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高校生編side晴人 守ってくれるのは大切だからだって思いたい

46.理不尽

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「それじゃあ、君が発見した時には周りに誰もいなかったんだね?」

消防士さんの言葉に俺は頷いた。

ここは職員室の隣にある応接室。

ソファに座るのは、俺と剣道部顧問の大山先生。
その対面には消防士さんが一人いて、事情聴取の真っ最中だ。



俺が火事を伝えた時、混乱した様子の啓太の隣には偶然この大山先生がいた。

先生は俺に絶対に火に近付かないように注意すると、数名の先生(+無理矢理付いてきた啓太)を連れて駆け付けてくれて、その先生達の消火活動によって鎮火したんだけど…

異様な臭いと焦げた備品が転がる部室に、俺と啓太は呆然としてしまった。

黒く煤けた竹刀と、一部が焼け焦げた防具ーーー。

どうして、こんな事に?
2ヶ月後には大会があるのに、これじゃあ…


「分かりました。ご協力ありがとうございます。
消防の方はこれで終わりです。この後は警察の方がお話しを聞く形になります。」


消防士さんが出て行くと、今度は二人連れの警察が入って来た。
その後ろには学校事務の女性も一緒だ。

「大山先生、理事長からお電話です。」

「あぁ、すぐに行きます。悪い、萱島。
ちょっと席を外すからな。
すみませんが、よろしくお願いします。」

呼ばれた大山先生は俺に一声かけて、警察の人に頭を下げて部屋を出て行った。


「では、始めましょうか。」

対面に座った若い警察官が記録し始めて、中年の警察官が俺を見つめる。

どうも、嫌な視線だ。
値踏みされてるような、そんな感じ…。


そして、その嫌な予感は当たってた。
先生達の足音が完全に無くなると、中年の警察官はこう切り出したから。

「剣道部、楽しくなかった?」

「……はい?」

急な質問にポカンとする俺。
なんなら若い警察官もギョッとした顔をしてる。

「鬱憤が溜まってた?嫌いな先輩がいた?」

「あの…どう言う事ですか?」

すると、はぁ~と大きな溜息をついて中年の警察官は続けた。

「こう言う学校での小火騒ぎなんて大抵は学生の仕業なんだ。しかも自分で火を付けた奴が第一発見者を名乗る事が多い。目立ちたいのか何なのか知らないが…。」

え、俺を疑ってるって事?

「しかも君さ、剣道部なんでしょ?部活に恨みがあったなら動機としては充分だ。」

俺が愕然としてると、若い方の警察官が戸惑いがちに口を開く。

「あの、多田先輩…。その言い方ですと誤解を招くと言いますか…。」

「お前は黙ってろ!巡回もまともにできない落ちこぼれが偉そうな口叩くんじゃねぇ!」

多田と呼ばれた男の声に、若い方の警察官はビクリと体を揺らして押し黙った。

「ふん、それでいいんだよ。
で、君だ。第一発見者で犯行動機もある。
文化祭の時にわざわざ一人であんな人気の無い所にいたのも不自然だ。」

「…っそれは!部室のベランダに干してた物を取りに行ってたからで…」

「ふーん?一人で?友達いないの?」

…何でこの人にこんな事言われないといけないんだろう。
って言うか俺に友達がいるとかいないとか、事件には関係ないのに。

「現場からさ、タバコが見つかったんだよね。
君、鞄はどこにあるの?見せて?」

「えっ?」

「やっぱり見られたらまずいんだ?」

違う!そんな訳ない!
なのに、あまりの事に咄嗟に言葉が出ない。


「部活が嫌だからってこんな事しちゃダメでしょ。分かる?君が辞めればいいだけの話しなんだから。周りの子の気持ち、考えた事あるのかな?」

ダメだ。この人はもう、俺が犯人だって決めてかかってる…。

どうして?
俺は偶然見つけただけで…。

部室があんな風になってしまった事にとてもショックを受けてる。
次の大会が引退試合になる先輩だっているんだ。

そんな酷い事、できる訳ないのに…。


若い警察官は俺から目を逸らして、何かを記入してる。
このやり取りの、俺が不利な部分だけを使われてしまうんだろうか。

先生が戻って来る気配は無い。

助けを求める相手は、誰もいないーーー。



あまりの理不尽に、喉が震えて目頭が熱くなった時だった。



「失礼します。」

ガチャリと部屋のドアが開いた。




●●●
こんな警察官が実際にいたら嫌すぎる笑

















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