【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side蓮 

39.消毒(※微エロ有り)

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それでも、俺の気持ちは充分晴に伝わったらしい。

「蓮、ありがと。心配かけてごめんな。」

辛い出来事を吐き出してなお俺の目を真っ直ぐ見る瞳に、その傷が癒え始めた事を感じる。

指を伸ばすと、晴が俺の手に頬擦りするように顔を寄せて来た。

「ここ…舐められたんだ…。」

…は?

「だから、蓮に触ってもらえば気持ち悪くなくなるかもって思って。」

晴の頬を、変態野郎が、舐めた?

「蓮、その…」「俺が消す。」

有無を言わさず、身を起こして晴の頬にキスする。

怖がっていないのを確認して何度もそこを啄んだ。

「晴、他は何処触られた?」

「分かんない…何か胸とか腹とかゴソゴソしてたけど…。」

視線を彷徨わせながらの返答に、ギリッと奥歯を噛み締めた。

この綺麗な身体に汚い野郎の手が触れたのかと思うと腑が煮えくりかえる。

「晴、怖かったら言って?」

覆い被さってパジャマの下の素肌を撫でると、晴が身を捩らせた。

「蓮、ダメ…あっ…!違う!服の中は触られてないから!」

「消毒と、もっと強い刺激で上書きもしような。」

恐怖からの抵抗ではなさそうなので、遠慮なくボタンを外していく。

露わになった白い肌に映えるピンクの尖りを刺激すると、晴が甘い声を上げた。

それを口に含み、舌で嬲って甘噛みする。

「…蓮…あっ、噛まないでっ…あぁッ!!」

「すげぇ可愛い。もっとしていい?」

「あっ…ダメ…声出ちゃうから…!!」

「嫌」なんじゃなくて「声が出るからダメ」なんだな?

なら、俺は最適解を持ってる。

憲人さんが作業で防音のアトリエに籠っていると言う俺の情報に、晴の動きが止まった。

これはもう…同意でいいよな?

「晴、嘘付いたらずっと止めないからな?」

他に触られた所は無いと首を振る晴の耳に言葉を吹き込む。

「あぁぁ!やめ…下…ちょっと撫でられただけだからぁ!」

感度抜群の耳に舌を入れられた晴は、甘く鳴きながら陥落した。

てか、下…?

「下って、ここ?」

緩く勃ち上がっている晴の中心を撫でるが晴は答えない。

つまりは…そう言う事だ。

目の前が真っ赤に染まった。

「クソッ!!」

服の上から晴の中心を刺激しながら唇に噛み付く。

「お前の気持ちが追い付くまで我慢しようと思ってたけど…他の奴が触るのは許せねぇ!」

繰り返しキスして口内を蹂躙すると、快楽に弱い晴の瞳が蕩ける。

「アッ…蓮…!…上からじゃヤダぁ!」

そう強請られた瞬間、ブツッと頭の中で何かが切れた。

下着の中に手を入れて鈴口をなぞり、竿を扱き上げる。

先端から泪を流した晴の物がグチョグチョと卑猥な音を立てて、俺の興奮も止まらない。

「ああっ!蓮…も、ダメ…イッちゃう…!!」

「…ッ!俺の手だけ覚えろ!お前をイかせるのは俺だけだ!」

鳴きながら背を弓形にして白濁を飛ばした晴を抱き止める。

「晴、お前は俺のだ。」

耳元で低く囁くと、晴は一瞬ビクリと身体を揺らしてゆっくりと瞼を閉じた。



ーーやらかした…。

晴の気持ちを考えて数週間触れないようにしていたのに、あっという間に理性を吹っ飛ばしてしまった。

嫌がる素振りが無かったからと言って調子に乗った自覚はある。

なのに、晴を射精させた事に酷く満足もしている。

溜息を吐いて、濡らしたタオルで晴の身体を拭うとベッドに寝かせた。

明日からまた、距離感に気を付けねぇと。

自分を慰めるべくすごすごとトイレに向かいつつ、己の理性の弱さを嘆いた。




翌日、何事もなかったかのように接したのが功を奏したのか、晴は若干戸惑いつつも俺と普通に接している。

そして、上書きが良かったのかーーと言うのは俺の願望でーー当日の事を話して吐き出せたのが良かったのか、晴はグンと元気になった。

これには萱島夫妻も大いに安堵して、月曜日から学校に行く事が決まった。

休んだ期間はトータルで2週間。

憲人さん達には頭を下げられたが、晴の為なら学校なんてどうでもいいから無問題だ。

学校ではインフルの扱いになっていたが、クロと中野は何かしら察しているのか、それには触れず晴を迎える。

痩せてしまったのを心配して、クラスの女子達(伊藤近辺)がやたら晴に菓子を差し出すのを、本人だけが不思議がっていた。



そんな風に数日が経ち、今日から部活に復帰する晴を待って教室で時間を潰していた時。

『晴人、体調悪そうだから帰らせる』

中野からのLAINに慌てて駆け付けると、晴が俺を見て困ったように笑った。

「ちょっと貧血?だったみたいだけど、もう大丈夫!」

晴を更衣室に向かわせて、一緒にいた中野に状況を聞く。

車を呼ぼうとする俺を押し切って歩き出す晴の姿はしっかりしていて、家に着いてからもしきりに心配する俺と憲人さんに眉を下げて笑った。

「久しぶりの部活だから張り切りすぎただけだって。」

その言葉通り、翌日以降は何事もなく。

胸を撫で下ろして、俺もバイトに復帰した2月の初めの事だった。

『晴が倒れて、拓哉さんに診てもらった所。これから帰るよ。』

憲人さんからの連絡に、即効でバイトを早退して家に帰った。

萱島家の前で待ちたかったが、晴が落ち着いてから呼ぶと言う憲人さんの言葉に渋々従う。

検査結果は異常無く、意識もあると言う事だったが心配で落ち着かない。

家の中を行ったり来たりしていた時、スマホが鳴った。

相手は憲人さんで、晴がPTSD(心的外傷)を発症している事、剣道が引き金の可能性が高く部活を続けるのは困難かもしれない事を聞かされる。

「マジかよ…晴は?」

『今は部屋に…待って、靴が無くなってる。
多分、そっちに行ったんじゃないかな。』

「分かった。見つけたらすぐ連絡するから。」

通話を終了して、コートを羽織って玄関へ急いだ。
   
「蓮…」

門を出かけた所で、小さく名前を呼ばれた気がした。

辺りを見回して首を傾げつつ、ふと下の方に視線を向けるとーー

「晴!?」

膝を抱えて座り込む晴の姿があった。

「良かった、ここにいて…ってかお前何だその格好!早く中入れ!」

何で上着着てねぇんだよ、2月だぞ!

冷たくなった手を引いて、家の中に向かうべく庭園を歩く。

「遅い時間に一人で出んなって言ったろ。」

「まだ20時だもん。」

「それでも。お前に俺が必要な時は迎えに行くから。」

そう言うと、晴がピタリと立ちどまった。

「……蓮、俺ね…剣道できないんだって…。」

俯くその肩が震えているのはきっと、寒さのせいじゃない。

「明後日大会なのに…皆んなに迷惑かけちゃう…あの日、俺がもっと気を付けてれば…」

絞り出すような言葉に、胸が苦しくなる。

「ほんっと馬鹿だよな…部活辞める事になっても自業自得…わっ!」

懺悔のような言葉を最後まで言わせたくなくて、腕の中に抱き寄せた。

「そんな訳ねーだろ!お前は悪くない。」

夜にあの道を通ったのはいい考えだったとは言い難いが、それでも晴はただ家に帰っていただけだ。

悪いのは100%変態野郎で、晴が自分を責める必要なんてない。

「…だからこそ、剣道できないのは辛いよな。
晴が楽しそうに部活やってんの、俺はずっと見てきたから。」

そう言うと、晴がギュッと俺の服を掴んだ。

「『自業自得』なんて我慢する必要ない。
遠慮せず、理不尽で悔しいって叫んでいい。
晴にはその権利がある。」

俺の言葉に、晴の口から嗚咽が漏れる。

やがて堰を切ったように大声で泣き出したその背中をそっと撫でた。

頭では理解しながらも、どうやっても逃れられない後悔が晴を襲っている。

それなのに、俺はそれを取り除いてやる事ができない。

それが悔しくて、震える華奢な身体を強く抱きしめた。

凍えた心と身体に、俺の熱が移るよう願いながら。



少し落ち着いた晴を抱き上げて運んで、暖炉の前に座らせる。

憲人さんに連絡してから手早くホットチョコレートを作り、ブランケットごと晴を後ろから包み込んだ。

マグカップを持たせた晴の両手に俺の手を重ねると、氷のようだった体温が大分マシになっている。

「それ飲んだら送ってく。」

「あ…ストームグラスって蓮の部屋にある?」

唐突な話の変え方に少し戸惑うが、晴の気が紛れるなら見せてやりたい。

だけどーー。

「俺の部屋にあるけど、入るのはダメ。」

不服そうな晴に言葉を続ける。

「理性が限界突破するからダメってこと。」

自分の部屋テリトリーに晴がいるという事象はかなりクるものがある。

傷心の想い人に無体な事をしたくない。

晴に対する自分の理性の弱さを知る俺は、自分を戒める。

なのに、だ。

「…俺、今日は蓮と一緒に寝たい…。」

それ…は…。

違うから!晴の「寝る」はスリープの方だから!

そっちでもヤベェ事に変わりはねぇけどな!

「…俺が…そっち行くから…!」

何とか喉の奥から声を絞り出すと、追い立てるように晴を急かしてバイクで萱島家に向かう。

一刻も早く憲人さん保護者の目がある所へ向かわなければ。

今すぐ晴を自分の部屋に引きみたいと言う誘惑に打ち勝つ為に、それだけを心に念じていた。



10分もかからない距離を永遠に感じながら辿り着いた萱島家では、憲人さんが夕食を用意して待っていた。

「なんか、蓮が隣にいないと落ち着かなくなりそう。」

風呂を済ませて入った晴の部屋で笑いながらそう言われて、ベッドに撃沈する。

「どしたの?」「…早く寝ろ。寝てくれ。」

頼むから俺の限界を越えようとするのはやめてくれ。

無意識に俺の腕に頭乗せるのも!

可愛いけど…いや、可愛いからこそ勘弁して欲しい。

強制的に寝かし付けると、晴はすぐにウトウトし出した。

3.141592653589793238462643383279…

素数はいつかの添い寝で数え飽きたから、今日は円周率だ。

心を落ち着けたいのに、横向きに抱き着いてくる誰かさんのせいで邪念が湧き上がってくる。

結局、ギネスレベルまで達しても俺の意識が途切れる事は無かった…。


何処かスッキリした顔の晴と対象的な俺が迎えた翌日。

登校してからは保健室の住人となった俺は、ひたすら眠って過ごした。

その間に晴は中野に全てを話したらしい。

顧問大ちゃんの計らいで休部の扱いになった事は、晴の心を少し軽くしたようで安心する。


「晴人君、大変だったね。さっき特進の喫煙所で全部聞いたよ。」

教室に戻ったタイミングで俺を捕まえたクロに言われて、頷くと同時に眉を顰めた。

「お前、晴の前で吸ってねぇだろな。」

「え?何なら晴人君にもお裾分けしたけど?」

ーーは?

ヘラヘラ笑っていたクロは、俺の顔色が変わった事に気付いて俄に焦り出した。

「いや、ほんの一口だけだって!」

「ッざけんな!気管支弱ぇんだよアイツ!」

知らなかったと必死に謝るクロに怒りが収まらず机を蹴り飛ばした所を、運悪く担任に目撃され。

ちょっとした騒ぎになって生徒指導室に呼ばれた俺達の事を、晴は知らない。




●●●
side晴人86~88話辺りの話です。




























直ちに気管支の薬を(父親から)取り寄せた蓮。
出番が無くて一安心。

この後、蓮と黒崎はちゃんと和解しました。笑
















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