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言葉足らず ※シエラ
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ミリから来客の合図があった。
時間の概念が結構のんびりしてるこの国で5分前行動。流石は王国騎士だなぁ。
僕はサロンでリフエール様を迎える手筈だからソファに座って待つ。
陽の光が良く入るこの部屋、いつも瑞々しい生花が飾ってあって綺麗なんだよね。
今日は白い花を基調に、アクセントで薄い紫やピンクが加えられてる。
4の月らしい淡い暖かい仕上がり。
緑系の絨毯との色合いも良いし、流石AAA。
今日彼に話すのは、この前のお礼と例の件。
BL営業へのお誘い(?)だ。
上手くプレゼンできるといいんだけど…。
正直、十中八九お断りされる気がしてる。
ミリは切り札があるって言ってたけど何だろう?
部屋をノックする音がした。
さぁ、気持ちを切り替えて貴族モードのスイッチをオンだ。
立ち上がって迎えた先に、リフエール様がいた。
イ…イッケメェェェェン!!
顔面の破壊力がマジでヤバイ。
パレードの時は前髪を上げてたけど、今日は下ろしてる。
ちょっと長めなんだけど全然邪魔じゃないって言うか綺麗な顔を際立たせてるって言うか…。
服装は若い貴族が昼の外出で好むフロックコート。その中はベストとシャツだ。
ネイビーのパンツを纏った脚の長さたるや…胴長短足な自分の身体が恨めしくなるわ。
騎乗してる時はシュッとしてるなぁ…くらいだったんだけど、かなり背が高い。
190センチは超えてそう。
顔の小ささも相まって10頭身くらいに見える。
フワッ
手元に微かな風を感じて我に帰る。
イケメンに当てられてポケッとしてる僕に向けて、ミリが風の魔術を放ったっぽい。
危ない、完全に持って行かれてた。
僕は伯爵家の人間ーー。
僕は決してコンウォールの名を汚してはならないーー。
心の中で唱えると、スイッチが切り替わる。
「ようこそ、ウェレン男爵子息様。」
審査員がいたら満点を貰えるであろう貴族の礼をして、リフエール様をサロンに迎え入れた。
ま、眩しいぃぃぃぃ!!
部屋の陽光に彼の金髪が煌めいている。
日本人なら泣く程痛む頭皮に耐えてブリーチしないと手に入らない色だ。
外国人でも…ましてや今世でもなかなかお目にかかれない見事な色彩。
騎士の礼で挨拶を返してくれた後、彼は髪が目にかかったのかサッと払った。
本人的には何ともないんだろう仕草が、めちゃめちゃ格好いい。
こりゃ本当に国宝級イケメンだわ。
サロンの花々が全て彼の為の背景と化している。
男っぽい格好良さなのに花も似合うとか。
最早この部屋の主がどっちだか分かんなくなってきたよーーー。
ハッ!
いけない、飲まれちゃダメだ。
例え僕が、友達いない陰キャ・コミュ障・モブ顔の三重苦だとしても!
本当ならイケメン怖いってガタガタ震えるポジの人間だとしても!
僕にはやるべきことがある!
そう、全ては愛するショコラの為に!
絶対に負けられない戦いが、そこにはあるーー。
気をしっかり持った僕は、リフエール様にティーテーブルの椅子を勧めた。
普段ミリルド(この呼び方楽でいいね)とお茶する時はローテーブルとソファなんだけど、今日はお客様だから正式にね。
向かい合って席に着くと、絶妙なタイミングでミリがお菓子を持って来た。
前世で言うアフタヌーンティー形式の3段には、僕のお気に入りのお菓子とフルーツ。
ヒューゴと吟味を重ねて開発したりアレンジしたお菓子は、味も見た目も最高だ。
チラリと向かいの席を見ると、リフエール様が驚いた顔をしている。
僕が嬉しくなって説明を始めると、彼はとても興味深そうに聞いてくれた。
スイーツのこととなるとオタクを発揮してしまう僕の怒涛の説明攻撃もちゃんと聞いてくれる。
感想も言ってくれたりして嬉しい。
そうして話題がネリキリになった時、僕は気付いた。
ここが例の件を伝えるタイミングじゃない⁉︎
ネリキリってさ、まんま日本の「練り切り」のことなんだよね。
今世ではこの大陸から海を挟んだ所にあるサクラ国で食べられるお菓子。
この国、名前もアレだし文化も日本に凄く似てると思う。
トッドがくれた珊瑚の簪とか鼈甲の髪留めもサクラ王国の物だ。
ヨシノって言う、桜によく似た花(それこそソメイヨシノそっくり)が国花らしいし。
日本人だった者としてオ・モ・テ・ナ・シの心で今日のメニューに加えてたんだけど…。
上手いことトッド経由でリフエール様に会えたことを伝えられた。
これはきっと神様からのGOサインだ!
「突然で申し訳ないのですが…。今日お招きしたのには理由がありまして…。」
前置きするとリフエール様がスッと背筋を伸ばした。
ただでさえ姿勢いいのに。
何だか緊張してる様にも見えるけど気のせいかな?
「貴方に、私の恋人になっていただきたいのです。」
言ったーー!!言っちゃったよ!!
やっぱ驚くよねぇ。
恋人役になってくれなんてさぁ。
ほら、イケメンが物も言えない程驚いて固まって…あれ?
ミリも固まってるんだけど、何で?
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
シエラはプレゼンの内容は考えてたんですが、切り出し方のことを失念していました笑
時間の概念が結構のんびりしてるこの国で5分前行動。流石は王国騎士だなぁ。
僕はサロンでリフエール様を迎える手筈だからソファに座って待つ。
陽の光が良く入るこの部屋、いつも瑞々しい生花が飾ってあって綺麗なんだよね。
今日は白い花を基調に、アクセントで薄い紫やピンクが加えられてる。
4の月らしい淡い暖かい仕上がり。
緑系の絨毯との色合いも良いし、流石AAA。
今日彼に話すのは、この前のお礼と例の件。
BL営業へのお誘い(?)だ。
上手くプレゼンできるといいんだけど…。
正直、十中八九お断りされる気がしてる。
ミリは切り札があるって言ってたけど何だろう?
部屋をノックする音がした。
さぁ、気持ちを切り替えて貴族モードのスイッチをオンだ。
立ち上がって迎えた先に、リフエール様がいた。
イ…イッケメェェェェン!!
顔面の破壊力がマジでヤバイ。
パレードの時は前髪を上げてたけど、今日は下ろしてる。
ちょっと長めなんだけど全然邪魔じゃないって言うか綺麗な顔を際立たせてるって言うか…。
服装は若い貴族が昼の外出で好むフロックコート。その中はベストとシャツだ。
ネイビーのパンツを纏った脚の長さたるや…胴長短足な自分の身体が恨めしくなるわ。
騎乗してる時はシュッとしてるなぁ…くらいだったんだけど、かなり背が高い。
190センチは超えてそう。
顔の小ささも相まって10頭身くらいに見える。
フワッ
手元に微かな風を感じて我に帰る。
イケメンに当てられてポケッとしてる僕に向けて、ミリが風の魔術を放ったっぽい。
危ない、完全に持って行かれてた。
僕は伯爵家の人間ーー。
僕は決してコンウォールの名を汚してはならないーー。
心の中で唱えると、スイッチが切り替わる。
「ようこそ、ウェレン男爵子息様。」
審査員がいたら満点を貰えるであろう貴族の礼をして、リフエール様をサロンに迎え入れた。
ま、眩しいぃぃぃぃ!!
部屋の陽光に彼の金髪が煌めいている。
日本人なら泣く程痛む頭皮に耐えてブリーチしないと手に入らない色だ。
外国人でも…ましてや今世でもなかなかお目にかかれない見事な色彩。
騎士の礼で挨拶を返してくれた後、彼は髪が目にかかったのかサッと払った。
本人的には何ともないんだろう仕草が、めちゃめちゃ格好いい。
こりゃ本当に国宝級イケメンだわ。
サロンの花々が全て彼の為の背景と化している。
男っぽい格好良さなのに花も似合うとか。
最早この部屋の主がどっちだか分かんなくなってきたよーーー。
ハッ!
いけない、飲まれちゃダメだ。
例え僕が、友達いない陰キャ・コミュ障・モブ顔の三重苦だとしても!
本当ならイケメン怖いってガタガタ震えるポジの人間だとしても!
僕にはやるべきことがある!
そう、全ては愛するショコラの為に!
絶対に負けられない戦いが、そこにはあるーー。
気をしっかり持った僕は、リフエール様にティーテーブルの椅子を勧めた。
普段ミリルド(この呼び方楽でいいね)とお茶する時はローテーブルとソファなんだけど、今日はお客様だから正式にね。
向かい合って席に着くと、絶妙なタイミングでミリがお菓子を持って来た。
前世で言うアフタヌーンティー形式の3段には、僕のお気に入りのお菓子とフルーツ。
ヒューゴと吟味を重ねて開発したりアレンジしたお菓子は、味も見た目も最高だ。
チラリと向かいの席を見ると、リフエール様が驚いた顔をしている。
僕が嬉しくなって説明を始めると、彼はとても興味深そうに聞いてくれた。
スイーツのこととなるとオタクを発揮してしまう僕の怒涛の説明攻撃もちゃんと聞いてくれる。
感想も言ってくれたりして嬉しい。
そうして話題がネリキリになった時、僕は気付いた。
ここが例の件を伝えるタイミングじゃない⁉︎
ネリキリってさ、まんま日本の「練り切り」のことなんだよね。
今世ではこの大陸から海を挟んだ所にあるサクラ国で食べられるお菓子。
この国、名前もアレだし文化も日本に凄く似てると思う。
トッドがくれた珊瑚の簪とか鼈甲の髪留めもサクラ王国の物だ。
ヨシノって言う、桜によく似た花(それこそソメイヨシノそっくり)が国花らしいし。
日本人だった者としてオ・モ・テ・ナ・シの心で今日のメニューに加えてたんだけど…。
上手いことトッド経由でリフエール様に会えたことを伝えられた。
これはきっと神様からのGOサインだ!
「突然で申し訳ないのですが…。今日お招きしたのには理由がありまして…。」
前置きするとリフエール様がスッと背筋を伸ばした。
ただでさえ姿勢いいのに。
何だか緊張してる様にも見えるけど気のせいかな?
「貴方に、私の恋人になっていただきたいのです。」
言ったーー!!言っちゃったよ!!
やっぱ驚くよねぇ。
恋人役になってくれなんてさぁ。
ほら、イケメンが物も言えない程驚いて固まって…あれ?
ミリも固まってるんだけど、何で?
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シエラはプレゼンの内容は考えてたんですが、切り出し方のことを失念していました笑
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