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外伝 ~ヨツバ王国編~
レイビとフェンリル
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「お前は寝てろ!!」
「ぐあっ!?」
「ッ……!?」
レナが退魔刀の柄の部分を利用してレイビの脇腹を叩きつけた瞬間、レイビの身体は地面へと倒れ込む。フェンリルに気を取られて注意を怠ってしまい、内臓にまで響く一撃を受けたレイビは血反吐を吐き散らす。
「がはっ……ぐっ、げほっ!?」
「動くな……もう終わりだ」
レイビの前にカゲマルが駆けつけると、その首筋に短刀を押し当てて抑えつける。ハンゾウとアヤメも負傷したとはいえ、動けない程の重傷ではなく、カゲマルの元へ赴く。
「さあ、フェンリルを大人しくするように命じろ。逆らえばお前の命はない……少しでもフェンリルに対して思い入れがあるのならば奴を解放しろ」
「げほっ……!?」
「グゥウッ……!!」
抑えつけられた主人の姿にフェンリルは影魔法で拘束されながらも唸り声をあげ、その様子に気付いたダインはカゲマルに注意する。
「お、おい……こいつ、さっきよりも力が増してるぞ!?まだ抑えられるけど、そんなに長くは保てない……早く止めを刺すか、契約を解放しないと不味いって!!」
「伝説の魔獣を討ち取るのも悪くはないけど……無益な殺生は趣味じゃないわ。レイビ、フェンリルを解放して自由にさせなさい」
攻撃を仕掛けていたシズネ達もレイビが拘束した事を知るとフェンリルへの攻撃を中断し、彼に選択肢を与える。このまま抵抗を続けてフェンリルと共に自分も死ぬか、あるいは命令を聞いてフェンリルを逃がして投降するか、二つの選択肢を与えられたレイビをカゲマルが抑えつけながら再度質問を行う。
「さあ、どうする?六聖将の意地として最後まで抗うか、あるいは我々に投降して生き延びるか……早く選べ」
「へっ……投降だと、この俺が?お前等みたいなガキに……ぐあっ!?」
「時間がないんだ。答えだけを教えろ」
この状況下でも生意気な口を叩くレイビに対してカゲマルは容赦なく短刀の刃をレイビの左手の小指と薬指で切り裂き、指が地面に落ちる。その光景に他の者達は驚き、ゴンゾウとダインは何もそこまでしなくてもと止めようとするが、カゲマルは冷静沈着にレイビを追い詰める。
「次は手首を斬り落とす。だが、従うと言うのならば回復魔法でお前の指を元に戻す。最も時間が掛かり過ぎると指は完治しないだろうがな……ここで降伏して治療を受けるか、あるいは死ぬかだ。選べ!!」
「……わ、分かった」
カゲマルの言葉が本気だと知ったレイビは苦痛の表情を浮かべながら頷くと、カゲマルはレイビを手放す。下手な真似はしないように見張られながらもレイビは落ちた自分の指を拾い上げると、フェンリルに視線を向けて乾いた笑みを浮かべた。
「よう、相棒……お前とは長い付き合いだったな」
「ッ……!?」
「……契約を解除する、もうお前は自由だ」
身体を引きずりながらレイビはフェンリルの元へ近づき、指を切り裂かれた方の腕を伸ばしてフェンリルの身体に触れると、両者の額に魔法陣のような物が浮き上がり、やがて消え去る。これで契約が解除されたのか、唐突にレイビは力が抜けたように倒れ込むと、抵抗を続けていたフェンリルが大人しくなった。
倒れたレイビの元にカゲマルが近づき、身体を確認するとまだ生きている事は間違いなく、契約を解除した時に魔力を消耗したのかレイビは虚ろな瞳で身体を震わせていた。危険な状態だと判断したカゲマルはすぐにレナに声を掛けて治療を求める。
「辛うじてまだ生きている、こいつに治療を!!」
「分かった……カゲマル!?」
「何っ!?」
だが、レイビに近付こうとしたレナは驚いた表情を浮かべてカゲマルの名前を叫ぶと、カゲマルはレイビに視線を向け、何時の間にか自分の口元に右手を押し付け、何かを飲み込もうとしている事に気付く。カゲマルはすぐに止めようとしたが、レイビは既に口の中に含んだ物を飲み込む。
「貴様……今、何を飲んだっ!!吐けっ!!」
「げほっ!?ぐふっ……はっ、お前等は全員、ここで死ね」
「貴様……!!」
「グゥウウウッ……!!」
フェンリルの契約を解除したにも関わらず、レイビは悲観せずに余裕の笑みを浮かべ、そんな彼に対してカゲマルは短刀を構えようとした時、影魔法で拘束されているはずのフェンリルが唸り声を鳴らす。その直後にダインは戸惑いの声を上げた。
「な、何だ!?こいつ、僕の影魔法で抑えきれなくなっていく!?」
「何だと!?」
「止めを刺せ!!何かヤバい!!」
危険を察知した剣聖達は即座にフェンリルに攻撃を仕掛けようとしたが、全身を影魔法で拘束されているはずのフェンリルは目を見開き、夜空に浮かぶ月の光を確認する。その直後、フェンリルの体毛が逆立ち、全身に淡い光を宿す。
――ウォオオオオオンッ!!
オロナ鉱山中にフェンリルの咆哮が響き渡った瞬間、フェンリルを拘束していた影魔法が消え去り、遂に伝説の魔獣が解放されてしまった。
「ぐあっ!?」
「ッ……!?」
レナが退魔刀の柄の部分を利用してレイビの脇腹を叩きつけた瞬間、レイビの身体は地面へと倒れ込む。フェンリルに気を取られて注意を怠ってしまい、内臓にまで響く一撃を受けたレイビは血反吐を吐き散らす。
「がはっ……ぐっ、げほっ!?」
「動くな……もう終わりだ」
レイビの前にカゲマルが駆けつけると、その首筋に短刀を押し当てて抑えつける。ハンゾウとアヤメも負傷したとはいえ、動けない程の重傷ではなく、カゲマルの元へ赴く。
「さあ、フェンリルを大人しくするように命じろ。逆らえばお前の命はない……少しでもフェンリルに対して思い入れがあるのならば奴を解放しろ」
「げほっ……!?」
「グゥウッ……!!」
抑えつけられた主人の姿にフェンリルは影魔法で拘束されながらも唸り声をあげ、その様子に気付いたダインはカゲマルに注意する。
「お、おい……こいつ、さっきよりも力が増してるぞ!?まだ抑えられるけど、そんなに長くは保てない……早く止めを刺すか、契約を解放しないと不味いって!!」
「伝説の魔獣を討ち取るのも悪くはないけど……無益な殺生は趣味じゃないわ。レイビ、フェンリルを解放して自由にさせなさい」
攻撃を仕掛けていたシズネ達もレイビが拘束した事を知るとフェンリルへの攻撃を中断し、彼に選択肢を与える。このまま抵抗を続けてフェンリルと共に自分も死ぬか、あるいは命令を聞いてフェンリルを逃がして投降するか、二つの選択肢を与えられたレイビをカゲマルが抑えつけながら再度質問を行う。
「さあ、どうする?六聖将の意地として最後まで抗うか、あるいは我々に投降して生き延びるか……早く選べ」
「へっ……投降だと、この俺が?お前等みたいなガキに……ぐあっ!?」
「時間がないんだ。答えだけを教えろ」
この状況下でも生意気な口を叩くレイビに対してカゲマルは容赦なく短刀の刃をレイビの左手の小指と薬指で切り裂き、指が地面に落ちる。その光景に他の者達は驚き、ゴンゾウとダインは何もそこまでしなくてもと止めようとするが、カゲマルは冷静沈着にレイビを追い詰める。
「次は手首を斬り落とす。だが、従うと言うのならば回復魔法でお前の指を元に戻す。最も時間が掛かり過ぎると指は完治しないだろうがな……ここで降伏して治療を受けるか、あるいは死ぬかだ。選べ!!」
「……わ、分かった」
カゲマルの言葉が本気だと知ったレイビは苦痛の表情を浮かべながら頷くと、カゲマルはレイビを手放す。下手な真似はしないように見張られながらもレイビは落ちた自分の指を拾い上げると、フェンリルに視線を向けて乾いた笑みを浮かべた。
「よう、相棒……お前とは長い付き合いだったな」
「ッ……!?」
「……契約を解除する、もうお前は自由だ」
身体を引きずりながらレイビはフェンリルの元へ近づき、指を切り裂かれた方の腕を伸ばしてフェンリルの身体に触れると、両者の額に魔法陣のような物が浮き上がり、やがて消え去る。これで契約が解除されたのか、唐突にレイビは力が抜けたように倒れ込むと、抵抗を続けていたフェンリルが大人しくなった。
倒れたレイビの元にカゲマルが近づき、身体を確認するとまだ生きている事は間違いなく、契約を解除した時に魔力を消耗したのかレイビは虚ろな瞳で身体を震わせていた。危険な状態だと判断したカゲマルはすぐにレナに声を掛けて治療を求める。
「辛うじてまだ生きている、こいつに治療を!!」
「分かった……カゲマル!?」
「何っ!?」
だが、レイビに近付こうとしたレナは驚いた表情を浮かべてカゲマルの名前を叫ぶと、カゲマルはレイビに視線を向け、何時の間にか自分の口元に右手を押し付け、何かを飲み込もうとしている事に気付く。カゲマルはすぐに止めようとしたが、レイビは既に口の中に含んだ物を飲み込む。
「貴様……今、何を飲んだっ!!吐けっ!!」
「げほっ!?ぐふっ……はっ、お前等は全員、ここで死ね」
「貴様……!!」
「グゥウウウッ……!!」
フェンリルの契約を解除したにも関わらず、レイビは悲観せずに余裕の笑みを浮かべ、そんな彼に対してカゲマルは短刀を構えようとした時、影魔法で拘束されているはずのフェンリルが唸り声を鳴らす。その直後にダインは戸惑いの声を上げた。
「な、何だ!?こいつ、僕の影魔法で抑えきれなくなっていく!?」
「何だと!?」
「止めを刺せ!!何かヤバい!!」
危険を察知した剣聖達は即座にフェンリルに攻撃を仕掛けようとしたが、全身を影魔法で拘束されているはずのフェンリルは目を見開き、夜空に浮かぶ月の光を確認する。その直後、フェンリルの体毛が逆立ち、全身に淡い光を宿す。
――ウォオオオオオンッ!!
オロナ鉱山中にフェンリルの咆哮が響き渡った瞬間、フェンリルを拘束していた影魔法が消え去り、遂に伝説の魔獣が解放されてしまった。
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