【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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解決編

54.

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(side 萱島晴人)

その後も、離れてた間の色々な話をした。

これまで俺は、遥の『元カレ』と付き合ってる気まずさから、あまり連絡しなくなってて。

一方の遥は、お姉さんがいる男友達のローガン君に『姉から頻繁にメールが来たらウザイ』なんて言われて自重してたんだそうだ。

理由は全然違うけど、お互いに同じタイミングで一歩引いちゃってたんだなぁ。

これからは気にせず連絡できるねって言ったら、またほっぺチューが始まった。

止まらないから話題を変えようと、疑問に思ってた事を聞く事にする。

ほら、翻訳家じゃなくて医者になるってやつ。

そしたら、物凄く真っ当な理由だった。

「あっちの学校ってボランティアが盛んでね、私もサマーバケーションの間にアフリカに行って来たの。」

比較的安全とされる地域の難民キャンプで、仮設住居の設営なんかに携わった遥は、そこで1人の医師に出会ったらしい。

「NPOの人だったんだけど、医療が進んでない国が抱える凄くリアルな話をしてくれて、圧倒的に医師が少ないって嘆いてた。『この現状を知って救いたいって思う人はそれなりにいるんだ。ただね、志だけじゃ医師にはなれない。能力と、精神的なタフさと・・それから嫌な話だけど、医学を学ぶには金だって必要だ。だから人材の確保が凄く難しいんだよ。』って。それを聞いた時、私の中で何かがバチっと嵌った気がしたの。
それ、私なら全部クリアできるじゃんって。」

気負うでもなく、驕るでもなく、ただ事実を事実として述べる遥。

「使命感とかそんな大それたものじゃないのよ?
ただ、できる人ができる事をやればいいじゃんって妙にしっくりきて。そこから自分でも色々調べて、悩んだけど医師を目指す事に決めたの。経験を積んで、いつかはアフリカに渡りたいと思ってる。」

俺の幼馴染は、なんだってこうもカッコイイんだろう。

「蓮はどうせ興味ないだろうから理由は言わなかったんだけど、晴は由奈から聞いてるよね?」

「遥が医者目指すらしいって事だけ…」

「え⁉︎理由聞いてなかったの?由奈が『晴ちゃんに話した』って言ってたから、てっきり全部伝わってると思ってた!!」

驚く遥は、俺に会った時に直接詳細を話すつもりでいたらしい。

やっと言えたと笑う姿に、心の中で謝罪する。

うぅ…蓮の傍にいたいからじゃないか、なんて疑った自分をボコボコにしたい…!!

好きな人の為に進路を決めるのが悪い事だとは思わないけど、どう考えても遥はそんなタイプじゃないのに。

思い込みと勘違いが重なると、冷静な判断ができなくなるんだって事を痛感する。

もしかしたら、蓮と俺もそうだった…?

伊藤に会う約束があるって言う遥に手を振って病室に戻りながら、そんな思いが湧き上がってくる。

バイト事件辺りから、俺達は何か掛け違えてたんじゃないだろうか。



コンコン


「ひゃい⁉︎」

蓮の横に座った直後のノック音に驚いて、またしても変な声が出た。

「よっ!晴人、元気か?」

「啓太!」

明るい声と共に入って来た親友は、眠る蓮を少しだけ見つめるとソファに腰かける。

「これ差し入れ。一緒に食おうぜ。」

「わ、これ好きなやつ!俺の誕生日にもくれたよな!」

差し出されたイタリア産のクッキー缶は、入手困難な激レア品だ。

「あー、うん…まぁ、ちょっと話そうぜ。」

珍しく歯切れの悪い様子に首を傾げながらも、啓太の向かいに座る。


啓太が話し始めたのは、美優さんを助けた時の事。

蓮父達から聞いてはいたけど、細かい所までは知らなかった。

「家族に連絡しようと思って免許証見たら『切藤』なんだもんなぁ。驚いたよ。」

珍しい苗字だからすぐに合点が行って、駆け付けた救急隊に切藤総合病院への搬送を願い出たのも啓太らしい。

凄いな啓太、俺だったらパニックになってそう。

病院には蓮父がいて、啓太の保護を申し出たそうだ。

「犯人に顔を見られた可能性があるからって言われたんだけど、正直危機感なくて。
通り魔的な犯行だと思ってたから、目撃者を探してまで襲うとか無いだろうって。」

そんな調子の啓太に危機感を持たせる為に、蓮父は霊泉家の事を明かした。

「切藤本人は、俺が関わる事に対してかなり渋ってた。だから言ったんだ。
『晴人を守りたいなら俺の協力は必須だろ』って。切藤が俺の協力を許したのは、それがあったからなんだ。黙っててごめん。」

そんな風に俺を気遣いながら続ける。

「切藤はとにかくお前が巻き込まれるのを危惧してた。俺もさ、美優さんがされた事をこの目で見てたから、気持ちは痛いほど分かって。切藤が晴人を突き放すって決めた時も、強く反対できなかった。」

申し訳なさそうな啓太に、どう返していいのか分からない。

『いいんだ』『気にするな』そう言うべきなんだろうけど…

「俺、そんなに弱いと思われてるのかな…。」

口を付いて出たのは、全く違う言葉だった。

俺自身も驚いてるけど、啓太も目を見開いてて。

「ごめん、皆が俺の為にしてくれたのは分かってるんだ。でも、俺だってもう子供じゃないのに…。」

何度も言うけど、子供の頃に霊泉家の事を明かされなかった理由には納得してる。

俺は自他共に認める怖がりだったし、その存在を知って普通に生活なんて絶対にできなかった。

でもさ…今回の事件が始まった時には、成人してたじゃん。

そんなに頼りないと思われてた事が悔しい。

「そうじゃないんだ、晴人。お前が弱くないのは俺が…いや、切藤が1番良く分かってる。」

「え?」

「俺、切藤に言ったんだ。『晴人はそんなに弱くない』って。そしたらアイツは『当たり前だろ』って。」

じゃあ、何で…。

「切藤はさ、お前が自分の為に無茶する可能性を恐れてたんだよ。ほら、高校の頃停学になった切藤の為に真犯人を突き止めて、危うく殴られる所だっただろ。あの時は切藤が駆けつけられたから良かったけど、相手が霊泉家じゃそうはいかない。もしお前が事情を知ってたら、万が一拉致されても切藤の情報は吐かない。どんなに痛めつけられても、きっと。」

確信した表情の啓太は…そして蓮は、俺の事を良く理解してると思う。

どんなに怖くても、蓮の敵であれば俺は絶対に口を割らないと思うから。

「それなら何も知らない方が…奴らに『無関係』って思わせておく方がずっと安全だ。」

そこで言葉を切った啓太が眉を下げる。

「実は俺、結構前に切藤に『晴人はお姫様じゃないぞ』なんて言っちゃった事があってさ。
高校生になったばっかの頃だったんだけど、切藤が過保護すぎる気がして。そしたら、めっちゃ怒られた。」

そんな話をしてたなんて初耳だ。

「その少し後にさ、子供の頃晴人が切藤を庇って怪我した事があるって聞いて、偉そうな事言ったって後悔した。
その時からずっと切藤は、晴人の事を強いと思ってるんだって分かったから。
アイツの過保護は晴人の事が好きすぎるだけで、決して弱いと思ってるからじゃないんだって。」

啓太とサッキーが家に来た時に話した、サッカークラブでの事件。

小3の時の事だし左手の傷は薄くなってるから俺は忘れかけてたけど、蓮はずっと気にしてて…。

ふと思い出されるのは、高校の時の記憶。

小火を目撃した俺が警察に疑われて、蓮が助けに来てくれて。

言い返す事もできなかった自分が情けなくて落ち込む俺に、こう言ってくれた。

『晴の力発揮できるフィールドじゃなかっただけだろ』って。

意味が分からなくて戸惑う俺に、蓮は当たり前みたいな顔して教えてくれたんだ。

『晴は他人の為なら最強になれる』って。

蓮は子供の頃からずっと、俺の事をそんな風に見てたんだと改めて思い知る。

そしてそれは、今でもきっとーー。

蓮が俺に霊泉家の事を言わなかったのは、俺が弱いとかそんな事じゃなくて…俺の性格を良く理解しての事だったのかもしれない。

「それと、『絶対守るって約束したって』って言ってた。『もう何も奪わせたくない』とも。」

そう言われて、息を呑んだ。

俺が夜道で襲われた時、抱きしめてくれた蓮の言葉。

混乱した中で朧気だけど、確かにそれは俺の耳に残ってて。

『奪わせたくない』はきっと、剣道の事を言ってるんだと理解する。

あの時、俺が唯一弱音を吐けたのは蓮だけだった。

苦しんでた姿を一番間近で見てたのも、蓮だった…。

霊泉家が俺から何か奪う事を危惧して、俺との約束を守るために遠ざけて。

蓮は、どんな気持ちでそれを決断したんだろう…。

視界が曇って、急いで瞬きする。

「だから、俺には切藤を止められなかった。それだけの覚悟が伝わったから。」

ふぅ、と苦し気な溜息を吐いて啓太は続ける。

「春休みに入ってすぐ晴人の家に転がり込んだのは、切藤に頼まれたからなんだ。傍にいてやってほしいって。
勿論俺も心配だったし、姉ちゃんが実家に帰って来てたのも本当なんだけど…。お前が痩せてんの見て、凄え辛くて。だけど切藤も同じくらい憔悴してたから、霊泉家の事を本当に恨んだ。」

蓮はその間ほとんど食事も摂らず、タバコばっかり吸ってたらしい。

「完全に自分の事なんかどうでもよくなってて…張りつめてるのに一切弱音は吐かないし、見てて痛々しくてさ。そんな中でもお前の誕生日だけはしっかり覚えてるし…」

ちょっと掠れた声の啓太が、テーブルのクッキー缶を見る。

「これ、誕プレの中にあっただろ?他のも全部切藤が用意して俺に託したんだよ。」

「蓮が…?」

俺の好きな物ばかりが詰まったプレゼントは、食欲が無い中でも食べられた。

もしかして蓮は、そこまで考えて用意してくれたんだろうか。

「俺、何で気付かなかったんだろう…」

いや、違う。

あの時少しだけ蓮の事が頭を過ぎったのに、考えないようにしたんだ。

その癖、誕生日にメッセージすら来ない事に落ち込んで。

全然見ようとしてなかったのは、俺の方だったのに…

「晴人、気付かなくて当然だ。切藤本人がそれを望んで無かったんだから。
って言うか、逆にあの状況で『蓮からかも!』なんて思えたらポジティブ野郎すぎて怖ぇわ!」

俺の後悔を感じ取ったのか、啓太が真剣な顔で告げた後ちょっと戯ける。

その言い方に思わず笑ってしまって、気持ちが楽になった。

うん、確かにあそこで『蓮からだよね!』とか言ってたら…精神的にかなりヤバイ気がする。

「それから、俺は萱島家が京都に行くタイミングで撤収した。旅行の経緯は拓也さんから聞いてるだろ?」

うん、俺達を安全な場所に移す為だったのは蓮父から説明された。

「晴人達が無事に到着するのを皆で祈ってた。切藤なんかピリピリしまくってて、誰も話し掛けられなくてさ。
護衛の人から到着の連絡があった時には、本当にほっとしたんだ。それで、いよいよ霊泉家と対決ってなったんだけど、トラブルが発生して…」

蓮父から『証拠が足りなくて』とは聞いてたけど、啓太の口から語られたのは手に汗握る展開だった。

こっちに寝返った霊泉家の人(俺をタクシーに乗せてくれた蓮の従兄)がお屋敷から証拠を持ち出す為に、遥が囮を勝手出たって⁉︎

遥がアメリカから緊急帰国したのにはそんな切羽詰まった理由があったのか。

本人には『詳しくは担当者に聞いて!』ってウインクされたんだけど…。

「それ俺の事だな。『私の活躍、余すことなく晴に伝えておいてよね!』って言われてる。」

遥のモノマネ(ちょっと似てる)する啓太に思わず吹き出す。

「止められるって分かってるからか、スマホの電源落としてて。トンデモナイよな南野って。」

呆れと恐れと尊敬が入り混じった啓太の気持は良くわかるよ。

遥って行動力の塊みたいな所があるもんね。

蓮は遥が空港に向かう事を読んで、その間に作戦を立てた。

K-POPアイドルが来日するって偽の情報を流してファンを終結させて、遥を紛れ込ませる?

木の葉は森に隠せ、女子は女子の群れに隠せ、的な事⁉︎

それによって霊泉家の監視を撹乱、分断して、別々に捕らえる。

遥に扮した警察関係者が霊泉家のアジトに態と連れて行かれて、そこで実行犯は確保。

遥は悠々と電車で移動して、啓太と合流からの切藤家に無事到着。

ナニソレ!!

こんな事言ったらあれなんだけど…探偵物の漫画みたいじゃん!

「切藤の事マジで天才だとは思ってたけど、今回の事で次元が違うなって思ったわ。後、計画が出来上がった頃に当然のように南野と連絡着くようになったり南野が変装用の服を何着か持ってるだろうって読んでたり…以心伝心だなって感心した。」

うんうん頷きながらそう言った後、ハッとしたように俺を見る。

あ、これもしかして…啓太も知ってるやつ?

「えーっと、切藤と南野の事は聞いてるんだよな?」

うわ、やっぱりか…!

「うん、その…誤解は解けてマス。」

自分の勘違いが恥ずかしくて赤くなりながら言うと、啓太はバシバシ俺の肩を叩く。

「いや、良かった!まさかそんな誤解が生じてたなんて相川さんに聞くまで気付かなかったわ!」

そっか、姫とピィちゃんから聞いてたのか。

っていうか、待って。

「何でそこと合流してたの?」

しかも、助けに来てくれた時にはサッキーまでいたよね?

「晴人が京都からいなくなったって切藤に連絡が入って、探してたんだ。霊泉家の逮捕がまだの段階だったからめちゃめちゃ焦ったんだぜ!」

そ、そっか。

せっかく京都に避難させてもらったのに、俺がノコノコこっちに戻って来ちゃったから…。

「ご、ごめん…!」

「いや、お前を責めてる訳じゃない。何も知らせてなかったのはこっちだし。ただ…」

険しい顔をした啓太の次の言葉を、息を詰めて待つ。

「大谷!!アイツは意味が分からない!!」

予想外の内容と勢いにポカンとしてると、啓太が早口で捲し立てる。

曰く、大谷君のお父さんも含めてかなり撹乱されたとの事。

「ランスロットだの囚われの姫だの…!ようやく大谷の居場所に行きついたと思ったら姉ちゃんがナイフ持って迫ってくるし…!!」

何それ超怖い…。

どうやら俺の父さんの証言から、2人は大谷君が俺を誘い出したと判断したらしい。

でも、彼は自作のBL小説の事で俺に話しがあっただけで無実だった。

俺は大谷君に姫のショーを手伝ってるって話してたから、緊急事態って事で2人に服飾専門学校の名前を告げた。

「普通に相川さんの名前出せよ!全てにおいてまだるっこしいんだよ!」

多分、俺が姫達との約束である『蓮には言わないで』を伝えたせいなんだけど、啓太は随分苛々したみたい。

珍しく吠えるのを宥めつつ先を促すと、姫とピィちゃんは蓮に対してかなり攻撃的だったそうだ。

そうか、俺が蓮と遥の事を相談してたから…。

でも何かおかしいってなって、お互いの情報を擦り合わせる事にした。

…?

「って事は、まさか蓮も…⁉︎」

「あー、うん。お前が南野との仲を誤解してたのは知ってる。言葉も出ないくらい驚いてたわ。」

うわぁぁぁぁ!!死にたい!!

「まあでも、切藤もかなり盛大に勘違いしてたからお互い様だろ。」

「うん?どういう事?」

「まあ、これに関しては俺が口出す事でも無いからな。切藤が目覚めたらちゃんと話し合いしろよ?」

かなり気になるけど、啓太の様子からこれ以上聞いても話してくれないと悟る。

とにかく、蓮への疑いが晴れた事で姫達は俺の居場所を明かした。

尤も『昔から知ってる信用できる人の所にいる』って事しか話してなかったんだけど。

そこから蓮が竹田先輩に行きついて、協力要請してたサッキーが合流して、皆で俺を救出に来てくれたらしい。

「本当、ごめんな。迷惑かけて…。」

「いや、晴人のせいじゃないって。俺の方こそ色々黙ってて本当にごめん。」

しっかり頭を下げ合って、それから笑い合った。

「…後さ、竹田先輩の事だけど…」

少しトーンダウンした真剣な声音に背筋を伸ばす。

「(切藤にボコられて)怪我してるけど、取り調べには応じてるらしい。違法な薬物も持ってたって…。」

それは多分、俺に使おうとしてたあの小瓶の事だろう。

「いずれは広まる事だし、尾ヒレが付くよりはと思って佐藤のお父さんには全部話したんだ。だから多分、俺らの代には伝わってると思う。」

そこで初めて、監禁された時窓から助けを求めた相手が佐藤のお父さんだった事を知った。

何故か俺にめちゃめゃ懐いてる愛犬のコタローが、部屋を突き止めてくれた事も。

「すぐ安全な場所に隠れてもらったけど、警察の事情聴取もされてる。ただ、被害者が晴人だって事だけは胸に留めてもらうようにお願いした。」

面識のある佐藤のお父さんは凄くいい人で、きっと約束を守ってくれるだろう。

「ただ、現役の部員は知ったらかなりショックだと思う。竹田先輩は良く指導しに行ってたし…。」

信頼してた指導者が犯罪を犯したなんて、きっと信じたくないよね。

ふいに「お前のせいで…!」と叫ぶ竹田先輩を思い出して、慌てて頭を振る。

それは違うって啓太が先輩を一喝してくれた。

だから、大丈夫ーー

「晴人、何度も言うけど、お前は何一つ悪くない。俺が100%保証する。
竹田先輩の罪はあの人自身が招いたものだ。それに関して俺達はもう何もできない。する必要もない。」

心の揺れが伝わったのか、啓太がハッキリと言う。

親友の言葉が、俺を真っ直ぐ立たせてくれる。

「それでさ、今後、後輩達の指導には俺が行こうと思うんだ。大山先生と相談して、その方向で話を進めてる。」

沈んでた気持ちが急激に浮上した。

啓太は指導者向きだとずっと思ってたから。

それに、尊敬されてる啓太がいれば、後輩達の不安はグッと減るだろう。

「俺はやっぱり先輩の事は許せないけど…あの人が教えてくれた剣道の楽しさだけは、後輩にも伝えたいから。」

啓太の言葉に、自然と笑みが溢れる。

俺もそう思うよ、啓太。

『辛い思い出だから』って全部忘れてしまえないくらいには、俺達の青春は楽しかった。

「啓太に指導される後輩は幸せだな。この先が楽しみだ!」

ぜひとも俺達の記録を塗り替えて貰いたい。

「任せろ相棒!」


そう力強く応えて笑う親友は、幼馴染に負けないくらい最高にカッコ良かった。




●●●

蓮と啓太の『お姫様~』会話→side蓮高校編21『歪み』

晴の怪我→side晴人高校編55『立ち向かう』

晴と蓮の会話『晴の強さ』について→side晴人高校編48『好きバレ』、68話『繋がる心』

『絶対守る』約束→side晴人84『油断』


↑になります。
もう2年前の事なので「そんなんあったっけ?」の解消に載せておきます。












































遥は空港でのアレソレに晴が夢中になるのを分かってて、話す役を(蓮をベタ褒めするだろう)啓太に譲りました。
自分はその通り動いただけで計画したのは蓮なので、今回は勝ちを譲った感じです。笑
























































































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