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外伝 ~ヨツバ王国編~
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――ギンタロウの提案を受け入れたバルは早速全ての冒険者を屋敷に呼び集め、事前に冒険者ギルドの代表同士が話し合って決めた方法で冒険者の「統率者」を決める事を告げる。
「いいかい!!あんた達を呼び集めたのはこれから全ての冒険者を指示する立場の人間を決めるためだよ!!自分がこいつになら従っていいという奴の名前をこの羊皮紙に書いてギンタロウさんの兵士に渡しな!!」
「この投票の規則として自分の名前を書く事は許されない!!また、票数が同数の場合は話し合いで解決するか、場合によっては別の方法で代表の権利を決める!!」
「あまり深く考えず、この人物になら自分は従っていいと思う人の名前を書きなさい!!それと悪いけれど最も数が多い氷雨の冒険者は二人一組で決めなさい!!二人で相談した上で決めた人間に票数が他の冒険者の一人分だけ入るわ!!」
「最後に忠告しておくが、この投票で決まった人間が君達の「統率者」となる!!その人物のどのギルドの冒険者であろうとわだかまりなく従う事を誓ってくれ!!」
100人以上の冒険者達の前でバル、ガンモ、シズネ、ギンタロウが説明を行うと、冒険者達は騒ぎ出す。だが、このままの状況を維持するのは不味いと思っていた人間達から4人の提案に賛同し、最終的には全員が投票制で自分達の統率者を決定する方法を認める。
ちなみに今回の投票に関して直前に説明を行ったのには理由があり、仮に事前に時間を与えてしまえば同じギルドの冒険者同士が協力し、自分達のギルドの人間を統率者として推薦するのを阻止するために説明は投票前に発表された。あくまでも冒険者の一人一人が自分が最も信頼する相手を選ばせるために配慮した結果、このような方法が決まる。但し、氷雨の冒険者は全体の半数以上を占めるので残念ながら各ギルドの公平性を期すため、氷雨の冒険者は二人一組という形で投票数を二人で一人分にするしかなかった。
「投票か……あの、誰でもいいんですか!?」
「ああ、誰でもいいよ!!冒険者のランクや立場なんかは関係ない!!本当に自分が信用出来る相手の名前を書きな!!ちなみにあたしの名前を書こうとしている奴は覚悟を決めな!!自分でもいうのもなんだけど、どんな無茶難題を言い出すか分からないからね!!」
「ええっ!?」
ミナの質問にバルは即答すると、冒険者達は思い悩み、自分が信頼出来る相手で尚且つ自分の上の立場に立つに相応しい人間を決めろと言われても即断は難しい。だが、時間を掛けていくうちに一人一人が心に思い浮かべた人間の名前を記し、ギンタロウの兵士達に渡す。
「ほらほら、時間は有限なんだよ!!長々と悩むぐらいなら適当な奴の名前でも書いて提出しな!!」
「そ、そう言われても……ああ、もう!!」
「書けばいいんだろ!?」
誰の名前を書くべきか悩んでいた者達にバルは急かすように告げると、仕方なく彼等は頭に浮かんだ人物の名前を記し、最後の一人が兵士に羊皮紙を渡すと早速集計が行われる。不正が行われないように集計を行うのはギンタロウの配下の兵士達のため、全員分の羊皮紙に名前が記されている事を確認するとギンタロウが代表として名前を読み上げる。
「ほう!!これは面白い結果だな……同票数の人間が複数存在する!!従って今から名前を呼ぶ者は前に出てくれ!!まずは牙竜所属のガンモ殿!!」
「……俺か」
『おおっ……!!』
一番最初にガンモの名前が呼びあげられると彼は意外な表情を浮かべながらも皆の前に立ち、牙竜の所属の冒険者達は拍手を行う。どうやら彼等の殆どがガンモの名前を記したらしく、普段から同じギルドの冒険者達から信頼を得ていたらしい。
「続いて氷雨所属のロウガ殿!!」
「ぬうっ……儂か?」
「ロウガさん!!貴方なら信用できる!!」
「頑張ってください!!」
冒険者の中では最年長者で剣聖の一角でもあるロウガの名前を呼ばれ、本人が前に出ると数人の剣士の職業の冒険者が褒め称える。剣聖の中でも後輩の面倒見が良い事からロウガを慕う者も多かった。
「続いて同じく氷雨所属のジャンヌ殿!!」
「わ、私もですか?」
「ジャンヌさん!!頑張って!!」
「貴女のためなら俺達は死ねます!!」
ジャンヌは自分の名前が出た事に驚くが、氷雨の男性冒険者の一部が熱狂的に騒ぎ立て、どうやら氷雨所属の剣聖の中で唯一の女性(ゴウライが女性である事は氷雨の冒険者には知られていない)であり、容姿も優れている事からジャンヌを慕う男性冒険者が彼女を推薦したらしい。
「次は黒虎のギルドマスターのバル殿!!」
「おいおい、誰だいあたしに投票したのは!?あれだけ注意してやったのに……たく、面倒だねぇっ!!」
「バルの姉御、やっちゃってください!!」
「あんた以外に俺達を纏められる人はいないっすよ!!」
バルは自分の名前が呼ばれた事にため息を吐き出し、本当に面倒くさそうに前に出る。どうやら黒虎の所属の冒険者達は全員が彼女に投票したらしく、何だかんだで部下想いである彼女を信頼する人間は多かったらしい。そしてギンタロウは最後の人物の名前を告げる。
「最後に黒虎&氷雨に同時所属のレナ殿!!前に出てくれ!!」
「え!?俺も!?誰が投票したの!?」
まさか自分の名前が呼ばれるとは思わなかったレナは驚いて振り返ると、そこには気まずそうな表情を浮かべて視線を逸らす仲間達の姿が存在し、どうやら全員がレナの名前を書いたらしい。
「悪いレナ……正直、お前以外思いつかなかったんだよ」
「俺もだ」
「私も」
「すいません、あたしも……」
「私も書いたよ~」
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「ウォンッ!!」
「キュロロッ」
「ブモォッ」
「ヒヒンッ!!」
「えっ!?ちょっと待って、スラミン達も投票したの!?というか、文字書けたの!?」
「私が代わりに書いたのよ」
レナと普段から行動を共にする者達は全員がレナに投票したらしく、魔獣であるスラミン達も何故か参加していた。これは不正ではないのかとレナはギンタロウに振り返ると、ギンタロウは問題ないとばかりに頷く。
「はっはっはっ!!魔獣君達に関しては娘の恩人だからな!!仲間外れは可哀そうだと思って羊皮紙を渡しておいた!!だが、魔人族のサイクロプス君とミノタウロス君はともかく、他のスライム君と狼君に関しては3人まとめて1票にさせてもらったがな!!」
「あ、そうですか……」
魔人族であるアインとミノに関しては普通の冒険者と同様に取り扱われたが、文字を書くことが出来ないスラミン、ヒトミン、ウルに関しては3匹纏めて1人分の投票としてカウントしたらしい。ちなみに名前を書いたのは魔獣達に甘いシズネらしく、彼女は一応は補足する。
「言っておくけど、私は別の人の名前を書いたわよ。貴方の事は信頼しているけど、上の立場に立つ人物となると素直には認められないわ。私達の間柄に上下関係なんてある方がおかしいでしょう?」
「俺もそう思って皆の名前は書かなかったのに……」
「いや、本当に悪かったって……でも、他のよく知らない奴の名前なんか書きたくないし、バルの名前を書くのも癪だったから」
「何だいダイン?あんたはあたしの名前を書くと信じてたのに冷たいじゃないかいっ!!」
「もうあんたの下に就くのは懲り懲りだよ!!レナの方がずっとマシだ!!」
バルがからかい気味にダインに煽り、この二人は所属するギルドは別だがダインは過去にバルに世話になっていた時期がある。その際に彼女にしこたましごかれた事が原因で苦手らしく、レナの名前を記入したという。
「いいかい!!あんた達を呼び集めたのはこれから全ての冒険者を指示する立場の人間を決めるためだよ!!自分がこいつになら従っていいという奴の名前をこの羊皮紙に書いてギンタロウさんの兵士に渡しな!!」
「この投票の規則として自分の名前を書く事は許されない!!また、票数が同数の場合は話し合いで解決するか、場合によっては別の方法で代表の権利を決める!!」
「あまり深く考えず、この人物になら自分は従っていいと思う人の名前を書きなさい!!それと悪いけれど最も数が多い氷雨の冒険者は二人一組で決めなさい!!二人で相談した上で決めた人間に票数が他の冒険者の一人分だけ入るわ!!」
「最後に忠告しておくが、この投票で決まった人間が君達の「統率者」となる!!その人物のどのギルドの冒険者であろうとわだかまりなく従う事を誓ってくれ!!」
100人以上の冒険者達の前でバル、ガンモ、シズネ、ギンタロウが説明を行うと、冒険者達は騒ぎ出す。だが、このままの状況を維持するのは不味いと思っていた人間達から4人の提案に賛同し、最終的には全員が投票制で自分達の統率者を決定する方法を認める。
ちなみに今回の投票に関して直前に説明を行ったのには理由があり、仮に事前に時間を与えてしまえば同じギルドの冒険者同士が協力し、自分達のギルドの人間を統率者として推薦するのを阻止するために説明は投票前に発表された。あくまでも冒険者の一人一人が自分が最も信頼する相手を選ばせるために配慮した結果、このような方法が決まる。但し、氷雨の冒険者は全体の半数以上を占めるので残念ながら各ギルドの公平性を期すため、氷雨の冒険者は二人一組という形で投票数を二人で一人分にするしかなかった。
「投票か……あの、誰でもいいんですか!?」
「ああ、誰でもいいよ!!冒険者のランクや立場なんかは関係ない!!本当に自分が信用出来る相手の名前を書きな!!ちなみにあたしの名前を書こうとしている奴は覚悟を決めな!!自分でもいうのもなんだけど、どんな無茶難題を言い出すか分からないからね!!」
「ええっ!?」
ミナの質問にバルは即答すると、冒険者達は思い悩み、自分が信頼出来る相手で尚且つ自分の上の立場に立つに相応しい人間を決めろと言われても即断は難しい。だが、時間を掛けていくうちに一人一人が心に思い浮かべた人間の名前を記し、ギンタロウの兵士達に渡す。
「ほらほら、時間は有限なんだよ!!長々と悩むぐらいなら適当な奴の名前でも書いて提出しな!!」
「そ、そう言われても……ああ、もう!!」
「書けばいいんだろ!?」
誰の名前を書くべきか悩んでいた者達にバルは急かすように告げると、仕方なく彼等は頭に浮かんだ人物の名前を記し、最後の一人が兵士に羊皮紙を渡すと早速集計が行われる。不正が行われないように集計を行うのはギンタロウの配下の兵士達のため、全員分の羊皮紙に名前が記されている事を確認するとギンタロウが代表として名前を読み上げる。
「ほう!!これは面白い結果だな……同票数の人間が複数存在する!!従って今から名前を呼ぶ者は前に出てくれ!!まずは牙竜所属のガンモ殿!!」
「……俺か」
『おおっ……!!』
一番最初にガンモの名前が呼びあげられると彼は意外な表情を浮かべながらも皆の前に立ち、牙竜の所属の冒険者達は拍手を行う。どうやら彼等の殆どがガンモの名前を記したらしく、普段から同じギルドの冒険者達から信頼を得ていたらしい。
「続いて氷雨所属のロウガ殿!!」
「ぬうっ……儂か?」
「ロウガさん!!貴方なら信用できる!!」
「頑張ってください!!」
冒険者の中では最年長者で剣聖の一角でもあるロウガの名前を呼ばれ、本人が前に出ると数人の剣士の職業の冒険者が褒め称える。剣聖の中でも後輩の面倒見が良い事からロウガを慕う者も多かった。
「続いて同じく氷雨所属のジャンヌ殿!!」
「わ、私もですか?」
「ジャンヌさん!!頑張って!!」
「貴女のためなら俺達は死ねます!!」
ジャンヌは自分の名前が出た事に驚くが、氷雨の男性冒険者の一部が熱狂的に騒ぎ立て、どうやら氷雨所属の剣聖の中で唯一の女性(ゴウライが女性である事は氷雨の冒険者には知られていない)であり、容姿も優れている事からジャンヌを慕う男性冒険者が彼女を推薦したらしい。
「次は黒虎のギルドマスターのバル殿!!」
「おいおい、誰だいあたしに投票したのは!?あれだけ注意してやったのに……たく、面倒だねぇっ!!」
「バルの姉御、やっちゃってください!!」
「あんた以外に俺達を纏められる人はいないっすよ!!」
バルは自分の名前が呼ばれた事にため息を吐き出し、本当に面倒くさそうに前に出る。どうやら黒虎の所属の冒険者達は全員が彼女に投票したらしく、何だかんだで部下想いである彼女を信頼する人間は多かったらしい。そしてギンタロウは最後の人物の名前を告げる。
「最後に黒虎&氷雨に同時所属のレナ殿!!前に出てくれ!!」
「え!?俺も!?誰が投票したの!?」
まさか自分の名前が呼ばれるとは思わなかったレナは驚いて振り返ると、そこには気まずそうな表情を浮かべて視線を逸らす仲間達の姿が存在し、どうやら全員がレナの名前を書いたらしい。
「悪いレナ……正直、お前以外思いつかなかったんだよ」
「俺もだ」
「私も」
「すいません、あたしも……」
「私も書いたよ~」
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「ウォンッ!!」
「キュロロッ」
「ブモォッ」
「ヒヒンッ!!」
「えっ!?ちょっと待って、スラミン達も投票したの!?というか、文字書けたの!?」
「私が代わりに書いたのよ」
レナと普段から行動を共にする者達は全員がレナに投票したらしく、魔獣であるスラミン達も何故か参加していた。これは不正ではないのかとレナはギンタロウに振り返ると、ギンタロウは問題ないとばかりに頷く。
「はっはっはっ!!魔獣君達に関しては娘の恩人だからな!!仲間外れは可哀そうだと思って羊皮紙を渡しておいた!!だが、魔人族のサイクロプス君とミノタウロス君はともかく、他のスライム君と狼君に関しては3人まとめて1票にさせてもらったがな!!」
「あ、そうですか……」
魔人族であるアインとミノに関しては普通の冒険者と同様に取り扱われたが、文字を書くことが出来ないスラミン、ヒトミン、ウルに関しては3匹纏めて1人分の投票としてカウントしたらしい。ちなみに名前を書いたのは魔獣達に甘いシズネらしく、彼女は一応は補足する。
「言っておくけど、私は別の人の名前を書いたわよ。貴方の事は信頼しているけど、上の立場に立つ人物となると素直には認められないわ。私達の間柄に上下関係なんてある方がおかしいでしょう?」
「俺もそう思って皆の名前は書かなかったのに……」
「いや、本当に悪かったって……でも、他のよく知らない奴の名前なんか書きたくないし、バルの名前を書くのも癪だったから」
「何だいダイン?あんたはあたしの名前を書くと信じてたのに冷たいじゃないかいっ!!」
「もうあんたの下に就くのは懲り懲りだよ!!レナの方がずっとマシだ!!」
バルがからかい気味にダインに煽り、この二人は所属するギルドは別だがダインは過去にバルに世話になっていた時期がある。その際に彼女にしこたましごかれた事が原因で苦手らしく、レナの名前を記入したという。
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