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高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着
62.近付く真相
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「それって何て言うか…厨二病っぽくない?」
黒崎君の言葉に啓太と相川さんが頷く。
俺が大谷君に言われた事と彼の様子について話した所、満場一致で「厨二病」判定を食らった。
あ、俺じゃないよ!
大谷君がだからね!!!
「うーん、ただ何か知ってる感じはしたんだよね。
大谷君も調査対象に入れていい?」
「分かった。じゃあ分担決めようぜ!」
事件を調べるにあたり、俺達は調査対象の担当を決める事になった。
まずは情報収集が大事だからね。
啓太と黒崎君は橋本先輩
相川さんは鬼丸
俺は大谷君
それぞれ調べて、放課後にまた集合する約束をした。(授業はちゃんとでたよ!)
そして放課後。
俺と啓太が空き教室に着くと、特進の二人は既に待っていた。
「遅いわね!誰のために集まってると思ってんのよ。」
開口一番に苦情を言う相川さんに、啓太が眉を顰める。
「HRが長引いたんだよ。それに、君は晴人に対してとやかく言える立場じゃないだろ?」
人当たりのいい啓太のこんな態度は珍しい。
俺のために怒ってくれてるのは分かるけど。
あれ、でも待って。
「相川さん、俺のためって思ってくれてるの?」
今の言い方だとそう聞こえるよね?
俺のために集まってるのに遅れるなって。
「…はぁ⁉︎そんな訳ないでしょ!勘違いしないでよね!!」
「そんな訳あるじゃん。相川ちゃんってツンデレだったんだねぇ。」
「ち、違うわよ!それより早く始めなさいよね!」
いや、これは間違いなくツンデレじゃん。
男三人はそう思ったけど口には出さなかった。
「へいへい、じゃあまず俺と啓太君からね。
知り合いの先輩に橋本の事探ったら、色々分かったよ。」
黒崎君の話によると、橋本先輩は1年生の時から生徒会の会計。
地味でも派手でもなくて、性格も見た目も特筆すべき事は無し。
「たださ、一つだけ。この人『堕天使』」らしいんだわ。」
『堕天使』って言うのは、成績不振で特進クラスから一般クラスに落ちた人の事だ。
「それを恨んでるらしくてさ、近くにいると睨まれるって特進の先輩が言ってた。」
複数人からの証言だから気のせいでは無いとのこと。
「あ、写真あるよ!これ。」
スマホで見せてくれたクラス写真には、ごく普通の男子生徒が写ってる。
「文化祭の当日は生徒会が担当する見回りがあったから、クラスの仕事は免除されてたらしい。
一人で動いてたから当日の行動を知る人は無し。」
啓太は当日の情報を調べてくれたみたいだ。
「昨日も朝から生徒会の仕事でクラスにはいなかったってさ。持ち物検査の時間も戻って来なかったらしい。」
「つまり事件に関するアリバイは無しって訳ね。
私が先生から抜き出した情報だと、生徒会は事前に持ち物検査があったらしいわ。」
相川さんが話し始める。
「それと、全校集会の時に生徒会がバタバタだったの覚えてるでしょ?資料が足りなくて体育館と生徒会室を行ったり来たりしてたのが、会計の橋本。」
「アイツなら抜け出せたって事?でもさ、昨日の集会中って先生が校舎内の見回りしてなかったっけ?」
「そう。だけど…ここが多分重要な所。」
相川さんは一度言葉を切ると続けた。
「先生達、見回りの範囲を分担してたらしいんだけど、生徒会室から一年の一般クラスの辺りを見回りしてたのは鬼丸らしいの。
それと、生徒会の持ち物検査を担当したのも鬼丸。」
それは、何て言うか…。
「そこが手を組んでる可能性があるって事?」
俺の問いに相川さんが頷く。
「でも、仮にも教師が…」「は?甘いわね!」
啓太の言葉を相川さんが遮った。
「教師だって人間でしょ?それに、アイツの『正義感』ってズレてるじゃない。」
それは俺も同意。
「検査の時、蓮がタバコ持ってるの見て鬼丸は『良くやった』って言ってたんだよね?
それって橋本先輩に対しての労いだったのかな?」
啓太から聞いてたのは、鬼丸の不可解な行動。
何故か俺と蓮と黒崎君がいる所をマークして、事が起こるや否やすっ飛んできた。
「初めから、知ってたのかも…」
そうすれば説明がついてしまう。
「だけど、タバコは元々は俺の鞄に入ってたんだよね。仮に橋本先輩と鬼丸が共犯だったとして、陥れたい対象が違わない?」
橋本先輩は俺、鬼丸は蓮。
「うーん、確かになぁ。それか鬼丸は橋本に利用されただけか。」
蓮を嵌めると嘘をついて自由になり、俺の鞄にタバコをいれた?
「そこまで危険を犯して行動に移したって事はさ、小火もやっぱり橋本の仕業なんじゃない?
萱島君を犯人に仕立て上げるのが目的で。」
黒崎君は考えながら言うと、俺に目を向けた。
「大谷はどうだったの?」
「うん、それがさ…啓太、俺らが中3の時に撮られた写真が賞取ったの覚えてる?」
「あぁ!剣道部の大会の写真な!」
俺は簡単にその経緯を高校組である二人に説明する。
「それでさ、その写真撮った奴が大谷君だった!」
「…えっ⁉︎」
「中学からずっと写真部で、高校でも続けてるみい。それと、あの話し方は素なんだって。
お父さんが有名な脚本家で、舞台演技っぽい話し方する人らしいよ。」
「なるほど、遺伝なのか…。」
納得顔の啓太。
「本人も演劇部のために脚本書いてるんだって。
常にネタ探ししてるって周りに言われてた。
特に悪い話しは聞かなかったよ。」
「うーん…。大谷は謎だな。」
「そうだよね、俺やっぱり話し聞きに行ってみるよ。」
大谷君は放課後だいたい写真部の部室にいるって話だ。
一緒に行くと言ってくれた三人を説得して、俺一人で行くことにする。
『俺だけが切れるカード』と言うのが気になったから。
それから、『本当の覚悟』って言葉もーーー。
「…にしても、橋本が犯人だとしたら馬鹿だよなぁ。アイツW大学の推薦狙いで生徒会入ったって話しなのに。自分で棒に振る気かよ。」
呆れたように呟いた黒崎君の言葉が引っかかる。
そう。
彼が犯人だとしたら、それを暴きたい。
蓮の為に。
だけどーーーーー。
『覚悟』の意味が分かった気がする。
それでもーーーー。
俺は教室を出ると、写真部の部室に向かって走った。
●●●
大谷の写真は中学編の「アオハルかよ」
堕天使など特進の説明は高校編の「変化」
にそれぞれ書いております。ご参考までに☆笑
黒崎君の言葉に啓太と相川さんが頷く。
俺が大谷君に言われた事と彼の様子について話した所、満場一致で「厨二病」判定を食らった。
あ、俺じゃないよ!
大谷君がだからね!!!
「うーん、ただ何か知ってる感じはしたんだよね。
大谷君も調査対象に入れていい?」
「分かった。じゃあ分担決めようぜ!」
事件を調べるにあたり、俺達は調査対象の担当を決める事になった。
まずは情報収集が大事だからね。
啓太と黒崎君は橋本先輩
相川さんは鬼丸
俺は大谷君
それぞれ調べて、放課後にまた集合する約束をした。(授業はちゃんとでたよ!)
そして放課後。
俺と啓太が空き教室に着くと、特進の二人は既に待っていた。
「遅いわね!誰のために集まってると思ってんのよ。」
開口一番に苦情を言う相川さんに、啓太が眉を顰める。
「HRが長引いたんだよ。それに、君は晴人に対してとやかく言える立場じゃないだろ?」
人当たりのいい啓太のこんな態度は珍しい。
俺のために怒ってくれてるのは分かるけど。
あれ、でも待って。
「相川さん、俺のためって思ってくれてるの?」
今の言い方だとそう聞こえるよね?
俺のために集まってるのに遅れるなって。
「…はぁ⁉︎そんな訳ないでしょ!勘違いしないでよね!!」
「そんな訳あるじゃん。相川ちゃんってツンデレだったんだねぇ。」
「ち、違うわよ!それより早く始めなさいよね!」
いや、これは間違いなくツンデレじゃん。
男三人はそう思ったけど口には出さなかった。
「へいへい、じゃあまず俺と啓太君からね。
知り合いの先輩に橋本の事探ったら、色々分かったよ。」
黒崎君の話によると、橋本先輩は1年生の時から生徒会の会計。
地味でも派手でもなくて、性格も見た目も特筆すべき事は無し。
「たださ、一つだけ。この人『堕天使』」らしいんだわ。」
『堕天使』って言うのは、成績不振で特進クラスから一般クラスに落ちた人の事だ。
「それを恨んでるらしくてさ、近くにいると睨まれるって特進の先輩が言ってた。」
複数人からの証言だから気のせいでは無いとのこと。
「あ、写真あるよ!これ。」
スマホで見せてくれたクラス写真には、ごく普通の男子生徒が写ってる。
「文化祭の当日は生徒会が担当する見回りがあったから、クラスの仕事は免除されてたらしい。
一人で動いてたから当日の行動を知る人は無し。」
啓太は当日の情報を調べてくれたみたいだ。
「昨日も朝から生徒会の仕事でクラスにはいなかったってさ。持ち物検査の時間も戻って来なかったらしい。」
「つまり事件に関するアリバイは無しって訳ね。
私が先生から抜き出した情報だと、生徒会は事前に持ち物検査があったらしいわ。」
相川さんが話し始める。
「それと、全校集会の時に生徒会がバタバタだったの覚えてるでしょ?資料が足りなくて体育館と生徒会室を行ったり来たりしてたのが、会計の橋本。」
「アイツなら抜け出せたって事?でもさ、昨日の集会中って先生が校舎内の見回りしてなかったっけ?」
「そう。だけど…ここが多分重要な所。」
相川さんは一度言葉を切ると続けた。
「先生達、見回りの範囲を分担してたらしいんだけど、生徒会室から一年の一般クラスの辺りを見回りしてたのは鬼丸らしいの。
それと、生徒会の持ち物検査を担当したのも鬼丸。」
それは、何て言うか…。
「そこが手を組んでる可能性があるって事?」
俺の問いに相川さんが頷く。
「でも、仮にも教師が…」「は?甘いわね!」
啓太の言葉を相川さんが遮った。
「教師だって人間でしょ?それに、アイツの『正義感』ってズレてるじゃない。」
それは俺も同意。
「検査の時、蓮がタバコ持ってるの見て鬼丸は『良くやった』って言ってたんだよね?
それって橋本先輩に対しての労いだったのかな?」
啓太から聞いてたのは、鬼丸の不可解な行動。
何故か俺と蓮と黒崎君がいる所をマークして、事が起こるや否やすっ飛んできた。
「初めから、知ってたのかも…」
そうすれば説明がついてしまう。
「だけど、タバコは元々は俺の鞄に入ってたんだよね。仮に橋本先輩と鬼丸が共犯だったとして、陥れたい対象が違わない?」
橋本先輩は俺、鬼丸は蓮。
「うーん、確かになぁ。それか鬼丸は橋本に利用されただけか。」
蓮を嵌めると嘘をついて自由になり、俺の鞄にタバコをいれた?
「そこまで危険を犯して行動に移したって事はさ、小火もやっぱり橋本の仕業なんじゃない?
萱島君を犯人に仕立て上げるのが目的で。」
黒崎君は考えながら言うと、俺に目を向けた。
「大谷はどうだったの?」
「うん、それがさ…啓太、俺らが中3の時に撮られた写真が賞取ったの覚えてる?」
「あぁ!剣道部の大会の写真な!」
俺は簡単にその経緯を高校組である二人に説明する。
「それでさ、その写真撮った奴が大谷君だった!」
「…えっ⁉︎」
「中学からずっと写真部で、高校でも続けてるみい。それと、あの話し方は素なんだって。
お父さんが有名な脚本家で、舞台演技っぽい話し方する人らしいよ。」
「なるほど、遺伝なのか…。」
納得顔の啓太。
「本人も演劇部のために脚本書いてるんだって。
常にネタ探ししてるって周りに言われてた。
特に悪い話しは聞かなかったよ。」
「うーん…。大谷は謎だな。」
「そうだよね、俺やっぱり話し聞きに行ってみるよ。」
大谷君は放課後だいたい写真部の部室にいるって話だ。
一緒に行くと言ってくれた三人を説得して、俺一人で行くことにする。
『俺だけが切れるカード』と言うのが気になったから。
それから、『本当の覚悟』って言葉もーーー。
「…にしても、橋本が犯人だとしたら馬鹿だよなぁ。アイツW大学の推薦狙いで生徒会入ったって話しなのに。自分で棒に振る気かよ。」
呆れたように呟いた黒崎君の言葉が引っかかる。
そう。
彼が犯人だとしたら、それを暴きたい。
蓮の為に。
だけどーーーーー。
『覚悟』の意味が分かった気がする。
それでもーーーー。
俺は教室を出ると、写真部の部室に向かって走った。
●●●
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