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最終章 王国編
裏門の攻防
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「くっ……被害が大きい、隊長!!」
「弱音を吐くな!!我々が撤退する時は作戦を成功した時だ!!」
予想以上に王城の兵士達の連携に隙が無く、次々と仲間達が倒されていく光景に隊員達にも動揺が走る。それでも隊長は退く事を許さず、城門へ進むように命じた。それを確認したジダンは矢の雨を掻い潜りながら鍵爪を振るい、アカイの元へ向かう。
「アカイ様!!このままでは……」
「分かっている。仕方があるまい……出来れば体力は温存したかったが、ここは俺が嵐鎧を発動させる!!」
革命団の面々が押される光景にアカイは自分が本気を出すしかないと判断し、出来れば大将軍クラスの人間が現れてから使用するつもりだった「嵐鎧」を発動させようとした。風の精霊を呼び寄せ、自分の身に竜巻の鎧を身に着けようとした時、王城から1つの影が降りてきた。
「させぬわっ!!」
「何!?」
「あ、あんたは!?」
防壁を飛び越えて現れたのはショートソードを両手に構えたロウガであり、嵐鎧を発動させる前にロウガはアカイに切りかかった。咄嗟に頭上から振り下ろされた刃をアカイは闘拳で受け止めようとしたが、それを予測していたようにロウガは無数の斬撃を繰り出す。
「乱れ斬り!!」
「ぐうっ!?」
「アカイ様!?」
空中で回転しながら短剣を振りかざしたロウガの攻撃にアカイの肉体が切り裂かれる。傷自体は掠り傷程度ではあるが、自分が攻撃を受けたという事実にアカイは歯を食いしばり、地面に降り立ったロウガと向き合う。ロウガは決死の覚悟を抱いたような表情で向き合い、短剣を構える。
ロウガが出現した事で革命団と王城の兵士達は戦闘を中断し、アカイと向き合うロウガの姿を見て動揺を隠せない。どうして氷雨の冒険者が自分達の邪魔をするのかと誰もが疑問を抱き、特に彼から剣を教わった事もあるガロは信じられずに話しかけた。
「ロウガ!!何であんたがここに居る!?どうして俺達の邪魔を……」
「……忠義を尽くすためだ」
「ロウガさん!!あんた、まさか……!?」
ガロの言葉にロウガは一言だけ返すと、これ以上は話すつもりはないのか短剣を構える。その姿を見てモリモも声を掛けるが、彼が言葉を言い切る前にロウガはアカイの元へ駆け出す。
「行くぞ、王国四騎士!!剣聖の力を見せてやろう!!」
「ふんっ……いいだろう、来い!!」
「お待ちくださいアカイ様、この男の相手は俺が……うわっ!?」
アカイの元へ駆けつけようとしたロウガに対してジダンは鍵爪を振りかざすが、そんな彼に対してロウガは空中で跳躍して回避すると、再び頭上からアカイに向けて斬りつけようとした。それを見たアカイは両腕を交差して防御の体勢に入るが、空中で回転しながらロウガは彼の背中に向けて短剣を突き刺す。
「ぬんっ!!」
「うおっ!?」
危うく背中を刺されそうになったアカイは前かがみで攻撃を回避するが、ロウガはそれを利用して彼の背中を足場にして更に高く跳躍し、今度はジダンに向けて短剣を振り下ろす。
「牙斬!!」
「ぐあっ!?」
「ジダン!!」
ロウガの攻撃の対象がアカイに向いていると思い込んでいたジダンは防御に遅れ、彼の不規則な軌道の斬撃を受けてジダンは胸元から血を流す。致命傷ではないが、それでも軽傷と言えるほどの傷ではなく、ジダンは地面に倒れた。その様子を見たロウガは地面に降り立つと、短剣を振り祓って血を落とす。
「どうした?この程度か王国四騎士とは!!」
「貴様……!!」
「ロウガ、この裏切り者がぁああっ!!」
「ガロ、止めろ!?」
「くそ、まさか剣聖と戦う羽目になるのかよ!?」
挑発を行うロウガにアカイが殴りかかろうとした時、彼よりも先に怒りを露わにしたガロが剣を構えて突進した。その後にモリモとダイアも続き、それを見たロウガは険しい表情を浮かべながらも短剣を握り閉める。
「お前達か……いいだろう、久しぶりに稽古をつけてやろう」
「うおおおっ!!」
「こ、このぉっ!!」
「畜生、やってやらぁっ!!」
ガロが剣を振り回し、モリモが盾を構えて接近してダイアが殴りかかるが、3人の攻撃に対してロウガは回避し続ける。単純な速度ならば剣聖の中でも彼に並ぶ者は存在せず、次々と繰り出される攻撃を回避しながらロウガは反撃を行う。
「ガロ……お前は頭に血が上がると単純な攻撃しか繰り返すのを辞めろと言っただろう!!」
「ぐあっ!?」
「ガロ!?こ、この野郎!!」
ロウガは隙を突いて剣を振りぬいたガロの腹部に膝をたたき込み、それを見たモリモが盾を振り祓う。咄嗟にロウガは空中に飛んで逆に盾の上に乗り込み、モリモの顔面に踵をめり込ませた。
「モリモ、お前は大振りの攻撃が多すぎる!!」
「あがぁっ!?」
「モリモ!!くそ、おらおらっ!!」
「お前は……名前を憶えていない、誰だ?」
残されたダイアが必死に拳を放つが、空中に浮揚した状態でロウガは身体をくねらせて回避を行い、接近したダイアの頭を踏み台にしてアカイの元へ向かう。
「うおっ!?」
「邪魔者はいなくなった!!いざ、尋常に勝負!!」
「ふん、面白い……来い、ロウガよ!!」
3人と戦闘を繰り広げている間にアカイも両腕に「嵐鎧」を発動させ、頭上から振り下ろされたロウガの攻撃を風の鎧で受け流す。裏門で遂に王国四騎士最強の男と獣の剣聖の戦闘が始まった――
――同時刻、王城の地下に存在する隠し通路では潜入に特化した暗殺者の部隊が移動していた。この部隊には緑影やハンゾウも同行しており、既に待ち伏せしていた王城の部隊と戦闘を繰り広げていた。
「こいつらが王国の暗殺部隊「黒影」でござるか……中々に強敵でござるな」
「ちっ……数が多い、面倒になってきたな」
ハンゾウとラナは背中を合わせ、自分達を取り囲む黒装束の集団と向き合う。あのアリアも所属していた王国の暗殺者集団に囲まれた二人は暗闇の中で戦闘を行う。
「死ね、王国の敵め!!」
「お断りいたす!!」
敵の一人がハンゾウに向けて毒を塗った刃の短剣を振りかざすが、ハンゾウは刀の鞘で受け止め、蹴りを繰り出す。先ほどから彼女は「紅蓮」を抜かずに戦闘を行い、面倒そうにラナから借り受けた短剣で敵を牽制する。
「ああ、もう!!まさかこのような狭い通路では爆炎で味方を巻き込むから紅蓮が扱えないでござる!!」
「ふっ……前の刀を持ってくるべきだったな」
「その通りでござった……な!!」
「ぐあっ!?」
隠密のスキルで気配を殺して背後に近寄ろうとした暗殺者をハンゾウは振り返りもせずに短剣で切り裂き、それを確認したラナはハンゾウの援護のために彼女の背中を守る。狭い通路内では戦える人数が限られているため、二人が寄り添っていれば敵も迂闊には動けない。
戦闘を開始してからそれなりの時間が経過しており、既に地上の方では第四部隊が動き始めているため、何としても彼等を早急に倒して味方の脱出路の確保をしなければならないのだが、数の差が多すぎて革命団は苦戦を強いられていた。
「ちっ!!毒矢を使え、この場所ならば精霊魔法でも防ぐ事は出来ん!!確実に仕留めろ!!」
「ほう、我々の精霊魔法の弱点を知っていたか……やはり、作戦は漏れていたようだな」
「それを承知の上でござる!!」
毒矢を装填したボーガンを構えた黒影に対してハンゾウとラナは武器を構え、彼等の攻撃を隙を突いて仕留める準備を行う。毒矢を放った瞬間こそが最大の反撃の好機であり、全ての矢を回避して暗殺者集団に攻撃を仕掛けた――
※外伝のヒロインルートが間もなく書き終わります。とりあえずはエリナ、ティナ、ミナ、ジャンヌの4名追加しました。
「弱音を吐くな!!我々が撤退する時は作戦を成功した時だ!!」
予想以上に王城の兵士達の連携に隙が無く、次々と仲間達が倒されていく光景に隊員達にも動揺が走る。それでも隊長は退く事を許さず、城門へ進むように命じた。それを確認したジダンは矢の雨を掻い潜りながら鍵爪を振るい、アカイの元へ向かう。
「アカイ様!!このままでは……」
「分かっている。仕方があるまい……出来れば体力は温存したかったが、ここは俺が嵐鎧を発動させる!!」
革命団の面々が押される光景にアカイは自分が本気を出すしかないと判断し、出来れば大将軍クラスの人間が現れてから使用するつもりだった「嵐鎧」を発動させようとした。風の精霊を呼び寄せ、自分の身に竜巻の鎧を身に着けようとした時、王城から1つの影が降りてきた。
「させぬわっ!!」
「何!?」
「あ、あんたは!?」
防壁を飛び越えて現れたのはショートソードを両手に構えたロウガであり、嵐鎧を発動させる前にロウガはアカイに切りかかった。咄嗟に頭上から振り下ろされた刃をアカイは闘拳で受け止めようとしたが、それを予測していたようにロウガは無数の斬撃を繰り出す。
「乱れ斬り!!」
「ぐうっ!?」
「アカイ様!?」
空中で回転しながら短剣を振りかざしたロウガの攻撃にアカイの肉体が切り裂かれる。傷自体は掠り傷程度ではあるが、自分が攻撃を受けたという事実にアカイは歯を食いしばり、地面に降り立ったロウガと向き合う。ロウガは決死の覚悟を抱いたような表情で向き合い、短剣を構える。
ロウガが出現した事で革命団と王城の兵士達は戦闘を中断し、アカイと向き合うロウガの姿を見て動揺を隠せない。どうして氷雨の冒険者が自分達の邪魔をするのかと誰もが疑問を抱き、特に彼から剣を教わった事もあるガロは信じられずに話しかけた。
「ロウガ!!何であんたがここに居る!?どうして俺達の邪魔を……」
「……忠義を尽くすためだ」
「ロウガさん!!あんた、まさか……!?」
ガロの言葉にロウガは一言だけ返すと、これ以上は話すつもりはないのか短剣を構える。その姿を見てモリモも声を掛けるが、彼が言葉を言い切る前にロウガはアカイの元へ駆け出す。
「行くぞ、王国四騎士!!剣聖の力を見せてやろう!!」
「ふんっ……いいだろう、来い!!」
「お待ちくださいアカイ様、この男の相手は俺が……うわっ!?」
アカイの元へ駆けつけようとしたロウガに対してジダンは鍵爪を振りかざすが、そんな彼に対してロウガは空中で跳躍して回避すると、再び頭上からアカイに向けて斬りつけようとした。それを見たアカイは両腕を交差して防御の体勢に入るが、空中で回転しながらロウガは彼の背中に向けて短剣を突き刺す。
「ぬんっ!!」
「うおっ!?」
危うく背中を刺されそうになったアカイは前かがみで攻撃を回避するが、ロウガはそれを利用して彼の背中を足場にして更に高く跳躍し、今度はジダンに向けて短剣を振り下ろす。
「牙斬!!」
「ぐあっ!?」
「ジダン!!」
ロウガの攻撃の対象がアカイに向いていると思い込んでいたジダンは防御に遅れ、彼の不規則な軌道の斬撃を受けてジダンは胸元から血を流す。致命傷ではないが、それでも軽傷と言えるほどの傷ではなく、ジダンは地面に倒れた。その様子を見たロウガは地面に降り立つと、短剣を振り祓って血を落とす。
「どうした?この程度か王国四騎士とは!!」
「貴様……!!」
「ロウガ、この裏切り者がぁああっ!!」
「ガロ、止めろ!?」
「くそ、まさか剣聖と戦う羽目になるのかよ!?」
挑発を行うロウガにアカイが殴りかかろうとした時、彼よりも先に怒りを露わにしたガロが剣を構えて突進した。その後にモリモとダイアも続き、それを見たロウガは険しい表情を浮かべながらも短剣を握り閉める。
「お前達か……いいだろう、久しぶりに稽古をつけてやろう」
「うおおおっ!!」
「こ、このぉっ!!」
「畜生、やってやらぁっ!!」
ガロが剣を振り回し、モリモが盾を構えて接近してダイアが殴りかかるが、3人の攻撃に対してロウガは回避し続ける。単純な速度ならば剣聖の中でも彼に並ぶ者は存在せず、次々と繰り出される攻撃を回避しながらロウガは反撃を行う。
「ガロ……お前は頭に血が上がると単純な攻撃しか繰り返すのを辞めろと言っただろう!!」
「ぐあっ!?」
「ガロ!?こ、この野郎!!」
ロウガは隙を突いて剣を振りぬいたガロの腹部に膝をたたき込み、それを見たモリモが盾を振り祓う。咄嗟にロウガは空中に飛んで逆に盾の上に乗り込み、モリモの顔面に踵をめり込ませた。
「モリモ、お前は大振りの攻撃が多すぎる!!」
「あがぁっ!?」
「モリモ!!くそ、おらおらっ!!」
「お前は……名前を憶えていない、誰だ?」
残されたダイアが必死に拳を放つが、空中に浮揚した状態でロウガは身体をくねらせて回避を行い、接近したダイアの頭を踏み台にしてアカイの元へ向かう。
「うおっ!?」
「邪魔者はいなくなった!!いざ、尋常に勝負!!」
「ふん、面白い……来い、ロウガよ!!」
3人と戦闘を繰り広げている間にアカイも両腕に「嵐鎧」を発動させ、頭上から振り下ろされたロウガの攻撃を風の鎧で受け流す。裏門で遂に王国四騎士最強の男と獣の剣聖の戦闘が始まった――
――同時刻、王城の地下に存在する隠し通路では潜入に特化した暗殺者の部隊が移動していた。この部隊には緑影やハンゾウも同行しており、既に待ち伏せしていた王城の部隊と戦闘を繰り広げていた。
「こいつらが王国の暗殺部隊「黒影」でござるか……中々に強敵でござるな」
「ちっ……数が多い、面倒になってきたな」
ハンゾウとラナは背中を合わせ、自分達を取り囲む黒装束の集団と向き合う。あのアリアも所属していた王国の暗殺者集団に囲まれた二人は暗闇の中で戦闘を行う。
「死ね、王国の敵め!!」
「お断りいたす!!」
敵の一人がハンゾウに向けて毒を塗った刃の短剣を振りかざすが、ハンゾウは刀の鞘で受け止め、蹴りを繰り出す。先ほどから彼女は「紅蓮」を抜かずに戦闘を行い、面倒そうにラナから借り受けた短剣で敵を牽制する。
「ああ、もう!!まさかこのような狭い通路では爆炎で味方を巻き込むから紅蓮が扱えないでござる!!」
「ふっ……前の刀を持ってくるべきだったな」
「その通りでござった……な!!」
「ぐあっ!?」
隠密のスキルで気配を殺して背後に近寄ろうとした暗殺者をハンゾウは振り返りもせずに短剣で切り裂き、それを確認したラナはハンゾウの援護のために彼女の背中を守る。狭い通路内では戦える人数が限られているため、二人が寄り添っていれば敵も迂闊には動けない。
戦闘を開始してからそれなりの時間が経過しており、既に地上の方では第四部隊が動き始めているため、何としても彼等を早急に倒して味方の脱出路の確保をしなければならないのだが、数の差が多すぎて革命団は苦戦を強いられていた。
「ちっ!!毒矢を使え、この場所ならば精霊魔法でも防ぐ事は出来ん!!確実に仕留めろ!!」
「ほう、我々の精霊魔法の弱点を知っていたか……やはり、作戦は漏れていたようだな」
「それを承知の上でござる!!」
毒矢を装填したボーガンを構えた黒影に対してハンゾウとラナは武器を構え、彼等の攻撃を隙を突いて仕留める準備を行う。毒矢を放った瞬間こそが最大の反撃の好機であり、全ての矢を回避して暗殺者集団に攻撃を仕掛けた――
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