輩をそんなにじっと見て……吾輩に惚れたか?」
「いや、そういう訳じゃないんですけど……」


自分の顔を見詰めてくるレナにゴウライは不思議そうな表情を浮かべると、レナだけではなくマリアとレミアも彼女の顔を見てある疑問を抱く。そこでレナが代表になってゴウライに質問を行う。


「あの……ゴウライ、さんの顔が俺の義姉に似ているの少し気になって」
「ええ、そうね。私もその事は気になってたわ」
「確かにナオ様と御顔が似ていますね……私も気になってました」
「ナオというと、新しい国王になった娘の事か?」


以前にレナはゴウライの顔を見たことはあるが、あの時は風呂場でしかも湯気で良く見えなかったので気付かなかったが、改めてゴウライの顔を確認するとナオと顔立ちがよく似ていた。どちらも褐色肌であるため雰囲気も似ており、性格に関しては全然違うのだが二人が並べば姉妹のように見えるだろう。

ゴウライの容姿は現在のナオが少しだけ年齢を重ねたように見えるため、あまりに容姿が似ているためにもしかしたらナオの親類ではないかと考えたレナは率直に訪ねた。


「ナオの母親はダークエルフらしいんですけど、ゴウライさんもダークエルフなんですよね?だから、何か関わりがあるんじゃ……」
「ナオ……ナオか、そういえば前に何処かで聞いた様な名前だな……ああ、思い出したぞ!!それは吾輩の姉の娘の名前ではないか!!」
「姉の娘……?」


レナに問われてゴウライは今思い出したかの様な声を上げ、彼女は笑いながらも自分の姉の事を語る。


「そうだそうだ、思い出したぞ!!吾輩がまだ若かったころ、姉と共にこの国へ訪れたのだ。姉とはすぐに別れてしまったが、風の噂でバルトロス12世の妃になったと聞いていたな!!という事は今の女王は吾輩にとっては姪に当たるわけだ!!」
「姪!?ナオ様が、ゴウライ様の姪だというのですか?」
「わっはっはっはっ!!そういえば前にギラン殿と戦ったとき、妙に吾輩の子供の頃とよく似た王女を見て不思議に思っていたが、そうかあの時の子供は吾輩の姪だったのか!!」
「貴女ね……それを今気づいたの?」


ゴウライの発言にマリアは呆れた表情を浮かべ、他の者達は呆気に取られる。レナもゴウライの言葉を聞いてやはりナオの関係者だと判明し、納得するのと同時にゴウライの姉の事が気になった。


『アイリス、ナオの母親は本当にゴウライの姉なの?』
『ええ、そうですよ。数十年前にゴウライの姉はゴウライを連れて西聖将の領地から抜け出しました。理由は二人とも外の世界を見てみたいという事で、二度と村に戻らないという条件の元でどちらも里から抜け出しました』
『そうだったのか……』


ゴウライも彼女の姉も西聖将のホムラが管理するダークエルフの里の出身らしく、二人とも外界へ赴く条件として里に二度と戻らない事を条件に領地を離れ、そのままヨツバ王国からバルトロス王国へと移住したという。


『ちなみに守護者の外見が甲冑姿のゴウライと似ていたのは、ゴウライが敢えて守護者に寄せた鎧を作らせたんです。ゴウライは若い頃から守護者に戦いを挑み、何度も死闘を繰り広げてます。それだけに守護者には思い入れがあったんでしょうね』
『道理で似てると思ったよ……というか、あんな化物に何度も挑んだの?』
『ええ、何度か殺されそうになりましたが、里を出る時は守護者を圧倒する程の強さを得ていました。この時から剣士として世界で指折りの実力を持っていましたね』
『ええっ……』


自分が苦労して倒した守護者を既にゴウライは数十年前に圧倒する実力を持っていたという話にレナは唖然とするが、ゴウライも凄いが彼女の姉も相当な強さを誇ったという。


『ゴウライの姉も中々の使い手ですよ。何度も殺されかけた妹を守護者から救えるくらいですからね。ですけど、二人はバルトロス王国に辿り着くと、別々の道を辿ります。姉の方は王国に仕えて騎士となり、ゴウライの方は腕試しとばかりに各地で有名な武芸者に挑む旅に出ました。その後は何だかんだあってゴウライは冒険者となり、姉の方はバルトロス12世に気に入られて妃になりました』
『そしてナオが生まれたのか……ナオはゴウライの姪だったのか』


ナオはダークエルフの血が流れているために人間でありながら褐色肌だったらしく、外見もゴウライと似ていたのは彼女の母親がゴウライの姉だったと聞いてレナは納得した。その一方で彼女の母親が病気で死んだという事に引っ掛かりを覚え、もしかしたらイレアビトが関わっているのかと疑う。


『ナオの母親の病気はもしかして……』
『いえ、彼女の場合は本当に病気で死にました。そこにイレアビトは介入していません、病気が治らなかった理由は人間の薬ではダークエルフには利かなかった事が原因ですね』
『あ、そうなんだ……』


ナオの母親の死に関してはイレアビトは関わっておらず、本当に病で死んだらしい。ゴウライは自分の姉を知っているらしく、流石に思うところがあるのか珍しく気落ちした表情を浮かべる。
しおりを挟む
感想 5,087

あなたにおすすめの小説

“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか

まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。 しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。 〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。 その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。