【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

106.進路とお預けと約束

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「じゃあ、萱島の第一志望はM大から変更無しだな?」

「はい。」

俺はちょっと緊張しながら大川先生に頷く。

部活の顧問が担任って、ちょっと緊張するよね。




この前入学したような気がするのに、気付けば最終学年。

高校3年生といえば付いて回るのが進路問題だ。

今がまさにそれで、俺の隣に座るのは父さん。

つまり、勝負である『高3の夏』目前の三者面談って訳。



「うん、2年の後半から成績も上がってるし十分狙える範囲だと思うぞ。」

先生の言葉にホッとする。

塾に通ってるの、無駄になってないみたい。

「ただ、推薦は正直厳しい。本番までしっかり頑張らないとな。」

そうだよね、それは納得。

俺の第一志望の大学って、世間的には『高学歴』に分類されるんだけどさぁ。

うちの高校の皆さんはそこを『ワンランク落として推薦で決めたいから』って選択する感じなんですよ。

俺なんか高2から塾行って対策して、やっと手が届くかもって感じなのに。


…今更だけど俺、よくこの学校受かったよね。





「あれ?晴人君とパパさん?」

帰りがけ、門の前でサッキーに会った。

そっか、サッキーも今日面談だったのか。

「まぁ俺は三者じゃなくて先生とマンツーだったけど。晴人君は都内に進学だよね?」

ヘラリと笑って言うサッキーに少し胸が痛む。

彼の境遇はなんとなく聞いてて、両親のどちらも『息子の三者面談』に来るような家庭環境じゃないらしい。

「うん。推薦は無理だから夏休み勉強漬け。」

横を歩くサッキーに顔を顰めて見せる。

「そっかぁ。でもたまには息抜き必要だからさ。
そん時は海でも行こうよ!」

2年の夏、俺と蓮と啓太とサッキーの4人で海に行ったんだけどそりゃもう楽しかった。

ビーチバレーしたり、スイカ割りしたり。

俺の日焼けをめっちゃ気にした蓮に死ぬほど日焼け止め塗られたり。

買ってもらったラッシュガードを脱ごうとする度に怒られたのもいい思い出だ。(どうした!?ってレベルで赤くなるもんね、俺の肌。)

「うんうん!行こう!」

サッキーは国立大が第一志望。

学年上位者の常連だし、推薦で決まるだろうな。

関東圏の大学なのがせめてもの救いだけど、卒業後は距離が遠くなる。

「勉強もさ、分かんない所あったらいつでも連絡してね!夜中でも全然大丈夫!俺マジで応援してるから!」

「サッキー!ありがと、頼りにしてる!」

心から応援してくれる友達がいて幸せだ。

俺達は笑い合って、また明日と駅で別れた。


よし、やる気ゲージ満タンだ!


受験に向けてがんばろう!!!










「ーーという訳で、暫くこう言うのは禁止にします!」

「………は?」

部屋に入って早々、抱き寄せてシャツの中に手を入れてきた蓮の頭をペシッと叩く。

「だーかーら、聞いてただろ!?受験モードに入るから今までみたいに泊まりとかできなくなるって。」

身体を繋げてから、今日みたいにどっちかの家に泊まる事が多くなった。

だけど、受験生は夜も勉強しなきゃだし睡眠は大事だし。

「泊まっても勉強はできんだろ。」

「どの口が言ってんだよ!すぐエロい事してくるじゃん!」

「体力残るように気を付けてる。」

そ、それは確かにそうなんだけど…。



実は俺達が最後までするのは月1~2回だったりする。

原因は…またしても俺だけど、ちゃんと理由があるから聞いて欲しい。

問題は場所なんだ。


我が家には基本、父さんがいる。

アトリエに籠るのは不定期だから、声とか音でバレる可能性が高い。

よって、我が家に泊まる時は添い寝が精一杯のイチャイチャになる。

だから、できるのは切藤家に限られる訳なんだけど…。


あれは半年くらい前だったかなぁ。

それまでは蓮に誘われるまま、週3以上はエッチしてて、その日も3回戦までされて俺はもう限界で寝落ち寸前。

そんな状態でクッタリしながら蓮に身体を拭いてもらってた時、玄関からドアの音がして。

『ただいま、誰か帰ってるかな?』

なんて、蓮父の声がしたもんだから、俺はもうパニックだった。

ほとんど家にいない父親の帰宅は、息子にも予想外だったらしい。

急いで服を着て、蓮が下で蓮父と話してる間に洗面所で顔を洗って。

冷たい水で何とか意識をシャッキリさせて蓮父に挨拶して、その時は事なきを得たんだけど…。



まぁね、多分ほっといても部屋までは入って来ないとは思う。

だけど、落ち着かないのは確かで。

もしまた誰か急に帰って来て、声とか音が聞こえちゃったらどうしようって思うと不安で。


『陽子は海外、親父は県外、念のため翔の当直も確認してる。』

的な感じで、絶対に安全だって蓮が把握してる時以外はやんわり断る事が多くなった。

そうすると、月に1、2回が限度。

蓮も俺が拒む理由が分かってるから、ケンカとかにはなってない。

だけど、我慢させてるよなぁっては思う。

身体をくっ付けてイチャイチャしてはいるけど、抜き合いまでだし。

キスしまくって、触り合って。

そうすると、繋がりたくてウズウズするのは俺もそうで。


あぁ!もう!

実家暮らしの高校生って、みんな何処でエッチしてるの!?



そんな状態だから、受験で泊まりが無くなるのはある意味いい事かもしれない。

寂しいけど、きっと蓮に焦ったい思いをさせなくて済む。

そう思ったんだけど…。



「いや…まぁそうか。勉強大変になるのは分かるし、その間は手ェ出さないようにしなきゃだよな…。」

もの凄く苦渋に満ちた表情で言われて、嬉しいやら困惑するやら。

「ごめんな、蓮。でも俺、絶対都内の大学行きたくて…。」

蓮の第一志望は、都内の超有名私立大医学部。

因みに三者面談は『推薦で合格でしょう。』とのお墨付きをもらって1分で終わったそうだ。

『取り敢えず医師免許取っとく。』って理由で決めたらしいその大学は、学部が違っても俺の学力じゃ絶対に無理。

それならせめて、距離が近い大学に行きたい。

生まれてからずっと一緒でも、大学が別れる事は流石に分かってた。

だけど、近い学校には行きたくて。

『ずっと一緒の幼馴染』から『恋人』になった今、俺は、俺の意思で蓮の近くにいたくて。

そう思って都内の大学を探してたら、俺が勉強したい学部がM大にある事が分かった。

蓮の大学とは電車で20分の距離だ。

「M大なら、蓮の大学と近いし…時間が合えば一緒に帰ったりもできるかなって思って…。」

その言葉に、蓮が目を見開く。

志望大学は話してたけど、理由を話したのは初めてだった。

「も、勿論行きたい学部があるって理由もあるけど…!」

今気付いたんだけど、人生の転機を決めた理由の一つが『自分と離れたくないから』だったら…重い?

これ、胸の中にしまっておくべきだったかも。

「えっと…重いよね…ごめん…これは忘れて…。」

「あり得ねぇから。」

うっ、やっぱり迷惑だったよね。

恋人だからって超えてはいけないラインは確かにあって…。

「ごめ…」「忘れるとかあり得ねぇわ!」

……ん?

「重い訳ねぇだろ。そんなん嬉しいだけだっつの。


ギュッと抱きしめられて額にキスされる。

「もしかして、蓮も近くがいいって思ってくれてたって事?」

「それよりもっと…重さで言うなら俺の方が上だから。」

頬に手を添えて見つめられる。

「晴、卒業したら一緒に暮らそう。」

「…えっ?」

「大学の距離近ぇなら憲人さん達も反対しねぇじゃん。
晴がM大志望って言ってきた時はガッツポーズしたわ!」

そうだったの?

って言うか、一緒に暮らすって。

それって……

「ルームシェア…?」

俺の言葉に『色気ねぇなぁ』って呆れた顔をする蓮。

え、じゃあ何?


「恋人なんだから、だろ?」

そう言って、甘く微笑んだ。


●●●


























ついに同棲の話が!
そして晴人が受験生モードONのため、また一気に冬まで進みます!

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