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頼れる大人がいるのは大切 ※シエラ
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「トッド、もう帰っちゃうの?」
荷物を整理する彼に向かって僕が悲しげな声を出すと、トッドは笑って頭を撫でてくれた。父上は席を外している。
「ごめんな、王都のお得意様に呼ばれてるんだよ。」
「今度はいつ帰って来る?」
「そうだなー、早くて1年後くらいかな。」
「そんなに⁉︎」
ぼくは絶望的な気分になる。
「なんだ、そんなに俺に会えないのが寂しいのかー?可愛い奴だなぁ。」
ギュッと抱きしめてくれたトッドに僕は小さな声で呟く。
「だって、トッドが一番優しいんだもん。
僕ね、こんな風にハグしてもらったり、頭を撫でてもらったことないよ。」
息を呑んだトッドに気付かずに僕は続ける。
「父上は僕のことが嫌いみたい。兄上達も、2人は良くお話ししてるのに僕のことは入れてくれないの。僕が弱いから認めてもらえないんだ。」
そして、一番の不安を口にする。
「僕、大人になっても不死鳥に入れないかもしれない。そうしたら、追い出されちゃうと思う?」
「そんなことない。」
僕を抱きしめて話を聞いていたトッドは、僕の目線にしゃがんで言ってくれた。
「お前の父上は分かりにくいけど…シエラを追い出したりなんか絶対にしない。だから大丈夫だ。」
それでも不安そうな僕に、トッドは笑った。
「万が一そんなことがあったら、俺が父上を説教してやる!だから安心しろ!」
つられて僕が少し笑うと、トッドは僕の手を握った。
「シエラは武術は苦手かもしれないけど、頭が回るって俺は知ってる。人の得意不得意はそれぞれだ。得意なことを得意な人がやればいいんだよ。」
その言葉は、素直に僕の心に沁みた。
「俺はそれが商売だった。学院の頃に気付いたんだ。俺は世界中旅してみたい、珍しい物を余すことなく見てみたいって。
それで稼げるのが商人だった。
いいか、シエラ。お前はこれから自分が何をしたいか考えて生きていけ。
不死鳥にこだわるな。羨ましいぜ!伯爵家の三男なんてやりたい放題だぞ!」
ウィンクしながら言われた最後の台詞に笑ってしまった。
この時は僕を励ましてくれるトッドの言葉が嬉しかっただけだったけど、学院へ行った僕は彼の言葉があながち冗談ではなかったことを知る。
貴族と言えども責任があるのは家督を継ぐ長男と、スペアになり得る次男まで。
三男以下は案外自由なもので、上位貴族や王宮に仕えたり、武官として働いたりと様々だった。無論、「家名を汚さない」と言う制約はあるが。
ーーそんなことを知るのはもう後数年後なのだけど、僕はトッドに随分と励まされて彼を見送った。
それからの僕は日々考えるようになった。
僕は将来何がしたいんだろう?
荷物を整理する彼に向かって僕が悲しげな声を出すと、トッドは笑って頭を撫でてくれた。父上は席を外している。
「ごめんな、王都のお得意様に呼ばれてるんだよ。」
「今度はいつ帰って来る?」
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「そんなに⁉︎」
ぼくは絶望的な気分になる。
「なんだ、そんなに俺に会えないのが寂しいのかー?可愛い奴だなぁ。」
ギュッと抱きしめてくれたトッドに僕は小さな声で呟く。
「だって、トッドが一番優しいんだもん。
僕ね、こんな風にハグしてもらったり、頭を撫でてもらったことないよ。」
息を呑んだトッドに気付かずに僕は続ける。
「父上は僕のことが嫌いみたい。兄上達も、2人は良くお話ししてるのに僕のことは入れてくれないの。僕が弱いから認めてもらえないんだ。」
そして、一番の不安を口にする。
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「そんなことない。」
僕を抱きしめて話を聞いていたトッドは、僕の目線にしゃがんで言ってくれた。
「お前の父上は分かりにくいけど…シエラを追い出したりなんか絶対にしない。だから大丈夫だ。」
それでも不安そうな僕に、トッドは笑った。
「万が一そんなことがあったら、俺が父上を説教してやる!だから安心しろ!」
つられて僕が少し笑うと、トッドは僕の手を握った。
「シエラは武術は苦手かもしれないけど、頭が回るって俺は知ってる。人の得意不得意はそれぞれだ。得意なことを得意な人がやればいいんだよ。」
その言葉は、素直に僕の心に沁みた。
「俺はそれが商売だった。学院の頃に気付いたんだ。俺は世界中旅してみたい、珍しい物を余すことなく見てみたいって。
それで稼げるのが商人だった。
いいか、シエラ。お前はこれから自分が何をしたいか考えて生きていけ。
不死鳥にこだわるな。羨ましいぜ!伯爵家の三男なんてやりたい放題だぞ!」
ウィンクしながら言われた最後の台詞に笑ってしまった。
この時は僕を励ましてくれるトッドの言葉が嬉しかっただけだったけど、学院へ行った僕は彼の言葉があながち冗談ではなかったことを知る。
貴族と言えども責任があるのは家督を継ぐ長男と、スペアになり得る次男まで。
三男以下は案外自由なもので、上位貴族や王宮に仕えたり、武官として働いたりと様々だった。無論、「家名を汚さない」と言う制約はあるが。
ーーそんなことを知るのはもう後数年後なのだけど、僕はトッドに随分と励まされて彼を見送った。
それからの僕は日々考えるようになった。
僕は将来何がしたいんだろう?
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