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指、燃えちゃう。。
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シュワー パキパキパキ
氷のたっぷり入った細長いグラスに熱い紅茶が注がれると、小気味良い音と共にアイスティーが出来上がった。
対面に座るリフエール様が、目を丸くしてそれを見てる。
実はこの国にはアイスティーが無いのだ。
せっかくお茶の文化が発展してるのに、冷やして飲むのは所謂「邪道」だと思われてる。
僕はその概念を取っ払いたい!
だってアイスティー最高じゃん!
暑い日以外にも冷たいお茶が飲みたい時はあるからね。
そう。例えば、今みたい顔が熱い時とか。
自分でも分かる程に赤面した僕のために、ミリがアイスティーを用意してくれた。
リフエール様もほんのり顔が赤いから気温もあるのかもしれないけど。
ならショールを外せって話しなんだけど、僕はそれを纏ったまま。
ほら、だってせっかくトッドが手に入れてくれた物だし。
それだけだよ、理由なんて。うん。
それにしても、さっきは本当に焦った。
騎士団寮の前に着いたらミリに馬車から降ろされてさぁ。
少し離れた所にわんさか女性がいたから、これがリフエール様の強火ファンなんだって理解した。
そのうち彼が来るって事かな?
『せっかなのでヨシノ鑑賞はいかがですか?』
なんてミリが言うから、まぁ女性達とは少し距離も離れてるしいいか、なんて思って本気で楽しんでた訳よ。
そしたら増える増える。
裏口にいた女性まで集まって来て、みんなこっちを…って言うかヨシノを見てたと思う。
多分今日が満開のヨシノは、本当に綺麗だったからね。
リフエール様を待ってる間にヨシノも楽しんじゃおう!ってその気持ちは分かる気がする。
僕もリョウの記憶の中の桜を思い出してた。
満開の薄紅の下でお花見したなぁ。
ホットチョコレートを飲みながらだったなぁ。
カカオ72%の溶かしたチョコレートに、甘さ控えめのホイップ。
その上には砕いたカカオニブ。
美しくて美味しい記憶に思わず口角が上がる。
そんな風に夢中になってたら…まさかの本人登場!
えぇ!どうしよう!
この先の事ミリに確認するの忘れてたよ!
まだ暫く来ないんだと思い込んでた。
お、落ち着け、取り敢えず挨拶しないと。
彼に呼びかけると、驚きながらもその碧い瞳がキュッと細くなった。
親しげなその変化に、心臓がドクリと音を立てる。
それと同時に、周りの女性達のウットリしたような溜息が聞こえて少し面白くない。
「お会いしたくて、来てしまいました。」
思わず口を突いて出た言葉に自分でもビックリした。
大きく風が吹いてヨシノの花が舞う。
あ、この風ミリの魔術だな。
『ですが、何かあったら心配なので今度からは私に迎えに行かせてくださいね。』
儀礼的な挨拶の後に付け足された言葉は、まるで僕とリフエール様が親しいかのようだ。
すると、背中にトスッと風を感じた。
慣れ親しんだミリの合図だ。
え、どうしろって?
もしかしてリフエール様にもミリの指示が出てるんだろうか。
そうだとすると、さっきの親しげな言葉は演技。
その方向で行くようにするのが正解なんだろう。
何故かちょっと残念なような気持ちになるけど、ここは使命を果たさなければ。
「同じ景色を共有できて、今とても嬉しいのです。」
うぅ、演技とは言え恥ずかしい…。
頬が熱くなってしまう。
『貴方の美しさでこの満開のヨシノも霞んでしまいそうです。
思わずヨシノの妖精が現れたのかと錯覚してしまいました。』
リフエール様がそんな風に褒めてくるから内心物凄く動揺したけど、平静を装って返す。
「ふふっ、お褒めいただき光栄です。
勿論、事前に立ち入りの許可はいただきましたよ?ここは王宮の敷地内ですから。」
ちょっと落ち着くためにも、女性達に穏便に撤退してもらうべく情報を披露しよう。
あ、顔色が悪くなった女性達がいる。
知らない人も結構いたみたいだ。
これで少しは自重するようになってくれるかも。
使命は果たせんじゃないか⁉︎
そろそろこの場を去りたい。
恥ずかしくて居た堪れないんだよぅ。
あ、でも今日の反省会?と今後の打ち合わせも兼ねて、リフエール様とは話した方がいいよね。
我が家に来てもらうべきかな?
そう思ってたら、ドスッと強めのミリの気配を感じた。
もう一押ししろって?
「この後のお時間を私と過ごしていただけますか?リフエール様。」
焦って、貴族としては大胆な誘い方をしてしまった。
演技だって分かってくれてるだろうけど、僕なんかにこんなあからさまに誘われたら嫌だろうなぁ。
心配してると、リフエール様がこっちに近付いて来る。
そして…跪いて僕の指先を手に取った。
剣ダコのある大きな手は、僕の情けない程細いそれとは全然違う。
ドギマギしてると、彼は微笑んだ。
『勿論です。私の時間は貴方の為にあるのですよ、シエラ様。』
そして、優しく引き寄せられた指先にキスされた。
キスされたよ!!!!!!!!!
●●●
厳密には「第二関節より爪側」のイメージです。
手の甲へのキスより親密な感じ(*´∀`*)
氷のたっぷり入った細長いグラスに熱い紅茶が注がれると、小気味良い音と共にアイスティーが出来上がった。
対面に座るリフエール様が、目を丸くしてそれを見てる。
実はこの国にはアイスティーが無いのだ。
せっかくお茶の文化が発展してるのに、冷やして飲むのは所謂「邪道」だと思われてる。
僕はその概念を取っ払いたい!
だってアイスティー最高じゃん!
暑い日以外にも冷たいお茶が飲みたい時はあるからね。
そう。例えば、今みたい顔が熱い時とか。
自分でも分かる程に赤面した僕のために、ミリがアイスティーを用意してくれた。
リフエール様もほんのり顔が赤いから気温もあるのかもしれないけど。
ならショールを外せって話しなんだけど、僕はそれを纏ったまま。
ほら、だってせっかくトッドが手に入れてくれた物だし。
それだけだよ、理由なんて。うん。
それにしても、さっきは本当に焦った。
騎士団寮の前に着いたらミリに馬車から降ろされてさぁ。
少し離れた所にわんさか女性がいたから、これがリフエール様の強火ファンなんだって理解した。
そのうち彼が来るって事かな?
『せっかなのでヨシノ鑑賞はいかがですか?』
なんてミリが言うから、まぁ女性達とは少し距離も離れてるしいいか、なんて思って本気で楽しんでた訳よ。
そしたら増える増える。
裏口にいた女性まで集まって来て、みんなこっちを…って言うかヨシノを見てたと思う。
多分今日が満開のヨシノは、本当に綺麗だったからね。
リフエール様を待ってる間にヨシノも楽しんじゃおう!ってその気持ちは分かる気がする。
僕もリョウの記憶の中の桜を思い出してた。
満開の薄紅の下でお花見したなぁ。
ホットチョコレートを飲みながらだったなぁ。
カカオ72%の溶かしたチョコレートに、甘さ控えめのホイップ。
その上には砕いたカカオニブ。
美しくて美味しい記憶に思わず口角が上がる。
そんな風に夢中になってたら…まさかの本人登場!
えぇ!どうしよう!
この先の事ミリに確認するの忘れてたよ!
まだ暫く来ないんだと思い込んでた。
お、落ち着け、取り敢えず挨拶しないと。
彼に呼びかけると、驚きながらもその碧い瞳がキュッと細くなった。
親しげなその変化に、心臓がドクリと音を立てる。
それと同時に、周りの女性達のウットリしたような溜息が聞こえて少し面白くない。
「お会いしたくて、来てしまいました。」
思わず口を突いて出た言葉に自分でもビックリした。
大きく風が吹いてヨシノの花が舞う。
あ、この風ミリの魔術だな。
『ですが、何かあったら心配なので今度からは私に迎えに行かせてくださいね。』
儀礼的な挨拶の後に付け足された言葉は、まるで僕とリフエール様が親しいかのようだ。
すると、背中にトスッと風を感じた。
慣れ親しんだミリの合図だ。
え、どうしろって?
もしかしてリフエール様にもミリの指示が出てるんだろうか。
そうだとすると、さっきの親しげな言葉は演技。
その方向で行くようにするのが正解なんだろう。
何故かちょっと残念なような気持ちになるけど、ここは使命を果たさなければ。
「同じ景色を共有できて、今とても嬉しいのです。」
うぅ、演技とは言え恥ずかしい…。
頬が熱くなってしまう。
『貴方の美しさでこの満開のヨシノも霞んでしまいそうです。
思わずヨシノの妖精が現れたのかと錯覚してしまいました。』
リフエール様がそんな風に褒めてくるから内心物凄く動揺したけど、平静を装って返す。
「ふふっ、お褒めいただき光栄です。
勿論、事前に立ち入りの許可はいただきましたよ?ここは王宮の敷地内ですから。」
ちょっと落ち着くためにも、女性達に穏便に撤退してもらうべく情報を披露しよう。
あ、顔色が悪くなった女性達がいる。
知らない人も結構いたみたいだ。
これで少しは自重するようになってくれるかも。
使命は果たせんじゃないか⁉︎
そろそろこの場を去りたい。
恥ずかしくて居た堪れないんだよぅ。
あ、でも今日の反省会?と今後の打ち合わせも兼ねて、リフエール様とは話した方がいいよね。
我が家に来てもらうべきかな?
そう思ってたら、ドスッと強めのミリの気配を感じた。
もう一押ししろって?
「この後のお時間を私と過ごしていただけますか?リフエール様。」
焦って、貴族としては大胆な誘い方をしてしまった。
演技だって分かってくれてるだろうけど、僕なんかにこんなあからさまに誘われたら嫌だろうなぁ。
心配してると、リフエール様がこっちに近付いて来る。
そして…跪いて僕の指先を手に取った。
剣ダコのある大きな手は、僕の情けない程細いそれとは全然違う。
ドギマギしてると、彼は微笑んだ。
『勿論です。私の時間は貴方の為にあるのですよ、シエラ様。』
そして、優しく引き寄せられた指先にキスされた。
キスされたよ!!!!!!!!!
●●●
厳密には「第二関節より爪側」のイメージです。
手の甲へのキスより親密な感じ(*´∀`*)
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