【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 好きな人が、自分を好きかもしれない。

83.祝福と不穏

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「俺さ…蓮の事が好きなんだ…。」

「うんうん。」

「やっと蓮が報われるのかぁ!」


…………あれ?



冬休み明け、緊張しながら啓太とサッキーに打ち明けた。

打ち明けたんだけど…

反応ってそれで合ってる?


あ、もしかして違う意味で捉えてるのかも。

「その…恋愛的な意味でって事なんだけど…。」

「うんうん。」

「やっと蓮が報われるのかぁ!」


…これ再放送?


「驚かないの?」

「いや、切藤の粘り勝ちだなぁと思って。」

「片思いって報われる事あんだね。」

二人共何言ってんだろう。

「な、何か蓮が俺の事好きみたいな言い方になってない⁉︎啓太もサッキーも落ち着いて!」

蓮の事好きだって話したけど、蓮に告白された事は言ってないのに。

「お前が落ち着け?切藤が晴人の事好きなのは見てれば分かるだろ。」

「えっ⁉︎」

「えぇっ⁉︎いや、こっちがビックリだよ!晴人君とその他であからさまに態度違うのに気付かない訳ないじゃんか!」

見てれば分かる?態度が違う?

「蓮が口悪いけど優しいのは皆んなにだろ?」


「「……マジか。」」


「え?…あ!そっか、啓太にはちょっと当たり強めか。あれ何なんだろうな。」

「そ、そうだネ。」

「分かんないネ。」


訂正したのに二人共反応が悪い。


って、そうじゃなくて!

「俺ね、蓮が好きだから男同士ってあんまり意識してなかったんだけど…中には理解し難い人もいるっていうのは分かってる。
だけど、二人にはきちんと話しておきたくて。
これからもずっと友達でいて欲しいから…。」

「当たり前だろ、こっちは一生相棒だと思ってんだぞ!」

緊張しながら伝えると、すぐさま啓太が答えてくれた。

「好きになるのに性別とか関係無いだろ。
晴人が切藤を好きならそれでいい。応援する!」

「啓太…。」

親友の言葉に胸が震える。

「…その、サッキーは、どうかな?」

珍しくレスポンスが遅いサッキーに少し不安になる。

「黒崎はさ、『ずっと友達でいて欲しい』って言葉噛み締めてるの。」

啓太がニヤリと笑ってサッキーの顔を見た。

「ちょ、ちょっと!啓太君って結構余計な事言うよね⁉︎」

サッキーの耳、赤くなってる。

「あー…とにかく!俺も啓太君と同意見!
晴人君が幸せならそれで良いし、蓮とくっつくなら最高!友達がどっちも幸せになるとか超めでたいじゃん!」

「サッキーまで…二人共ありがとう。」

俺は本当に友達に恵まれたと思う。



「あのさ、聞いてもいい?デートはどうだったの?週明けの二人がちょっとぎこちない距離感だったから気になってたんだよね。」

サッキーの言葉に、やっぱりバレてたんだと苦笑いする。

「気使わせてごめんな。それがさ…。」

俺はに蓮と密着してる所を見られたって話した。

啓太も竹田先輩の事尊敬してるから名前は伏せて。


「…なるほどなぁ。そう言う人もいるんだな。」

「海外に比べて日本ってこういうの遅れてるもんねぇ。」

確かにそうだよね。

もしLGBTの先進国とかだったら、街中を蓮と手を繋いで歩けたりとかーー。



ハッ!!


幸せな妄想から我に返ると、啓太とサッキーがニヤニヤしてこっちを見てる。

めっちゃ恥ずいやつじゃん!

「ち、違ッ…!!俺達付き合って無いから!
恋人じゃないから!!」

顔を真っ赤にしつつ必死で言うと、啓太が目を見開いた。

「え、告白されて返事してないって事か?
もしかして、その『知り合い』が原因で?」

うぅ…エスパーが過ぎる。

だいたい蓮に告られたなんて言って無いのにそこは決定事項なのかよ。

「うーんと、まぁ簡単に言うとそうかな。その人にも、今二人に話してるみたいにちゃんと落ち着いて伝えたいんだよね。」


成る程と頷く啓太と、真面目だねぇとちょっと呆れてるサッキー。

「できる事があれば何でも言えよ?」

「あと俺らが味方だって事は常に覚えといてよ?」

「うぅ…二人共マジ愛してる!!」

「「それは切藤(蓮)に言えよ!」」


いつも通り笑い合える事が嬉しくて、俺は友情を噛み締めたのだったーーー。






その週の土曜日。

午後から部活があった俺は、1時間前に登校して自主練に励んでた。

夕方からは竹田先輩が指導に来る予定。

帰りに話したいって言ったら迷惑かな?

話した上での反応を思うと緊張する。


大丈夫だ、啓太もサッキーも翔君も味方だーー。

ガラッ

格技場の扉が開く音に思考を停止してそっちを見てーーまた思考が停止した。

「あ…。」

そこに立ってたのは竹田先輩。

「こ、こんにちは。」

「…おう。」

気不味い沈黙が流れる。

「今日、夕方からなんじゃ…?」

「あー、午前は中等部の練習見る予定だったんだけど、昨日学校の近くに不審者が出たとかで。
保護者がピリついてるから練習中止になってさ。」

そんな事があったのか。

普段は治安がいい地区だから、ちょっと神経質になっちゃうのも分かるかも。

「あの、先輩…」「悪かったな、この間。」

ここがチャンスだ!と思って発した言葉が被った。

待って、先輩に謝られた?

「あー…あの日の事悪いと思ってるんだ。俺と一緒にいた奴にも『偏見ヤバイ』って言われてさ。
ただ、それが理由じゃないんだ。確かにビックリはしたんだけどさ…俺は部活の事が心配で…。」

「部活?」

「ちょっと前に中等部の方で揉めたの知ってるか?原因がさ、恋愛の縺れなんだよ。」

先輩の話しによると、中等部の男女が三角関係になったらしい。
それは周りを巻き込んで凄まじい修羅場となり…なんと最終的に5人が退部してしまったんだと言う。

マ、マジか…。

「恋愛のゴタゴタだから俺とか顧問が介入した所でどうにもならなかったんだよな。
辞めた中には『こんな部活にいたくないから』って奴もいてさ…。
俺はそれを凄く後悔してるんだ。」

言葉通り、その顔は苦しそうだ。

「高等部の方はさ、男女が完全に分かれて活動してるだろ?だからそんな心配はないって安心してて。
そしたら、晴人が…その、男同士でそれっぽい雰囲気出してたからさ…。だから思っちゃったんだ。『晴人が部活の誰かを好きになったら?付き合って別れたら?また部活に関係ない事で何も悪くない奴が辞める選択をしてしまったら?』って…。」

そうだったのか…。

「良く考えたら、晴人がそんな問題起こす訳ないんだけど…あの時はパニクッてて。
酷い事言ってごめんな。」

その言葉に首を横に振る。

「気にしないで下さい!こうやって話してくれて嬉しいです!あと…一つだけ。」

『後輩』じゃなくて『萱島晴人』として伝えたいから、口調を変える。

「俺、蓮だから好きなんだ。そういう意味で好きになるのは蓮だけだから大丈夫!
部活の仲間とか、それこそ竹田先輩の事好きになったりは無いから安心して?」

最後の方は少し戯けて言う。

「………………そっか。そうだよな、ごめんな。」

「ううん、もう大丈夫!これからも後輩としてよろしくお願いします、先輩!!」

「勿論!よろしくな!」

笑い合った俺達は握手する。

良かった、先輩も分かってくれた。





これで蓮に返事ができるーー。

そう思ってたのに。



まさか、またトラブルに見回れるなんて。

それも、この翌日にだなんて信じられる?





●●●
お祓い必須案件。





















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