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放浪編
魔拳
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「うぐっ……!?」
「おい、何やってんだ!?あと少しだったろうが!!」
「無駄に時間稼ぎしていんじゃねえ!!」
左足に痛みを覚えたキラは連脚の戦技を中断し、慌てて距離を取る。その様子を見た観客席の囚人は罵声を浴びせるが、当のキラ本人は左足を抑えて脂汗を滲ませた。
「お前……何をしやがった?」
「……さあ、何の事?」
「ふざけるな!!てめえ、俺の足に何をした!?」
キラは自分のズボンを捲ると彼の左足に痣が残っており、まるで固い物に何度も足を強く衝突させたように複数の痣が残っていた。その様子を見てキラ以外の全員も驚いた表情を浮かべ、レナの様子を伺う。攻撃を受けたレナの両腕にも痣は残っているため、キラも最初は巨人族の「硬化」の戦技のように腕の筋肉を硬質化させたのかと考えたが、巨人族の血筋ではない限り人間が硬化の戦技を扱う事は出来ない。
攻撃を仕掛けた際にキラは確かに左足に固い金属のような物に打ち付けたような感触を味わっているが、レナの腕には盾も腕鉄甲などの防具も取り付けていない。そもそも試合では武器の使用は禁止されているので何らかの道具を使ったとは考えにくく、キラはどのような方法で自分の左足に痣を負わせたのかを問う。
「ぐっ……どうやら情報通り、ただの魔術師じゃないようだな。だが、今度は手加減しねえぞ!!」
「もうその技は見飽きたよ」
「うおっ!?」
懲りずに反対の右脚で連脚を発動させて攻撃を仕掛けようとしたキラに対してレナは先に踏み込み、拳に魔鎧術を発動させた状態でキラの胸元に叩き込む。
「拳打!!」
「ぐはぁっ!?」
『おおっ!!』
観客席の人間にはレナがキラを吹き飛ばしたようにしか見えず、胸元に金属のように硬められた魔力の拳を撃ち込まれたキラはよろめき、その隙を逃さずにレナは追撃を加えた。
「頭突き!!」
「うがあっ!?」
キラの顔面に向けて勢いよく額を叩き込まれ、鼻血を吹き出しながらキラは膝をつく。しかし、格闘家の意地が素人の打撃で倒される事を許さず、血眼になりながらもレナの右足に組み付く。
「うおおっ!!」
「うわっ……!?」
寝技に追い込むつもりなのかキラはレナを押し倒し、そのまま首を絞めつけて気絶に追い込もうとする。だが、キラの動作を予測していたようにレナは首を力尽くで締め付けるキラの懐に掌を伸ばし、笑みを浮かべる。
「てめえっ……何がおかしい!?」
「いや……あんた、俺が魔術師だと知ってるのに魔法が使える事を忘れてない?」
「はっ?何を言って……」
「こう言う事だよ……衝風!!」
「がはぁっ!?」
腹部に押し付けられた掌から強烈な衝撃波が直接に放たれ、キラは白目を剥いて気絶してしまう。その間にレナは腕を振りほどき、締め付けられた首を摩りながら審判員も務める兵士に話しかける。
「ねえ、この人気絶したけど俺の勝ちになるの?」
「え、あっ……そ、そこまでだ!!」
「嘘だろおい!?」
「マジかよ……あのキラが負けた?」
「くそ、大損じゃねえか!!」
試合を観戦していた囚人達が騒ぎ出し、まさかキラが新人に負けるとは思わなかった彼等全員がキラの勝利に賭けていた。闘技祭の時と違い、試合に勝利しても声援を送る相手がいない事に少し違和感を抱きながらもレナは試合場に降りると、二人分の拍手が耳に届く。
「レナ、見事な勝利だったぞ!!」
「いや~まさかあのキラをあっさりと倒すとは、これは僕も驚きましたよ」
「……お前、ぶっ飛ばすぞ」
ゴンゾウはともかく、ネズミが自分の勝利を称賛する事にレナは苛立ちを露わにして拳を鳴らすが、そんなレナに対してネズミは小袋を差し出す。
「おっと待ってください。色々と言いたい事はおありでしょうけど、まずはこれを受け取ってください」
「……何だこれ?」
「先ほどの試合の勝ち分ですよ」
差し出された小袋を受け取ったレナは中身を確認すると、中には銀貨が十数枚入っており、どうやら先ほどネズミが賭けに領した資金の上乗せ分が入っていた。
「これは……お前、まさか俺に賭けていたのか?」
「ええ、それだけあればしばらくは働かなくても大丈夫でしょう?試合を三連勝すれば出場料も戻ってきますけど、それだけ稼げれば十分でしょう?」
「……後で返せとかいうなよ。じゃあ、行こうかゴンちゃん」
「ああ、そうだな」
仕方なく小袋を受け取ってネズミに対する怒りを抑えると、ゴンゾウを引き連れてレナは立ち去ろうとする。だが、そんな二人に慌ててネズミが声を掛ける。
「あ、ちょっと待ってください!!まだ僕の話は終わってませんよ!!」
「話?まだ俺達に用事があるのか?」
「ええっ……ここからは商売の話をしませんか?」
話があるという言葉にレナとゴンゾウは振り返ると、ネズミは表情を一変させて真面目な顔つきに変わり、二人の元へ歩む。そして他の人間が聞こえない声量で話しかけてきた。
「……お二人の命を狙う人間の情報を買いませんか?」
「何っ!?」
「しっ、お静かに……ここでは少し目立ちますね。別の場所で詳しく話しましょうか」
「お前……一体何なんだ?」
「ただの情報屋ですよ」
レナの言葉に対してネズミは笑顔を浮かべるが、これまでの愛想笑いと比べると不気味さを感じさせた――
※今回の投稿5秒前
ヒトミン「ぷるぷるっ(つぶらな瞳)」( ゚ω ゚)ジー
カタナヅキ「そ、そんな目で見るな……仕方ないな、今回だけだぞ?」(;´・ω・)つ公開ボタン
ヒトミン「ぷるんっ!!」(*´ω`*)つポチッ
「おい、何やってんだ!?あと少しだったろうが!!」
「無駄に時間稼ぎしていんじゃねえ!!」
左足に痛みを覚えたキラは連脚の戦技を中断し、慌てて距離を取る。その様子を見た観客席の囚人は罵声を浴びせるが、当のキラ本人は左足を抑えて脂汗を滲ませた。
「お前……何をしやがった?」
「……さあ、何の事?」
「ふざけるな!!てめえ、俺の足に何をした!?」
キラは自分のズボンを捲ると彼の左足に痣が残っており、まるで固い物に何度も足を強く衝突させたように複数の痣が残っていた。その様子を見てキラ以外の全員も驚いた表情を浮かべ、レナの様子を伺う。攻撃を受けたレナの両腕にも痣は残っているため、キラも最初は巨人族の「硬化」の戦技のように腕の筋肉を硬質化させたのかと考えたが、巨人族の血筋ではない限り人間が硬化の戦技を扱う事は出来ない。
攻撃を仕掛けた際にキラは確かに左足に固い金属のような物に打ち付けたような感触を味わっているが、レナの腕には盾も腕鉄甲などの防具も取り付けていない。そもそも試合では武器の使用は禁止されているので何らかの道具を使ったとは考えにくく、キラはどのような方法で自分の左足に痣を負わせたのかを問う。
「ぐっ……どうやら情報通り、ただの魔術師じゃないようだな。だが、今度は手加減しねえぞ!!」
「もうその技は見飽きたよ」
「うおっ!?」
懲りずに反対の右脚で連脚を発動させて攻撃を仕掛けようとしたキラに対してレナは先に踏み込み、拳に魔鎧術を発動させた状態でキラの胸元に叩き込む。
「拳打!!」
「ぐはぁっ!?」
『おおっ!!』
観客席の人間にはレナがキラを吹き飛ばしたようにしか見えず、胸元に金属のように硬められた魔力の拳を撃ち込まれたキラはよろめき、その隙を逃さずにレナは追撃を加えた。
「頭突き!!」
「うがあっ!?」
キラの顔面に向けて勢いよく額を叩き込まれ、鼻血を吹き出しながらキラは膝をつく。しかし、格闘家の意地が素人の打撃で倒される事を許さず、血眼になりながらもレナの右足に組み付く。
「うおおっ!!」
「うわっ……!?」
寝技に追い込むつもりなのかキラはレナを押し倒し、そのまま首を絞めつけて気絶に追い込もうとする。だが、キラの動作を予測していたようにレナは首を力尽くで締め付けるキラの懐に掌を伸ばし、笑みを浮かべる。
「てめえっ……何がおかしい!?」
「いや……あんた、俺が魔術師だと知ってるのに魔法が使える事を忘れてない?」
「はっ?何を言って……」
「こう言う事だよ……衝風!!」
「がはぁっ!?」
腹部に押し付けられた掌から強烈な衝撃波が直接に放たれ、キラは白目を剥いて気絶してしまう。その間にレナは腕を振りほどき、締め付けられた首を摩りながら審判員も務める兵士に話しかける。
「ねえ、この人気絶したけど俺の勝ちになるの?」
「え、あっ……そ、そこまでだ!!」
「嘘だろおい!?」
「マジかよ……あのキラが負けた?」
「くそ、大損じゃねえか!!」
試合を観戦していた囚人達が騒ぎ出し、まさかキラが新人に負けるとは思わなかった彼等全員がキラの勝利に賭けていた。闘技祭の時と違い、試合に勝利しても声援を送る相手がいない事に少し違和感を抱きながらもレナは試合場に降りると、二人分の拍手が耳に届く。
「レナ、見事な勝利だったぞ!!」
「いや~まさかあのキラをあっさりと倒すとは、これは僕も驚きましたよ」
「……お前、ぶっ飛ばすぞ」
ゴンゾウはともかく、ネズミが自分の勝利を称賛する事にレナは苛立ちを露わにして拳を鳴らすが、そんなレナに対してネズミは小袋を差し出す。
「おっと待ってください。色々と言いたい事はおありでしょうけど、まずはこれを受け取ってください」
「……何だこれ?」
「先ほどの試合の勝ち分ですよ」
差し出された小袋を受け取ったレナは中身を確認すると、中には銀貨が十数枚入っており、どうやら先ほどネズミが賭けに領した資金の上乗せ分が入っていた。
「これは……お前、まさか俺に賭けていたのか?」
「ええ、それだけあればしばらくは働かなくても大丈夫でしょう?試合を三連勝すれば出場料も戻ってきますけど、それだけ稼げれば十分でしょう?」
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「ああ、そうだな」
仕方なく小袋を受け取ってネズミに対する怒りを抑えると、ゴンゾウを引き連れてレナは立ち去ろうとする。だが、そんな二人に慌ててネズミが声を掛ける。
「あ、ちょっと待ってください!!まだ僕の話は終わってませんよ!!」
「話?まだ俺達に用事があるのか?」
「ええっ……ここからは商売の話をしませんか?」
話があるという言葉にレナとゴンゾウは振り返ると、ネズミは表情を一変させて真面目な顔つきに変わり、二人の元へ歩む。そして他の人間が聞こえない声量で話しかけてきた。
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「何っ!?」
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