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カウントダウン ※リフエール

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今日も今日とて、朝から出待ち勢に迎えられて辟易とする。
見回りに来た守衛が女性達を散らしてくれて、
俺はようやく出勤することができた。
門の前には『関係者以外の立ち入りを禁ずる』の看板。
しかし、それ程効果は出ていない。
なんなら数が増えているような気さえする。
…いや、気のせいじゃないな。
昨日ユーナから届いた手紙に書いてあったのだ。

『学院で、
王立公園の奥にリフエール様のお住まいがあると言うのは本当ですか?
って聞かれたのだけど兄様何かしたの?』

妹よ、俺は何もしていない。
何もしていないのに、寮にいられなくなりそうなんだ!!!

寮を出てタウンハウスで暮らす可能性があることは、ユーナにはまだ言っていない。
副隊長補佐になったことを凄く喜んでくれたし、
パレードも遠くからではあったが見てくれたらしい。
ギリギリまで黙っていよう。
妹よ、兄はお前に余計な心配をかけたくないんだ。


ただ、ユーナが学院でその話しを耳にしたと言うのは俺には凶報である。
貴族が通う学院で噂になる程ならば、庶民はほぼ認知していると言うことだからだ。
第二部隊で王都の人々と接することになって、こう言った話しに関しては圧倒的に庶民の方が耳が早いことを知った。
時には、そのお陰できな臭い奴らを早々に捕まえたりもできるのだが…。
今回は俺には嬉しくない情報が拡散されている。

「はぁー。」

ここ数日で溜息を量産している気がするな。
いや、頑張れ俺!まだ対策をして2日だ!
一発逆転があるかもしれない!

自分を無理矢理鼓舞しながら騎士団本部へ着くと、仲間に挨拶をしながら支度を整える。
今日は王都の西側に位置する貴族街の巡回だ。
落ち着いたその地区ならば、仕事の邪魔をされることもないだろう。

「リフ、ちょっといいかな。」

おっとりした声は副隊長だ。

「今日は中心部が忙しくなりそうな気がするから、応援に回ってくれるかな。」

普通ならば、何の根拠があって言ってるんだ?
と思う所だが、うちの副隊長の勘は良く当たる。
例の予言然りだ。
だから俺は直ぐに了承した。

「分かりました。どこに合流したら良いですか。」

「ロワーヌがいのあたりだから、ジェシーの所だね。」

「げっ、アイツですか。」

「ふふ、君達は本当に仲良しだねぇ。」

副隊長は、「目、見えてます?」とよく確認される糸目をさらに細めている。
実はこれを見抜けるようになったのは割と最近だ。

全然仲良くないですと副隊長に言い置いて、俺はジェシーの元へ向かった。
巡回は幾つかの班に分かれていて、だいたい3日ごとに受け持ちが変わる。
俺は一昨日まで街の巡回だった。
やっと仕事中に絡んでくる女性から逃げられると思ったんだが、また同じ所に割り当てられるとは…。

「リフ!ご苦労さーん!」

厩に向かうと、ジェシーがラビを出してくれていた。
彼の相棒ナナも一緒だ。

「ありがとな。
ラビ、お早う。今日もよろしくな。」

ラビはいつも通り静かに顔を寄せて来る。
首の辺りを撫でてからその背に跨る。

「さぁ、行こうか。」

俺はジェシーの班と共に任務へ向かった。





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リフ側の「カウントダウン」でした。
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