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解決編
38.
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解決編『36』と『37』を蓮視点でなぞっています。
●●●
(side 切藤蓮)
話は昨日に遡る。
遥と連絡が取れなくなってから、俺達は作戦会議に没頭した。
重要なのは2点。
遥の安全の確保と、丈一郎を誘い出して音声ファイルを持ち出す事。
前者だけならそう難しくないが、両方となるとそうはいかない。
遥が向こうの手に落ちない限り、丈一郎は出てこないからだ。
幸いだったのは、与一郎が奴等の犯行手口に詳しかったこと。
『今回のようにお祖父様が直接関わる案件は、側近達が担当します。以前空港で拉致が行われた時の配置は…』
その証言、空港や周りの構造、霊泉家側近の配置、警察側が動かせる人数。
目を瞑り、それらを頭の中で組み立てて行く。
「よし、だいたい決まった。」
「えっ、もう?」
与一郎は動揺してるが、とにかく時間が無い。
「今から説明する中で、気になる事があったらその都度言ってくれ。こんだけ人数がいりゃあ穴埋めできんだろ。」
翔、陽子、中野、与一郎が頷き、電話の向こうで親父が了承の声を上げる。
「んじゃ、いくぞ。まずはーー。」
白熱した作戦会議が終わり全員がグッタリとソファに沈み込んだ頃、予想通り遥が連絡して来た。
遥の乗る便が日本に着いた瞬間、作戦はスタートだ。
指示した通り派手な服装で日本に降り立った遥は、スーツケースを受け取る。
追跡が始まるのは、旅客と職員以外入って来れないここを出てからだろう。
与一郎の話だと、追跡者は側近である2人の男。
背後に気付かないふりをしながら、男しか外に出さない奴等にとっての弱点である女子トイレへと向かう。
そこでラフな服に着替え、マスクやサングラスを装着する。
30分してからトイレを出ると、人は疎になっているだろう。
到着便が無く、ロビーへ向かう旅客が極端に減る時間だからだ。
男達は遥の変装に気付いて後を追う筈だ。
万が一気付かなければそれでもいいが…流石にそこまで脳無しじゃないだろう。
変装と言うトラップを見抜いた霊泉家の男達は、油断する。
これがその先に待つ新たなトラップへの布石だとも気付かずに。
そのまま遥を追って突っ込んで行った先で、待ち受けるのはーー。
『イヴって、あの韓国アイドルのか?』
その名前に翔、中野、陽子は直ぐに反応したが与一郎は首を捻っている。
よし、それでいい。
与一郎が知らないなら、霊泉家のその他が分かる訳が無いから。
このイヴが所属するのは、若い女子に人気があるKPOPアイドルグループ。
メンバー共通である『黒髪ロングの高身長』は、遥を隠すにはもってこいだ。
グループ内で1番人気のイヴの来日ともなれば、他メンバーのファンも釣れだろう。
そうすると、どうなるか。
『黒髪ロングのファンが大量に空港で待ち構える…って事か。』
翔の言葉に頷き、陽子に目を向ける。
『韓国の芸能界に伝手があったよな?』
そうして作成したのは、日本の芸能関係者がイヴ側への連絡を『誤爆』したSNS。
『明日のイヴさんのご案内ですが、午前中いっぱいはこちらで担当させていただきます。』
陽子が昔使っていたアカウントの名前を変えたそれには芸能人のフォロワーも多く、芸能関係者だと信憑性があった。
1時間程度でアカウントごと『気付いて消した』にも関わらず、驚く程に拡散されていく。
陽子の伝手でイヴの事務所側に頼んだのは、公式からの否定を30日の午後以降にして貰う事。
『驚いた事に、数日後に本当に極秘で来日する予定らしいわ。いい目眩しになるからって快諾してくれた。』
ガセネタに対しての炎上はあるだろうが、アカウントは消してるから陽子の身バレは心配無いだろう。
そんな訳で、空港には朝から黒髪ロングのファンが大勢待ち構えている。
公式な来日の場合、パニック防止のため規制線が張られるが…今回空港側はその情報を把握していない為下手に動けない。
当たり前だ、嘘なんだから。
センターを開けてなんとなく二手に分かれたような、いい具合に混乱したロビー。
遥を30分待たせた事によって到着客が極端に少なくなったそこに現れるのはーー
ラフな服装にサングラスとマスクをした、如何にも『お忍び』な女。
視覚から脳に情報が伝達される間の、僅かな時間の静寂。
「イヴだ!」
誰よりも早く叫んだのは、誠司さんから借りた私服の女性警察官2人だ。
彼女達は駆け寄るふりをして、いち早く遥の両サイドにポジションを取る。
そのまま誘導して我に返ったファン達に周りを囲ませれば、霊泉家の男達と完全に分断される訳だ。
遥は人混みの中をプロの誘導によって進み、混乱に乗じてマスクとサングラス、キャップをはずす。
そうすると『別人』になり、イヴは姿を消す。
ここでも、視覚から情報が伝達される僅かな誤差が大きな役割を果たす。
「見て!あっちにいる!」
最初と同じ女性警察官が別方向を指差すと、声が聞こえた近くの人間がそっちを向く。
集団と言うのは面白くて、ある一団が同じ動きをするとそれが伝染していくものだ。
完全に注意が逸れた所で、女性警官と遥は流れに乗りながらゆっくり非常口へと離脱する。
一方で、男達の方にも仕掛けをしておいた。
女子しかいない集団の中に、男がいるとどうなるか。
「痴漢だ!」
これまた仕込んだ私服の女性警察官が声を上げると、女子の結束力で全員の『敵』と化す。
ここで初めて、制服姿の警察官の登場だ。
焦った霊泉家の男達は逃げ出すだろう。
職質でもされようもんなら、遥を拉致する為の何か(与一郎の予想では薬品)が見つかってしまう。
だけど、退路は後ろの一択しかない。
なんとか遥の行方を仲間に知らせたい奴等は、そう遠くへは行けないだろう。
そこを、追い詰める。
『先程はどうも。別室でお話しを聞かせていただきたいのですが?』
あたかも痴漢と疑わしい男を追って来たかなように振る舞う警察官が、こっちの手先だとは思うまい。
万が一隙を狙って仲間に連絡されたとしても、俺達の介入を結論付ける根拠すらどこにもない。
ーーまずこれで、2人離脱だ。
次なるターゲットは、敷地外を車で見回る2人の男。
遥の拉致が完了したら、それぞれが別ルートで合流する運びとなっているらしい。
別邸への道は一つしかないから、合流する男たちの大体の配置は割り出せた。
そして、ここでもイヴの存在が活躍する。
彼女のファン層である若い女子達は、SNSを見て即決して空港へ…と言う訳にはいかない。
フットワークこそ軽いが、先立つ物が無いからだ。
社会人ならいざ知らず、推し活の財源を小遣いやバイト代とする彼女達からすれば、交通費とて手痛い出費。
それでも推しには会いたい。
それならば、選択は二つだ。
『お金貸して』か『車出して』のどちらか。
ただし、親にならまだしも友人や恋人に前者は言い辛い。
実際には車を出す方が手間ではあるが…『金』と言う物はハードルをそれ以上にあげるからだ。
つまり『車出して』率はかなり高くなる。
ただでさえ旅行シーズンで混み合う空港周りの道路に、その車達が加わればどうなるか。
『渋滞で身動きが取れない。悪いが後は任せる。』
より混雑が予想される方の車には、これだけで充分。
ーーこれでまた1人離脱だ。
さて、もう一方の車に関してはこれだけでは上手くいかない。
交通量的に『大渋滞』とまではならないからだ。
だから、ここでとっておきのカードを切る。
与一郎から得た車種とナンバーで車を特定し、誠司さんの『懐刀』である男を予めその車の前に滑り込ませておく。
彼ならば、それを見付ける事もタイミングを見て前を取る事も簡単だろう。
そして、霊泉家側に態と車をぶつけさせる。
事故が起きれば警察を呼ばざるを得ないし、渋滞は酷くなるからだ。
それだけでも足止めになるが…与一郎の言う『霊泉家一短気な男』がこの車に乗っていれば尚良い。
コンパクトカーの相手を侮って喧嘩をふっかければ、身長2mを超える筋骨隆々の男のお出迎えだ。
因みにこの男の名前はマークで、表の顔はバイク店のオーナー。
俺が晴を乗せる為に買ったバイクを値引きしてくれたのは、実はこの人だったりする。
ーーこれで、さらに1人脱落。
残りは、敷地内の車で待つ2人組だけだ。
仲間の度重なる失態に、奴等は焦るだろう。
普通なら作戦は中止だが、丈一郎が絡む案件となればそうもいかない。
何とかして遥を探し出そうとするだろう。
そんな時に、服装、髪型、持っているキャリーケースまでも同じ後ろ姿を見つけたらどうするか。
千載一遇の状況に焦って、しっかり確認するより先に捕らえる筈だ。
車内に引き入れて、それからサングラスを外して顔を確認するだろう。
だけどその顔には、舞台役者並みに濃いメイクが施されている。
奴等はそれを『変装』だと勘違いして、スーツケースの中のパスポートで確認する。
勿論、この女性は遥ではない。
遥は、共に人混みから脱出した女性警察官と非常口経由でパトカーへ移動し、この時には既に保護されているからだ。
その遥から預かった服やスーツケースを身に付けた女性が、囮となって態と霊泉家に捕まる。
遥の私物をまんま使ってる訳だから、当然パスポートも遥本人の物。
それを確認した奴等は、丈一郎に連絡を入れるだろう。
『遥を捕らえた』とーー。
その連絡を受けて、丈一郎は家を出発する。
与一郎を手助けする双子からの『でかけた』と言うメッセージが来たら行動開始だ。
与一郎は細心の注意を払って証拠集めへ。
そして俺はーー今日は気合いが入ってるのか2人に増えた監視を連れて、最寄駅へバイクを走らせる。
傍受されている方のスマホで親父に『遥をサプライズで出迎える』と言っているのを聞かせて。
監視をバラけさせる為、朝早く出かけた親父(作戦室で司令塔)と、翔(勤め先にいるが非番で連絡係)、それから笹森さんにも2人ずつ霊泉家の人間が付いているらしい。
加えて俺まで動けば、切藤家に留まる監視は流石にいなくなる。
それを確認した所で、中野の出番だ。
予め入手しておいた車(ペーパーだと怯えてたが)で、最寄より3つ前の駅へ向かう。
そこで待ち合わせるのはーー。
「中野!久しぶり!」
大胆にも空港から電車で帰って来た遥だ。
待機していたパトカーで送るとなると、こっちが起こした渋滞に巻き込まれる。
だけど、電車なら何の問題もない。
『迎えに来た友達』の体で私服の女性警官を1人付けていたが、拉致に成功したと思っている霊泉家は影も形もないだろう。
中野の運転する車で、遥は監視のいなくなった切藤家へと向かう。
「遥ちゃん、おかえり!無事で良かったわ!」
後は家で迎えた陽子と共に、安全な場所で作戦の成り行きを見守ればいい。
そして、捕まった偽物と間違えた男達はと言うとーー。
遥によく似た背格好のその女性は、誠司さんの『懐刀』のもう1人だ。
薬で気絶したふりなんて朝飯前、『水責め以外ならだいたい耐えられる♡』なんて言うガチの諜報員。
霊泉家別邸の地下牢に運び込まれた彼女は、合図を待つ。
途中で男達がメイクを落とす事に思い至るのも、こっちの想定通りだ。
疎いソイツらの為に態々『メイク落としシート』を分かりやすく入れてやったのを感謝して欲しい。
そして、男達は気付くだろう。
目の前の女性が、遥ではなく別人だと。
相当焦る筈だ、自分達の連絡を受けた丈一郎が既にそこへ向かってるんだから。
そんな屋敷の外には、数台のパトカーと警察官の姿。
元々目的地が分かっていれば、奴等に気付かれない距離を保って追い掛けても何ら支障なく辿り着ける。
彼等は丈一郎の到着を待ち、事情を説明する。
『空港で窃盗事件があり、その犯人がこの屋敷に逃げ込んだ』と。
警察に気付いた時点で俺達の関与を疑ったであろう丈一郎にとって、これは予想外だろう。
自分に関する事であれば知らぬ存ぜぬを突き通せるが、他の犯罪への捜査協力を突っぱねのは余りにも不自然だ。
更に『被害者が遥かもしれない』と匂わされた事で、疑心暗鬼になる。
真偽を確かめる為に、提案された『警告のサイレン』は許可せざるをえないだろう。
だけどそれは、中にいる女性ーーリサへの合図だ。
因みに彼女は公私共にマークのパートナーで、バイト先で『蓮が美人にデレデレしてた』と晴が嫉妬していた相手だったりもする。
昔からこの2人は誠司さんの傍にいて、俺が小学生の時に事件解決に協力して以来、何かと絡まれていて。
そう言う経緯があってバイト先のカフェにはしょっちゅう来ていたが、正体を明かす訳にもいかないので晴に勘違いされ時は本当に焦った。
話を戻そう。
サイレンの音を聞いた男達は、何とか『知らない女』の存在を隠そうとするだろう。
そうやって近付いて来た所で、まずは1人を音も無く昏倒させる。
もう1人の男には少し猶予を与えて、台詞を聞かせる。
『せっかく盗みが上手くいった所だったのに!覚悟しなさいよね!』
この後右手ストレートが炸裂するが、男の脳裏にはは最後の台詞が深く刻まれるだろう。
そして、目を覚ましてから当主にこう言う筈だ。
『あの女は本当に強盗だったようだ』と。
そこまでいけば証拠のファイルはこちらの手の中、更に俺達の関与を決定付ける証拠は無し。
音声の解析中にファイルの紛失に気付かれるのは避けたいが、この失態ぶりなら怒りでそれ所では無いだろう。
矛先が側近達へ向いている間は安全だと言える。
そして『遥をサプライズで迎える』筈だった俺は、急いで切藤総合病院へ向かう。
霊泉家で情報が回れば『強盗に襲われた遥が搬送された』と勝手に勘違いしてくれるだろう。
俺は自分のバイクを病院に停めて、あたかも泊まり込むかのように見せる。
そうすれば監視は病院前から動けなくなるから、与一郎の帰還を見られる心配は無い。
更に俺自身も、親父の伝手で救急車(拠点に戻るやつ)に乗り奴等の目を盗んで移動する。
この時、位置情報をオンにしたスマホを病院内に置いてくれば完璧だ。
監視の目が届かなくなった所で救急車を降り、近くに停めていた別のバイクで帰宅する。
これが作戦の全容だ。
そしてーー。
「蓮!久しぶり!!」
こうして遥が切藤家にいると言う事は、全て上手くいった事を意味する。
与一郎も帰宅していて、音声ファイルは既に親父に引き渡していた。
遥はすこぶる元気そうで、中野とタッグを組んで俺が痩せただ何だと口煩い。
再会と作戦成功の高揚感の中でその日は終わり、
翌日は逮捕へ向けた最終会議があった。
音声ファイルの解析は問題なく終わったらしい。
後はもう、親父に託して祈るしかない状況だった。
「翔がこっちに来るらしいわ!」
遥の顔色が変わったのはその日の夜、特殊携帯を片手に陽子が放った一言だった。
弱々しく俺の腕を掴む。
「蓮…私、あの桜が見たい。」
「何言ってんだ、危ねぇから…」
無理、と言おうとして気付く。
遥は翔の結婚をいつ知ったんだろうか。
タイミングを見計らってる内に霊泉家とのゴタゴタが始まってしまったから、俺からは伝えられてない。
だけど、この様子は確実に知っている。
らしくなく泣きそうなその表情に、心を決めた。
『ついて来い』と目線で促して、ひっそりと家を出る。
遥の為に病院で寝泊まりしてると思われてる俺には今、監視がついてない。
翔もこっちに来るからには撒いてくるだろう。
辺りは随分暗くなっているから、静かに行動すれば何とかなる筈だ。
目立たないように徒歩で移動した神社では、満開の桜の木が待っていた。
夜の闇に浮かび上がるその姿は強く綺麗なのに、舞い散る花弁は何処か儚い。
掌に落ちてきたそれが誰かの涙と重なって、胸が苦しくなった。
「ふぅ…無理言ってごめん、蓮。翔君の結婚の事はママから聞いて知ってるの。」
隣に並んで同じように花弁を掬う遥は、淡々と続ける。
「勿論、美優さんのお腹に赤ちゃんがいる事もね。すごくおめでたいって思ってる。…本当よ?」
「分かってる。」
俺の即答に、遥は眉を下げて小さく笑った。
「私だってアメリカで彼氏できたし、恋愛だけじゃなくて色々頑張ったし!」
力強い台詞とは裏腹に、その顔は俯いていく。
「だからもう大丈夫だって、思ってたの。やっと諦められたんだって。なのにーー。」
瞳から、ポタリと雫が落ちた。
「音声ファイルがダメで、霊泉家を逮捕できないってなった時…翔君の声が聞こえたの。」
それは確か、遥が中野に電話を繋ぎっぱなしにさせていた時。
翔は机を叩いて悔しがっていた。
「無理もないよね、自分の奥さんと子供をあんな目に合わされたんだもん。その辛そうな声を聞いたら…身体が勝手に動いてた。」
日本に行く事を決意して、飛行機のチケットを取って。
「万が一霊泉家に捕まれば、相当酷い事をされるんだろうなって分かってた。本当は怖かったけど…でも…翔君が嘆かないようにできるのは、私だけだって思って…。」
それは、電話の向こうで余裕そうにしていた遥の本音。
「結局何も変わってないの…ダメだったの…」
涙を零しながら、縋るように遥が抱きついてくる。
「私、ずっと忘れられなかった…。」
嗚咽も漏らす姿が幼い子供みたいで、その背中にそっと手を回した。
それは慰めと、労わりと、親愛と。
そして、何よりもーー。
「馬鹿だよな、お前も俺も…。」
どうしても諦められない存在がいる。
自分の何を失ってでも、その相手の為になりくて。
感謝なんてされなくていい、気付かなくていい。
ただどうか、笑っていて欲しい。
側から見ればいっそ滑稽なそれを『献身』だと人は言うけれど、俺達にとっては違う。
それは紛れもなく『生きる意味』だ。
自分の人生を生きようと離れても尚、その想いに身を焦がし続ける。
最早呪いのようなそれを、一体どうしたらいいのか。
ふいに強く吹いた風が、薄紅を舞い上げる。
その行先に最愛の幻想が見えた気がして、苦く笑った。
●●●
プロローグに戻って来ました!
マークとリサはside晴人高校編74話『好きの、その先は』~76話『胸の内を』、side蓮高校編3話『希望』辺りにチョロっと出てきてます。
以前話に出てきたカップル、実は誠司の私兵でした。
生意気で優秀な小学生だった蓮には当時から目を掛けています。
(リサは晴人の目には大学生くらいに見えてますが28歳です。)
ようやくプロローグの回収ができました😭
まさか2年かかるとは…笑
次回は現在(相川達といる所)に戻ります。
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(side 切藤蓮)
話は昨日に遡る。
遥と連絡が取れなくなってから、俺達は作戦会議に没頭した。
重要なのは2点。
遥の安全の確保と、丈一郎を誘い出して音声ファイルを持ち出す事。
前者だけならそう難しくないが、両方となるとそうはいかない。
遥が向こうの手に落ちない限り、丈一郎は出てこないからだ。
幸いだったのは、与一郎が奴等の犯行手口に詳しかったこと。
『今回のようにお祖父様が直接関わる案件は、側近達が担当します。以前空港で拉致が行われた時の配置は…』
その証言、空港や周りの構造、霊泉家側近の配置、警察側が動かせる人数。
目を瞑り、それらを頭の中で組み立てて行く。
「よし、だいたい決まった。」
「えっ、もう?」
与一郎は動揺してるが、とにかく時間が無い。
「今から説明する中で、気になる事があったらその都度言ってくれ。こんだけ人数がいりゃあ穴埋めできんだろ。」
翔、陽子、中野、与一郎が頷き、電話の向こうで親父が了承の声を上げる。
「んじゃ、いくぞ。まずはーー。」
白熱した作戦会議が終わり全員がグッタリとソファに沈み込んだ頃、予想通り遥が連絡して来た。
遥の乗る便が日本に着いた瞬間、作戦はスタートだ。
指示した通り派手な服装で日本に降り立った遥は、スーツケースを受け取る。
追跡が始まるのは、旅客と職員以外入って来れないここを出てからだろう。
与一郎の話だと、追跡者は側近である2人の男。
背後に気付かないふりをしながら、男しか外に出さない奴等にとっての弱点である女子トイレへと向かう。
そこでラフな服に着替え、マスクやサングラスを装着する。
30分してからトイレを出ると、人は疎になっているだろう。
到着便が無く、ロビーへ向かう旅客が極端に減る時間だからだ。
男達は遥の変装に気付いて後を追う筈だ。
万が一気付かなければそれでもいいが…流石にそこまで脳無しじゃないだろう。
変装と言うトラップを見抜いた霊泉家の男達は、油断する。
これがその先に待つ新たなトラップへの布石だとも気付かずに。
そのまま遥を追って突っ込んで行った先で、待ち受けるのはーー。
『イヴって、あの韓国アイドルのか?』
その名前に翔、中野、陽子は直ぐに反応したが与一郎は首を捻っている。
よし、それでいい。
与一郎が知らないなら、霊泉家のその他が分かる訳が無いから。
このイヴが所属するのは、若い女子に人気があるKPOPアイドルグループ。
メンバー共通である『黒髪ロングの高身長』は、遥を隠すにはもってこいだ。
グループ内で1番人気のイヴの来日ともなれば、他メンバーのファンも釣れだろう。
そうすると、どうなるか。
『黒髪ロングのファンが大量に空港で待ち構える…って事か。』
翔の言葉に頷き、陽子に目を向ける。
『韓国の芸能界に伝手があったよな?』
そうして作成したのは、日本の芸能関係者がイヴ側への連絡を『誤爆』したSNS。
『明日のイヴさんのご案内ですが、午前中いっぱいはこちらで担当させていただきます。』
陽子が昔使っていたアカウントの名前を変えたそれには芸能人のフォロワーも多く、芸能関係者だと信憑性があった。
1時間程度でアカウントごと『気付いて消した』にも関わらず、驚く程に拡散されていく。
陽子の伝手でイヴの事務所側に頼んだのは、公式からの否定を30日の午後以降にして貰う事。
『驚いた事に、数日後に本当に極秘で来日する予定らしいわ。いい目眩しになるからって快諾してくれた。』
ガセネタに対しての炎上はあるだろうが、アカウントは消してるから陽子の身バレは心配無いだろう。
そんな訳で、空港には朝から黒髪ロングのファンが大勢待ち構えている。
公式な来日の場合、パニック防止のため規制線が張られるが…今回空港側はその情報を把握していない為下手に動けない。
当たり前だ、嘘なんだから。
センターを開けてなんとなく二手に分かれたような、いい具合に混乱したロビー。
遥を30分待たせた事によって到着客が極端に少なくなったそこに現れるのはーー
ラフな服装にサングラスとマスクをした、如何にも『お忍び』な女。
視覚から脳に情報が伝達される間の、僅かな時間の静寂。
「イヴだ!」
誰よりも早く叫んだのは、誠司さんから借りた私服の女性警察官2人だ。
彼女達は駆け寄るふりをして、いち早く遥の両サイドにポジションを取る。
そのまま誘導して我に返ったファン達に周りを囲ませれば、霊泉家の男達と完全に分断される訳だ。
遥は人混みの中をプロの誘導によって進み、混乱に乗じてマスクとサングラス、キャップをはずす。
そうすると『別人』になり、イヴは姿を消す。
ここでも、視覚から情報が伝達される僅かな誤差が大きな役割を果たす。
「見て!あっちにいる!」
最初と同じ女性警察官が別方向を指差すと、声が聞こえた近くの人間がそっちを向く。
集団と言うのは面白くて、ある一団が同じ動きをするとそれが伝染していくものだ。
完全に注意が逸れた所で、女性警官と遥は流れに乗りながらゆっくり非常口へと離脱する。
一方で、男達の方にも仕掛けをしておいた。
女子しかいない集団の中に、男がいるとどうなるか。
「痴漢だ!」
これまた仕込んだ私服の女性警察官が声を上げると、女子の結束力で全員の『敵』と化す。
ここで初めて、制服姿の警察官の登場だ。
焦った霊泉家の男達は逃げ出すだろう。
職質でもされようもんなら、遥を拉致する為の何か(与一郎の予想では薬品)が見つかってしまう。
だけど、退路は後ろの一択しかない。
なんとか遥の行方を仲間に知らせたい奴等は、そう遠くへは行けないだろう。
そこを、追い詰める。
『先程はどうも。別室でお話しを聞かせていただきたいのですが?』
あたかも痴漢と疑わしい男を追って来たかなように振る舞う警察官が、こっちの手先だとは思うまい。
万が一隙を狙って仲間に連絡されたとしても、俺達の介入を結論付ける根拠すらどこにもない。
ーーまずこれで、2人離脱だ。
次なるターゲットは、敷地外を車で見回る2人の男。
遥の拉致が完了したら、それぞれが別ルートで合流する運びとなっているらしい。
別邸への道は一つしかないから、合流する男たちの大体の配置は割り出せた。
そして、ここでもイヴの存在が活躍する。
彼女のファン層である若い女子達は、SNSを見て即決して空港へ…と言う訳にはいかない。
フットワークこそ軽いが、先立つ物が無いからだ。
社会人ならいざ知らず、推し活の財源を小遣いやバイト代とする彼女達からすれば、交通費とて手痛い出費。
それでも推しには会いたい。
それならば、選択は二つだ。
『お金貸して』か『車出して』のどちらか。
ただし、親にならまだしも友人や恋人に前者は言い辛い。
実際には車を出す方が手間ではあるが…『金』と言う物はハードルをそれ以上にあげるからだ。
つまり『車出して』率はかなり高くなる。
ただでさえ旅行シーズンで混み合う空港周りの道路に、その車達が加わればどうなるか。
『渋滞で身動きが取れない。悪いが後は任せる。』
より混雑が予想される方の車には、これだけで充分。
ーーこれでまた1人離脱だ。
さて、もう一方の車に関してはこれだけでは上手くいかない。
交通量的に『大渋滞』とまではならないからだ。
だから、ここでとっておきのカードを切る。
与一郎から得た車種とナンバーで車を特定し、誠司さんの『懐刀』である男を予めその車の前に滑り込ませておく。
彼ならば、それを見付ける事もタイミングを見て前を取る事も簡単だろう。
そして、霊泉家側に態と車をぶつけさせる。
事故が起きれば警察を呼ばざるを得ないし、渋滞は酷くなるからだ。
それだけでも足止めになるが…与一郎の言う『霊泉家一短気な男』がこの車に乗っていれば尚良い。
コンパクトカーの相手を侮って喧嘩をふっかければ、身長2mを超える筋骨隆々の男のお出迎えだ。
因みにこの男の名前はマークで、表の顔はバイク店のオーナー。
俺が晴を乗せる為に買ったバイクを値引きしてくれたのは、実はこの人だったりする。
ーーこれで、さらに1人脱落。
残りは、敷地内の車で待つ2人組だけだ。
仲間の度重なる失態に、奴等は焦るだろう。
普通なら作戦は中止だが、丈一郎が絡む案件となればそうもいかない。
何とかして遥を探し出そうとするだろう。
そんな時に、服装、髪型、持っているキャリーケースまでも同じ後ろ姿を見つけたらどうするか。
千載一遇の状況に焦って、しっかり確認するより先に捕らえる筈だ。
車内に引き入れて、それからサングラスを外して顔を確認するだろう。
だけどその顔には、舞台役者並みに濃いメイクが施されている。
奴等はそれを『変装』だと勘違いして、スーツケースの中のパスポートで確認する。
勿論、この女性は遥ではない。
遥は、共に人混みから脱出した女性警察官と非常口経由でパトカーへ移動し、この時には既に保護されているからだ。
その遥から預かった服やスーツケースを身に付けた女性が、囮となって態と霊泉家に捕まる。
遥の私物をまんま使ってる訳だから、当然パスポートも遥本人の物。
それを確認した奴等は、丈一郎に連絡を入れるだろう。
『遥を捕らえた』とーー。
その連絡を受けて、丈一郎は家を出発する。
与一郎を手助けする双子からの『でかけた』と言うメッセージが来たら行動開始だ。
与一郎は細心の注意を払って証拠集めへ。
そして俺はーー今日は気合いが入ってるのか2人に増えた監視を連れて、最寄駅へバイクを走らせる。
傍受されている方のスマホで親父に『遥をサプライズで出迎える』と言っているのを聞かせて。
監視をバラけさせる為、朝早く出かけた親父(作戦室で司令塔)と、翔(勤め先にいるが非番で連絡係)、それから笹森さんにも2人ずつ霊泉家の人間が付いているらしい。
加えて俺まで動けば、切藤家に留まる監視は流石にいなくなる。
それを確認した所で、中野の出番だ。
予め入手しておいた車(ペーパーだと怯えてたが)で、最寄より3つ前の駅へ向かう。
そこで待ち合わせるのはーー。
「中野!久しぶり!」
大胆にも空港から電車で帰って来た遥だ。
待機していたパトカーで送るとなると、こっちが起こした渋滞に巻き込まれる。
だけど、電車なら何の問題もない。
『迎えに来た友達』の体で私服の女性警官を1人付けていたが、拉致に成功したと思っている霊泉家は影も形もないだろう。
中野の運転する車で、遥は監視のいなくなった切藤家へと向かう。
「遥ちゃん、おかえり!無事で良かったわ!」
後は家で迎えた陽子と共に、安全な場所で作戦の成り行きを見守ればいい。
そして、捕まった偽物と間違えた男達はと言うとーー。
遥によく似た背格好のその女性は、誠司さんの『懐刀』のもう1人だ。
薬で気絶したふりなんて朝飯前、『水責め以外ならだいたい耐えられる♡』なんて言うガチの諜報員。
霊泉家別邸の地下牢に運び込まれた彼女は、合図を待つ。
途中で男達がメイクを落とす事に思い至るのも、こっちの想定通りだ。
疎いソイツらの為に態々『メイク落としシート』を分かりやすく入れてやったのを感謝して欲しい。
そして、男達は気付くだろう。
目の前の女性が、遥ではなく別人だと。
相当焦る筈だ、自分達の連絡を受けた丈一郎が既にそこへ向かってるんだから。
そんな屋敷の外には、数台のパトカーと警察官の姿。
元々目的地が分かっていれば、奴等に気付かれない距離を保って追い掛けても何ら支障なく辿り着ける。
彼等は丈一郎の到着を待ち、事情を説明する。
『空港で窃盗事件があり、その犯人がこの屋敷に逃げ込んだ』と。
警察に気付いた時点で俺達の関与を疑ったであろう丈一郎にとって、これは予想外だろう。
自分に関する事であれば知らぬ存ぜぬを突き通せるが、他の犯罪への捜査協力を突っぱねのは余りにも不自然だ。
更に『被害者が遥かもしれない』と匂わされた事で、疑心暗鬼になる。
真偽を確かめる為に、提案された『警告のサイレン』は許可せざるをえないだろう。
だけどそれは、中にいる女性ーーリサへの合図だ。
因みに彼女は公私共にマークのパートナーで、バイト先で『蓮が美人にデレデレしてた』と晴が嫉妬していた相手だったりもする。
昔からこの2人は誠司さんの傍にいて、俺が小学生の時に事件解決に協力して以来、何かと絡まれていて。
そう言う経緯があってバイト先のカフェにはしょっちゅう来ていたが、正体を明かす訳にもいかないので晴に勘違いされ時は本当に焦った。
話を戻そう。
サイレンの音を聞いた男達は、何とか『知らない女』の存在を隠そうとするだろう。
そうやって近付いて来た所で、まずは1人を音も無く昏倒させる。
もう1人の男には少し猶予を与えて、台詞を聞かせる。
『せっかく盗みが上手くいった所だったのに!覚悟しなさいよね!』
この後右手ストレートが炸裂するが、男の脳裏にはは最後の台詞が深く刻まれるだろう。
そして、目を覚ましてから当主にこう言う筈だ。
『あの女は本当に強盗だったようだ』と。
そこまでいけば証拠のファイルはこちらの手の中、更に俺達の関与を決定付ける証拠は無し。
音声の解析中にファイルの紛失に気付かれるのは避けたいが、この失態ぶりなら怒りでそれ所では無いだろう。
矛先が側近達へ向いている間は安全だと言える。
そして『遥をサプライズで迎える』筈だった俺は、急いで切藤総合病院へ向かう。
霊泉家で情報が回れば『強盗に襲われた遥が搬送された』と勝手に勘違いしてくれるだろう。
俺は自分のバイクを病院に停めて、あたかも泊まり込むかのように見せる。
そうすれば監視は病院前から動けなくなるから、与一郎の帰還を見られる心配は無い。
更に俺自身も、親父の伝手で救急車(拠点に戻るやつ)に乗り奴等の目を盗んで移動する。
この時、位置情報をオンにしたスマホを病院内に置いてくれば完璧だ。
監視の目が届かなくなった所で救急車を降り、近くに停めていた別のバイクで帰宅する。
これが作戦の全容だ。
そしてーー。
「蓮!久しぶり!!」
こうして遥が切藤家にいると言う事は、全て上手くいった事を意味する。
与一郎も帰宅していて、音声ファイルは既に親父に引き渡していた。
遥はすこぶる元気そうで、中野とタッグを組んで俺が痩せただ何だと口煩い。
再会と作戦成功の高揚感の中でその日は終わり、
翌日は逮捕へ向けた最終会議があった。
音声ファイルの解析は問題なく終わったらしい。
後はもう、親父に託して祈るしかない状況だった。
「翔がこっちに来るらしいわ!」
遥の顔色が変わったのはその日の夜、特殊携帯を片手に陽子が放った一言だった。
弱々しく俺の腕を掴む。
「蓮…私、あの桜が見たい。」
「何言ってんだ、危ねぇから…」
無理、と言おうとして気付く。
遥は翔の結婚をいつ知ったんだろうか。
タイミングを見計らってる内に霊泉家とのゴタゴタが始まってしまったから、俺からは伝えられてない。
だけど、この様子は確実に知っている。
らしくなく泣きそうなその表情に、心を決めた。
『ついて来い』と目線で促して、ひっそりと家を出る。
遥の為に病院で寝泊まりしてると思われてる俺には今、監視がついてない。
翔もこっちに来るからには撒いてくるだろう。
辺りは随分暗くなっているから、静かに行動すれば何とかなる筈だ。
目立たないように徒歩で移動した神社では、満開の桜の木が待っていた。
夜の闇に浮かび上がるその姿は強く綺麗なのに、舞い散る花弁は何処か儚い。
掌に落ちてきたそれが誰かの涙と重なって、胸が苦しくなった。
「ふぅ…無理言ってごめん、蓮。翔君の結婚の事はママから聞いて知ってるの。」
隣に並んで同じように花弁を掬う遥は、淡々と続ける。
「勿論、美優さんのお腹に赤ちゃんがいる事もね。すごくおめでたいって思ってる。…本当よ?」
「分かってる。」
俺の即答に、遥は眉を下げて小さく笑った。
「私だってアメリカで彼氏できたし、恋愛だけじゃなくて色々頑張ったし!」
力強い台詞とは裏腹に、その顔は俯いていく。
「だからもう大丈夫だって、思ってたの。やっと諦められたんだって。なのにーー。」
瞳から、ポタリと雫が落ちた。
「音声ファイルがダメで、霊泉家を逮捕できないってなった時…翔君の声が聞こえたの。」
それは確か、遥が中野に電話を繋ぎっぱなしにさせていた時。
翔は机を叩いて悔しがっていた。
「無理もないよね、自分の奥さんと子供をあんな目に合わされたんだもん。その辛そうな声を聞いたら…身体が勝手に動いてた。」
日本に行く事を決意して、飛行機のチケットを取って。
「万が一霊泉家に捕まれば、相当酷い事をされるんだろうなって分かってた。本当は怖かったけど…でも…翔君が嘆かないようにできるのは、私だけだって思って…。」
それは、電話の向こうで余裕そうにしていた遥の本音。
「結局何も変わってないの…ダメだったの…」
涙を零しながら、縋るように遥が抱きついてくる。
「私、ずっと忘れられなかった…。」
嗚咽も漏らす姿が幼い子供みたいで、その背中にそっと手を回した。
それは慰めと、労わりと、親愛と。
そして、何よりもーー。
「馬鹿だよな、お前も俺も…。」
どうしても諦められない存在がいる。
自分の何を失ってでも、その相手の為になりくて。
感謝なんてされなくていい、気付かなくていい。
ただどうか、笑っていて欲しい。
側から見ればいっそ滑稽なそれを『献身』だと人は言うけれど、俺達にとっては違う。
それは紛れもなく『生きる意味』だ。
自分の人生を生きようと離れても尚、その想いに身を焦がし続ける。
最早呪いのようなそれを、一体どうしたらいいのか。
ふいに強く吹いた風が、薄紅を舞い上げる。
その行先に最愛の幻想が見えた気がして、苦く笑った。
●●●
プロローグに戻って来ました!
マークとリサはside晴人高校編74話『好きの、その先は』~76話『胸の内を』、side蓮高校編3話『希望』辺りにチョロっと出てきてます。
以前話に出てきたカップル、実は誠司の私兵でした。
生意気で優秀な小学生だった蓮には当時から目を掛けています。
(リサは晴人の目には大学生くらいに見えてますが28歳です。)
ようやくプロローグの回収ができました😭
まさか2年かかるとは…笑
次回は現在(相川達といる所)に戻ります。
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