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密偵なのか? ※リフエール

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手紙を読んだのが夜だったので、翌日の朝になってから妹の元へ向かった。
そこで当の本人が呑気にお茶なんかしてるのを見て、俺の怒りのボルテージは上がった…のだか、どうも本気で反省しているようだ。
まぁでもその前にすっとぼけようとしたのは見逃してないからな!

理由を聞けば、婚約者からの贈り物を追って迷い込んでしまったらしい。

「それは…まぁ気持ちは分からないでもないが…。」

言葉を濁す俺に、妹が言う。

「リフ兄様、たかがリボンぐらいでって思ってるでしょう!」

ユーナリアは鋭い。
婚約者からの贈り物を大切にするのはいいことだが、ギルならリボンくらいまた買ってくれるだろうしそこまでしなくても…なんて思っていたからだ。

「リフ兄様は人を好きになったことがないんですものねぇ。恋人が心を込めて贈ってくれた物なら値段に関係なく宝物だってお分かりにならないんですもの。新しい物を買って貰えばいいなんて思ってらっしゃるんでしょうねぇ。」

「ユーナ、俺だって恋人の1人や2人いたこともあるさ。人を好きになったことが無い訳じゃない。」

大袈裟に溜息を吐く妹に抗議する。
ワザとらしい丁寧な言い方が腹立つな。

「それだって、お相手の女性が熱心に言い寄って来たから断れなくてお付き合いしただけじゃない。」

俺は内心ドキリとした。
ユーナリアは俺の恋愛事情をどこまで把握しているんだろうか。

王国騎士は若い女性の興味を惹きやすい。
俺もその例に漏れず、顔もそれなりに整っている方だから、まぁ結構モテたりする。
騎士団に入ってからの3年間で付き合った人数は正直、両手がないと足りない。
しかもその全てが妹の言う通り、相手の熱意に押し切られる形で交際が始まっていた。
そして俺が振られて終わる。
ここまでがワンパターンなのである。

「リフ兄様のことだから大切にはするんでしょうけど、お相手と同じ熱量になれないのよね。
だから、本当に私のこと好きなのかしら?って言われて終わるのよ。」

俺にとって残念なニュースだが、どうも妹は俺の恋愛事情を正確に把握しているらしい。

「優しすぎて不安になる」
「私のこと好きじゃないでしょう?」

別れ際に女性から言われるのはこのどちらかだ。
決して大切にしていない訳ではない。
好きになれるか分からないと断ろうとすると、それでもいいと懇願されて交際が始まる。
恋人が居る期間は、当たり前だが浮気は絶対しないし恋人が嫌がるなら異性の友人とは接点を持たないようにもしている。
好きになろうと努力もする。

だが、何故かいつも上手くいかないのだ。

「だからリフ兄様は人を好きになったことが無いと言ってるのよ。私たちや友人に向ける愛情とは別の…。そうね、焦がれるような恋をしたことがないんだわ。」

うんうん、それだと1人で頷く妹。
密かにダメージを受ける兄。
ダメだ、このままではユーナリアのペースだ。
って言うか話し逸らしてるだろ!
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