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放浪編
魚人の協力
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――傭兵ギルドで事情説明を受けた後、レナ達は早々に街から立ち去るように助言される。まだ男爵と繋がりがある人間が狙わないとも限らず、それに男爵を慕っていた人間達から逆恨みされる可能性もあった。だが、レナはギルド長が告げたある言葉が気になり、次の目的地を変更するべきか悩む。
『男爵の話によると死霊使いに渡した魔道具というのは、どうやら北に存在する森の奥にあるという遺跡から発見したようです。男爵の曾祖父が冒険者だった時代に他の仲間と共に訪れ、偶然にも入手したとか……ですが、今はあの森は立ち入り禁止区域に指定されいます』
キラウが使用していた「ウイング」と呼ばれる神器が存在したという遺跡の居場所が判明し、しかもコトミンが最初に転移した場所も森の中に存在する遺跡であった事から同じ場所である可能性は高い。コトミンの案内があれば遺跡にも問題なく辿り着ける。
気になる事があるのはコトミンが最初に存在した場所は過去にマリアが訪れた場所であるという点であり、マリアもコトミンが訪れた遺跡に赴いた事は可能性はある。重要なのは神器が存在した遺跡ならばもしかしたら他にも隠された貴重な魔道具が残っている可能性も否定できず、しかも立ち入り禁止区域に指定されているのならば他の人間も滅多に訪れるはずがなく、邪魔される心配はない。
「冒険都市に戻る前に遺跡に向かおう。もしかしたら深淵の森の時の様に貴重な道具も残っているかもしれないし……」
「また宝探しするの?少し楽しみ……でも、ちょっと遠いよ?」
「どれくらいの距離があるんだ?」
「結構遠いと思う……二人も私のように泳げたらすぐに辿り着くのに」
「無茶言うな……ウルがいればな」
川を辿れば森の中に存在する滝まで移動できるが、問題は川を辿って移動するにしても距離があり、ウルが存在しない状態では移動するだけでもかなりの時間を弄する。だからといって新しい馬車や騎獣を購入する余裕もなく、そもそもレナ達は男爵から貰うはずだったお礼金も受け取っていない。
「どうすればいいかな……コトミンにしがみついて運んでもらうか?」
「レナだけなら何とか出来る……でも、ゴンゾは流石に無理」
「俺だけなら出来るの!?」
コトミンによれば人間一人ならば水中を移動する事も出来るらしいが、流石にゴンゾウのような巨体を運ぶ事は出来ないらしく、今回はゴンゾウの同行は諦めるしかないかと考えたとき、不意にコトミンがある事を思い出す。
「でも……あの子ならゴンゾウでも運べるかもしれない」
「あの子?」
「昨日、私が捕まえた魚」
コトミンの言葉にレナとゴンゾウの脳裏に大きな鮫にしか見えない「魚人族」の姿を思い出し、確かにあれほどの巨体ならばゴンゾウを乗せて水中を移動する事も出来るかも知れなかった――
――1時間後、男爵の屋敷に忍び込んだレナ達は池の中で呑気に過ごしていた魚人を担ぎ上げ、屋敷の調査をしていた傭兵達に気付かれる前に近くの川まで運び込む。事前にコトミンが川の中に入り、魚人が逃げた場合は捕まえるように準備をさせると、魚人を川の中へ投入する。
「せぇのっ!!」
「ぬんっ!!」
「シャアアッ!!」
レナとゴンゾウが二人がかりで川に移動させた瞬間、魚人は嬉しがるように背びれを揺らし、陸上の二人に振り向く。とりあえずは逃げる様子はなく、どうして自分を川に離したのか不思議そうに見つめてきた。
「えっと、言葉は通じるんだよね。人間の言葉は話せないの?」
「シャウッ」
「……無理っぽい」
魚人はレナの言葉を理解できるようだが流石に人語は話せず、背びれを激しく震わせて否定を示す。それでも意思疎通は出来る事は確認できたため、ゴンゾウが身を屈めて魚人と視線を合わせる。
「お前は俺を乗せて泳ぐ事は出来るか?無理なら遠慮せずに言ってくれ」
「シャアッ?」
「実は俺達はこの川を遡ってある場所に行きたい。そこまでお前に連れて行ってほしいんだ」
「シャアッ……シャシャッ!!」
「背中に掴まれって言ってる」
二人の話を聞いた魚人は背中を向け、ゴンゾウは恐る恐る上着と装備を外して乗り込む。最初は沈むのではないかと不安だったが、何事もなくゴンゾウを背中に乗せた魚人は川を泳ぐ。
「シャシャアッ♪」
「おおっ……凄いな!!」
「本当に運んでる……これなら大丈夫かな?」
「レナも私に乗る?」
「いや、俺一人なら実は移動手段があるからいいよ」
ゴンゾウの装備を空間魔法で異空間に収納する際、監獄都市を抜け出す前に作り出した乗り物を思い出したレナは「ハンググラインダー」を取り出した――
※今回はちょっと短めです。
アイリス「さて……私の第三巻の挿絵に関してお尋ねしましょうか。勿論、表紙にも出てるんですよね?(´ω`)ノ蝋燭」
カタナヅキ「ひいいっ(;´・ω・)」
『男爵の話によると死霊使いに渡した魔道具というのは、どうやら北に存在する森の奥にあるという遺跡から発見したようです。男爵の曾祖父が冒険者だった時代に他の仲間と共に訪れ、偶然にも入手したとか……ですが、今はあの森は立ち入り禁止区域に指定されいます』
キラウが使用していた「ウイング」と呼ばれる神器が存在したという遺跡の居場所が判明し、しかもコトミンが最初に転移した場所も森の中に存在する遺跡であった事から同じ場所である可能性は高い。コトミンの案内があれば遺跡にも問題なく辿り着ける。
気になる事があるのはコトミンが最初に存在した場所は過去にマリアが訪れた場所であるという点であり、マリアもコトミンが訪れた遺跡に赴いた事は可能性はある。重要なのは神器が存在した遺跡ならばもしかしたら他にも隠された貴重な魔道具が残っている可能性も否定できず、しかも立ち入り禁止区域に指定されているのならば他の人間も滅多に訪れるはずがなく、邪魔される心配はない。
「冒険都市に戻る前に遺跡に向かおう。もしかしたら深淵の森の時の様に貴重な道具も残っているかもしれないし……」
「また宝探しするの?少し楽しみ……でも、ちょっと遠いよ?」
「どれくらいの距離があるんだ?」
「結構遠いと思う……二人も私のように泳げたらすぐに辿り着くのに」
「無茶言うな……ウルがいればな」
川を辿れば森の中に存在する滝まで移動できるが、問題は川を辿って移動するにしても距離があり、ウルが存在しない状態では移動するだけでもかなりの時間を弄する。だからといって新しい馬車や騎獣を購入する余裕もなく、そもそもレナ達は男爵から貰うはずだったお礼金も受け取っていない。
「どうすればいいかな……コトミンにしがみついて運んでもらうか?」
「レナだけなら何とか出来る……でも、ゴンゾは流石に無理」
「俺だけなら出来るの!?」
コトミンによれば人間一人ならば水中を移動する事も出来るらしいが、流石にゴンゾウのような巨体を運ぶ事は出来ないらしく、今回はゴンゾウの同行は諦めるしかないかと考えたとき、不意にコトミンがある事を思い出す。
「でも……あの子ならゴンゾウでも運べるかもしれない」
「あの子?」
「昨日、私が捕まえた魚」
コトミンの言葉にレナとゴンゾウの脳裏に大きな鮫にしか見えない「魚人族」の姿を思い出し、確かにあれほどの巨体ならばゴンゾウを乗せて水中を移動する事も出来るかも知れなかった――
――1時間後、男爵の屋敷に忍び込んだレナ達は池の中で呑気に過ごしていた魚人を担ぎ上げ、屋敷の調査をしていた傭兵達に気付かれる前に近くの川まで運び込む。事前にコトミンが川の中に入り、魚人が逃げた場合は捕まえるように準備をさせると、魚人を川の中へ投入する。
「せぇのっ!!」
「ぬんっ!!」
「シャアアッ!!」
レナとゴンゾウが二人がかりで川に移動させた瞬間、魚人は嬉しがるように背びれを揺らし、陸上の二人に振り向く。とりあえずは逃げる様子はなく、どうして自分を川に離したのか不思議そうに見つめてきた。
「えっと、言葉は通じるんだよね。人間の言葉は話せないの?」
「シャウッ」
「……無理っぽい」
魚人はレナの言葉を理解できるようだが流石に人語は話せず、背びれを激しく震わせて否定を示す。それでも意思疎通は出来る事は確認できたため、ゴンゾウが身を屈めて魚人と視線を合わせる。
「お前は俺を乗せて泳ぐ事は出来るか?無理なら遠慮せずに言ってくれ」
「シャアッ?」
「実は俺達はこの川を遡ってある場所に行きたい。そこまでお前に連れて行ってほしいんだ」
「シャアッ……シャシャッ!!」
「背中に掴まれって言ってる」
二人の話を聞いた魚人は背中を向け、ゴンゾウは恐る恐る上着と装備を外して乗り込む。最初は沈むのではないかと不安だったが、何事もなくゴンゾウを背中に乗せた魚人は川を泳ぐ。
「シャシャアッ♪」
「おおっ……凄いな!!」
「本当に運んでる……これなら大丈夫かな?」
「レナも私に乗る?」
「いや、俺一人なら実は移動手段があるからいいよ」
ゴンゾウの装備を空間魔法で異空間に収納する際、監獄都市を抜け出す前に作り出した乗り物を思い出したレナは「ハンググラインダー」を取り出した――
※今回はちょっと短めです。
アイリス「さて……私の第三巻の挿絵に関してお尋ねしましょうか。勿論、表紙にも出てるんですよね?(´ω`)ノ蝋燭」
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