【完結】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

107.受験 (※)

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「同棲って…えぇ!?」

「嫌?」

「や、そんな事ない…けど…。」

急展開すぎて理解が追いつかない。

「大学生なったら晴もバイトしたりすんだろ?そしたら会える時間マジで少なくなんじゃん。」

その点、一緒に暮らせば家に帰るだけで会える、と。

「それは確かに嬉しいけど…父さん達が何て言うかなぁ。」

実家からM大までは1時間半。

十分に通える距離なのに家出るって、お金もかかるしどうだろう。

「そこは多分大丈夫。てか説得は俺に任せろ。」

「えぇ?それでいいの?」

頷く蓮。

でも…そっかぁ。

蓮と一緒に暮らせるかもしれないんだ。

「晴がいいならだけどな。」

「全然いい!ってか嬉しい!」

俄然楽しみになってきて、声が弾む。

おはようからおやすみまで蓮と毎日過ごせるなんて!

それに…例の場所が無い問題も解決するんじゃない?

「毎日でもイチャつけるな?」

「えっ…そっ…う、うん?」

ニヤリと笑う蓮に、考えを見透かされたみたいで狼狽える。

抱きしめられたままスルッと腰を撫でられて、身体がビクッと反応した。

「因みに晴さん、禁欲生活はいつから?」

「言い方…!えっと、夏休みから…にする?」

「じゃあ、今日はいいんだな?」

「うっ…はい。」

「準備は?」

「えっと…してる…。」

真っ赤になりながら答えると、蓮が性急な動きで押し倒してきた。

「最高すぎだろ!今日は誰も帰って来ねぇから、全力で気持ち良くしてやる。」

「んっ…あっ……」

「これからお預けされる分、貪っておかないとな。」

「だ、だから…言い方…!あぁんっ!」

「晴が俺のだって刻み付けてやるよ…!」

「あっ、激しくしちゃダメぇ!」



この後、揺すぶられて泣かされて、言葉通り貪り尽くされて。

3回戦が終わった辺りで意識がフツリと途切れた。

明け方目覚めると、夥しい数のキスマと噛み跡に呆然として。

それを指でなぞってる所を蓮に見られて、またのしかかられて。

次に目を覚ました時にはもうお昼で。

ゴミ箱にゴムの空箱があったんだけど…一体何個入ってたのかは恐ろしくて聞けない。

って言うか、声が枯れて上手く話せない。

あまりの惨状に毛布を被って拗ねる俺の機嫌を、蓮があの手この手で取って来る。

抱っこされて風呂に入って、髪の毛を乾かして貰って。

蓮に抱えられながら大好きなホットチョコレートを飲んで、痛む腰を優しくマッサージされる。

『好き』『可愛い』の言葉と、軽いキスの雨にたっぷり甘やかされて。

『何もしない』って約束の元、連泊しちゃうくらいに機嫌が直った俺はチョロいと思う。


だけど、幸せの充電は満タンだから良し!

蓮との同棲って目標もあるし、勉強頑張ろう!


こうして、俺は受験生モードに突入したのだった。















毎日が秒速で過ぎていき、年が明けた。

「啓太、調子どう?」

「まぁボチボチ。晴人は?」

「俺も。ってか、どんだけやっても足りないような気がする。」

「それなー。」

白い息を吐きながら啓太と歩く。

1月の共通テストは既に終わって、大学毎の試験本番まであと1週間に迫った今日、息抜きに少しだけ啓太と会う事になった。

去年のうちに、蓮とサッキーは第一志望に推薦で合格して。

惜しくもそれを逃した啓太と、元から可能性のない俺は試験に向けて勉強漬けの日々だ。

啓太は蓮と同じ大学志望で、特進の希望者が多くて推薦枠に入れなかった。

ただ、本人的にはそれを予想してたらしく、ショックを受ける事もなく淡々と勉強してる。

啓太のこう言う所が凄いと思うんだよなぁ。

因みに文系(教育学部)だから、蓮とは別のキャンパスになるらしい。

つまり、俺が受かったとしても啓太とは少し遠くなっちゃう訳だ。

寂しいなとは思うけど、啓太とは一生親友でいる自信しかないから大丈夫。

そして何より今、辛い受験シーズンを支え合えてる事が嬉しい。

サッキーは、差し入れしたり分からない所を教えてくれたり力になってくれてる。

凹んだ時は蓮が甘やかしてくれるし、精神的にケアしてくれてる。

だけどさ、プレッシャーとか、やってもやってもまだ足りないような焦燥感の中で、同じ状況で一緒に頑張れる相手がいる事は何より心強い。

それが啓太なら尚更だ。

「絶対受かろうな!」

「おう!終わったらアホみたいに騒ごうぜ!」

握り拳をガツッと合わせて、お互いの検討を祈った。

大丈夫、俺達はやれる。











「行ってらっしゃい、気を付けてね。」

試験当日、いつも通り微笑む父さんに見送られて家を出た。

駅に向かおうとする足取りは重い。

今までの人生で1番緊張してるかも。

何とか気合いを入れて家の門を出た時だった。

「え!?蓮!?」

「おはよ。」

何故かそこには蓮がいて、驚く俺を見て笑った。

「昨日電話くれたじゃん!」

「ん。でも駅まで送りたくなった。」

繋いだ手を蓮のコートのポケットに入れて歩き出す。

「過保護な彼氏だなぁ。」

「彼氏が甘ったれだからな。」

軽口を叩くと自然に笑えて、緊張が解れて行くのを感じた。

「晴、ちょいこっち。」

駅に着く直前、人気のない小道に手を引かれた。

そして、ギュッと抱きしめられる。

「晴、大丈夫だ。」

耳に吹き込まれたそれは、幼い頃からずっとずっと俺にとっての魔法の言葉。

これを聞けば、どんな時だって大丈夫だって信じられた。

それは勿論、今もーーー。

「うん。全部出し切って来るから待ってて。」

蓮に囁き返して少し体を離す。

そして、周りに誰もいないのを確認すると、伸び上がって蓮の唇にキスした。

「早く一緒に暮らしたい。」

そう言うと、蓮が珍しく絶句した。

その目元が赤くなってるのを見て、楽しい気持ちになる。

珍しく俺が優位に立てたんじゃないかな?

試験前に幸先良いかも!

「行ってきまーす!」

明るくそう言うと、蓮に手を振って駅の改札に駆け込んだ。

口許が緩みそうなのを必死で抑える。

もう全く緊張は無い。


ただ、やるだけだ。















「終わったぁぁ」

全てを出し尽くしてヘロヘロになりながら向かったのは塾だ。

ここで講師が採点してくれる事になってるから、他にも生徒が大勢来てる。

マンツーマンで話しながら、答え合わせをしていく。

「うん、合ってる、ここも合ってる、よし!」

丸が増えていく度に胸が高鳴る。

これは、もしかして、もしかした!?

「よーし!これなら合格ラインだぞ!」

「本当ですか!?」

「うん!ただ、あくまでも自己採点であって絶対ではないからな!喜びすぎるなよ!」

「はい!ありがとうございました!」


急いで塾を出ると、啓太からLAINが来てた。

『一応合格判定だった!』

それにホッとして『俺も!』と返す。


結果はまだ分からないけど、辛い受験が終わった解放感が凄い。

家に帰って父さんに報告すると、ダッシュでまた家を出た。


目指すのは、勿論ーーー

「蓮!終わったよ!!」

ドアを開けて迎えてくれた蓮の胸に飛び込む。

「お疲れ!頑張ったな!」

そのまま抱き上げられて蓮の部屋へ。

「一応だけど、合格判定だった!」

「そっか!良かった!」

テンション高く喋ってると、父さんからLAINが来た。

「夜お疲れ会するから、蓮も誘っておいでって!」

「よし、じゃあそれまで晴を労わないとな。」

「労うって…わっ、ちょっ…ンンッ…」

「すげぇ久々…堪んねぇな。」

「ちょっ、ドコ舐めてんだ…あっ…」

セーターの下に入り込む手に身体をくねらせる。

約半年、ろくに触れ合えなかった身体が蓮を求めて仕方ない。

だけどーーー。

「あっ、蓮…最後までしたくなっちゃう、からぁ!んっ…夜に…シよ?」

ピタリと止まる蓮。

本日2度目。

今日の俺、絶好調なのでは?

ーーーなんて調子に乗ったのが間違いでした。

「今もするし、夜もする。」

「へっ!?や、あっ、あぁん…蓮…!」

「最後まではしねぇから。出して寝とけ。昨日あんま寝れてないんだろ?」

「んっ…じゃあ、蓮のもする…。」

お互いの昂りに触れて、久しぶりの熱を放つ。

「おやすみ、晴。」


蓮の腕の中で眠る幸せを、噛み締めた。

●●●
















大学受験の細かい点には目を瞑っていただけますと幸いです!遠い遠い昔の記憶なので…笑

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