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BL営業のすゝめ ※シエラ

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「ミリ、あの騎士ごときがシエラ様に釣り合うとでも…?」

物凄く低い声で言うルドの手の中で、紅茶のカップがビキビキ音を立てている。
わー!ルド、割れる割れる!
君の握力半端じゃないんだから!

僕は慌てて隣に座るルドの手からカップを奪い取る。
あ、遅かったわ。ヒビ入ってるね。


「別に本当に恋人になる必要はないわよ。
2人で仲睦まじくしてれば、周りが勝手に想像してくれるわ。」

な、なんかミリとルドの間で火花が散ってる気がするんだけど気のせい?
この2人、仲は悪くないと思うんだけど時々衝突するんだよなぁ。

と、それは取り敢えず置いとこう。
ミリが言ってるのはあれか。
所謂いわゆる匂わせってやつ?
けど、需要あるのかなぁ。


男同士が仲睦まじくしてるの見て喜ぶ人なんている?


『はぁぁぁ⁉︎いるに決まってんじゃないこの非国民が!!』

急に頭の中に声が響いた。

『むしろそれ以外何に萌えるって言うの⁉︎
それ以上に尊さを感じるものなんてこの世に存在感しないわ!!』

あ、これリョウの記憶だ。
そしてこの台詞は生粋の腐女子だった妹のもの。
見た目は儚気な大学院生なのに、かなり激しめのBLにも精通していた彼女は作家でもあった。
コミケでは壁サーだったとか。

『一言でBLって言っても色々あるんだから!相思相愛もいいし、ケンカップルもいいわね。片方がノンケなのもいいし、嫌い合ってる2人がくっつくのも!Ωバースも捨てがたいし最近話題のsub系も滾るわ!』

他にも獣人とか極道とか…。
永遠と続く話しを早送りすると、一際大きな声がした。

『個人的にはやっぱり両片想いがいいわね!絶対両思いじゃんって思いながら周りのモブになって見てたい!!それから、攻めが美形で受けが平凡!私的にこれは譲れないしそう言う作品って多いのよ!!』


『まぁ私はBLには興味ないけどさぁ、自担が男同士でイチャイチャしてるのは眼福よね!ハグしたりチョッカイ出しあったり!
他の仲良いメンバーに嫉妬してんの⁉︎みたいな反応とか…萌え禿げるわ。』

唐突に会話に参加してきたのは男性アイドルオタクだった姉の声だ。
朧気な記憶だけど、若い頃はギャルだったはず。
高校卒業と同時にギャルも卒業した姉は、大学生ではバイト代を、社会人になると給料の全てを推しのアイドルに使っていた。

「ライブでもそう言うシーンってめちゃめちゃ盛り上がるし!何なら、ワザとBLっぽくしてる子達もいるわよ!これ本当に付き合ってんじゃないの⁉︎って妄想するのが最高!!
もうね、実際はどっちだっていいの!!」

ちょっと落ち着いてくれリョウの姉妹よ。
えっとつまりあれですかね。
腐女子でもそうでなくても、想像力を掻き立てる男同士の関係は非常に需要がある…と。

『だってBL(営業)はファンタジーなんだから!!!!』

最後に、綺麗にユニゾンした姉と妹の声が僕の頭の中に鳴り響いたーーー。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
因みに全然どうでもいい設定なんですが、リョウの姉妹↓

姉アカリ(リョウの2歳上)化粧品会社勤務
妹ケイト(リョウの4歳下)大学院生

リョウの親は姉→弟→妹の順でしりとりになるように名付けました。
と言うことは「リョウ」の本名は…。
ぜひ推理してみて下さい笑

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