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告白…なのか? ※リフエール
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ミリ殿が「落ち着きますよ」と淹れてくれたハーブティーを有り難く頂戴する。
目の前でシエラ様もハーブティーを口に運んでいる。
まだその耳が少し赤い。
先程までは両手で顔を覆ってしまっていたのだが、白い首筋にも朱が差していたから相当恥ずかしかったのだろう。
今はだいぶ落ち着いたようだ。
妹から聞いた話しや騎士団に入って来る僅かな情報では、シエラ様は「完璧な貴族」と言われていた。
挨拶、話し方、所作ーーそのどれをとっても貴族のお手本のような方だ、と。
今日実際に会ってみて俺もそう思った。
最初はーーー。
話していくほどに、彼の違った面が見え隠れしていることに気が付く。
それは、お茶請けの菓子について話し始めた時に顕著になった。
余程甘い物が好きなんだろう。
俺が質問をすると、実に嬉しそうに応えてくれる。
キラキラした目は無邪気な子供のようだ。
普通の若者ーーーと言うには洗練されすぎているし気品もありすぎるが、領地を出て店の経営をしている辺り、そう言った一般的な感覚も持ち合わせているのかもしれない。
そんな彼に少し親近感を覚えて嬉しくなっていた矢先の「告白」である。
俺の脳は完全にその機能を止めた。
恋人?誰が?誰の?
『勿論、私などではリフエール様に釣り合わないのは分かっております…。』
陽の光で潤んだように輝くエメラルドを向けられて、俺の心臓が跳ねた。
ようやく頭が回り出す。
え⁉︎まさか、シエラ様は俺と恋人になりたいと言ってるのか…?
『リフエール様が他の方がいいと仰るなら…』
「そんなことはありません!」
俺は被せるように否定の言葉を口にした。
「断じて他の方がいいなんてことは…。
ですが、何故私なのですか?」
シエラ様を一目見た時から、俺の心には経験したことがない感情が渦巻いている。
こんなに心を占める彼を差し置いて、他の人間を選ぶなんてことは断じてない。
ただ、シエラ様が選ぶのが俺なんてことがあり得るのだろうか?
もしもの話しだが、シエラ様と俺が恋人になるとしたら、釣り合わないのは完全に俺の方だ。
片や国防の要である伯爵家の御子息。
片や貧乏男爵家の嫡男でもないほぼ庶民。
俺は自己評価が低い訳ではないし、自分や自分の生い立ちを卑下するつもりも全くないが…客観的に見て格差は歴然なのである。
『実は、陛下の生誕パレードで初めて貴方をお見かけしたのです。
騎士服にマントを翻した姿がとても素敵で…。
そして、とても人々に愛されていることを知りました。』
俺の言葉を受けてポツリポツリとシエラ様が話す内容に、俺は目を丸くした。
パレードの時から俺を認知してくれていたのだ。
だから、あの事件の時に名前を呼んでくれたーー。
『そして、今日こうしてお茶をご一緒していただいて確信したのです。
貴方しかいない、と。』
そんな殺し文句の後、彼はさらにこうも付け足した。
『断りのお言葉をいただくであろうことも承知しております。ですが…それでもまた、お茶にご招待することをお許しいただけますでしょうか?』
万が一俺が断ろうとも、交流を続けたいと言ってくれているのだ。
言い回しは貴族然としているのに、目に映るのは自信無さ気で酷く緊張した、素が出たような彼の姿。
拒絶に怯えるような縋る眼差しと、少し蒸気した頬ーーー。
ヤバイ……。可愛い…。
庇護欲を唆るその姿に、俺は反射的にその白い手に触れたくなった。
どうか安心して欲しい。
俺には貴方を拒否するような言葉は到底思い浮かばないからーーー。
「ストーーーーッッップ!!!!!!」
あと少しで手が触れると言う時、ミリ殿の大声が響いた。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
リフ側から見た告白(?)シーンでした。
リフは、今まで付き合った女性達に対す気持ちを「恋愛」だと認識してるので、それとは全く異なるシエラへの想いに名前が付けられません。
まぁでも鈍感男ではないので遠からず気付くかな。
問題はシエラさん。笑
目の前でシエラ様もハーブティーを口に運んでいる。
まだその耳が少し赤い。
先程までは両手で顔を覆ってしまっていたのだが、白い首筋にも朱が差していたから相当恥ずかしかったのだろう。
今はだいぶ落ち着いたようだ。
妹から聞いた話しや騎士団に入って来る僅かな情報では、シエラ様は「完璧な貴族」と言われていた。
挨拶、話し方、所作ーーそのどれをとっても貴族のお手本のような方だ、と。
今日実際に会ってみて俺もそう思った。
最初はーーー。
話していくほどに、彼の違った面が見え隠れしていることに気が付く。
それは、お茶請けの菓子について話し始めた時に顕著になった。
余程甘い物が好きなんだろう。
俺が質問をすると、実に嬉しそうに応えてくれる。
キラキラした目は無邪気な子供のようだ。
普通の若者ーーーと言うには洗練されすぎているし気品もありすぎるが、領地を出て店の経営をしている辺り、そう言った一般的な感覚も持ち合わせているのかもしれない。
そんな彼に少し親近感を覚えて嬉しくなっていた矢先の「告白」である。
俺の脳は完全にその機能を止めた。
恋人?誰が?誰の?
『勿論、私などではリフエール様に釣り合わないのは分かっております…。』
陽の光で潤んだように輝くエメラルドを向けられて、俺の心臓が跳ねた。
ようやく頭が回り出す。
え⁉︎まさか、シエラ様は俺と恋人になりたいと言ってるのか…?
『リフエール様が他の方がいいと仰るなら…』
「そんなことはありません!」
俺は被せるように否定の言葉を口にした。
「断じて他の方がいいなんてことは…。
ですが、何故私なのですか?」
シエラ様を一目見た時から、俺の心には経験したことがない感情が渦巻いている。
こんなに心を占める彼を差し置いて、他の人間を選ぶなんてことは断じてない。
ただ、シエラ様が選ぶのが俺なんてことがあり得るのだろうか?
もしもの話しだが、シエラ様と俺が恋人になるとしたら、釣り合わないのは完全に俺の方だ。
片や国防の要である伯爵家の御子息。
片や貧乏男爵家の嫡男でもないほぼ庶民。
俺は自己評価が低い訳ではないし、自分や自分の生い立ちを卑下するつもりも全くないが…客観的に見て格差は歴然なのである。
『実は、陛下の生誕パレードで初めて貴方をお見かけしたのです。
騎士服にマントを翻した姿がとても素敵で…。
そして、とても人々に愛されていることを知りました。』
俺の言葉を受けてポツリポツリとシエラ様が話す内容に、俺は目を丸くした。
パレードの時から俺を認知してくれていたのだ。
だから、あの事件の時に名前を呼んでくれたーー。
『そして、今日こうしてお茶をご一緒していただいて確信したのです。
貴方しかいない、と。』
そんな殺し文句の後、彼はさらにこうも付け足した。
『断りのお言葉をいただくであろうことも承知しております。ですが…それでもまた、お茶にご招待することをお許しいただけますでしょうか?』
万が一俺が断ろうとも、交流を続けたいと言ってくれているのだ。
言い回しは貴族然としているのに、目に映るのは自信無さ気で酷く緊張した、素が出たような彼の姿。
拒絶に怯えるような縋る眼差しと、少し蒸気した頬ーーー。
ヤバイ……。可愛い…。
庇護欲を唆るその姿に、俺は反射的にその白い手に触れたくなった。
どうか安心して欲しい。
俺には貴方を拒否するような言葉は到底思い浮かばないからーーー。
「ストーーーーッッップ!!!!!!」
あと少しで手が触れると言う時、ミリ殿の大声が響いた。
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リフ側から見た告白(?)シーンでした。
リフは、今まで付き合った女性達に対す気持ちを「恋愛」だと認識してるので、それとは全く異なるシエラへの想いに名前が付けられません。
まぁでも鈍感男ではないので遠からず気付くかな。
問題はシエラさん。笑
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